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この度、お披露目会に行くことになりました。①

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「さて、ここで少し重苦しい話をしよう。先月の星の月に、トライメラー関連の大事件が起きた。その中で多くの貴族が捕らえられ、爵位剥奪など様々な刑を受けたことは知っていると思う。今ここにいない者は、そうなったと考えてもらって結構だ。」
秋の中頃、暑さも和らぎ少し寒くなって来た今日に、月一度の夜会と合わせ私のお披露目が行われる事となった。
それまでの日々は、がいなくなったので楽になると考えていた。
しかし、そうではなかった。
城にもらえることになった私の部屋の準備のために、家具系の商会のフリーデル商会や、美術品系商会のブルーメ=ガルバー商会などいくつもの商会に行き、時には呼んだ。その合間に王の養女としての作法を学ばされて、メイドなどを斡旋してくれる商会を呼んで探し、騎士会から護衛を担ってくれる人を探す。無論、領地の執務もする。
正直、がいた頃とはまた違って大変だった。効力は高いけれど、恐ろしく苦い体力回復ポーションをがぶ飲みした。

今話しているのは、私の叔父にしてこの国の最高権力者の王、ベルンハルトだ。
私を養女にする為の建前を話している。
「その中で、ユング大公代理も捕らえられた。」
会場がざわついた。
「そうだ。そしてその娘で、、それから私の姪で王女でもあるクラウディアを、この国の利益となるであろうと考えた私は彼女を養女として引き取り、正式に王族として迎え入れることとした。そして、私が後見人となる。クラウディアは実の父親から暴力を振るわれていた。聞くに堪えない方法でな。しかし、その中でもめげずにいた。この忍耐の心は、実に素晴らしい。」
前から思っていたが、この王の話はどれも素晴らしく聞こえてくるのである。どこの人間のこと?と聞きたいほど口達者だ。普段はなのに。
「クラウディア、上がれ。」
こう言われたら、舞台のすぐ近くのわたしの席から階段を上がり舞台へ行くように言われている。
「皆様。この度王の養女になることが決定いたしました、ユング大公改めシュヴィアース大公のクラウディア・ヴィルヘミーナ・パトリアッツィ・グローセッソ・シュヴィアース・ケーニッヒリ・トータ・ニヒテ・マルレーンです。国の利益となるよう、上に立つものとしてふさわしい振る舞いを身に着け、公務に臨んでいきます。」
このお披露目会で、一番大変だったのは正式名称が長すぎる自分の名前を覚えることだった。通称でもクラウディア・パトリアッツィ・グローセッソ・シュヴィアースだから、長い。とにかく長い。

「だそうだ。ではこれより、王族としての登録を行う。」
すると、ベルンハルトは大きな本を開いた。何をするのかと見ていたら、私の名前が書いてあるページを開いた。
そして、そのページに白の四角の何かを押し当てた。
「、、、、!」


キリトリキリトリ✁ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
クラウディアの名前は馬鹿長かったです。本人も驚き。
正式名称で私が考えていたのは、シュヴィアース大公家の当主、王族の娘で王の姪のマルレーン、クラウディア・ヴィルへミーナです。
名前のマルレーンは、王から見て姪の立場にある人の襲名だと思ってください。
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