16 / 16
二章 風の便りは突然に
三食目 風の便りは突然に② <レッシュ→アンシュタット>
しおりを挟む
馬車に乗ること、六時間。ジアの故郷のあるクラルヴァイン地方の隣の地方のアイツフートへやって来た。デュッセルーエまではあと二時間ほどのようだ。
レッシュは家がたくさんあって活気があったが、レッシュ郊外→イルムブルク地方→アイツフート地方になるにつれて緑が多くなり、長閑な田園風景と変わっていった。
わたしは、馬車を見回す。魔族領だから、悪魔だけが住んでいる訳でもなくジアのような魔鳥、デルピュネー(下半身がドラゴンで上半身が女性)などなど色々な種族がいる。向かい側に座っているのはケンタウロスだし。
本当は寝たいところだが、寝るとお財布を持っていこうとする人がいるのでジアとマレーネとわたしで交代で寝ている。
それから二時間。
アイツフート地方を抜けてすぐ、デュッセルーエの街についた。
ここの辺りでは大きい街らしい。
近くにエールグラーヴィ鉱山というヴェッテルン一の魔石鉱山があるため、活気がありそうだ。
わたしたちは馬車を降りる。
「マレーネ、家を持ってきたのはいいけれど、どこに置くの?」
「私もそれは思いました。森の中に置くのはどうでしょう?」
森の中は、魔族でも人間でも夜行くのは危険だとされるほどらしいから、逆転の発想で森の中に置くのもアリかもしれない。マレーネの作るスキルは、一日で消えてしまう訳だし。
「保護魔法が必要やね。」
マレーネの「効果模写」は、誰かのスキルを移してくる技だから誰かそのスキルを持っていないと意味がない。
結局その日は宿に泊まることにした。料理は自分たちで作るけど。
「ジア、明日はどうやって移動するの?」
「ふふ、、、それは明日のお楽しみやで。」
「気になりますよ。」
家は、ジアが使えるサイズ変更魔法でドールハウスくらいの大きさになっている。シル○ニアにちょうど良さそうだ。
わたし達は夕食を食べて、眠りについた。
次の日。
またわたし達はジアに叩き起こされた。朝食は街の市場で買った。
朝食を食べ終えたあと、いきなりジアが消えた。
「え?え?」
周りにいるのは、大きい赤の鳥、、、って、ジアじゃん。
「ジアさん、何をしているのですか?」
「見ての通りや。これ、うちのホントの大きさやで。」
なんと、普段ジアはわたしの肩に乗れるレベルまでサイズ変更魔法で小さくしているらしい。
そして、現在の三メートルほどの大きさが本来の大きさになるらしい。
「けど、どうやって移動するの?」
「決まってるやろ。ミライもマレーネも、背中に乗りいや。」
「嘘ぉ!」
「いやホントや。」
「、、、、、、はい。」
そして、わたし達はジアの背中に乗る。ほんのり温かい。
やはり、馬車で移動するのとは違って空が遠くまでよく見える。綺麗だ。
確かに落ちそうで怖い。ジェットコースターのようなものに思える。
一度、落ちそうになってから景色が変わった。
それまで畑ばかりだったのが、いきなり高山が立ち並ぶ山岳地帯となったのだ。
そこからは、山の中を飛びまくった。
ジアが何度も一回転し、高くまで飛んだかと思ったらすぐに下へ降りる。
本当に、ジェットコースターか何かと思わなければやっていられない。
それが三十分くらい続いて、やっと平地に戻った。もう嫌だ。
わたしもマレーネも吐きそうだ。マレーネはぐったりしているし。
そして、十五分くらいしてジアは地上に降りた。そこは森のような場所だった。
ジアは目の前にある洞窟を通っていく。すると、ジアはいきなり小さくなった。
わたし達もジアに続いたが、わたし達は小さくならなかった。
「ジア、どこに行くの?」
「いや、もうここから遠くまでは行かん。ここがうちの出身、アンシュタットや。」
「この洞窟が、ですか?」
「そや。誰かおらんかな、、、」
「ジアやん!その女の子たちは誰なん?」
「エルヴィ姉!久しぶりやん。こっちがミライで、こっちはマレーネ。うちの友人や。」
「そ。ミライ、マレーネ、よろしくな。うちはエルヴィータ。エルヴィって呼んでな。」
いきなり登場し、エルヴィとわたし達に呼ばせようとしているのは、ジアと同じくらいの鳥だ。赤色である。
「ジアの部屋、まだ取ってあるから。覚えとるやろ?ミライちゃんとマレーネちゃんは、ジアの隣の空き室を使いな。」
わたし達は、エルヴィータに続いていく。途中、数羽の魔鳥に出会ったが、全員物珍しそうにわたし達を見た。
、、、そんなに注目しないでぇ!
レッシュは家がたくさんあって活気があったが、レッシュ郊外→イルムブルク地方→アイツフート地方になるにつれて緑が多くなり、長閑な田園風景と変わっていった。
わたしは、馬車を見回す。魔族領だから、悪魔だけが住んでいる訳でもなくジアのような魔鳥、デルピュネー(下半身がドラゴンで上半身が女性)などなど色々な種族がいる。向かい側に座っているのはケンタウロスだし。
本当は寝たいところだが、寝るとお財布を持っていこうとする人がいるのでジアとマレーネとわたしで交代で寝ている。
それから二時間。
アイツフート地方を抜けてすぐ、デュッセルーエの街についた。
ここの辺りでは大きい街らしい。
近くにエールグラーヴィ鉱山というヴェッテルン一の魔石鉱山があるため、活気がありそうだ。
わたしたちは馬車を降りる。
「マレーネ、家を持ってきたのはいいけれど、どこに置くの?」
「私もそれは思いました。森の中に置くのはどうでしょう?」
森の中は、魔族でも人間でも夜行くのは危険だとされるほどらしいから、逆転の発想で森の中に置くのもアリかもしれない。マレーネの作るスキルは、一日で消えてしまう訳だし。
「保護魔法が必要やね。」
マレーネの「効果模写」は、誰かのスキルを移してくる技だから誰かそのスキルを持っていないと意味がない。
結局その日は宿に泊まることにした。料理は自分たちで作るけど。
「ジア、明日はどうやって移動するの?」
「ふふ、、、それは明日のお楽しみやで。」
「気になりますよ。」
家は、ジアが使えるサイズ変更魔法でドールハウスくらいの大きさになっている。シル○ニアにちょうど良さそうだ。
わたし達は夕食を食べて、眠りについた。
次の日。
またわたし達はジアに叩き起こされた。朝食は街の市場で買った。
朝食を食べ終えたあと、いきなりジアが消えた。
「え?え?」
周りにいるのは、大きい赤の鳥、、、って、ジアじゃん。
「ジアさん、何をしているのですか?」
「見ての通りや。これ、うちのホントの大きさやで。」
なんと、普段ジアはわたしの肩に乗れるレベルまでサイズ変更魔法で小さくしているらしい。
そして、現在の三メートルほどの大きさが本来の大きさになるらしい。
「けど、どうやって移動するの?」
「決まってるやろ。ミライもマレーネも、背中に乗りいや。」
「嘘ぉ!」
「いやホントや。」
「、、、、、、はい。」
そして、わたし達はジアの背中に乗る。ほんのり温かい。
やはり、馬車で移動するのとは違って空が遠くまでよく見える。綺麗だ。
確かに落ちそうで怖い。ジェットコースターのようなものに思える。
一度、落ちそうになってから景色が変わった。
それまで畑ばかりだったのが、いきなり高山が立ち並ぶ山岳地帯となったのだ。
そこからは、山の中を飛びまくった。
ジアが何度も一回転し、高くまで飛んだかと思ったらすぐに下へ降りる。
本当に、ジェットコースターか何かと思わなければやっていられない。
それが三十分くらい続いて、やっと平地に戻った。もう嫌だ。
わたしもマレーネも吐きそうだ。マレーネはぐったりしているし。
そして、十五分くらいしてジアは地上に降りた。そこは森のような場所だった。
ジアは目の前にある洞窟を通っていく。すると、ジアはいきなり小さくなった。
わたし達もジアに続いたが、わたし達は小さくならなかった。
「ジア、どこに行くの?」
「いや、もうここから遠くまでは行かん。ここがうちの出身、アンシュタットや。」
「この洞窟が、ですか?」
「そや。誰かおらんかな、、、」
「ジアやん!その女の子たちは誰なん?」
「エルヴィ姉!久しぶりやん。こっちがミライで、こっちはマレーネ。うちの友人や。」
「そ。ミライ、マレーネ、よろしくな。うちはエルヴィータ。エルヴィって呼んでな。」
いきなり登場し、エルヴィとわたし達に呼ばせようとしているのは、ジアと同じくらいの鳥だ。赤色である。
「ジアの部屋、まだ取ってあるから。覚えとるやろ?ミライちゃんとマレーネちゃんは、ジアの隣の空き室を使いな。」
わたし達は、エルヴィータに続いていく。途中、数羽の魔鳥に出会ったが、全員物珍しそうにわたし達を見た。
、、、そんなに注目しないでぇ!
11
お気に入りに追加
111
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
スキルが農業と豊穣だったので追放されました~辺境伯令嬢はおひとり様を満喫しています~
白雪の雫
ファンタジー
「アールマティ、当主の名において穀潰しのお前を追放する!」
マッスル王国のストロング辺境伯家は【軍神】【武神】【戦神】【剣聖】【剣豪】といった戦闘に関するスキルを神より授かるからなのか、代々優れた軍人・武人を輩出してきた家柄だ。
そんな家に産まれたからなのか、ストロング家の者は【力こそ正義】と言わんばかりに見事なまでに脳筋思考の持ち主だった。
だが、この世には例外というものがある。
ストロング家の次女であるアールマティだ。
実はアールマティ、日本人として生きていた前世の記憶を持っているのだが、その事を話せば病院に送られてしまうという恐怖があるからなのか誰にも打ち明けていない。
そんなアールマティが授かったスキルは【農業】と【豊穣】
戦いに役に立たないスキルという事で、アールマティは父からストロング家追放を宣告されたのだ。
「仰せのままに」
父の言葉に頭を下げた後、屋敷を出て行こうとしているアールマティを母と兄弟姉妹、そして家令と使用人達までもが嘲笑いながら罵っている。
「食糧と食料って人間の生命活動に置いて一番大事なことなのに・・・」
脳筋に何を言っても無駄だと子供の頃から悟っていたアールマティは他国へと亡命する。
アールマティが森の奥でおひとり様を満喫している頃
ストロング領は大飢饉となっていた。
農業系のゲームをやっていた時に思い付いた話です。
主人公のスキルはゲームがベースになっているので、作物が実るのに時間を要しないし、追放された後は現代的な暮らしをしているという実にご都合主義です。
短い話という理由で色々深く考えた話ではないからツッコミどころ満載です。
異世界に召喚されたんですけど、スキルが「資源ごみ」だったので隠れて生きたいです
新田 安音(あらた あのん)
ファンタジー
平凡なおひとりさまアラフォー会社員だった鈴木マリは異世界に召喚された。あこがれの剣と魔法の世界……! だというのに、マリに与えられたスキルはなんと「資源ごみ」。
おひとりさま上等だったので、できれば一人でひっそり暮らしたいんですが、なんか、やたらサバイバルが難しいこの世界……。目立たず、ひっそり、でも死なないで生きていきたい雑草系ヒロインの将来は……?
死んだと思ったら異世界に
トワイライト
ファンタジー
18歳の時、世界初のVRMMOゲーム『ユグドラシルオンライン』を始めた事がきっかけで二つの世界を救った主人公、五十嵐祐也は一緒にゲームをプレイした仲間達と幸せな日々を過ごし…そして死んだ。
祐也は家族や親戚に看取られ、走馬灯の様に流れる人生を振り替える。
だが、死んだはず祐也は草原で目を覚ました。
そして自分の姿を確認するとソコにはユグドラシルオンラインでの装備をつけている自分の姿があった。
その後、なんと体は若返り、ゲーム時代のステータス、装備、アイテム等を引き継いだ状態で異世界に来たことが判明する。
20年間プレイし続けたゲームのステータスや道具などを持った状態で異世界に来てしまった祐也は異世界で何をするのか。
「取り敢えず、この世界を楽しもうか」
この作品は自分が以前に書いたユグドラシルオンラインの続編です。
幼少期に溜め込んだ魔力で、一生のんびり暮らしたいと思います。~こう見えて、迷宮育ちの村人です~
月並 瑠花
ファンタジー
※ファンタジー大賞に微力ながら参加させていただいております。応援のほど、よろしくお願いします。
「出て行けっ! この家にお前の居場所はない!」――父にそう告げられ、家を追い出された澪は、一人途方に暮れていた。
そんな時、幻聴が頭の中に聞こえてくる。
『秋篠澪。お前は人生をリセットしたいか?』。澪は迷いを一切見せることなく、答えてしまった――「やり直したい」と。
その瞬間、トラックに引かれた澪は異世界へと飛ばされることになった。
スキル『倉庫(アイテムボックス)』を与えられた澪は、一人でのんびり二度目の人生を過ごすことにした。だが転生直後、レイは騎士によって迷宮へ落とされる。
※2018.10.31 hotランキング一位をいただきました。(11/1と11/2、続けて一位でした。ありがとうございます。)
※2018.11.12 ブクマ3800達成。ありがとうございます。
僕の従魔は恐ろしく強いようです。
緋沙下
ファンタジー
僕は生まれつき体が弱かった。物心ついた頃から僕の世界は病院の中の一室だった。
僕は治ることなく亡くなってしまった。
心配だったのは、いつも明るく無理をして笑うお母さん達の事だった。
そんな僕に、弟と妹を授ける代わりに別の世界に行って見ないか?という提案がもたらされた。
そこで勇者になるわけでもなく、強いステータスも持たない僕が出会った従魔の女の子
処女作なのでご迷惑かける場面が多数存在するかもしれません。気になる点はご報告いただければ幸いです。
---------------------------------------------------------------------------------------
プロローグと小説の内容を一部変更いたしました。
成長促進と願望チートで、異世界転生スローライフ?
後藤蓮
ファンタジー
20年生きてきて不幸なことしかなかった青年は、無職となったその日に、女子高生二人を助けた代償として、トラックに轢かれて死んでしまう。
目が覚めたと思ったら、そこは知らない場所。そこでいきなり神様とか名乗る爺さんと出会い、流れで俺は異世界転生することになった。
日本で20年生きた人生は運が悪い人生だった。来世は運が良くて幸せな人生になるといいな..........。
そんな思いを胸に、神様からもらった成長促進と願望というチートスキルを持って青年は異世界転生する。
さて、新しい人生はどんな人生になるのかな?
※ 第11回ファンタジー小説大賞参加してます 。投票よろしくお願いします!
◇◇◇◇◇◇◇◇
お気に入り、感想貰えると作者がとても喜びますので、是非お願いします。
執筆スピードは、ゆるーくまったりとやっていきます。
◇◇◇◇◇◇◇◇
9/3 0時 HOTランキング一位頂きました!ありがとうございます!
9/4 7時 24hランキング人気・ファンタジー部門、一位頂きました!ありがとうございます!
追放された聖女の悠々自適な側室ライフ
白雪の雫
ファンタジー
「聖女ともあろう者が、嫉妬に狂って我が愛しのジュリエッタを虐めるとは!貴様の所業は畜生以外の何者でもない!お前との婚約を破棄した上で国外追放とする!!」
平民でありながらゴーストやレイスだけではなくリッチを一瞬で倒したり、どんな重傷も完治してしまうマルガレーテは、幼い頃に両親と引き離され聖女として教会に引き取られていた。
そんな彼女の魔力に目を付けた女教皇と国王夫妻はマルガレーテを国に縛り付ける為、王太子であるレオナルドの婚約者に据えて、「お妃教育をこなせ」「愚民どもより我等の病を治療しろ」「瘴気を祓え」「不死王を倒せ」という風にマルガレーテをこき使っていた。
そんなある日、レオナルドは居並ぶ貴族達の前で公爵令嬢のジュリエッタ(バスト100cm以上の爆乳・KかLカップ)を妃に迎え、マルガレーテに国外追放という死刑に等しい宣言をしてしまう。
「王太子殿下の仰せに従います」
(やっと・・・アホ共から解放される。私がやっていた事が若作りのヒステリー婆・・・ではなく女教皇と何の力もない修道女共に出来る訳ないのにね~。まぁ、この国がどうなってしまっても私には関係ないからどうでもいいや)
表面は淑女の仮面を被ってレオナルドの宣言を受け入れたマルガレーテは、さっさと国を出て行く。
今までの鬱憤を晴らすかのように、着の身着のままの旅をしているマルガレーテは、故郷である幻惑の樹海へと戻っている途中で【宮女狩り】というものに遭遇してしまい、大国の後宮へと入れられてしまった。
マルガレーテが悠々自適な側室ライフを楽しんでいる頃
聖女がいなくなった王国と教会は滅亡への道を辿っていた。
収納持ちのコレクターは、仲間と幸せに暮らしたい。~スキルがなくて追放された自称「か弱い女の子」の元辺境伯令嬢。実は無自覚チートで世界最強⁉~
SHEILA
ファンタジー
生まれた時から、両親に嫌われていた。
物心ついた時には、毎日両親から暴力を受けていた。
4年後に生まれた妹は、生まれた時から、両親に可愛がられた。
そして、物心ついた妹からも、虐めや暴力を受けるようになった。
現代日本では考えられないような環境で育った私は、ある日妹に殺され、<選択の間>に呼ばれた。
異世界の創造神に、地球の輪廻の輪に戻るか異世界に転生するかを選べると言われ、迷わず転生することを選んだ。
けれど、転生先でも両親に愛されることはなくて……
お読みいただきありがとうございます。
のんびり不定期更新です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる