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第五章
第160話 脱衣ツイスターゲーム・1 ~元気巨乳幼馴染VS内気貧乳幼馴染~
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一方通行の四角関係にある男女四人が、脱衣ゲームの参加者に選ばれた。
ルシファーはここからペアの組み合わせを発表しなければならない。
男子側の恋が叶えば女子側は失恋する形となり、女子側の恋が叶えば男子側は失恋する形となる。どちらに転んでも誰かは涙を呑むことになる、苦渋の決断だ。
そしてルシファーは言い放つ。
「さて、ペアの組み合わせですが……赤コーナー男子、一年D組陸上部、進藤亮一! 同じく女子、一年D組陸上部、寺井真智Fカップ! 青コーナー男子、一年D組手芸部、小森優也! 同じく女子、一年B組手芸部、立松沙雪AAカップ! こちらのペアで、ゲームを行って頂きます!」
それは男子側の片想いを切り捨て、女子側の片想いを叶える選択。男子二人の落胆は、何も言わずともルシファーに伝わってきた。
(何でこの組み合わせなんだ……俺に沙雪を諦めろって言ってるのか!?)
(僕じゃ……ない……どうしてあいつなんだ……)
露骨に落ち込む男子達を後目に、ルシファーは続ける。
「今回のゲームは、脱衣ツイスターゲームです」
そう言うと四色の円が四つずつ規則的に並べられた正方形のシートが二枚と、大きなルーレットが現れた。それと同時に、黒ビキニ状のサキュバス衣装を身に纏った褐色肌に赤髪ツインテールの小悪魔美少女も出現。
「ボクはアシスタントのリリムちゃんでーす」
「彼女と共に、ルールを説明していきましょう。このゲームでは、先程伝えたペアで一枚のシートを共用します。ルールは簡単、こちらのルーレットを回して右手・左手・右足・左足のどれを赤・青・黄・緑のどこに置くかを決めるのです」
ルーレットの上には、デフォルメされたルシファーの顔のマークが付いていた。自動で回転するルーレットは、右足の赤を指して止まる。ルシファーはシートの側まで歩き、その中から赤い円を右足で踏んだ。
するとルーレットの顔のマークは、リリムのものに変わる。次にルーレットが指し示したのは、右手の青。リリムはルシファーの踏む赤い円のすぐ隣にある青の円に、しゃがみ込んで右手をついた。
「このようにプレイヤーは一人ずつ交代でゲームを行います。今回は説明のため私の番の次にこのリリムがプレイを行いましたが、皆様が行う際にはは進藤亮一、小森優也、寺井真智、立松沙雪、そして進藤亮一に戻る……という順番で行っていただきます。そしてこれを繰り返していき……」
何度もルーレットを回してルシファーとリリムは高速でゲームを進めていき、次第に二人とも無理な体勢になっていった。リリムに至ってはただでさえ短すぎるスカートのままお尻を突き上げた姿勢をとっており、純白のショーツが四人の参加者に丸見えである。
そうしている間に、ルシファーはわざとバランスを崩してシートに肘をついた。
「バランスをとれなくなり、手と足の裏以外の部位をシートについたプレイヤーがミスとなります。そのペアの女子は服を一枚脱がねばなりません。男子のミスでも脱ぐのは女子です。脱ぐ部位はトップス、ボトムス、ブラジャー、ショーツの四ケ所。最初の一回目では上半身をブラジャー一枚になるまで脱がなければなりません」
(これが噂に聞く脱衣ゲーム……)
既に陸上部内での噂で脱衣ゲームやキューピッドのことを知っていた亮一は、改めて噂が真実であることを理解した。
説明に沿ってリリムはローライズの黒いスカートを脱ぎ捨て、ローライズの純白ショーツを露にした。とはいえ特に恥じらっている様子はなく、むしろ可愛くピースしてポーズをとっている始末である。
「ミスが出た後は再び全員シートの外に出た状態で再スタート。順番は前回ミスをしたプレイヤーから始めます。そしてどちらかのペアが四回ミスをして女子が全裸になった時点でそのペアの敗北、ゲームに決着がつきます。先程も説明しましたが、勝ったペアはカップル成立となります」
(勝てば進藤君と……)
(勝てば小森君と……)
女子二人は唾を呑んだ。これが自分達にとって絶好のチャンスであることはすぐに理解した。
好きな人に好きな人がいることは知っていた。だからこのまま今の関係を続けていても自分の想いが報われるのは難しいことも、当然知っていた。
不安に濡れた顔は、一転して強い意思を秘めたものに変わる。
このゲームに勝って好きな人と結ばれる。想いを叶える決意が固まった瞬間だった。
「既にやる気を出している方もいるようで何よりです。では早速始めましょうか」
と、ルシファーが言ったところで突如亮一が挙手。
「待って下さい! どうしてこのペアなのか、説明をお願いします!」
「その質問についてはお答えできません」
そう言い放つと同時に、四人の参加者は宙に浮かされそれぞれのペアでシートの前まで移動させられた。そして有無を言わさず、強引にゲームを開始する。
「それでは、ルーレットスタート!」
回り出したルーレットの上には、デフォルメされた亮一の顔のマーク。四人が注目する中で、二つの針はピタリと止まる。
「進藤君、左手を黄色」
リリムが指示を伝えると亮一は一旦リリムを見て、次はルシファーに視線を向ける。
「ああ、説明を忘れていましたがゲームが終わらない限りここからは出られませんよ」
「ちっ、やればいいんだろ」
亮一はしゃがんで中央付近の黄色の円に左手をついた。
(仕方がない……勝てば寺井と付き合うことにはなるが、別れられないわけじゃないはずだ。ちゃんと話した上で別れてもらおう。今はとにかく、沙雪と小森が付き合うのを阻止することが優先だ)
次は優也の番である。ルーレットの結果をリリムが読み上げると、優也は右足で端にある赤の円を踏んだ。
その次はいよいよ女子の番。まずは真智からである。
「真智ちゃん、左手を黄色」
真智はシートから黄色い円を見た。早速シートに足を踏み入れてしゃがみ、丁度おあつらえ向きの場所に掌を置く。
亮一はドキッとした。顔同士が近づいて見つめ合う位置に、真智が来ていたからだ。勿論それは偶然ではなく、真智が狙ってやったものである。
(ここでしっかりアピールしなきゃ。絶対に進藤君を振り向かせてみせるんだから!)
最後は沙雪の番である。緊張していた沙雪は指示が読み上げられると、恐る恐る、優也から離れた逆端の青い円を左足で踏んだ。
(寺井さん凄い……私はまだあそこまでできる勇気は……)
プレイヤーが一回りして、再び亮一の番が回ってくる。
流石に一回目が終わった時点では、まだ誰もバランスを崩しそうな様子はない。二人とも立った状態の手芸部ペアは尚更だ。
「さて、このゲームはこのように序盤は退屈なのが仕様です。そこで今回、こちらのルーレットをご用意しました」
先程のルーレットの隣に、同じルーレットがもう一つ現れる。
「今後はこのようにルーレットを二つ使い、二つの指示を同時にこなしていただきます。ただし両方のルーレットで同じ手足の部位が出た場合、指示されたどちらの色にその部位を置いても構いません。基本的には難易度が上がりますが、場合によっては難易度が下がるラッキーもある、ということですね」
(そ、そんなの私にできるかな……)
運動神経のよくない沙雪は、難易度を上げると言われて不安を募らせた。
そうして早速回り始めた二つのルーレット。同時にピタリと止まった針は、それぞれ違う部位を指す。
「進藤君、右足を青、左手を緑」
亮一はまず左手を黄色からそのすぐ左隣の緑に移す。続けて右足ですぐ近くの青を踏んだ。
「小森君、右手を赤、左手を黄色」
優也はしゃがんで両手を斜めに伸ばし、できるだけ無理のない体勢で両手を指定の色についた。男子二人は、とりあえず余裕である。
「真智ちゃん、右足を赤、右手を黄色」
真智は右足を横にずらして赤い円を踏む。右手はといえば、最寄りの黄色は既に自分の左手が占拠しているため使えない。なので一番起きやすいのは正面、先程まで亮一の左手があった黄色だ。真智はそこに手を伸ばし、ピタリと掌をついた。
途端、ピクっと身を揺らす亮一。真智が何かと思って顔を上げると、亮一は妙に焦ったような顔をしていた。改めて自分の右手に視線を向けると、そこは丁度亮一の股間近く。
(ヤバっ、これじゃまるであたしが進藤君のちんちん触りたいみたいじゃん! いくらアピールするといってもそれは流石に……)
今回は意図的にやったものではない。だけどもこれは流石に不味いと思ったのか、真智は弁明を始めた。
「あ、こ、これはね、わざとやったわけじゃなくて。たまたま手を置きやすい位置がそこだっただけで……」
そう言って手ぶりで潔白を証明しようと右手を浮かせた瞬間だった。たまたまと言った傍から、たまたまに指先が触れた。
「進藤君、アウトー」
びくっとして尻餅をついた亮一に、リリムがミスしたことを容赦なく告げる。
「い、今のもわざとじゃ……」
まさかのラッキースケベだが、真智は赤くなるどころか青くなっていた。
「では寺井真智さん、服を脱いで下さい」
「ええー……」
げんなりした調子で溜息を漏らす真智。ルシファーのアナウンスがされた瞬間に、優也の首がぐるんと回って真智の方を向いた。
(いや、必死すぎだろ僕)
そしてはっと我に返る。
「脱がない場合はこちらが魔法で強制的に脱がせますが、如何します?」
「ぬ、脱ぐってば! ちゃんとルールは守ります!」
男子二人が緊張して見守る中で、真智は服に指をかけキャミソールごと一気に捲り上げた。一度布が胸に引っかかって持ち上がった胸がゆさっと揺れ、男子達の情緒を乱した。
Fカップの胸を覆うブラジャーは白と薄紫のツートンカラーで、薄紫のリボンが可愛らしいアクセントになっている。普段の真智のキャラとは裏腹に上品さを感じさせる一品だ。
(セーフ!! 今日可愛い下着にしといてよかった!!)
今日の下着選びに関しては、プールの更衣室で見知らぬ同性とはいえ人様の目に触れることを意識してよそ行きのものを着用していた。それが結果として好きな異性の目に触れるものとして適切なチョイスになっていたのは幸運である。
とはいえ、いざ見られたら見られたで無性に恥ずかしくなってくるのが乙女心。真智は肌と下着の境界線辺りに掌を置き、それだけではとても隠しきれない胸をさりげなく隠した。
(やっば……肌の露出は似たようなものでも水着と下着じゃ全然違うよー!)
一応、上半身の布面積は今日のプールで着て亮一にも優也にも見知らぬ男性達にも見せていたビキニの方が若干ながら小さい。
にも拘らず、それが水着ならば見られても平気なのが下着だと恥ずかしく感じられるものなのである。
真智の珍しく恥じらう様子に、ただでさえ乱されていた情緒がますますどうにかなりそうなのが優也だ。
(真智の……ブラジャー……)
幼馴染としての付き合いでごく普通に家に行った際に、干してあったり或いは乱雑に脱ぎ散らかされてあったりしたそれ自体を優也は見たことがないわけではなかった。
だが真智が地肌の上にそれを着用した姿というのを目の当たりにするのは、これが初めてのことであったのだ。
ビキニ姿だけでも刺激がすぎるくらいだったのに、立て続けに下着姿まで見せられた思春期男子の心情は計り知れない。
そんな優也の背中を潤んだ目でひっそりと、沙雪は見つめていた。
(やっぱり男の子はおっきいおっぱいが好き……私じゃ勝ち目無いのかな……)
顔を下に向けると、そこには泣けてくるくらいの平面が続いていた。
あのリリムをしてさえこの子には勝ったと思いつつ、あまりに哀れな胸に同情してしまうほどの。
ルシファーはここからペアの組み合わせを発表しなければならない。
男子側の恋が叶えば女子側は失恋する形となり、女子側の恋が叶えば男子側は失恋する形となる。どちらに転んでも誰かは涙を呑むことになる、苦渋の決断だ。
そしてルシファーは言い放つ。
「さて、ペアの組み合わせですが……赤コーナー男子、一年D組陸上部、進藤亮一! 同じく女子、一年D組陸上部、寺井真智Fカップ! 青コーナー男子、一年D組手芸部、小森優也! 同じく女子、一年B組手芸部、立松沙雪AAカップ! こちらのペアで、ゲームを行って頂きます!」
それは男子側の片想いを切り捨て、女子側の片想いを叶える選択。男子二人の落胆は、何も言わずともルシファーに伝わってきた。
(何でこの組み合わせなんだ……俺に沙雪を諦めろって言ってるのか!?)
(僕じゃ……ない……どうしてあいつなんだ……)
露骨に落ち込む男子達を後目に、ルシファーは続ける。
「今回のゲームは、脱衣ツイスターゲームです」
そう言うと四色の円が四つずつ規則的に並べられた正方形のシートが二枚と、大きなルーレットが現れた。それと同時に、黒ビキニ状のサキュバス衣装を身に纏った褐色肌に赤髪ツインテールの小悪魔美少女も出現。
「ボクはアシスタントのリリムちゃんでーす」
「彼女と共に、ルールを説明していきましょう。このゲームでは、先程伝えたペアで一枚のシートを共用します。ルールは簡単、こちらのルーレットを回して右手・左手・右足・左足のどれを赤・青・黄・緑のどこに置くかを決めるのです」
ルーレットの上には、デフォルメされたルシファーの顔のマークが付いていた。自動で回転するルーレットは、右足の赤を指して止まる。ルシファーはシートの側まで歩き、その中から赤い円を右足で踏んだ。
するとルーレットの顔のマークは、リリムのものに変わる。次にルーレットが指し示したのは、右手の青。リリムはルシファーの踏む赤い円のすぐ隣にある青の円に、しゃがみ込んで右手をついた。
「このようにプレイヤーは一人ずつ交代でゲームを行います。今回は説明のため私の番の次にこのリリムがプレイを行いましたが、皆様が行う際にはは進藤亮一、小森優也、寺井真智、立松沙雪、そして進藤亮一に戻る……という順番で行っていただきます。そしてこれを繰り返していき……」
何度もルーレットを回してルシファーとリリムは高速でゲームを進めていき、次第に二人とも無理な体勢になっていった。リリムに至ってはただでさえ短すぎるスカートのままお尻を突き上げた姿勢をとっており、純白のショーツが四人の参加者に丸見えである。
そうしている間に、ルシファーはわざとバランスを崩してシートに肘をついた。
「バランスをとれなくなり、手と足の裏以外の部位をシートについたプレイヤーがミスとなります。そのペアの女子は服を一枚脱がねばなりません。男子のミスでも脱ぐのは女子です。脱ぐ部位はトップス、ボトムス、ブラジャー、ショーツの四ケ所。最初の一回目では上半身をブラジャー一枚になるまで脱がなければなりません」
(これが噂に聞く脱衣ゲーム……)
既に陸上部内での噂で脱衣ゲームやキューピッドのことを知っていた亮一は、改めて噂が真実であることを理解した。
説明に沿ってリリムはローライズの黒いスカートを脱ぎ捨て、ローライズの純白ショーツを露にした。とはいえ特に恥じらっている様子はなく、むしろ可愛くピースしてポーズをとっている始末である。
「ミスが出た後は再び全員シートの外に出た状態で再スタート。順番は前回ミスをしたプレイヤーから始めます。そしてどちらかのペアが四回ミスをして女子が全裸になった時点でそのペアの敗北、ゲームに決着がつきます。先程も説明しましたが、勝ったペアはカップル成立となります」
(勝てば進藤君と……)
(勝てば小森君と……)
女子二人は唾を呑んだ。これが自分達にとって絶好のチャンスであることはすぐに理解した。
好きな人に好きな人がいることは知っていた。だからこのまま今の関係を続けていても自分の想いが報われるのは難しいことも、当然知っていた。
不安に濡れた顔は、一転して強い意思を秘めたものに変わる。
このゲームに勝って好きな人と結ばれる。想いを叶える決意が固まった瞬間だった。
「既にやる気を出している方もいるようで何よりです。では早速始めましょうか」
と、ルシファーが言ったところで突如亮一が挙手。
「待って下さい! どうしてこのペアなのか、説明をお願いします!」
「その質問についてはお答えできません」
そう言い放つと同時に、四人の参加者は宙に浮かされそれぞれのペアでシートの前まで移動させられた。そして有無を言わさず、強引にゲームを開始する。
「それでは、ルーレットスタート!」
回り出したルーレットの上には、デフォルメされた亮一の顔のマーク。四人が注目する中で、二つの針はピタリと止まる。
「進藤君、左手を黄色」
リリムが指示を伝えると亮一は一旦リリムを見て、次はルシファーに視線を向ける。
「ああ、説明を忘れていましたがゲームが終わらない限りここからは出られませんよ」
「ちっ、やればいいんだろ」
亮一はしゃがんで中央付近の黄色の円に左手をついた。
(仕方がない……勝てば寺井と付き合うことにはなるが、別れられないわけじゃないはずだ。ちゃんと話した上で別れてもらおう。今はとにかく、沙雪と小森が付き合うのを阻止することが優先だ)
次は優也の番である。ルーレットの結果をリリムが読み上げると、優也は右足で端にある赤の円を踏んだ。
その次はいよいよ女子の番。まずは真智からである。
「真智ちゃん、左手を黄色」
真智はシートから黄色い円を見た。早速シートに足を踏み入れてしゃがみ、丁度おあつらえ向きの場所に掌を置く。
亮一はドキッとした。顔同士が近づいて見つめ合う位置に、真智が来ていたからだ。勿論それは偶然ではなく、真智が狙ってやったものである。
(ここでしっかりアピールしなきゃ。絶対に進藤君を振り向かせてみせるんだから!)
最後は沙雪の番である。緊張していた沙雪は指示が読み上げられると、恐る恐る、優也から離れた逆端の青い円を左足で踏んだ。
(寺井さん凄い……私はまだあそこまでできる勇気は……)
プレイヤーが一回りして、再び亮一の番が回ってくる。
流石に一回目が終わった時点では、まだ誰もバランスを崩しそうな様子はない。二人とも立った状態の手芸部ペアは尚更だ。
「さて、このゲームはこのように序盤は退屈なのが仕様です。そこで今回、こちらのルーレットをご用意しました」
先程のルーレットの隣に、同じルーレットがもう一つ現れる。
「今後はこのようにルーレットを二つ使い、二つの指示を同時にこなしていただきます。ただし両方のルーレットで同じ手足の部位が出た場合、指示されたどちらの色にその部位を置いても構いません。基本的には難易度が上がりますが、場合によっては難易度が下がるラッキーもある、ということですね」
(そ、そんなの私にできるかな……)
運動神経のよくない沙雪は、難易度を上げると言われて不安を募らせた。
そうして早速回り始めた二つのルーレット。同時にピタリと止まった針は、それぞれ違う部位を指す。
「進藤君、右足を青、左手を緑」
亮一はまず左手を黄色からそのすぐ左隣の緑に移す。続けて右足ですぐ近くの青を踏んだ。
「小森君、右手を赤、左手を黄色」
優也はしゃがんで両手を斜めに伸ばし、できるだけ無理のない体勢で両手を指定の色についた。男子二人は、とりあえず余裕である。
「真智ちゃん、右足を赤、右手を黄色」
真智は右足を横にずらして赤い円を踏む。右手はといえば、最寄りの黄色は既に自分の左手が占拠しているため使えない。なので一番起きやすいのは正面、先程まで亮一の左手があった黄色だ。真智はそこに手を伸ばし、ピタリと掌をついた。
途端、ピクっと身を揺らす亮一。真智が何かと思って顔を上げると、亮一は妙に焦ったような顔をしていた。改めて自分の右手に視線を向けると、そこは丁度亮一の股間近く。
(ヤバっ、これじゃまるであたしが進藤君のちんちん触りたいみたいじゃん! いくらアピールするといってもそれは流石に……)
今回は意図的にやったものではない。だけどもこれは流石に不味いと思ったのか、真智は弁明を始めた。
「あ、こ、これはね、わざとやったわけじゃなくて。たまたま手を置きやすい位置がそこだっただけで……」
そう言って手ぶりで潔白を証明しようと右手を浮かせた瞬間だった。たまたまと言った傍から、たまたまに指先が触れた。
「進藤君、アウトー」
びくっとして尻餅をついた亮一に、リリムがミスしたことを容赦なく告げる。
「い、今のもわざとじゃ……」
まさかのラッキースケベだが、真智は赤くなるどころか青くなっていた。
「では寺井真智さん、服を脱いで下さい」
「ええー……」
げんなりした調子で溜息を漏らす真智。ルシファーのアナウンスがされた瞬間に、優也の首がぐるんと回って真智の方を向いた。
(いや、必死すぎだろ僕)
そしてはっと我に返る。
「脱がない場合はこちらが魔法で強制的に脱がせますが、如何します?」
「ぬ、脱ぐってば! ちゃんとルールは守ります!」
男子二人が緊張して見守る中で、真智は服に指をかけキャミソールごと一気に捲り上げた。一度布が胸に引っかかって持ち上がった胸がゆさっと揺れ、男子達の情緒を乱した。
Fカップの胸を覆うブラジャーは白と薄紫のツートンカラーで、薄紫のリボンが可愛らしいアクセントになっている。普段の真智のキャラとは裏腹に上品さを感じさせる一品だ。
(セーフ!! 今日可愛い下着にしといてよかった!!)
今日の下着選びに関しては、プールの更衣室で見知らぬ同性とはいえ人様の目に触れることを意識してよそ行きのものを着用していた。それが結果として好きな異性の目に触れるものとして適切なチョイスになっていたのは幸運である。
とはいえ、いざ見られたら見られたで無性に恥ずかしくなってくるのが乙女心。真智は肌と下着の境界線辺りに掌を置き、それだけではとても隠しきれない胸をさりげなく隠した。
(やっば……肌の露出は似たようなものでも水着と下着じゃ全然違うよー!)
一応、上半身の布面積は今日のプールで着て亮一にも優也にも見知らぬ男性達にも見せていたビキニの方が若干ながら小さい。
にも拘らず、それが水着ならば見られても平気なのが下着だと恥ずかしく感じられるものなのである。
真智の珍しく恥じらう様子に、ただでさえ乱されていた情緒がますますどうにかなりそうなのが優也だ。
(真智の……ブラジャー……)
幼馴染としての付き合いでごく普通に家に行った際に、干してあったり或いは乱雑に脱ぎ散らかされてあったりしたそれ自体を優也は見たことがないわけではなかった。
だが真智が地肌の上にそれを着用した姿というのを目の当たりにするのは、これが初めてのことであったのだ。
ビキニ姿だけでも刺激がすぎるくらいだったのに、立て続けに下着姿まで見せられた思春期男子の心情は計り知れない。
そんな優也の背中を潤んだ目でひっそりと、沙雪は見つめていた。
(やっぱり男の子はおっきいおっぱいが好き……私じゃ勝ち目無いのかな……)
顔を下に向けると、そこには泣けてくるくらいの平面が続いていた。
あのリリムをしてさえこの子には勝ったと思いつつ、あまりに哀れな胸に同情してしまうほどの。
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