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第三章 自由行動編
第51話 藍上織江のパンツ探訪
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ホテル正面。拳凰と花梨と大名のやり取りを、物陰からひっそりと見ている者がいた。
ギャルのパンティおくれー! と願うために魔法少女バトルに参加した、パンツ大好き少女の藍上織江である。
(あの子はエロパンナースちゃん……ハンターの一人とデートかな?)
そうこうしていると、突然拳凰が花梨の股ぐらに手を突っ込んで肩に担ぎ上げた。
(おおっ! パンツ見えた!)
思わぬところでパンモロに出会え、織江は興奮する。
(魔法少女の時はアダルティーな黒パンツだけど、今は可愛い系なのね)
と、そこで織江はふとあることを思いつく。
(そうだ! ここなら……)
スマートフォンを取り出し、魔法少女バトルアプリを立ち上げる。
「マジカルチェンジ」
小声でそう言うと、織江の身体は光に包まれる。全身の服が消えた後白いパンツを穿き、更にそこから二次予選でコピーしたパンツを全身に纏う。そして最後に、パンチラをより確実に視認するための眼鏡を装備。これにて変身完了である。
人間界では魔力に満ちた結界内でしか変身できなかったが、この妖精界ではどこでも変身可能なのだ。
織江は忍者の如き俊足で、拳凰を追いかける大名を追いかける。大名の姿が射程に入ったところで「ぱん、つー、まる、みえ」のポーズ。大名のズボンがずり下がり、青の縞パンが顕となった。織江の右脚にそのパンツがコピーされる。
「な、何やこれ!? どないなっとんねん!?」
「ヤンキーの割に可愛いパンツ。それもまた良し」
街中でパンツを丸出しにされるという突然の出来事に顔を赤くして慌てる大名を尻目に、織江は走り去った。
走って移動しながら、パンツを見られそうな相手を探す。
(お、なんかエロい感じの娘発見!)
織江が見つけたのは、ミチルである。スカートを捲るまでもなく、最初から見えているのだ。何もしなくてもその下着が織江の胸にコピーされる。フリルの付いたパステルピンクのレース下着だ。
「あえて自分から見せていくスタイル。嫌いじゃないよ」
またしてもパンツだけコピーして去る。そう、織江の目的はパンツ集めだ。人間界では試合中に対戦相手からコピーするしかなかったが、ここではいつでも好きな時にコピーできる。まさに織江にとって天国のような場所なのだ。
続けて織江がやってきたのは、観光客で賑わう商店街。そこでは智恵理とカニミソが一緒に歩いていた。
(あれはホストみたいな蟹座の騎士……一緒にいるのは魔法少女かな? もしかしてデート?)
織江は陰に隠れて二人の様子を観察してみる。
「ここでは観光客向けのグッズを沢山売っているんだカニ。智恵理も何か買ってくといいカニよ」
カニミソはこの辺りについて何やら色々と説明しているようだが、その内容は智恵理の頭には入ってこない。得意げな様子で街を案内するカニミソがどうにも可愛くって、見惚れてしまっていたのだ。
(あの顔はベタ惚れって感じね。ここはいっちょ手助けしてやりますか)
織江はにやにやしながら、いつものポーズをとる。普段よりも短くしていた智恵理のスカートが、はらりと簡単に捲れ上がった。
「ひゃっ!?」
いつになく可愛い声が上がる。智恵理は赤面しながらスカートを押さえた。
智恵理のパンツは、オレンジの紐パン。いつか万が一のために買っておいた勝負パンツであった。
(おおー、これはこれは)
良いパンツを引いたとばかりに、織江は相槌を打つ。自分の仕業だとバレないように、パンツコピーだけしてさっさと退散。すると智恵理のスカートは元に戻った。
「みっ、見た?」
智恵理は恐る恐るカニミソの顔を見て尋ねる。一応なりにも好きな人に見せるためのパンツとはいえ、不意に見られてしまえば動揺はするものである。見られたことを喜んでいいやらよくないやら。果たしてカニミソは一体どんな反応をするのか、恥ずかしいけど気になって仕方がない。
「え? 何のことカニ?」
カニミソはきょとんとしていた。
「何のことって……その……」
逆に質問を返され、智恵理は言葉を濁す。
「何か面白い物でも見えたのカニ? 俺向こうの大道芸見てたから気付かなかったカニよ」
これは本気で見ていなかった顔だ、照れ隠しでも何でもない。智恵理はそう察した。
「何でもないから! さっきのことは忘れて!」
逆切れして声を荒げると、カニミソはますます困惑した。
何も知らずにジャグリングしている大道芸人を、智恵理はキッと睨む。
「智恵理、一体どうしたカニ?」
「本当に何でもないから!」
パンツ如きでこんなに必死になる自分が痛々しく感じて、智恵理は早足で先に進んだ。
次に織江がやってきたのは、古の妖精騎士レタス像のある噴水広場。そこではホーレンソーが梓にレタスのことを話していた。
(あれは騎士団のスーパーイケメンさん……あの人も魔法少女とデートとは)
二人が話を終えて移動をしようとしたところで、織江は梓に魔法をかける。梓のスカートは捲れ上がり、地味すぎる白無地パンツがホーレンソーに公開された。
スカートが捲れた際にたまたま突風が吹いたため梓はそれで捲れたのだと思っていたが、実際は織江の魔法によるものだったのである。
「うわ~大きなお尻。それにしてもこのパンツは地味すぎでしょ。一日家から出ない日に穿くようなやつじゃないの? 明らかにデートに穿いてくようなのじゃないって」
右脇腹にコピーされたパンツを見て、織江はそんな感想を漏らす。先程智恵理の勝負パンツを見ているだけに、尚更梓のパンツの地味さが際立った。
「あ、そうか。お尻が大きすぎて合う下着がなかなか見つからないから、そういうの穿くしかないのね」
織江は真実をポンと閃いた。梓にとっては非常に悩ましいことなのである。
その後ホーレンソーは何か言った後、梓に肘で鳩尾を突かれた。その様子を影から見ていた織江だったが、ふとホーレンソーの視線が一瞬こちらに向いたような気がした。
(まさか、私の仕業だと気付かれた!?)
たとえ隠れていても、遥か遠くを見通す射手の目は誤魔化せない。ホーレンソーは織江の存在をはっきりと捉えていた。だが慌てて退散する織江を、ホーレンソーは追わなかった。
ホーレンソーに気付かれても、織江はパンツ収集をやめなかった。
逃げている最中で見つけたのは、妖精界の本屋を見つけてウキウキで入っていく美空寿々菜であった。
(いいもの発見!)
織江はコソコソと寿々菜の後を追い、本屋へと入る。
人間界では見たことのない本の数々に囲まれて、寿々菜は目を輝かせていた。
織江は本棚の影に身を隠し、寿々菜に魔法をかける。ロングスカートが捲れ上がって白地に黒の縦縞パンツが顕となるが、本に夢中の寿々菜は気付いていなかった。
本屋を出たところで、織江は向かいの通りに二人並んで歩く悠木姉妹を発見した。
(あっちのボーイッシュ小学生は昨日パンツを取れなかった……)
因縁の相手との再会。織江は相手に姿を見られる前に物陰に隠れる。今の小梅の服装はタンクトップにスパッツ。脱がしてパンツを見ることは普通に可能だ。織江は早速いつものポーズで魔法をかけ、小梅のスパッツを脱がした。
「わわっ!?」
突然スパッツがずり落ちて、小梅は慌てふためく。スポーティな青のパンツが、織江の左手首にコピーされた。
(昨日は意外性のピンクだったようだけど、今日はいかにもボーイッシュな青。今日のパンツもいいけれど、昨日のピンクも見たかった!)
必死にスパッツを上げようとする小梅を見ながら、織江はそんなことを思う。
「ど、どうしたのよ小梅! 街中でそんな格好してはしたない!」
小梅を叱る歳三だったが、直後自分のスカートも捲れてパンツが露出される。
「きゃあああああ!!!」
耳を貫きそうな絶叫。歳三のパンツは黄色の花柄だ。
「何よこれーっ!!」
「た、多分あいつの仕業だ! 人にパンツを出させる魔法少女と最終予選で戦ったんだ!」
慌てふためく姉妹を見ながら、織江はリベンジ成功とばかりにほくそ笑んだ。
続けて見つけたのは、同じく最終予選でパンツを取り損ねた弥勒寺蓮華。いい天気でご機嫌よく歩いていたところを、織江の魔法にかけられる。
「ええっ!? 何? 何なの!?」
仏門に入っているだけあってパンツにも華美さはなく、ベージュの地味下着だ。
(へぇー、尼さんのパンツってあんな感じなの)
屋根に上って次の獲物を探していると、並んで歩きながらぺちゃくちゃ喋っている幼馴染四人組の向井舞、山野清美、久世悠、天城沙希を発見した。
音も無く四人の後方に着地し、例のポーズを風のような動きで四回続けて行う。
四人一斉にスカートは捲れズボンはずり落ち、四枚のパンツが同時公開。左から順に、赤、黒、水色、ピンク。
次は宝石店に入っていく金髪ツインドリルを発見。お嬢様系魔法少女の小金珠子である。
珠子は人間界には存在しない魔法の宝石を見て目を輝かせるも、すぐに溜息。
「たった二十万円ぽっちしか貰えないだなんて……こんなはした金じゃ買い物なんてできませんわ。人間界のお金が使えればよろしいのに」
これは突っ込み待ちなのかと言いたくなるような金銭感覚狂った発言に、織江は苦笑い。早速魔法でスカートを捲ってみると、宝石を散りばめた黄金のパンツが。
(一体あんなのどこで売ってるのか……)
流石の織江もこれにはドン引きであった。
魔法少女が沢山集まりそうな場所を求めて、次に向かったのはアパレルショップ。
まず最初に見つけたのは、相変わらずの派手なギャルファッションを着て何やら店員に文句を言っている菅由奈であった。
「レオタードしか置いてないとかマジありえんし。この世界の服マジ趣味悪いし」
どうやら、服を買いにきたつもりが服飾文化の壁にぶち当たり怒っていた様子であった。
パンツは濃いピンクにラメを散りばめて黒い髑髏のプリントがされた、いかにも彼女の趣味という感じのものである。
「あれー? 由奈ちゃんじゃん。何でパンツ丸出しなのー?」
絶妙にイラっとくる猫撫で声。そこにやってきたゴスロリファッションの少女は、田中らぶり姫だ。
「好きでやってんじゃないし! 突然こうなったんだし!」
由奈がそう言ったところで、らぶり姫のスカートも大きく捲れる。あざとく熊さんのプリントがされた子供パンツだ。
二人が喧嘩している間に織江は退散。沢山のパンツを手に入れ気分上々だが、まだまだ満足はしていない。次に向かったのは食べ物の屋台が多く並ぶ通り。その中から一つの屋台を見つめてぼーっと立つのは、古竜恋々愛であった。
(あの子は褌おっぱいちゃん……何してるんだろ?)
織江が暫く見ていると、反対方向から幸次郎が歩いてきた。
「あれ、貴方は……」
「あ……昨日ごはんくれた人……」
一人佇む恋々愛の姿を見て、幸次郎はドキッとした。ピンクのワンピース姿が眩しくて直視できない。
「あっ、あの、どうかされたんですか?」
「おなかすいた……」
「買い物でしたら、魔法少女バトルアプリでできますよ」
「スマホ落とした……」
「え……」
恋々愛が想像以上に大変な状況になっていたので、幸次郎からそんな声が漏れた。
「と、とりあえず、今は僕が奢りますよ」
幸次郎は自分のスマホを取り出して屋台の魔法陣にかざし、そこで売られている蒸し饅頭のような料理を二つ購入。片方を恋々愛に手渡した。
「そこのベンチに座って、食べながら話を聞きましょうか」
恋々愛は頷いた。
ベンチに腰掛けて、幸次郎は恋々愛から話を聞く。
「それで、失くしたことに気付いたのはどの辺りなんですか?」
幸次郎が尋ねるも、恋々愛は答える暇も無く食べている。少ししたところで、幸次郎が何か言ったことに気付いたのかきょとんとした顔で幸次郎の方を向いた。その様子があまりに可愛くって幸次郎は心が悶えた。
「え、えーっと……貴方のお名前は……」
「古竜恋々愛……」
「そうですか、古竜さん。僕は、穂村幸次郎といいます。それで、スマホを失くしたことに気付いたのはどの辺りなんですか?」
「今さっき……これ買うためにスマホ出そうとしたら無かった……」
先程まで美味しい料理を食べて幸せそうにしていたのが、急にしゅんとした表情になる。
「そ、それで、最後にスマホがあることを確認したのは……」
幸次郎はしどろもどろになりながら質問を続けた。
「ホテルにいた時……」
「ああ……」
それではどこで落としたかなんてわかりっこない。
「とりあえず一緒に探しましょう。来た道を辿っていけばどこかで見つかるかもしれませんよ」
「来た道、覚えてない……ぼーっとしながら歩いてたから……」
「そうですか……」
悉く手がかりを潰され、八方塞である。流石の幸次郎も沈黙するしかなかった。
(美人で可愛いけど、何だか危なっかしい人だなあ……)
彼女がこれでちゃんと生きていけてるのか、幸次郎は少し不安になった。
「古竜さんって、おいくつなんですか?」
「十一……」
「十一!?」
幸次郎は慌ててスマートフォンを取り出し、魔法少女バトルアプリから恋々愛のページを開く。
「ほ、本当に十一歳だ……」
改めて確認したことで、衝撃的な事実に愕然とする。完全に年上のお姉さんだとばかり思っていただけに、幸次郎は開いた口が塞がらなかった。だが、この危なっかしさを考えるとむしろ納得とも言えた。
(こ、これで小学生……)
幸次郎の視線が一瞬恋々愛の胸に向いた。年齢を知ってますます恋々愛を直視できなくなる。
「どうしたの……?」
恋々愛が尋ねる。幸次郎は顔を俯かせ視線をスマートフォンに向けた。すると恋々愛のプロフィールにある「星座:乙女座」という記述が目に入る。
「そ、そうだ! 騎士団の人に頼めば探してもらえるかもしれない!」
妙案を閃き、幸次郎は立ち上がる。
「とりあえずホテルに戻って、受付で騎士団の人に取り次いでもらおう!」
幸次郎がそう言うと、恋々愛の表情がぱっと明るくなった。
「うん、ありがとう……」
その微笑に、幸次郎の胸が高鳴る。
「そ、それじゃあ、一緒に行こうか」
「うん……」
恋々愛は立ち上がると、幸次郎の手を握る。幸次郎は心臓が破裂しそうになった。
「あ、あの、その……一緒に行くといっても手を繋ぐ必要はないんじゃ……」
「手を繋ぐの、嫌……?」
「い、嫌ではないです……」
幸次郎はその手を振り解くことができず、俯いたまま心臓をバクバク鳴らしていた。
<キャラクター紹介>
名前:久留米紫
性別:女
学年:中一
身長:155
3サイズ:78-59-80(Aカップ)
髪色:黒
髪色(変身後):紫
星座:射手座
衣装:魔女のような黒いローブ
武器:黒い球体
魔法:黒い球体に触れた相手の五感を奪う
趣味:オカルトグッズ集め
ギャルのパンティおくれー! と願うために魔法少女バトルに参加した、パンツ大好き少女の藍上織江である。
(あの子はエロパンナースちゃん……ハンターの一人とデートかな?)
そうこうしていると、突然拳凰が花梨の股ぐらに手を突っ込んで肩に担ぎ上げた。
(おおっ! パンツ見えた!)
思わぬところでパンモロに出会え、織江は興奮する。
(魔法少女の時はアダルティーな黒パンツだけど、今は可愛い系なのね)
と、そこで織江はふとあることを思いつく。
(そうだ! ここなら……)
スマートフォンを取り出し、魔法少女バトルアプリを立ち上げる。
「マジカルチェンジ」
小声でそう言うと、織江の身体は光に包まれる。全身の服が消えた後白いパンツを穿き、更にそこから二次予選でコピーしたパンツを全身に纏う。そして最後に、パンチラをより確実に視認するための眼鏡を装備。これにて変身完了である。
人間界では魔力に満ちた結界内でしか変身できなかったが、この妖精界ではどこでも変身可能なのだ。
織江は忍者の如き俊足で、拳凰を追いかける大名を追いかける。大名の姿が射程に入ったところで「ぱん、つー、まる、みえ」のポーズ。大名のズボンがずり下がり、青の縞パンが顕となった。織江の右脚にそのパンツがコピーされる。
「な、何やこれ!? どないなっとんねん!?」
「ヤンキーの割に可愛いパンツ。それもまた良し」
街中でパンツを丸出しにされるという突然の出来事に顔を赤くして慌てる大名を尻目に、織江は走り去った。
走って移動しながら、パンツを見られそうな相手を探す。
(お、なんかエロい感じの娘発見!)
織江が見つけたのは、ミチルである。スカートを捲るまでもなく、最初から見えているのだ。何もしなくてもその下着が織江の胸にコピーされる。フリルの付いたパステルピンクのレース下着だ。
「あえて自分から見せていくスタイル。嫌いじゃないよ」
またしてもパンツだけコピーして去る。そう、織江の目的はパンツ集めだ。人間界では試合中に対戦相手からコピーするしかなかったが、ここではいつでも好きな時にコピーできる。まさに織江にとって天国のような場所なのだ。
続けて織江がやってきたのは、観光客で賑わう商店街。そこでは智恵理とカニミソが一緒に歩いていた。
(あれはホストみたいな蟹座の騎士……一緒にいるのは魔法少女かな? もしかしてデート?)
織江は陰に隠れて二人の様子を観察してみる。
「ここでは観光客向けのグッズを沢山売っているんだカニ。智恵理も何か買ってくといいカニよ」
カニミソはこの辺りについて何やら色々と説明しているようだが、その内容は智恵理の頭には入ってこない。得意げな様子で街を案内するカニミソがどうにも可愛くって、見惚れてしまっていたのだ。
(あの顔はベタ惚れって感じね。ここはいっちょ手助けしてやりますか)
織江はにやにやしながら、いつものポーズをとる。普段よりも短くしていた智恵理のスカートが、はらりと簡単に捲れ上がった。
「ひゃっ!?」
いつになく可愛い声が上がる。智恵理は赤面しながらスカートを押さえた。
智恵理のパンツは、オレンジの紐パン。いつか万が一のために買っておいた勝負パンツであった。
(おおー、これはこれは)
良いパンツを引いたとばかりに、織江は相槌を打つ。自分の仕業だとバレないように、パンツコピーだけしてさっさと退散。すると智恵理のスカートは元に戻った。
「みっ、見た?」
智恵理は恐る恐るカニミソの顔を見て尋ねる。一応なりにも好きな人に見せるためのパンツとはいえ、不意に見られてしまえば動揺はするものである。見られたことを喜んでいいやらよくないやら。果たしてカニミソは一体どんな反応をするのか、恥ずかしいけど気になって仕方がない。
「え? 何のことカニ?」
カニミソはきょとんとしていた。
「何のことって……その……」
逆に質問を返され、智恵理は言葉を濁す。
「何か面白い物でも見えたのカニ? 俺向こうの大道芸見てたから気付かなかったカニよ」
これは本気で見ていなかった顔だ、照れ隠しでも何でもない。智恵理はそう察した。
「何でもないから! さっきのことは忘れて!」
逆切れして声を荒げると、カニミソはますます困惑した。
何も知らずにジャグリングしている大道芸人を、智恵理はキッと睨む。
「智恵理、一体どうしたカニ?」
「本当に何でもないから!」
パンツ如きでこんなに必死になる自分が痛々しく感じて、智恵理は早足で先に進んだ。
次に織江がやってきたのは、古の妖精騎士レタス像のある噴水広場。そこではホーレンソーが梓にレタスのことを話していた。
(あれは騎士団のスーパーイケメンさん……あの人も魔法少女とデートとは)
二人が話を終えて移動をしようとしたところで、織江は梓に魔法をかける。梓のスカートは捲れ上がり、地味すぎる白無地パンツがホーレンソーに公開された。
スカートが捲れた際にたまたま突風が吹いたため梓はそれで捲れたのだと思っていたが、実際は織江の魔法によるものだったのである。
「うわ~大きなお尻。それにしてもこのパンツは地味すぎでしょ。一日家から出ない日に穿くようなやつじゃないの? 明らかにデートに穿いてくようなのじゃないって」
右脇腹にコピーされたパンツを見て、織江はそんな感想を漏らす。先程智恵理の勝負パンツを見ているだけに、尚更梓のパンツの地味さが際立った。
「あ、そうか。お尻が大きすぎて合う下着がなかなか見つからないから、そういうの穿くしかないのね」
織江は真実をポンと閃いた。梓にとっては非常に悩ましいことなのである。
その後ホーレンソーは何か言った後、梓に肘で鳩尾を突かれた。その様子を影から見ていた織江だったが、ふとホーレンソーの視線が一瞬こちらに向いたような気がした。
(まさか、私の仕業だと気付かれた!?)
たとえ隠れていても、遥か遠くを見通す射手の目は誤魔化せない。ホーレンソーは織江の存在をはっきりと捉えていた。だが慌てて退散する織江を、ホーレンソーは追わなかった。
ホーレンソーに気付かれても、織江はパンツ収集をやめなかった。
逃げている最中で見つけたのは、妖精界の本屋を見つけてウキウキで入っていく美空寿々菜であった。
(いいもの発見!)
織江はコソコソと寿々菜の後を追い、本屋へと入る。
人間界では見たことのない本の数々に囲まれて、寿々菜は目を輝かせていた。
織江は本棚の影に身を隠し、寿々菜に魔法をかける。ロングスカートが捲れ上がって白地に黒の縦縞パンツが顕となるが、本に夢中の寿々菜は気付いていなかった。
本屋を出たところで、織江は向かいの通りに二人並んで歩く悠木姉妹を発見した。
(あっちのボーイッシュ小学生は昨日パンツを取れなかった……)
因縁の相手との再会。織江は相手に姿を見られる前に物陰に隠れる。今の小梅の服装はタンクトップにスパッツ。脱がしてパンツを見ることは普通に可能だ。織江は早速いつものポーズで魔法をかけ、小梅のスパッツを脱がした。
「わわっ!?」
突然スパッツがずり落ちて、小梅は慌てふためく。スポーティな青のパンツが、織江の左手首にコピーされた。
(昨日は意外性のピンクだったようだけど、今日はいかにもボーイッシュな青。今日のパンツもいいけれど、昨日のピンクも見たかった!)
必死にスパッツを上げようとする小梅を見ながら、織江はそんなことを思う。
「ど、どうしたのよ小梅! 街中でそんな格好してはしたない!」
小梅を叱る歳三だったが、直後自分のスカートも捲れてパンツが露出される。
「きゃあああああ!!!」
耳を貫きそうな絶叫。歳三のパンツは黄色の花柄だ。
「何よこれーっ!!」
「た、多分あいつの仕業だ! 人にパンツを出させる魔法少女と最終予選で戦ったんだ!」
慌てふためく姉妹を見ながら、織江はリベンジ成功とばかりにほくそ笑んだ。
続けて見つけたのは、同じく最終予選でパンツを取り損ねた弥勒寺蓮華。いい天気でご機嫌よく歩いていたところを、織江の魔法にかけられる。
「ええっ!? 何? 何なの!?」
仏門に入っているだけあってパンツにも華美さはなく、ベージュの地味下着だ。
(へぇー、尼さんのパンツってあんな感じなの)
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音も無く四人の後方に着地し、例のポーズを風のような動きで四回続けて行う。
四人一斉にスカートは捲れズボンはずり落ち、四枚のパンツが同時公開。左から順に、赤、黒、水色、ピンク。
次は宝石店に入っていく金髪ツインドリルを発見。お嬢様系魔法少女の小金珠子である。
珠子は人間界には存在しない魔法の宝石を見て目を輝かせるも、すぐに溜息。
「たった二十万円ぽっちしか貰えないだなんて……こんなはした金じゃ買い物なんてできませんわ。人間界のお金が使えればよろしいのに」
これは突っ込み待ちなのかと言いたくなるような金銭感覚狂った発言に、織江は苦笑い。早速魔法でスカートを捲ってみると、宝石を散りばめた黄金のパンツが。
(一体あんなのどこで売ってるのか……)
流石の織江もこれにはドン引きであった。
魔法少女が沢山集まりそうな場所を求めて、次に向かったのはアパレルショップ。
まず最初に見つけたのは、相変わらずの派手なギャルファッションを着て何やら店員に文句を言っている菅由奈であった。
「レオタードしか置いてないとかマジありえんし。この世界の服マジ趣味悪いし」
どうやら、服を買いにきたつもりが服飾文化の壁にぶち当たり怒っていた様子であった。
パンツは濃いピンクにラメを散りばめて黒い髑髏のプリントがされた、いかにも彼女の趣味という感じのものである。
「あれー? 由奈ちゃんじゃん。何でパンツ丸出しなのー?」
絶妙にイラっとくる猫撫で声。そこにやってきたゴスロリファッションの少女は、田中らぶり姫だ。
「好きでやってんじゃないし! 突然こうなったんだし!」
由奈がそう言ったところで、らぶり姫のスカートも大きく捲れる。あざとく熊さんのプリントがされた子供パンツだ。
二人が喧嘩している間に織江は退散。沢山のパンツを手に入れ気分上々だが、まだまだ満足はしていない。次に向かったのは食べ物の屋台が多く並ぶ通り。その中から一つの屋台を見つめてぼーっと立つのは、古竜恋々愛であった。
(あの子は褌おっぱいちゃん……何してるんだろ?)
織江が暫く見ていると、反対方向から幸次郎が歩いてきた。
「あれ、貴方は……」
「あ……昨日ごはんくれた人……」
一人佇む恋々愛の姿を見て、幸次郎はドキッとした。ピンクのワンピース姿が眩しくて直視できない。
「あっ、あの、どうかされたんですか?」
「おなかすいた……」
「買い物でしたら、魔法少女バトルアプリでできますよ」
「スマホ落とした……」
「え……」
恋々愛が想像以上に大変な状況になっていたので、幸次郎からそんな声が漏れた。
「と、とりあえず、今は僕が奢りますよ」
幸次郎は自分のスマホを取り出して屋台の魔法陣にかざし、そこで売られている蒸し饅頭のような料理を二つ購入。片方を恋々愛に手渡した。
「そこのベンチに座って、食べながら話を聞きましょうか」
恋々愛は頷いた。
ベンチに腰掛けて、幸次郎は恋々愛から話を聞く。
「それで、失くしたことに気付いたのはどの辺りなんですか?」
幸次郎が尋ねるも、恋々愛は答える暇も無く食べている。少ししたところで、幸次郎が何か言ったことに気付いたのかきょとんとした顔で幸次郎の方を向いた。その様子があまりに可愛くって幸次郎は心が悶えた。
「え、えーっと……貴方のお名前は……」
「古竜恋々愛……」
「そうですか、古竜さん。僕は、穂村幸次郎といいます。それで、スマホを失くしたことに気付いたのはどの辺りなんですか?」
「今さっき……これ買うためにスマホ出そうとしたら無かった……」
先程まで美味しい料理を食べて幸せそうにしていたのが、急にしゅんとした表情になる。
「そ、それで、最後にスマホがあることを確認したのは……」
幸次郎はしどろもどろになりながら質問を続けた。
「ホテルにいた時……」
「ああ……」
それではどこで落としたかなんてわかりっこない。
「とりあえず一緒に探しましょう。来た道を辿っていけばどこかで見つかるかもしれませんよ」
「来た道、覚えてない……ぼーっとしながら歩いてたから……」
「そうですか……」
悉く手がかりを潰され、八方塞である。流石の幸次郎も沈黙するしかなかった。
(美人で可愛いけど、何だか危なっかしい人だなあ……)
彼女がこれでちゃんと生きていけてるのか、幸次郎は少し不安になった。
「古竜さんって、おいくつなんですか?」
「十一……」
「十一!?」
幸次郎は慌ててスマートフォンを取り出し、魔法少女バトルアプリから恋々愛のページを開く。
「ほ、本当に十一歳だ……」
改めて確認したことで、衝撃的な事実に愕然とする。完全に年上のお姉さんだとばかり思っていただけに、幸次郎は開いた口が塞がらなかった。だが、この危なっかしさを考えるとむしろ納得とも言えた。
(こ、これで小学生……)
幸次郎の視線が一瞬恋々愛の胸に向いた。年齢を知ってますます恋々愛を直視できなくなる。
「どうしたの……?」
恋々愛が尋ねる。幸次郎は顔を俯かせ視線をスマートフォンに向けた。すると恋々愛のプロフィールにある「星座:乙女座」という記述が目に入る。
「そ、そうだ! 騎士団の人に頼めば探してもらえるかもしれない!」
妙案を閃き、幸次郎は立ち上がる。
「とりあえずホテルに戻って、受付で騎士団の人に取り次いでもらおう!」
幸次郎がそう言うと、恋々愛の表情がぱっと明るくなった。
「うん、ありがとう……」
その微笑に、幸次郎の胸が高鳴る。
「そ、それじゃあ、一緒に行こうか」
「うん……」
恋々愛は立ち上がると、幸次郎の手を握る。幸次郎は心臓が破裂しそうになった。
「あ、あの、その……一緒に行くといっても手を繋ぐ必要はないんじゃ……」
「手を繋ぐの、嫌……?」
「い、嫌ではないです……」
幸次郎はその手を振り解くことができず、俯いたまま心臓をバクバク鳴らしていた。
<キャラクター紹介>
名前:久留米紫
性別:女
学年:中一
身長:155
3サイズ:78-59-80(Aカップ)
髪色:黒
髪色(変身後):紫
星座:射手座
衣装:魔女のような黒いローブ
武器:黒い球体
魔法:黒い球体に触れた相手の五感を奪う
趣味:オカルトグッズ集め
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ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
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