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一章 マルジュシエールの姫君
ⅴ クレープを作ろう
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リリアーナから報告を受けたらしく、コンチェッタがやってきた。
紫とピンクの間くらいの髪の色をしていて、目は青。なんともファンタジーな外見だ。
「ファスモーデュ様、お茶会をなされるのですよね?では、持参する菓子類はどうしましょう?」
ここのお菓子は、基本甘い。さっきの朝食で実感したし、記憶でも甘いお菓子ばかりだった。
となると、甘い系のお菓子がやはり良いのではないだろうか。
フィルクガローレは、現在7歳のわたしの5つ上の12歳。それくらいの年代の女子で好きなスイーツと言えば、あれしか無い!
「コンチェッタ、小麦、、、じゃなくてヴィオラーン粉に砂糖と牛乳と卵を混ぜて、焼いた薄い生地に果物を乗せて食べるような菓子は無いかしら?」
ヴィオラーンというのは、こっちで言う小麦。とうもろこしっぽいマイスヌールと並んでテルマジェール二大穀物の一つだ。確か、「ヴァルキューレ・プリンセザ」のデータブックで読んだ。
あったら楽なんだけど、と思ったが、思い虚しく
「、、、そのような菓子は見たことがございません。作り方を知っていれば、紙に書き写してください。エレオノールにお願いすると良いでしょう。字が綺麗ですから。」
なんと、無かったらしい。
残念。ショック極まりない。
、、なら、いっそ作っちゃえば良いんじゃない?
料理でフィルクガローレを仲間にしよう作戦が始動した。
コンチェッタに呼ばれたのだろうか、エレオノールがやってきた。
深緑の髪に、茶色っぽい目。可愛い、というよりは綺麗な感じがする。
「お呼びと聞きましたので参りました。どうなさったのですか?」
「わたしが今から言う菓子の作り方について書き留めてほしいのです。」
「新しい菓子類か何かですか?」
「ええ、そうです。」
「分かりました。」
小学校の頃、わたしは調理クラブに友達に「一緒に入ろ!」と言われて入った時に、クレープを作ったことがあって、それから何度か家でも作ったことがあった。
なので、今でも覚えている。
「最初に、混ぜるための皿に、ヴィオラーン粉一カップと砂糖スプーン一つ分を入れて混ぜる。次に、カップ二杯分の牛乳を入れて、最後に卵を一つ入れて、すべてを合わせて混ぜる。」
するするとエレオノールは紙に書いていく。
いまいちこっちの字は良く分からないけれど。
というのも読んでいくと自動で日本語に変換されていってしまうので、こっちの字を読んでいく時間がないのだ。それに、文字も全く書けないけれどひらがな・カタカナを書いていくと、全てこちらの文字に自動変換されていく。
俗に言う「転生特典」だろうか。
「書けました。」
「では、次です。温めた焼き用薄鍋に油を入れて焼きやすくして、先程混ぜた物を大スプーン二つ分ほど入れて焼きます。円形になっていくので、焦げない程度に焼いてください。」
何故かエレオノールがすごく不可解な顔をしている。
「書けたのですか?」
「書けました。書けましたが、、、ファスモーデュ様は一体どこでこれを知ったのですか?」
普通の貴族は、厨房には出入りしない。
だから、どうやって作るのか知らない。
まさか、開き直って「前に違う場所で生きた記憶があるのです」なんて言えない。
、、、どうする?
、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、
「お、お母様が教えてくださったのです。それをたまたま覚えていただけで、、、おそらくセルディールで食べられていたのかと思います。そういえば、お母様は子供の時疎まれていたそうですから、そこで思いついたのかもしれませんし、、、」
一応納得の表情をエレオノールが見せた。
危ないところだった。
「つ、続けて良いですか?」
「あ、はい、、、」
「その後は生地に色々と乗せるのですが、エレオノール。」
個人的には昔食べたシナモン焼きリンゴクレープが食べたい。
「はい?」
「今頃よく取れる果物はないかしら?」
「、、、ボムジュントかブルティート、あとはルミエーメの砂糖漬け辺りでしょうか。」
だめだ。分からない。ホールド・アップ。
「ヴァレリアーナ、果物についての本を持ってきてくださいませ。」
本に頼ろう。
「分かりました」
さっと部屋を出て、二階にある図書室へ行ってくれたのだろうか。
すぐに帰ってきた。
「ありました。」
どうやらこれは植物の載っている図鑑のようなものらしい。
「ありがとう。ボムジュント。ボムジュントね、、、」
パラパラとページを捲っていく。
「あの、オートシャーシと唱えれば、一発で探し当てられますよ?」
なんと、そうだったらしい。
「高度魔術は杖を使わなければ使えませんが、このような日常生活レベルなら指輪を使えばできますよ。」
わたしの右手の薬指に、複雑な色の指輪がついていた。
ただ単にアクセサリーだと思っていたが、実は違ったらしい。
エレオノールの言うとおりに、
「オートシャーシ」ととなえた。
すると、ボムジュントに該当するページがいきなり出てきた。
イラスト付きで。
「りんご?みたいな感じがするけど、黄色、いや金色?どっちにしろ少し違う、、、」
その後調べたブルティートはぶどうだけれど青で少し小さく、ルミエーメはオレンジが近い果物だった。
「チーズはあるのかしら?滑らかで水分の多い物よ。」
クリームチーズが良い。
「ありますよ。」
「そう。なら、ブルティートとそのチーズを生地に載せるよう書いておいてちょうだい。あと、ブルティートのソースはあるかしら?」
「おそらくあると思います」
シュゼットは、騎士。
黒髪・黒目で鎌系の武器が上手なようだ。
、、、死神?
ブルブルと頭を振って、その考えはどこかへ消し飛ばしておく。怖い。
「そうしたら、そのソースを上にかけるよう書いておいてください。そして、誰か地下の厨房に行って、料理長にこのレシピを渡しておいて置くようにしてください。」
「わたくしが行きます。」
レシピを取ると部屋を出て、階段を駆け下りていった。
紫とピンクの間くらいの髪の色をしていて、目は青。なんともファンタジーな外見だ。
「ファスモーデュ様、お茶会をなされるのですよね?では、持参する菓子類はどうしましょう?」
ここのお菓子は、基本甘い。さっきの朝食で実感したし、記憶でも甘いお菓子ばかりだった。
となると、甘い系のお菓子がやはり良いのではないだろうか。
フィルクガローレは、現在7歳のわたしの5つ上の12歳。それくらいの年代の女子で好きなスイーツと言えば、あれしか無い!
「コンチェッタ、小麦、、、じゃなくてヴィオラーン粉に砂糖と牛乳と卵を混ぜて、焼いた薄い生地に果物を乗せて食べるような菓子は無いかしら?」
ヴィオラーンというのは、こっちで言う小麦。とうもろこしっぽいマイスヌールと並んでテルマジェール二大穀物の一つだ。確か、「ヴァルキューレ・プリンセザ」のデータブックで読んだ。
あったら楽なんだけど、と思ったが、思い虚しく
「、、、そのような菓子は見たことがございません。作り方を知っていれば、紙に書き写してください。エレオノールにお願いすると良いでしょう。字が綺麗ですから。」
なんと、無かったらしい。
残念。ショック極まりない。
、、なら、いっそ作っちゃえば良いんじゃない?
料理でフィルクガローレを仲間にしよう作戦が始動した。
コンチェッタに呼ばれたのだろうか、エレオノールがやってきた。
深緑の髪に、茶色っぽい目。可愛い、というよりは綺麗な感じがする。
「お呼びと聞きましたので参りました。どうなさったのですか?」
「わたしが今から言う菓子の作り方について書き留めてほしいのです。」
「新しい菓子類か何かですか?」
「ええ、そうです。」
「分かりました。」
小学校の頃、わたしは調理クラブに友達に「一緒に入ろ!」と言われて入った時に、クレープを作ったことがあって、それから何度か家でも作ったことがあった。
なので、今でも覚えている。
「最初に、混ぜるための皿に、ヴィオラーン粉一カップと砂糖スプーン一つ分を入れて混ぜる。次に、カップ二杯分の牛乳を入れて、最後に卵を一つ入れて、すべてを合わせて混ぜる。」
するするとエレオノールは紙に書いていく。
いまいちこっちの字は良く分からないけれど。
というのも読んでいくと自動で日本語に変換されていってしまうので、こっちの字を読んでいく時間がないのだ。それに、文字も全く書けないけれどひらがな・カタカナを書いていくと、全てこちらの文字に自動変換されていく。
俗に言う「転生特典」だろうか。
「書けました。」
「では、次です。温めた焼き用薄鍋に油を入れて焼きやすくして、先程混ぜた物を大スプーン二つ分ほど入れて焼きます。円形になっていくので、焦げない程度に焼いてください。」
何故かエレオノールがすごく不可解な顔をしている。
「書けたのですか?」
「書けました。書けましたが、、、ファスモーデュ様は一体どこでこれを知ったのですか?」
普通の貴族は、厨房には出入りしない。
だから、どうやって作るのか知らない。
まさか、開き直って「前に違う場所で生きた記憶があるのです」なんて言えない。
、、、どうする?
、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、
「お、お母様が教えてくださったのです。それをたまたま覚えていただけで、、、おそらくセルディールで食べられていたのかと思います。そういえば、お母様は子供の時疎まれていたそうですから、そこで思いついたのかもしれませんし、、、」
一応納得の表情をエレオノールが見せた。
危ないところだった。
「つ、続けて良いですか?」
「あ、はい、、、」
「その後は生地に色々と乗せるのですが、エレオノール。」
個人的には昔食べたシナモン焼きリンゴクレープが食べたい。
「はい?」
「今頃よく取れる果物はないかしら?」
「、、、ボムジュントかブルティート、あとはルミエーメの砂糖漬け辺りでしょうか。」
だめだ。分からない。ホールド・アップ。
「ヴァレリアーナ、果物についての本を持ってきてくださいませ。」
本に頼ろう。
「分かりました」
さっと部屋を出て、二階にある図書室へ行ってくれたのだろうか。
すぐに帰ってきた。
「ありました。」
どうやらこれは植物の載っている図鑑のようなものらしい。
「ありがとう。ボムジュント。ボムジュントね、、、」
パラパラとページを捲っていく。
「あの、オートシャーシと唱えれば、一発で探し当てられますよ?」
なんと、そうだったらしい。
「高度魔術は杖を使わなければ使えませんが、このような日常生活レベルなら指輪を使えばできますよ。」
わたしの右手の薬指に、複雑な色の指輪がついていた。
ただ単にアクセサリーだと思っていたが、実は違ったらしい。
エレオノールの言うとおりに、
「オートシャーシ」ととなえた。
すると、ボムジュントに該当するページがいきなり出てきた。
イラスト付きで。
「りんご?みたいな感じがするけど、黄色、いや金色?どっちにしろ少し違う、、、」
その後調べたブルティートはぶどうだけれど青で少し小さく、ルミエーメはオレンジが近い果物だった。
「チーズはあるのかしら?滑らかで水分の多い物よ。」
クリームチーズが良い。
「ありますよ。」
「そう。なら、ブルティートとそのチーズを生地に載せるよう書いておいてちょうだい。あと、ブルティートのソースはあるかしら?」
「おそらくあると思います」
シュゼットは、騎士。
黒髪・黒目で鎌系の武器が上手なようだ。
、、、死神?
ブルブルと頭を振って、その考えはどこかへ消し飛ばしておく。怖い。
「そうしたら、そのソースを上にかけるよう書いておいてください。そして、誰か地下の厨房に行って、料理長にこのレシピを渡しておいて置くようにしてください。」
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レシピを取ると部屋を出て、階段を駆け下りていった。
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