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6 〜王にガツンと言ってやりましょう①〜
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もう一度目を開けると、綺麗な部屋のベッドに寝かされていた。部屋には誰もいない。
と思ったら、ドアが開いて声がした。
「目覚められましたね、ブリセイダ様。」
この城に仕えるメイドの一人なのだろう。濃紺と白の服を着ていた。
「あの、ありがたいのですが結局どうなったのでしょう?」
「はい、家系図をご覧になられましたよね?ブリセイダ様のお名前が登録されておりました。この後、国王陛下及び王妃陛下、王太子殿下がいらっしゃいますから、身なりを整えるように、とのことです。」
どうやら、「王族」という名前の厄介な足枷からは逃げられないようだ。わたしはガックリとうなだれた。
部屋においてあったドレッサーを使って、髪の毛を整える。服は、クローゼットにあった物のうちから適当に選んだ。聖女だった頃は、ドレスなど着たことがなかった。シンプルな服を着ていたし、家でもお茶会に出ることなどなかったからドレスなど数えるくらいしか着たことがない。
ドアが開いて、国王と王妃、それから王太子がやって来た。
「グランメリア連邦国国王陛下、王妃陛下、それから王太子殿下。お初にお目にかかりますノヴォメア王国グラナドス公爵家のブリセイダと申します。以後お見知りおきを。」
「構わん。直答を許すから、早くしろ。」
随分と突慳貪な対応だ。
「はい。わたくしはノヴォメア王国の聖女として働いていましたが、諸事情により国外追放となりました。そこで、わたくしのお母様の出身地であるグランメリアに行けば何かあるのではないかと考えてここへ来ました。」
次は王妃が喋りだした。
「それだけの理由でここに来たのかしら?貴女の国の王に助けを求めれば良いのではないですか?」
わたしも、それを考えなかったわけではない。
というのも、あの国の国王・王妃は、ベニートにべったりの親なのだ。助けを求めても意味がない。しかし、表面上は他国と活発に貿易を行い、国を発展させ続けている良い王なのだ。
「まあ、まず初めにわたくしもそのようなことを考えました。当然ですもの。ですが、聖女と結婚しなければいけない王子の親、即ち国王夫妻は王子のやりたいことをさせ、王子の希望にそぐわないものは排除してしまうのです。そのような方に助けを求める意味はございません。」
もちろん、ここには「何でそんな簡単なことを分からないのですか?」と言う意味もこもっている。
当然、目の前にいる国王夫妻は真っ青になった。王太子は、
「お前、公爵令嬢の分際で父上と母上に生意気だぞ!口を慎め!」とわたしに怒鳴った。
、、、そんな事知らないよ。少し黙ってくださらない?
「王太子殿下、少し黙っていてくださいませ。」
「五月蝿い!」
「ファク・アリクイス・タッチェ」
うるさい王太子殿下には黙っていただこう。わたしは堂々と王家の人たちを見る。
「『虹薔薇の将』とは、ところで何でしょう?」
「其、其方。まさか、守護二精霊を見ることができたのか?!」
守護二精霊、というのは先程わたしが見たアルブとネグルのことで間違ってはいないだろう。
「ええ、意外と友好的な方でしてよ。アルブ様からはわたくしが正当なお母様の娘であると認めてくださいました。先程のメイドからも、わたくしの名前が家系図に載っていたと聞きました。」
わたしは、この王の驚きようから最近では精霊を見れる人が少ないのを悟った。皆精霊を見れるのなら、ここまで驚きはしないはずだ。
けれど、わたしが知りたいことはまだ出てきていない。
「ですから、『虹薔薇の将』とは何ですか?それに、アルブ様とネグル様と王族の繋がりは一体何なのですか?王族として認められたわたくしなら、知ることについての制限はないはずですが。」
と思ったら、ドアが開いて声がした。
「目覚められましたね、ブリセイダ様。」
この城に仕えるメイドの一人なのだろう。濃紺と白の服を着ていた。
「あの、ありがたいのですが結局どうなったのでしょう?」
「はい、家系図をご覧になられましたよね?ブリセイダ様のお名前が登録されておりました。この後、国王陛下及び王妃陛下、王太子殿下がいらっしゃいますから、身なりを整えるように、とのことです。」
どうやら、「王族」という名前の厄介な足枷からは逃げられないようだ。わたしはガックリとうなだれた。
部屋においてあったドレッサーを使って、髪の毛を整える。服は、クローゼットにあった物のうちから適当に選んだ。聖女だった頃は、ドレスなど着たことがなかった。シンプルな服を着ていたし、家でもお茶会に出ることなどなかったからドレスなど数えるくらいしか着たことがない。
ドアが開いて、国王と王妃、それから王太子がやって来た。
「グランメリア連邦国国王陛下、王妃陛下、それから王太子殿下。お初にお目にかかりますノヴォメア王国グラナドス公爵家のブリセイダと申します。以後お見知りおきを。」
「構わん。直答を許すから、早くしろ。」
随分と突慳貪な対応だ。
「はい。わたくしはノヴォメア王国の聖女として働いていましたが、諸事情により国外追放となりました。そこで、わたくしのお母様の出身地であるグランメリアに行けば何かあるのではないかと考えてここへ来ました。」
次は王妃が喋りだした。
「それだけの理由でここに来たのかしら?貴女の国の王に助けを求めれば良いのではないですか?」
わたしも、それを考えなかったわけではない。
というのも、あの国の国王・王妃は、ベニートにべったりの親なのだ。助けを求めても意味がない。しかし、表面上は他国と活発に貿易を行い、国を発展させ続けている良い王なのだ。
「まあ、まず初めにわたくしもそのようなことを考えました。当然ですもの。ですが、聖女と結婚しなければいけない王子の親、即ち国王夫妻は王子のやりたいことをさせ、王子の希望にそぐわないものは排除してしまうのです。そのような方に助けを求める意味はございません。」
もちろん、ここには「何でそんな簡単なことを分からないのですか?」と言う意味もこもっている。
当然、目の前にいる国王夫妻は真っ青になった。王太子は、
「お前、公爵令嬢の分際で父上と母上に生意気だぞ!口を慎め!」とわたしに怒鳴った。
、、、そんな事知らないよ。少し黙ってくださらない?
「王太子殿下、少し黙っていてくださいませ。」
「五月蝿い!」
「ファク・アリクイス・タッチェ」
うるさい王太子殿下には黙っていただこう。わたしは堂々と王家の人たちを見る。
「『虹薔薇の将』とは、ところで何でしょう?」
「其、其方。まさか、守護二精霊を見ることができたのか?!」
守護二精霊、というのは先程わたしが見たアルブとネグルのことで間違ってはいないだろう。
「ええ、意外と友好的な方でしてよ。アルブ様からはわたくしが正当なお母様の娘であると認めてくださいました。先程のメイドからも、わたくしの名前が家系図に載っていたと聞きました。」
わたしは、この王の驚きようから最近では精霊を見れる人が少ないのを悟った。皆精霊を見れるのなら、ここまで驚きはしないはずだ。
けれど、わたしが知りたいことはまだ出てきていない。
「ですから、『虹薔薇の将』とは何ですか?それに、アルブ様とネグル様と王族の繋がりは一体何なのですか?王族として認められたわたくしなら、知ることについての制限はないはずですが。」
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