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一章 マルジュシエールの姫君
ⅶ お茶会は屋上で行いませんこと?
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マリオン先生が帰った後、わたしはなるべくさっさと昼食をとり、フィルクガローレのところへ向かう事になった。
アメリータ「ファスモーデュ様、本日持っていくお菓子はこちらでよろしいでしょうか?」
どうやら、ここの料理人たちは見たことも(おそらく)無い料理ではあったがちゃんと作ってくれていた。クリームやソースもいい感じだ。
、、、感謝、感謝。
連れて行く側近は、リリアーナとアメリータ、シュゼットとルドヴィーカ、エレオノールとフェリーチャだ。流石に全員は連れていけなかったけれど、少し罪悪感を感じた。
、、、ごめん!次は連れて行ってあげるから!お願い、許してください!
今すぐ食べてしまいたいのをギリギリで抑え、わたしはヴェニュス宮へ向かった。
ああ、いい匂い。
こっちでは、主催者が基本用意するが、客も一つはお菓子を持ってくるのがルールとなっている。
ヴェニュス宮の前に、一人フィルクガローレの側近と思われる人が立っていた。
その人は困ったような顔で、
「ファスモーデュ様、お越しいただき誠に光栄です。急で大変申し訳ございませんが、フィルクガローレ様の私室では無く屋上庭園に向かってくださいませ。急遽、そちらで行おうという話になったものでして。」
と言った。
「分かったわ。」
屋上でのティーパーティ、わくわく。
意外と、六階まで上がるのは疲れるものだ。
少し疲れながらだったけど、なんとか屋上に着いた。
屋上は、やはり、と言っていいだろう。植物が生い茂っていた。
鉢植えがたくさん置かれ、小さなガラス張りの部屋があった。そこがお茶会の会場らしい。
「あら、いらっしゃい。こちらよ。」
「お招きいただきありがとう存じます。」
「堅苦しい挨拶は後にしてちょうだい。無くてもいいくらいなのだけれど。」
そうして、手招きされた。
わたしはテーブルに座る。
「お姉様、こちらが持参したお菓子です。ブルティートをたくさん使っています。」
「まあ、、、こんなお菓子見たことがないわ。ブルティートと言ったかしら?今の季節らしくてとっても美しい、、、これはチーズかしら?食べるのが待ちきれないくらいだわ。どこで思いついたのかしら?ところで名前は?どうやって作るの?」
矢継ぎ早に質問され、少し戸惑った。
特に、最初の。
一応側近の間ではお母さんのヴィアリットが発明して、それをわたしのために書物で残しておいた、ということになっている。
、、、会ったことのないこっちでのお母さんのヴィアリット様!勝手に貴女が発明した事になってますがなんかすいません!ごめんなさい!
まあ、これでいい、、、か?
「こ、これは、わたしのお母様が考えられたもので、、、、、、、、、クレープと言います。作り方は、お母様が秘密に教えてくださっただけなので教えられません。」
「ふふっ、、、残念ね。クレープ、というのですか。わたくしも早く食べたいので食べて見せてくださいませ。」
「分かりました、お姉様。まず、こちらの皿に生地を入れ、チーズを真ん中に載せます。少し広げてから中にブルティートソースを入れて包んで、実の方はお好きに飾ってくださいませ。」
そして、食べて見せる。
、、、ちょっと味は違うけど、全然美味しいじゃん。
前世ブルーベリークリームチーズクレープを食べたことは一回だけある。
やはり、同じブルーベリーを使っているわけでは無いからだけれど、少しなんだか違う。
まあ、美味しいだろうし良い。
フィルクガローレは、わたしが食べるのを待っていたように食べ始めた。
優雅できれいだけれどだいぶ動きは早かった。
やっぱり、このくらいの年代の人にはウケるのだろうか。
さっと手に取り、少し眺めてから一口。
「まあ、、、、、、、とても美味しいわ。このチーズの滑らかさもとっても良いし、、、わたくし、気に入りましたわ。ところで、ブルティートではない果実でもこれはできますよね?」
シナモン焼きリンゴアイスクレープが食べたい!と心のなかでわたしも叫んだ。
「ええ、おそらくできると思います。」
すると、エレオノーレが更に提案してくれた。
「側近の身で恐れ入りますが、ルミエーメの砂糖漬けとクリームなども使えると思います。四季をまるごと味わえるお菓子ですから、楽しんで食べていただけますよ。」
「そう、、、また今度お茶会をいたしましょう。その時にはまた違う果実の、、、クレープを持ってきてくださいな。そういえば、わたくしのお菓子も食べてみて頂戴。こちらもブルティートのケーキとなってしまいましたが。」
そうして、一つ食べた。
このケーキは、上下がビスケットで、間は生クリームだった。そして、クリームもブルティートの部分と普通の部分に綺麗に分かれていて、上のビスケットにもブルティートが載っていた。勿論、ソースもかかっている。
わたしも食べてみる。
、、、美味しいけど、甘すぎやしないかな?
クリームが多いからだろうか。
「ファスモーデュ、美味しいかしら?」
「ええ、美味しいですが少し味が濃い気がします。」
言っちゃえ!
フィルクガローレ「まあ、そうよね。わたしもそう思っているけれど、やはり甘いケーキが食べたくなるの。だから、クレープが美味しく感じたのかしら?程よい甘さでしたもの。」
なんと、フィルクガローレも甘すぎると思っているらしい。
、、、意外だな。
「他にもケーキがあるわ。たくさん食べてどうぞ。」
フィルクガローレの手の先には、いくつかのお菓子があった。
「ボムジュントのパイに、ルミエーメのグラス。他にもカップケーキなどがあるわ。後はシトロンクレームガトー。いくつか食べていって頂戴。」
、、、ありがたくいただきます。甘いものは大好きです。甘過ぎは嫌ですが。
午前中にフィルクガローレがくれたお茶を飲みながら、ケーキを食べる。そして、話す。
楽しい時間となった。
「どうします?もう空が赤く染まり始めていますが、、、」
「では、そろそろお暇させていただきます。」
「そう、、、では、またお茶会をいたしましょう。お約束ですからね。」
お約束、とは随分可愛いことを言ったものだ。
「ええ、分かりました。」
「では、また今度ね。」
そして、わたしはサンチュルーヌ宮へ戻った。
アメリータ「ファスモーデュ様、本日持っていくお菓子はこちらでよろしいでしょうか?」
どうやら、ここの料理人たちは見たことも(おそらく)無い料理ではあったがちゃんと作ってくれていた。クリームやソースもいい感じだ。
、、、感謝、感謝。
連れて行く側近は、リリアーナとアメリータ、シュゼットとルドヴィーカ、エレオノールとフェリーチャだ。流石に全員は連れていけなかったけれど、少し罪悪感を感じた。
、、、ごめん!次は連れて行ってあげるから!お願い、許してください!
今すぐ食べてしまいたいのをギリギリで抑え、わたしはヴェニュス宮へ向かった。
ああ、いい匂い。
こっちでは、主催者が基本用意するが、客も一つはお菓子を持ってくるのがルールとなっている。
ヴェニュス宮の前に、一人フィルクガローレの側近と思われる人が立っていた。
その人は困ったような顔で、
「ファスモーデュ様、お越しいただき誠に光栄です。急で大変申し訳ございませんが、フィルクガローレ様の私室では無く屋上庭園に向かってくださいませ。急遽、そちらで行おうという話になったものでして。」
と言った。
「分かったわ。」
屋上でのティーパーティ、わくわく。
意外と、六階まで上がるのは疲れるものだ。
少し疲れながらだったけど、なんとか屋上に着いた。
屋上は、やはり、と言っていいだろう。植物が生い茂っていた。
鉢植えがたくさん置かれ、小さなガラス張りの部屋があった。そこがお茶会の会場らしい。
「あら、いらっしゃい。こちらよ。」
「お招きいただきありがとう存じます。」
「堅苦しい挨拶は後にしてちょうだい。無くてもいいくらいなのだけれど。」
そうして、手招きされた。
わたしはテーブルに座る。
「お姉様、こちらが持参したお菓子です。ブルティートをたくさん使っています。」
「まあ、、、こんなお菓子見たことがないわ。ブルティートと言ったかしら?今の季節らしくてとっても美しい、、、これはチーズかしら?食べるのが待ちきれないくらいだわ。どこで思いついたのかしら?ところで名前は?どうやって作るの?」
矢継ぎ早に質問され、少し戸惑った。
特に、最初の。
一応側近の間ではお母さんのヴィアリットが発明して、それをわたしのために書物で残しておいた、ということになっている。
、、、会ったことのないこっちでのお母さんのヴィアリット様!勝手に貴女が発明した事になってますがなんかすいません!ごめんなさい!
まあ、これでいい、、、か?
「こ、これは、わたしのお母様が考えられたもので、、、、、、、、、クレープと言います。作り方は、お母様が秘密に教えてくださっただけなので教えられません。」
「ふふっ、、、残念ね。クレープ、というのですか。わたくしも早く食べたいので食べて見せてくださいませ。」
「分かりました、お姉様。まず、こちらの皿に生地を入れ、チーズを真ん中に載せます。少し広げてから中にブルティートソースを入れて包んで、実の方はお好きに飾ってくださいませ。」
そして、食べて見せる。
、、、ちょっと味は違うけど、全然美味しいじゃん。
前世ブルーベリークリームチーズクレープを食べたことは一回だけある。
やはり、同じブルーベリーを使っているわけでは無いからだけれど、少しなんだか違う。
まあ、美味しいだろうし良い。
フィルクガローレは、わたしが食べるのを待っていたように食べ始めた。
優雅できれいだけれどだいぶ動きは早かった。
やっぱり、このくらいの年代の人にはウケるのだろうか。
さっと手に取り、少し眺めてから一口。
「まあ、、、、、、、とても美味しいわ。このチーズの滑らかさもとっても良いし、、、わたくし、気に入りましたわ。ところで、ブルティートではない果実でもこれはできますよね?」
シナモン焼きリンゴアイスクレープが食べたい!と心のなかでわたしも叫んだ。
「ええ、おそらくできると思います。」
すると、エレオノーレが更に提案してくれた。
「側近の身で恐れ入りますが、ルミエーメの砂糖漬けとクリームなども使えると思います。四季をまるごと味わえるお菓子ですから、楽しんで食べていただけますよ。」
「そう、、、また今度お茶会をいたしましょう。その時にはまた違う果実の、、、クレープを持ってきてくださいな。そういえば、わたくしのお菓子も食べてみて頂戴。こちらもブルティートのケーキとなってしまいましたが。」
そうして、一つ食べた。
このケーキは、上下がビスケットで、間は生クリームだった。そして、クリームもブルティートの部分と普通の部分に綺麗に分かれていて、上のビスケットにもブルティートが載っていた。勿論、ソースもかかっている。
わたしも食べてみる。
、、、美味しいけど、甘すぎやしないかな?
クリームが多いからだろうか。
「ファスモーデュ、美味しいかしら?」
「ええ、美味しいですが少し味が濃い気がします。」
言っちゃえ!
フィルクガローレ「まあ、そうよね。わたしもそう思っているけれど、やはり甘いケーキが食べたくなるの。だから、クレープが美味しく感じたのかしら?程よい甘さでしたもの。」
なんと、フィルクガローレも甘すぎると思っているらしい。
、、、意外だな。
「他にもケーキがあるわ。たくさん食べてどうぞ。」
フィルクガローレの手の先には、いくつかのお菓子があった。
「ボムジュントのパイに、ルミエーメのグラス。他にもカップケーキなどがあるわ。後はシトロンクレームガトー。いくつか食べていって頂戴。」
、、、ありがたくいただきます。甘いものは大好きです。甘過ぎは嫌ですが。
午前中にフィルクガローレがくれたお茶を飲みながら、ケーキを食べる。そして、話す。
楽しい時間となった。
「どうします?もう空が赤く染まり始めていますが、、、」
「では、そろそろお暇させていただきます。」
「そう、、、では、またお茶会をいたしましょう。お約束ですからね。」
お約束、とは随分可愛いことを言ったものだ。
「ええ、分かりました。」
「では、また今度ね。」
そして、わたしはサンチュルーヌ宮へ戻った。
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