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一章 それから充実した環境を手に入れるまで

六食目 市場にて

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次の朝、市場が開くらしい。
丁度良い。わたしは材料を買うことを決意した。
、、、でも、何を作ろう?簡単なのからちょっとずつだから、パスタと、、、ミネストローネ辺りかな?
朝食が遅くなっても良い!わたしは美味しいものが食べたいのだ!
朝からそう叫んだせいで、眠っていたジアに「うるさいねん!」と怒鳴られた。
宿の女の子にもう一晩泊まることを伝えたわたしは、買い物リストを見る。
パスタなどの麺はほしい。野菜も。
この街の人は、基本的に親切だ。街に入った時のおばさんが例だ。

マリネリーエの街は、六角形状になっている。
街を取り囲むように壁があり、中心には大きな広場がある。市場は、ここで開催されるそうだ。
勝手な思い込みかもしれないが、わたしはここは中世ヨーロッパに近いと考えている。

街の中心は、真ん中に大きな銅像があってその周りを露店が囲んでいるというシンプルな作りである。
広場の西側には、大きな建物があって、教会のように見える。
昨夜、食堂から帰る時に見えた。ジアに教会風の建物について聞くと、そこは礼拝堂だと教えられた。
この世界では、全ての創造者である太陽神のクレアディスとその眷属であり、クレアディスから様々な権限を与えられ動物の姿をした聖十二使徒を崇拝する。
そして、日に一度太陽神の力がガクンと減る夕暮れ時に礼拝堂で祈ってその力が衰えないことを祈願するそうだ。

さて、鐘が鳴った。市場の開始を告げるこの金は、「音伝達」のスキルを持つ人の仕事らしい。
鐘が鳴った瞬間、人が駆け込み始める。
急がなければ売り切れてしまうらしい。わたしも少ない体力で頑張って走った。
究極、「グラノ!」と叫んでいるところと「ヴェルドゥーラ!」と叫んでいる人のところへダッシュすればいいらしい。それぞれ、穀物類を売っている店、野菜を売っている店だそうだ。

ジアに言われた通り、わたしは穀物類のお店へ向かう。
「へい、らっしゃい!なんでもあるよ!さあさあ、どうぞ見てってくれ!」
叫んでいる二十代くらいの男性に、パスタに似たものがないか聞いてみる。
「お兄さん、細くて長くて穀類を使った食べ物ないかしら?」
「ん?ああ、噂の子か。あるぞ。タリアテーリのことだろ?これだ。随分物好きだな。」
お兄さん、、、?はわたしの方にパスタのような麺を渡してきた。
これだ!
「そ。これこれ。四人分くらいちょうだい。」
「四人分?理由は聞かないでおこう。そうだな。全く売れないし、他所から来たんだろ。特別に銅貨十枚で売ってやる。一人分おまけしておくぞ。」
銀貨一枚は、銅貨千枚。暫くは暮らせそうだ。
「ありがとう。十枚ね。」
両替商は朝早くからやっているので、一枚だけ銀貨を換金しておいた。
取り敢えず、パスタもどきは自分の紙で包んでもらうことにした。
「ありがとな。」
「いえ、こちらこそ。」
お礼を言ったら、何故か驚かれた。
「初めて礼なんて言われたよ。心が洗われてく気分だな。そんじゃな。」

さて、次は野菜である。
「あら、いらっしゃい。噂の子じゃない。どうしたの?」
どうやら、わたしは噂されまくって今ではこの街の誰もが知っているような人になったらしい。
その証拠に、さっきから何度も声をかけられている。
話がそれた。
この店では参考に、ローテーブルの上に野菜が置いてあるのだ。
「じゃあ、これとこれ、後右端の物とこれ、最後にこれをくださいな。」
黄色っぽいトマト、紫の玉ねぎっぽいもの、さつまいものような形をしているけれど紫の皮を被っていて、黄色の実がいくつもなっているとうもろこしのようなもの、カブっぽいけど色は人参のようなもの、それからキャベツのような物を買っていくことにする。
「あら~。たくさん買って行ってくれるのは嬉しいわ。銅貨十三枚ね。そうだ。新しく入荷したティエリヴェーラも持っていくかしら?タダ無料でいいわ。辛いから気をつけなよ。」
唐辛子のようなものだろうか。ペペロンチーノができそうだ。
「ありがとうございます」
お金を払ったわたしは、肉屋さんや調味料を売っている店、パンの店などを回って宿屋に戻った。

よーし、料理作戦開始だ!
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