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第四章
第136話 脱衣ディベート ~清楚系サキュバスVS爆乳ボーイッシュサキュバス~
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男性はインキュバス、女性はサキュバスと呼称される淫魔という種族は、美貌と性行為に特化した性質を持つ魔族である。
その能力は敵を骨抜きにして無力化させたり、諜報や工作に活用される。
だがこの淫魔という種族が任務を果たす上で、ある問題が存在した。
恋をした淫魔、とりわけ明確な恋人・夫婦関係のパートナーがいる淫魔は本来の目的である人間との性行為を拒む傾向があるのである。
勿論それは淫魔のみならず、パートナーを大切にする価値観を持った大抵の種族には共通することだ。
様々な魔族を創造したサタン一世はごく当たり前に淫魔にもその感情を持たせたが、結果としてそれが任務に支障をきたすことになってしまったのである。
そうしたことを受けてサタン二世の時代に作られたのが、無能病の概念であった。
いかに創造主といえど、一度作り出した種の性質を作り変えることはできない。そこでサタン一世初め魔界上層部が行ったのが、洗脳に近い思想教育であった。
淫魔には恋愛感情は存在しない。もしも恋をしたとしたら、それは病気だ。淫魔は人間と性行為をしなければ生きられない生物であり、淫魔同士の性行為は推奨されない。そういうことにしたのである。
夫婦関係や恋人関係にある淫魔はその関係を引き裂かれ、逆らう者には厳罰が処され時には粛清も行われた。
やがて淫魔がかつては当たり前に恋をしていたことが秘匿されるようになり、世代交代が進んだことで最早そのことを知る者は誰もいなくなった。
為政者の都合によって歪められた現実を、誰もが何の疑いも持つことなく当たり前の常識として信じている時代だ。
サタン五世の即位に伴い淫魔以外の全ての魔族が人間界に行くことを禁じられても、淫魔だけはその例外となった。大魔王でさえかつての淫魔の姿を知らなかったのだ。
淫魔族の平均寿命が著しく低下したことも、世代交代による思想統制に追い風であった。
実は本来淫魔が最も大きな魔力を得られるのは、愛し合う相手の性行為であった。だが愛し合うことそのものを禁じられ自分達が愛し合えるとも思っていない淫魔達は、非効率な魔力の供給を続け種族全体が著しく弱体化することとなったのである。
「……以上が、我々淫魔族の真実だ。無能病などという病気は存在しない。ロイドとメイアが持った恋愛感情は、本来淫魔も当たり前に持っているものなのだ」
ロイドとメイアの退学が公表された日。本日は半年に一度人間界へのゲートが開く日であり、半年後にそれを通って人間界に行く生徒達に、それに関する授業をする予定であった。
しかし急遽、一時間目の予定を変更して歴史の授業となったのである。
授業の内容はルシファーが禁書庫で発見した歴史書に記されていた、闇に葬られた淫魔族の真実。
乳児期から慣れ親しんだ友人達の突然の退学にショックを受けた生徒達に告げられた更なる衝撃は、計り知れないものである。
「……ふざけないで下さい! 何を言っているんですか先生!」
立ち上がって抗議の声を上げたのは、ギルバートである。
「ロイド達に治療を受けさせず退学させたことといい、最近貴方はおかしいですよ!」
「そうだな。当然そういう意見もあろう。そこでお前達に尋ねたい。先程の俺の授業、お前達は真実だと思うか? 出鱈目だと思うか?」
「出鱈目に決まっています!」
ギルバートが机を叩き、改めて強い口調で断言する。
だがそこに反論したのはジークである。
「僕は本当だと思う。ルシファー先生が言うのだから、きっとそれが正しいはずだ」
「私も本当だと思います。先生の話には説得力がありました」
ジークとヒルダは、ルシファーの授業を支持。
「ルーシャ、君は?」
「あたしは……ギルの側につくよ」
ルーシャに尋ねるギルバートの声は、強気の中にどこか恐る恐るといった調子が含まれていた。ルーシャの返答を聞いて、ギルバートは少し緊張が解ける。
「これで両意見二人ずつか。リリム、お前はどうする?」
全員の視線が、リリムに集まる。多数決ならば、この一票が勝負を決するのだ。
「ボクは……ボク、わかんないよ!」
「なるほど、ではリリムは中立ということでいいな。ではこれより、脱衣ディベートを行う」
突如それぞれの席の位置が自動で変わり、ロイド&ヒルダの肯定組、ギルバート&ルーシャの否定組が一定の間を開けて向き合う形で配置される。ルシファーはその中間奥の議長席に腰を下ろし、その隣にはリリムが座らされた。
「これは一体……まさか俺達はいつの間にか先生の領域に召喚されていたのか!?」
「ご名答だ。鋭いなギルバート。ではルールを説明しよう。ロイドとヒルダは先程の授業は真実であるという立場で、ギルバートとルーシャは先程の授業は出鱈目であるという立場で討論を行ってもらう。そしてペアの男女の両方が相手側の主張を正しいと思った時、そのペアの女子の服が自動で脱げるようになっている。どちらか一方の女子が全裸になった時点で、討論は終了だ。脱ぐ部位はトップス、ボトムス、ブラジャー、ショーツの四ケ所。四回脱がされた時点で全裸となる。なおリリムは今回不参加となり、発言権は無く討論を傍観してもらうことになる。それでは諸君、ゲーム開始だ」
突然のことに戸惑いを隠せぬ一同であったが、今はとにかくやらねばどうにもならない。まず最初に発言したのは、やはりギルバート。
「皆常識的に考えてみろ。お前達は今までに一体何を学んだ? たった今突然言い出したことと、これまで学んで来た常識、どちらが正しいかなんて考えなくてもわかるだろ」
「でもルシファー先生の言うことだよ。魔界の歴史をその目で見てきた人が言うのだから……」
「ジーク、お前はルシファー先生を尊敬しすぎるあまり変に神格化するきらいがある。先生はそこまで全能ではないし、そもそも先生は生きてきた八百年の多くを人間界で過ごしてきんだ。魔界の歴史をそこまで沢山見てはいない。だから先生の言うことだからって何でも鵜呑みにすべきじゃないんだ」
ギルバートの意見は尤もである。実際ルシファーがこれを知ったのはあくまでも本で読んでのことだ。直接その目で歴史の瞬間を見てきたわけではない。
ジークとヒルダもそれには納得したようで、途端にヒルダのブレザーとブラウスが破れて消えた。
「あ、嘘……」
魔界に咲く花の刺繍が施された純白のブラジャーを曝け出されて、ヒルダは口元を手で押さえる。
「ヒルダ!」
「大丈夫。服が破れただけで体は何も痛くないから。確かに先生の言うことを何でも鵜呑みにしてはいけないというのはギルバート君の言うとおり。でも私は、淫魔には恋愛感情が無いという常識を疑わしく思っているわ。だって私は恋愛小説を読むのが好きで、その感情にとても興味があるもの」
「そんなものは所詮フィクションだ。それを好きだからといって、我々淫魔に恋愛感情がある根拠にはならない」
「いや、ヒルダの言うとおりだ。僕は淫魔学校の歴史について調べたことがあるんだけど、どの世代の学生にも無能病に罹り退学もしくは治療を受けた生徒が最低一人はいた。そこから考えるに、淫魔が恋をすることは決して珍しいことではないんだ」
「そ、そんな話……出鱈目だ!」
「ちゃんと根拠はある。何なら図書室に行ってみるといい」
ヒルダの援護を受けて強気に出るジークに、一転してギルバートがたじろいだ。そこでヒルダが、更なる援護をかける。
「メイちゃんはともかくとしても、ロイド君は性行為中に無能病らしい言動は見られなかった。きっと過去の生徒達にもそうやって無能病を上手く隠していた生徒はいたと思う。無能病を隠しきったまま卒業できた生徒も、きっといたはず」
「所詮推論だ。単なる想像の域を出な……」
ギルバートがそう言い終える前に、ルーシャが「うわっ」と声を上げた。ルーシャの改造ブレザーが、破れて消えたのである。元から丸出しのブラジャーは、黒のシースルー生地で乳首が透けて見えるデザイン。
「ルーシャさんの服が脱げたということは、ルーシャさんもギルバートもヒルダの言うことを正しいと思ったということだよね」
「……まあ、そういうことになるな」
「ごめんギル」
「思ってしまった以上は仕方がない。それよりもお前は何か発言しろ」
「う、うん」
ここまで沈黙を続けていたルーシャだったがギルバートに言われて立ち上がり、ここまで考えていた話を発表することにした。
「もしも本当に淫魔に恋愛感情があるのだとしたら、人間界帰りの大人達にも、恋人関係の淫魔が沢山いてもおかしくないよな? でも実際はそういう話は全く聞かない。それが淫魔に恋愛感情は無いことの根拠なんじゃないか?」
「いや、そうとも言い切れない。人間界帰りは皆眷属の人間達を飼っているものだ。去年に皆で人間界帰りの屋敷に見学に行ったことがあっただろう? その人間界帰りは、眷属である人間の青年をとても大切にしていた。もしかしたらそれは、眷属の人間に恋をしていたことになるんじゃないかな。彼女は既に恋人がいるのだから、淫魔同士で恋をする必要が無かったんだ。他にもそういう人間界帰りはいるはずだ」
「ありえない! 人間は魔族の敵なんだぞ!」
「それに淫魔の眷属になるのは人間だけではありません。眷属にするという名目で恋人関係の淫魔と共に暮らしている淫魔もいるのではないでしょうか。ジーク君が言ったのとは別の屋敷で、メイドとして働いていた眷属サキュバスがいましたよね。彼女もまた、主であるインキュバスからとても可愛がられていたわ」
「そんなこと……」
否定しようと思うギルバートだったが、去年の社会科見学で見た光景が思い起こされ否定感情を否定してくる。そしてルーシャの短すぎるスカートが破れて消えて、シースルー生地にTバックの黒ショーツが露となった。
「ギ、ギル……」
「お前のせいじゃない。あくまでこのゲームでは二人とも相手の主張を肯定してしまったら服が脱げるんだ。俺にも責任はある」
ギルバートは人差し指で眼鏡を押し上げる。
「ジーク、ヒルダ、確かにお前達の話は筋が通っている。だがさっきの先生の授業には、致命的な疑問点があった。先生は決してありえるはずのないことを、言っていたんだ」
(ほう、聞かせて貰おうか)
議長席のルシファーは、興味深そうに耳を傾ける。
「あの授業の内容に沿うならば、俺達淫魔は与えられた役割をまともに果たすこともできない欠陥種族ということになってしまう! 偉大なるサタン一世様が、そんな失敗を犯すはずがない!!」
ギルバートが机を叩き力強く声を荒げて言うと、次の瞬間にはヒルダのロングスカートが破れて消えていた。花柄の刺繍をあしらった清楚な純白のショーツを露にさせられたヒルダは、呆気に取られたように口を開けていた。
魔界の創造主たるサタン一世。その名を出されては、ジークもヒルダも何も言い返すことはできなかった。
その能力は敵を骨抜きにして無力化させたり、諜報や工作に活用される。
だがこの淫魔という種族が任務を果たす上で、ある問題が存在した。
恋をした淫魔、とりわけ明確な恋人・夫婦関係のパートナーがいる淫魔は本来の目的である人間との性行為を拒む傾向があるのである。
勿論それは淫魔のみならず、パートナーを大切にする価値観を持った大抵の種族には共通することだ。
様々な魔族を創造したサタン一世はごく当たり前に淫魔にもその感情を持たせたが、結果としてそれが任務に支障をきたすことになってしまったのである。
そうしたことを受けてサタン二世の時代に作られたのが、無能病の概念であった。
いかに創造主といえど、一度作り出した種の性質を作り変えることはできない。そこでサタン一世初め魔界上層部が行ったのが、洗脳に近い思想教育であった。
淫魔には恋愛感情は存在しない。もしも恋をしたとしたら、それは病気だ。淫魔は人間と性行為をしなければ生きられない生物であり、淫魔同士の性行為は推奨されない。そういうことにしたのである。
夫婦関係や恋人関係にある淫魔はその関係を引き裂かれ、逆らう者には厳罰が処され時には粛清も行われた。
やがて淫魔がかつては当たり前に恋をしていたことが秘匿されるようになり、世代交代が進んだことで最早そのことを知る者は誰もいなくなった。
為政者の都合によって歪められた現実を、誰もが何の疑いも持つことなく当たり前の常識として信じている時代だ。
サタン五世の即位に伴い淫魔以外の全ての魔族が人間界に行くことを禁じられても、淫魔だけはその例外となった。大魔王でさえかつての淫魔の姿を知らなかったのだ。
淫魔族の平均寿命が著しく低下したことも、世代交代による思想統制に追い風であった。
実は本来淫魔が最も大きな魔力を得られるのは、愛し合う相手の性行為であった。だが愛し合うことそのものを禁じられ自分達が愛し合えるとも思っていない淫魔達は、非効率な魔力の供給を続け種族全体が著しく弱体化することとなったのである。
「……以上が、我々淫魔族の真実だ。無能病などという病気は存在しない。ロイドとメイアが持った恋愛感情は、本来淫魔も当たり前に持っているものなのだ」
ロイドとメイアの退学が公表された日。本日は半年に一度人間界へのゲートが開く日であり、半年後にそれを通って人間界に行く生徒達に、それに関する授業をする予定であった。
しかし急遽、一時間目の予定を変更して歴史の授業となったのである。
授業の内容はルシファーが禁書庫で発見した歴史書に記されていた、闇に葬られた淫魔族の真実。
乳児期から慣れ親しんだ友人達の突然の退学にショックを受けた生徒達に告げられた更なる衝撃は、計り知れないものである。
「……ふざけないで下さい! 何を言っているんですか先生!」
立ち上がって抗議の声を上げたのは、ギルバートである。
「ロイド達に治療を受けさせず退学させたことといい、最近貴方はおかしいですよ!」
「そうだな。当然そういう意見もあろう。そこでお前達に尋ねたい。先程の俺の授業、お前達は真実だと思うか? 出鱈目だと思うか?」
「出鱈目に決まっています!」
ギルバートが机を叩き、改めて強い口調で断言する。
だがそこに反論したのはジークである。
「僕は本当だと思う。ルシファー先生が言うのだから、きっとそれが正しいはずだ」
「私も本当だと思います。先生の話には説得力がありました」
ジークとヒルダは、ルシファーの授業を支持。
「ルーシャ、君は?」
「あたしは……ギルの側につくよ」
ルーシャに尋ねるギルバートの声は、強気の中にどこか恐る恐るといった調子が含まれていた。ルーシャの返答を聞いて、ギルバートは少し緊張が解ける。
「これで両意見二人ずつか。リリム、お前はどうする?」
全員の視線が、リリムに集まる。多数決ならば、この一票が勝負を決するのだ。
「ボクは……ボク、わかんないよ!」
「なるほど、ではリリムは中立ということでいいな。ではこれより、脱衣ディベートを行う」
突如それぞれの席の位置が自動で変わり、ロイド&ヒルダの肯定組、ギルバート&ルーシャの否定組が一定の間を開けて向き合う形で配置される。ルシファーはその中間奥の議長席に腰を下ろし、その隣にはリリムが座らされた。
「これは一体……まさか俺達はいつの間にか先生の領域に召喚されていたのか!?」
「ご名答だ。鋭いなギルバート。ではルールを説明しよう。ロイドとヒルダは先程の授業は真実であるという立場で、ギルバートとルーシャは先程の授業は出鱈目であるという立場で討論を行ってもらう。そしてペアの男女の両方が相手側の主張を正しいと思った時、そのペアの女子の服が自動で脱げるようになっている。どちらか一方の女子が全裸になった時点で、討論は終了だ。脱ぐ部位はトップス、ボトムス、ブラジャー、ショーツの四ケ所。四回脱がされた時点で全裸となる。なおリリムは今回不参加となり、発言権は無く討論を傍観してもらうことになる。それでは諸君、ゲーム開始だ」
突然のことに戸惑いを隠せぬ一同であったが、今はとにかくやらねばどうにもならない。まず最初に発言したのは、やはりギルバート。
「皆常識的に考えてみろ。お前達は今までに一体何を学んだ? たった今突然言い出したことと、これまで学んで来た常識、どちらが正しいかなんて考えなくてもわかるだろ」
「でもルシファー先生の言うことだよ。魔界の歴史をその目で見てきた人が言うのだから……」
「ジーク、お前はルシファー先生を尊敬しすぎるあまり変に神格化するきらいがある。先生はそこまで全能ではないし、そもそも先生は生きてきた八百年の多くを人間界で過ごしてきんだ。魔界の歴史をそこまで沢山見てはいない。だから先生の言うことだからって何でも鵜呑みにすべきじゃないんだ」
ギルバートの意見は尤もである。実際ルシファーがこれを知ったのはあくまでも本で読んでのことだ。直接その目で歴史の瞬間を見てきたわけではない。
ジークとヒルダもそれには納得したようで、途端にヒルダのブレザーとブラウスが破れて消えた。
「あ、嘘……」
魔界に咲く花の刺繍が施された純白のブラジャーを曝け出されて、ヒルダは口元を手で押さえる。
「ヒルダ!」
「大丈夫。服が破れただけで体は何も痛くないから。確かに先生の言うことを何でも鵜呑みにしてはいけないというのはギルバート君の言うとおり。でも私は、淫魔には恋愛感情が無いという常識を疑わしく思っているわ。だって私は恋愛小説を読むのが好きで、その感情にとても興味があるもの」
「そんなものは所詮フィクションだ。それを好きだからといって、我々淫魔に恋愛感情がある根拠にはならない」
「いや、ヒルダの言うとおりだ。僕は淫魔学校の歴史について調べたことがあるんだけど、どの世代の学生にも無能病に罹り退学もしくは治療を受けた生徒が最低一人はいた。そこから考えるに、淫魔が恋をすることは決して珍しいことではないんだ」
「そ、そんな話……出鱈目だ!」
「ちゃんと根拠はある。何なら図書室に行ってみるといい」
ヒルダの援護を受けて強気に出るジークに、一転してギルバートがたじろいだ。そこでヒルダが、更なる援護をかける。
「メイちゃんはともかくとしても、ロイド君は性行為中に無能病らしい言動は見られなかった。きっと過去の生徒達にもそうやって無能病を上手く隠していた生徒はいたと思う。無能病を隠しきったまま卒業できた生徒も、きっといたはず」
「所詮推論だ。単なる想像の域を出な……」
ギルバートがそう言い終える前に、ルーシャが「うわっ」と声を上げた。ルーシャの改造ブレザーが、破れて消えたのである。元から丸出しのブラジャーは、黒のシースルー生地で乳首が透けて見えるデザイン。
「ルーシャさんの服が脱げたということは、ルーシャさんもギルバートもヒルダの言うことを正しいと思ったということだよね」
「……まあ、そういうことになるな」
「ごめんギル」
「思ってしまった以上は仕方がない。それよりもお前は何か発言しろ」
「う、うん」
ここまで沈黙を続けていたルーシャだったがギルバートに言われて立ち上がり、ここまで考えていた話を発表することにした。
「もしも本当に淫魔に恋愛感情があるのだとしたら、人間界帰りの大人達にも、恋人関係の淫魔が沢山いてもおかしくないよな? でも実際はそういう話は全く聞かない。それが淫魔に恋愛感情は無いことの根拠なんじゃないか?」
「いや、そうとも言い切れない。人間界帰りは皆眷属の人間達を飼っているものだ。去年に皆で人間界帰りの屋敷に見学に行ったことがあっただろう? その人間界帰りは、眷属である人間の青年をとても大切にしていた。もしかしたらそれは、眷属の人間に恋をしていたことになるんじゃないかな。彼女は既に恋人がいるのだから、淫魔同士で恋をする必要が無かったんだ。他にもそういう人間界帰りはいるはずだ」
「ありえない! 人間は魔族の敵なんだぞ!」
「それに淫魔の眷属になるのは人間だけではありません。眷属にするという名目で恋人関係の淫魔と共に暮らしている淫魔もいるのではないでしょうか。ジーク君が言ったのとは別の屋敷で、メイドとして働いていた眷属サキュバスがいましたよね。彼女もまた、主であるインキュバスからとても可愛がられていたわ」
「そんなこと……」
否定しようと思うギルバートだったが、去年の社会科見学で見た光景が思い起こされ否定感情を否定してくる。そしてルーシャの短すぎるスカートが破れて消えて、シースルー生地にTバックの黒ショーツが露となった。
「ギ、ギル……」
「お前のせいじゃない。あくまでこのゲームでは二人とも相手の主張を肯定してしまったら服が脱げるんだ。俺にも責任はある」
ギルバートは人差し指で眼鏡を押し上げる。
「ジーク、ヒルダ、確かにお前達の話は筋が通っている。だがさっきの先生の授業には、致命的な疑問点があった。先生は決してありえるはずのないことを、言っていたんだ」
(ほう、聞かせて貰おうか)
議長席のルシファーは、興味深そうに耳を傾ける。
「あの授業の内容に沿うならば、俺達淫魔は与えられた役割をまともに果たすこともできない欠陥種族ということになってしまう! 偉大なるサタン一世様が、そんな失敗を犯すはずがない!!」
ギルバートが机を叩き力強く声を荒げて言うと、次の瞬間にはヒルダのロングスカートが破れて消えていた。花柄の刺繍をあしらった清楚な純白のショーツを露にさせられたヒルダは、呆気に取られたように口を開けていた。
魔界の創造主たるサタン一世。その名を出されては、ジークもヒルダも何も言い返すことはできなかった。
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