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第五章 フォアグラ教団編
第81話 ヤンキーVSテロリスト
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教団が動き出すまでの間魔法少女バトル本戦を観戦していたハンター三人組であったが、丁度Bブロック一回戦第二試合が始まった時に王宮に呼び出されることとなった。
案内された場所は先程の会議室ではなく、地下にある司令室である。
「何だぁこの場所は?」
「ここは王都防衛のために作られた司令室です。魔法による制御で、ここから王都全域を見渡すことができます」
ビフテキが答える。司令室には幾つものモニターがあり、そこには王都の町並みの至る所が映っていた。
「ほー……で、俺はどこ行きゃいいんだ?」
「そう急かすなよ。まずは話を聞け」
ハンバーグに促されて、三人は席につく。
「ん、何か見慣れないおっさんがいるな」
「私は王国軍大佐のショウチューと申します。以後お見知りおきを」
ショウチュー大佐は拳凰の方を見て帽子を取り敬礼。
「さて、普段ならば解説はザルソバの担当だが、まだ試合中のため今回は私がさせてもらおう」
モニター前に立ったのはビフテキである。まずはそこに王都全体の地図が表示される。そしてその中の十二箇所に印が付けられていた。
「この地図の印が付けられた場所は、つい先程不審な魔力が検知された場所だ。恐らくはこの場所に教団のテロリストは転移してくるものと思われる。既に兵士と魔導師を向かわせ転移を封じることを試みたのだが、かなり強力な魔法がかけられておりこちらから無力化することは難しいとのことだった」
「つまり出てきた奴を戦って倒すしかないと」
「そういうこった」
ハンバーグが答える。続けて、カクテルが補足解説を始めた。
「本来であれば王都には外部からの転移は不可能になっているのですよ。テロ対策のためにね。ですが教団はそれを破る方法を開発した。まったくやってくれますね、第二使徒ポトフ……」
「何だそいつは?」
「至高の天才を自称しているフォアグラ教団所属の魔法科学者ですよ。その技術力はこの私に匹敵するとも言われていますが……実際は究極の天才たるこの私には遠く及びませんがね」
「くだらないことで張り合ってないで説明を続けたまえ」
ホーレンソーに苦言を呈され、カクテルは残念そうなジェスチャーをした。
「第二使徒か……強いのか?」
「ええ、教団幹部はナンバーが若いほど強いわけですから、彼は教祖フォアグラと第一使徒の次、つまり教団の中で三番目に強いことになります」
「ほー、そいつは楽しみだぜ」
「ちなみに、スパイとして潜入していたカシュー中尉の教団内での地位は第十九使徒。幹部の中では最下位レベルだ。王国軍の尉官ですらこの位置にしかなれないくらい教団幹部の層は厚い」
ハンバーグが更に補足を重ねる。
「お陰でカシュー君は上級幹部しか参加できない機密会議に混ざれず、肝心な情報を持ち帰ってこられませんでしたからね。どうせならもっと強い方をスパイにすればよかったものを」
「てめえ俺の弟分をコケにしやがったな」
いつもの調子で他人を嘲るカクテルに、ハンバーグが怒りを露にする。
「今は喧嘩しておる場合ではなかろう!」
ムニエルに叱られると、ハンバーグは素直にすっこむ。
「ポトフの改造手術は、大して強くもない凡人をとてつもなく強化するほどのものだと聞く。カシュー中尉は王国軍人の立場上改造手術を断ったため、他の幹部に引き離されることとなってしまったのじゃ。しかし、下級幹部の立場で得られる情報だけでもその価値は大きい。我々は彼の成した大きな仕事に報いねばならぬ」
ムニエルの言葉に、騎士達は揃って頷く。
と、その時。司令室の扉を勢いよく開けてザルソバが滑り込んできた。
「遅れて申し訳ありません。天秤座のザルソバ、只今到着致しました」
「構わん。試合解説の仕事、ご苦労であった。ここまでの会議の内容についての説明はいるか?」
「いえ、ここに来るまでの間に資料には目を通しておきましたので」
「うむ、では会議を続けよう。さて、少々脱線していたが改めて話を最初に戻そう」
ビフテキは先程の地図に手を向ける。
「敵の転移ポイントとなる十二箇所だが、中でも注目すべき点はここだ。王立アンドロメダホテル付近……恐らく敵は魔法少女に危害を加えるつもりだろう」
全員の目つきが変わる。
「洗脳兵士化して教団の戦力に加えるつもりか、異世界からの客人を守れなかったことで国の評判を落とすつもりか……何にせよ魔法少女は命に代えてでも守らねばならない」
「ええ……」
皆の心が一つとなったこのタイミングで、まるで見計らったかのように警報が鳴った。
「いよいよ来たか」
モニターに映る不審な魔力のポイントに、巨大な魔法陣が出現。そしてそこから、大量の洗脳兵士が姿を現した。
「ゲーッ、あんなにいるのかよ!?」
「彼らは皆、意思を奪われ人形のように動かされている我が国の一般市民。我々にとって戦う対象ではなく守る対象じゃ。彼らのことは決して傷付けてはならぬ」
「見よ、いずれも洗脳兵士と共に幹部の姿が見える。奴らこそ我らの倒すべき対象だ」
「ああ、それで俺らはどうすんだ? 行かなくていいのか?」
「現在各ポイントには王国軍の士官が一人ずつ待ち構えています。彼らが幹部の迎撃に当たりますが、時間稼ぎが関の山でしょう」
拳凰の質問にショウチューが答える。
「既に周辺住民の避難は完了致しました。戦闘準備はできております。ではムニエル様、作戦の発表をお願いします」
ビフテキから言われたところで、ムニエルは立ち上がって咳払い。
「うむ、では……ポタージュ、ソーセージ、カニミソ、ミルフィーユ、ハバネロ、ホーレンソー、ミソシル、カクテル、ラタトゥイユ、そして最強寺拳凰、穂村幸次郎、デスサイズの十二名は、各ポイントへと急行し幹部を撃破せよ。我とビフテキ、ハンバーグ、ザルソバ、ショウチューはこの場に留まり王都全域の監視と現場に向けての司令を行う」
「了解!」
騎士団の面々は一同に返事をする。
「ムニエル様、命に代えてもお守り致します」
ハンバーグは、ムニエルの前に跪く。
「ザルソバよ、実力を考えてカニミソは一番弱い奴の所に送ってやるぜよ。幸いにも敵の実力は密偵の持ち帰った情報で割れとる」
ミソシルの提案を、ザルソバは耳を入れて聞く。だがそこに、カニミソが割って入った。
「お言葉ですがミソシル殿、自分にはどうしてもこの手て倒さねばならぬ相手がおりますカニ」
「たわけが。この中で一番弱いお前が何言っとるぜよ。今そんな余裕があると思うか」
「ならばせめて、彼と対話をさせては頂けませんカニ」
真剣な眼差しで見つめられたザルソバは、一度目を伏せた後パソコンに目線を向けた。
「検討しておきます」
「では解散! 各自魔法陣より出撃せよ!」
ムニエルの指示と共に、騎士達は隣の部屋に多数設置された緊急出動用の転送魔法陣へ飛び込んでゆく。転送先はザルソバがパソコンから指定する。
「俺達も行くぞ」
拳凰が確認をとると、幸次郎とデスサイズは頷いた。
「待て、君達三人にはこれを渡しておく。この司令室にいる我々と魔法で話ができる通信機だ」
三人はビフテキに渡されたイヤホンマイクを頭に付けると、騎士達を追うように魔法陣へと向かった。
魔法陣の中に足を踏み入れて、気が付くと拳凰の目の前には王都オリンポス市街地の風景が広がっていた。三日前に花梨と二人で歩いた場所だ。
だが今日のこの場所は三日前とは雰囲気が大きく違う。武器を持った洗脳兵士達が道を塞ぐように屯しており、それらを傷付けないことに苦心して手も足も出ない軍人が一人いた。
「おいあんた、助太刀に来たぜ!」
声をかけられたことで、軍人は拳凰の側に移動した。
「王国軍大尉、ハンペンと申します。貴方は最終予選でハンターとして活躍された最強寺拳凰さんですね。助かります!」
「そんで、敵のボスはどこだ?」
「最後列で洗脳兵士達に指示を出しています。どうにか幹部だけを攻撃できればよいのですが、洗脳兵士達に阻まれて近づけず……」
「よし、俺に任せとけ」
拳凰は掌で拳を受け止め気合を入れると、洗脳兵士達の方向へと駆け出した。
「あ、ちょっ、彼らに攻撃は……」
そう言うハンペンの忠告を無視して突っ込む拳凰。最前列の洗脳兵士は揃って銃を発砲するも、拳凰は弾を全て掌で掴み取る。そしてぶつかる瞬間に跳び、横の建物の壁を走って洗脳兵士の群れを越えていった。その先にいる幹部は、金髪で逆立った髪型の男。両手には鉤爪を装備しており、舌を出して笑っている。
「てめーがボスか。早速ぶっ倒してやるぜ!」
「ケケケ、この第十七使徒・狂気のホルモンに挑むとはいい度胸だ!」
空中から殴りかかった拳凰であったが、洗脳兵士の一人がホルモンを庇う動作をとる。拳凰は空中にアッパーをかましてブレーキをかけ、洗脳兵士にぶつかるのを防いで着地。だがその隙を狙い、ホルモンは洗脳兵士に鉤爪を引っ掛けて拳凰へと投げつけてきた。
「うおっ!?」
流石にこれを殴り返すわけにはいかない。拳凰は怪我させないよう受け止めると、横に寝かせようとする。だが抱き抱えた途端に、洗脳兵士は拳凰の脇腹目掛けてナイフを突き立ててきた。拳凰は手刀でナイフの刃を砕き、洗脳兵士を寝かせる。だがその隙に他の洗脳兵士達は、拳凰の逃げ場を無くすように取り囲んだ。
「ケケケ、嬲り殺しにしてやれ」
「ちっ、こいつらぶっ飛ばせれば楽だってのによ」
魔法少女達の宿泊する王立アンドロメダホテル。そこにも一人のテロリストが襲撃をかけようとしていた。
「魔法少女、みーつけたー」
背中の魔導式ジェットパックで空を飛び、チーム・ヴァンパイアロードの部屋を覗き込んで銃口を向ける男。
梓があっと言ったのも束の間、光の矢が男のジェットパックを貫いた。煙を上げながら撃墜されてゆく男を、ホーレンソーはホテルの屋上から見下ろす。
しかし男のジェットパックは瞬時に再生、再び上昇を開始した。
「無駄だ無駄だ! この第十使徒・飛翔のアブラーゲのジェットパックは身体と完全に一体化している! たとえ壊されても瞬時に再生するんだよ!」
アブラーゲはそう言いながら、ホーレンソーに向けて銃を連射。己の魔力を弾として撃ち出す、リロード不要の魔導銃である。
ホーレンソーは矢を番えた弓を構えたまま、屋上より飛び降りる。そして自身の真下に矢を放った。
「どこを狙って……」
空中でホーレンソーとアブラーゲが戦う中、地上ではホテルへの侵入を試みる洗脳兵士達とそれを食い止める軍人達がせめぎ会っていた。このまま矢が地上まで落下すれば、そのどちらかに刺さる可能性がある。
だが放たれた矢は少しだけ落下したところで板状に形を変え、空中に固定される足場となった。ホーレンソーはそこに着地。
「この射手座のホーレンソー、空中戦はなかなか得意でね」
一方で幸次郎の飛ばされた先は、商店が立ち並ぶ市場であった。普段は賑わっているこの場所だが、今は市民の避難が完了しておりがらんとしている。
この静かな場所で、ふと幸次郎の耳に何者かの声が聞こえた。
「ったく、どうなってんだ? 街行く奴らを片っ端から切り捨ててやるつもりだったってのに、人っ子一人いやしねえ。とりあえずさっきそこにいた軍人を一匹斬ったが……物足り無えんだよなあ……ん?」
血の付いた曲刀を肩に担いだ細長い体型の男が一人、建物を挟んだ角から姿を現した。
「こんな所にガキがいやがる。こいつはいいぜ」
「に……逃げろ!」
その後ろから軍服を着た血まみれの男が飛び出し、曲刀を持った男の背中に飛びついた。
「あ? まだ生きてたか。じゃあとっとととどめ刺しとこうかねえ」
振り下ろされた曲刀が軍人の首を刎ねようとしたその時、突如電流が迸り男を痺れさせた。次の瞬間に、幸次郎は二人の間に割って入り剣先を男に向ける。
「あーん? 何だお前。俺を見てビビらないのか?」
男は暫く幸次郎の顔を見回した後、ピンときたかのような表情をした。
「そうかお前、テレビに出てた人間のガキじゃねえか。道理で俺を知らないわけだ。俺はフォアグラ教団第十四使徒・辻斬りのサシミ。ちっとは名の知れた殺人鬼よ。普通の奴ならこの名を聞いただけでビビるもんだが、無知ってのは怖いねえ。ま、言われた通り逃げなかったことを後悔しながら死ぬがいいさ」
デスサイズの飛ばされた場所は、市街地の裏路地。何やら声の聞こえる方へと、デスサイズは足音を殺して近づく。
「フォアグラ様は常に正しい……フォアグラ様を信じるのです」
壁に背を付けて頭を僅かに出しそちらを覗くと、目の下に隈がある不気味な風貌をした聖職者風の男が何やら諭すような口調でフォアグラ教団を布教する言葉を呟いていた。
「こちらデスサイズ。敵を発見した」
デスサイズは敵に聞こえないよう小声で、司令室に通信を試みる。
「対応に当たっていた軍人は……敵に捕らえられている」
敵から布教をされている人物、それこそが何を隠そう王国軍人であった。軍人は敵を攻撃するでもなく、ただ虚ろな目で敵の言葉を聴いていた。
「奴は第十一使徒・宣教師フリッター。元はオムスビ教の聖職者でしたが、フォアグラの演説に感化され改宗した男です。奴はああやってフォアグラ教を布教し新たな洗脳兵士を作っています。そして奴こそ、この作戦の要となる人物。今すぐ確実に、速攻で倒して下さい」
「了解した」
ザルソバの言葉に、デスサイズは簡潔に返した。
騎士達とハンター達はそれぞれ順当に教団幹部と対峙してゆくが、中にはそうならない者もいる。カクテルが飛ばされた場所には、既に幹部の姿は無かった。
「これはどういうことですサイダー中佐。説明願えますか?」
「も、申し訳ありません……洗脳兵士に対応している間に、幹部の姿を見失いました……」
「部下の兵士さん達も皆そうなんですか?」
兵士達は一同に目を伏せる。
「まったく無能で愚劣極まりない……一体ここをどこだと思っているんです?」
カクテルが振り返り見上げた先にあるのは、王族の住まいにして騎士団が守るべき最重要拠点、即ち王宮である。カクテルはすぐに通信機で司令室に連絡をとった。
「えー、こちらカクテル。無能な兵士さん方の責任により王宮に教団幹部が侵入した可能性あり。至急対応願います」
「了解しました。至急敵の居場所を割り当てます」
やや焦った口調で、ザルソバが返した。通信が切れたところで、カクテルは再びサイダー中佐の方を向く。
「やれやれ、王国軍中佐ともあろう方が何という体たらく。貴方の降格と左遷は私の方からショウチュー大佐にお願いしておきましょう」
まるで楽しいことでも起こったかのような顔で、カクテルはサイダーを見下ろす。己の責任であることは確かな事実なので、サイダーは何一つ言い返す言葉が無かった。
<キャラクター紹介>
名前:カシュー
性別:男
年齢:19
身長:169
髪色:オレンジ
星座:蟹座
階級:中尉
趣味:釣り
案内された場所は先程の会議室ではなく、地下にある司令室である。
「何だぁこの場所は?」
「ここは王都防衛のために作られた司令室です。魔法による制御で、ここから王都全域を見渡すことができます」
ビフテキが答える。司令室には幾つものモニターがあり、そこには王都の町並みの至る所が映っていた。
「ほー……で、俺はどこ行きゃいいんだ?」
「そう急かすなよ。まずは話を聞け」
ハンバーグに促されて、三人は席につく。
「ん、何か見慣れないおっさんがいるな」
「私は王国軍大佐のショウチューと申します。以後お見知りおきを」
ショウチュー大佐は拳凰の方を見て帽子を取り敬礼。
「さて、普段ならば解説はザルソバの担当だが、まだ試合中のため今回は私がさせてもらおう」
モニター前に立ったのはビフテキである。まずはそこに王都全体の地図が表示される。そしてその中の十二箇所に印が付けられていた。
「この地図の印が付けられた場所は、つい先程不審な魔力が検知された場所だ。恐らくはこの場所に教団のテロリストは転移してくるものと思われる。既に兵士と魔導師を向かわせ転移を封じることを試みたのだが、かなり強力な魔法がかけられておりこちらから無力化することは難しいとのことだった」
「つまり出てきた奴を戦って倒すしかないと」
「そういうこった」
ハンバーグが答える。続けて、カクテルが補足解説を始めた。
「本来であれば王都には外部からの転移は不可能になっているのですよ。テロ対策のためにね。ですが教団はそれを破る方法を開発した。まったくやってくれますね、第二使徒ポトフ……」
「何だそいつは?」
「至高の天才を自称しているフォアグラ教団所属の魔法科学者ですよ。その技術力はこの私に匹敵するとも言われていますが……実際は究極の天才たるこの私には遠く及びませんがね」
「くだらないことで張り合ってないで説明を続けたまえ」
ホーレンソーに苦言を呈され、カクテルは残念そうなジェスチャーをした。
「第二使徒か……強いのか?」
「ええ、教団幹部はナンバーが若いほど強いわけですから、彼は教祖フォアグラと第一使徒の次、つまり教団の中で三番目に強いことになります」
「ほー、そいつは楽しみだぜ」
「ちなみに、スパイとして潜入していたカシュー中尉の教団内での地位は第十九使徒。幹部の中では最下位レベルだ。王国軍の尉官ですらこの位置にしかなれないくらい教団幹部の層は厚い」
ハンバーグが更に補足を重ねる。
「お陰でカシュー君は上級幹部しか参加できない機密会議に混ざれず、肝心な情報を持ち帰ってこられませんでしたからね。どうせならもっと強い方をスパイにすればよかったものを」
「てめえ俺の弟分をコケにしやがったな」
いつもの調子で他人を嘲るカクテルに、ハンバーグが怒りを露にする。
「今は喧嘩しておる場合ではなかろう!」
ムニエルに叱られると、ハンバーグは素直にすっこむ。
「ポトフの改造手術は、大して強くもない凡人をとてつもなく強化するほどのものだと聞く。カシュー中尉は王国軍人の立場上改造手術を断ったため、他の幹部に引き離されることとなってしまったのじゃ。しかし、下級幹部の立場で得られる情報だけでもその価値は大きい。我々は彼の成した大きな仕事に報いねばならぬ」
ムニエルの言葉に、騎士達は揃って頷く。
と、その時。司令室の扉を勢いよく開けてザルソバが滑り込んできた。
「遅れて申し訳ありません。天秤座のザルソバ、只今到着致しました」
「構わん。試合解説の仕事、ご苦労であった。ここまでの会議の内容についての説明はいるか?」
「いえ、ここに来るまでの間に資料には目を通しておきましたので」
「うむ、では会議を続けよう。さて、少々脱線していたが改めて話を最初に戻そう」
ビフテキは先程の地図に手を向ける。
「敵の転移ポイントとなる十二箇所だが、中でも注目すべき点はここだ。王立アンドロメダホテル付近……恐らく敵は魔法少女に危害を加えるつもりだろう」
全員の目つきが変わる。
「洗脳兵士化して教団の戦力に加えるつもりか、異世界からの客人を守れなかったことで国の評判を落とすつもりか……何にせよ魔法少女は命に代えてでも守らねばならない」
「ええ……」
皆の心が一つとなったこのタイミングで、まるで見計らったかのように警報が鳴った。
「いよいよ来たか」
モニターに映る不審な魔力のポイントに、巨大な魔法陣が出現。そしてそこから、大量の洗脳兵士が姿を現した。
「ゲーッ、あんなにいるのかよ!?」
「彼らは皆、意思を奪われ人形のように動かされている我が国の一般市民。我々にとって戦う対象ではなく守る対象じゃ。彼らのことは決して傷付けてはならぬ」
「見よ、いずれも洗脳兵士と共に幹部の姿が見える。奴らこそ我らの倒すべき対象だ」
「ああ、それで俺らはどうすんだ? 行かなくていいのか?」
「現在各ポイントには王国軍の士官が一人ずつ待ち構えています。彼らが幹部の迎撃に当たりますが、時間稼ぎが関の山でしょう」
拳凰の質問にショウチューが答える。
「既に周辺住民の避難は完了致しました。戦闘準備はできております。ではムニエル様、作戦の発表をお願いします」
ビフテキから言われたところで、ムニエルは立ち上がって咳払い。
「うむ、では……ポタージュ、ソーセージ、カニミソ、ミルフィーユ、ハバネロ、ホーレンソー、ミソシル、カクテル、ラタトゥイユ、そして最強寺拳凰、穂村幸次郎、デスサイズの十二名は、各ポイントへと急行し幹部を撃破せよ。我とビフテキ、ハンバーグ、ザルソバ、ショウチューはこの場に留まり王都全域の監視と現場に向けての司令を行う」
「了解!」
騎士団の面々は一同に返事をする。
「ムニエル様、命に代えてもお守り致します」
ハンバーグは、ムニエルの前に跪く。
「ザルソバよ、実力を考えてカニミソは一番弱い奴の所に送ってやるぜよ。幸いにも敵の実力は密偵の持ち帰った情報で割れとる」
ミソシルの提案を、ザルソバは耳を入れて聞く。だがそこに、カニミソが割って入った。
「お言葉ですがミソシル殿、自分にはどうしてもこの手て倒さねばならぬ相手がおりますカニ」
「たわけが。この中で一番弱いお前が何言っとるぜよ。今そんな余裕があると思うか」
「ならばせめて、彼と対話をさせては頂けませんカニ」
真剣な眼差しで見つめられたザルソバは、一度目を伏せた後パソコンに目線を向けた。
「検討しておきます」
「では解散! 各自魔法陣より出撃せよ!」
ムニエルの指示と共に、騎士達は隣の部屋に多数設置された緊急出動用の転送魔法陣へ飛び込んでゆく。転送先はザルソバがパソコンから指定する。
「俺達も行くぞ」
拳凰が確認をとると、幸次郎とデスサイズは頷いた。
「待て、君達三人にはこれを渡しておく。この司令室にいる我々と魔法で話ができる通信機だ」
三人はビフテキに渡されたイヤホンマイクを頭に付けると、騎士達を追うように魔法陣へと向かった。
魔法陣の中に足を踏み入れて、気が付くと拳凰の目の前には王都オリンポス市街地の風景が広がっていた。三日前に花梨と二人で歩いた場所だ。
だが今日のこの場所は三日前とは雰囲気が大きく違う。武器を持った洗脳兵士達が道を塞ぐように屯しており、それらを傷付けないことに苦心して手も足も出ない軍人が一人いた。
「おいあんた、助太刀に来たぜ!」
声をかけられたことで、軍人は拳凰の側に移動した。
「王国軍大尉、ハンペンと申します。貴方は最終予選でハンターとして活躍された最強寺拳凰さんですね。助かります!」
「そんで、敵のボスはどこだ?」
「最後列で洗脳兵士達に指示を出しています。どうにか幹部だけを攻撃できればよいのですが、洗脳兵士達に阻まれて近づけず……」
「よし、俺に任せとけ」
拳凰は掌で拳を受け止め気合を入れると、洗脳兵士達の方向へと駆け出した。
「あ、ちょっ、彼らに攻撃は……」
そう言うハンペンの忠告を無視して突っ込む拳凰。最前列の洗脳兵士は揃って銃を発砲するも、拳凰は弾を全て掌で掴み取る。そしてぶつかる瞬間に跳び、横の建物の壁を走って洗脳兵士の群れを越えていった。その先にいる幹部は、金髪で逆立った髪型の男。両手には鉤爪を装備しており、舌を出して笑っている。
「てめーがボスか。早速ぶっ倒してやるぜ!」
「ケケケ、この第十七使徒・狂気のホルモンに挑むとはいい度胸だ!」
空中から殴りかかった拳凰であったが、洗脳兵士の一人がホルモンを庇う動作をとる。拳凰は空中にアッパーをかましてブレーキをかけ、洗脳兵士にぶつかるのを防いで着地。だがその隙を狙い、ホルモンは洗脳兵士に鉤爪を引っ掛けて拳凰へと投げつけてきた。
「うおっ!?」
流石にこれを殴り返すわけにはいかない。拳凰は怪我させないよう受け止めると、横に寝かせようとする。だが抱き抱えた途端に、洗脳兵士は拳凰の脇腹目掛けてナイフを突き立ててきた。拳凰は手刀でナイフの刃を砕き、洗脳兵士を寝かせる。だがその隙に他の洗脳兵士達は、拳凰の逃げ場を無くすように取り囲んだ。
「ケケケ、嬲り殺しにしてやれ」
「ちっ、こいつらぶっ飛ばせれば楽だってのによ」
魔法少女達の宿泊する王立アンドロメダホテル。そこにも一人のテロリストが襲撃をかけようとしていた。
「魔法少女、みーつけたー」
背中の魔導式ジェットパックで空を飛び、チーム・ヴァンパイアロードの部屋を覗き込んで銃口を向ける男。
梓があっと言ったのも束の間、光の矢が男のジェットパックを貫いた。煙を上げながら撃墜されてゆく男を、ホーレンソーはホテルの屋上から見下ろす。
しかし男のジェットパックは瞬時に再生、再び上昇を開始した。
「無駄だ無駄だ! この第十使徒・飛翔のアブラーゲのジェットパックは身体と完全に一体化している! たとえ壊されても瞬時に再生するんだよ!」
アブラーゲはそう言いながら、ホーレンソーに向けて銃を連射。己の魔力を弾として撃ち出す、リロード不要の魔導銃である。
ホーレンソーは矢を番えた弓を構えたまま、屋上より飛び降りる。そして自身の真下に矢を放った。
「どこを狙って……」
空中でホーレンソーとアブラーゲが戦う中、地上ではホテルへの侵入を試みる洗脳兵士達とそれを食い止める軍人達がせめぎ会っていた。このまま矢が地上まで落下すれば、そのどちらかに刺さる可能性がある。
だが放たれた矢は少しだけ落下したところで板状に形を変え、空中に固定される足場となった。ホーレンソーはそこに着地。
「この射手座のホーレンソー、空中戦はなかなか得意でね」
一方で幸次郎の飛ばされた先は、商店が立ち並ぶ市場であった。普段は賑わっているこの場所だが、今は市民の避難が完了しておりがらんとしている。
この静かな場所で、ふと幸次郎の耳に何者かの声が聞こえた。
「ったく、どうなってんだ? 街行く奴らを片っ端から切り捨ててやるつもりだったってのに、人っ子一人いやしねえ。とりあえずさっきそこにいた軍人を一匹斬ったが……物足り無えんだよなあ……ん?」
血の付いた曲刀を肩に担いだ細長い体型の男が一人、建物を挟んだ角から姿を現した。
「こんな所にガキがいやがる。こいつはいいぜ」
「に……逃げろ!」
その後ろから軍服を着た血まみれの男が飛び出し、曲刀を持った男の背中に飛びついた。
「あ? まだ生きてたか。じゃあとっとととどめ刺しとこうかねえ」
振り下ろされた曲刀が軍人の首を刎ねようとしたその時、突如電流が迸り男を痺れさせた。次の瞬間に、幸次郎は二人の間に割って入り剣先を男に向ける。
「あーん? 何だお前。俺を見てビビらないのか?」
男は暫く幸次郎の顔を見回した後、ピンときたかのような表情をした。
「そうかお前、テレビに出てた人間のガキじゃねえか。道理で俺を知らないわけだ。俺はフォアグラ教団第十四使徒・辻斬りのサシミ。ちっとは名の知れた殺人鬼よ。普通の奴ならこの名を聞いただけでビビるもんだが、無知ってのは怖いねえ。ま、言われた通り逃げなかったことを後悔しながら死ぬがいいさ」
デスサイズの飛ばされた場所は、市街地の裏路地。何やら声の聞こえる方へと、デスサイズは足音を殺して近づく。
「フォアグラ様は常に正しい……フォアグラ様を信じるのです」
壁に背を付けて頭を僅かに出しそちらを覗くと、目の下に隈がある不気味な風貌をした聖職者風の男が何やら諭すような口調でフォアグラ教団を布教する言葉を呟いていた。
「こちらデスサイズ。敵を発見した」
デスサイズは敵に聞こえないよう小声で、司令室に通信を試みる。
「対応に当たっていた軍人は……敵に捕らえられている」
敵から布教をされている人物、それこそが何を隠そう王国軍人であった。軍人は敵を攻撃するでもなく、ただ虚ろな目で敵の言葉を聴いていた。
「奴は第十一使徒・宣教師フリッター。元はオムスビ教の聖職者でしたが、フォアグラの演説に感化され改宗した男です。奴はああやってフォアグラ教を布教し新たな洗脳兵士を作っています。そして奴こそ、この作戦の要となる人物。今すぐ確実に、速攻で倒して下さい」
「了解した」
ザルソバの言葉に、デスサイズは簡潔に返した。
騎士達とハンター達はそれぞれ順当に教団幹部と対峙してゆくが、中にはそうならない者もいる。カクテルが飛ばされた場所には、既に幹部の姿は無かった。
「これはどういうことですサイダー中佐。説明願えますか?」
「も、申し訳ありません……洗脳兵士に対応している間に、幹部の姿を見失いました……」
「部下の兵士さん達も皆そうなんですか?」
兵士達は一同に目を伏せる。
「まったく無能で愚劣極まりない……一体ここをどこだと思っているんです?」
カクテルが振り返り見上げた先にあるのは、王族の住まいにして騎士団が守るべき最重要拠点、即ち王宮である。カクテルはすぐに通信機で司令室に連絡をとった。
「えー、こちらカクテル。無能な兵士さん方の責任により王宮に教団幹部が侵入した可能性あり。至急対応願います」
「了解しました。至急敵の居場所を割り当てます」
やや焦った口調で、ザルソバが返した。通信が切れたところで、カクテルは再びサイダー中佐の方を向く。
「やれやれ、王国軍中佐ともあろう方が何という体たらく。貴方の降格と左遷は私の方からショウチュー大佐にお願いしておきましょう」
まるで楽しいことでも起こったかのような顔で、カクテルはサイダーを見下ろす。己の責任であることは確かな事実なので、サイダーは何一つ言い返す言葉が無かった。
<キャラクター紹介>
名前:カシュー
性別:男
年齢:19
身長:169
髪色:オレンジ
星座:蟹座
階級:中尉
趣味:釣り
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