脱衣ゲームでカップル成立 ~史上最強の淫魔、光堕ちしてキューピッドになる~

平良野アロウ

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第四章

第119話 嘘つきは脱がされる婚活パーティ・4

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 六番目のお題が終わった段階で、服が三枚残っているのは斉木一人。戸塚と沖田は二枚残っており、筧、栗本、高田は既に上半身裸にされあと一枚脱げば全裸である。

「さて、では次のお題です。貴方が結婚相手を選ぶ上で最も重要視する条件をお書き下さい」

 また答えにくいお題に、一同は考え込む。中でも顔を青くしているのは栗本だ。

(ヤバ……これ金が正解になっちゃうやつ……)

 真実を隠して全裸になるか、正直に書いて白い目で見られるかの選択を迫られて変な汗が出た。
 やはり少々時間をかけながらも書き終えたそれぞれの回答は。

斉木光男:見た目がタイプ
筧仁助:自分を好いてくれる
戸塚修一郎:料理上手
沖田春:誠実さ
栗本典可:高収入
高田葉月:優しい人

 悩んだ栗本は、結局正直に書くことを選択。同じく開き直ったような回答もあれば、露骨に異性受けの良さそうな回答もあり。一つ一つ目を通したルシファーは、穏やかな微笑み。

「さて、では今回の嘘つきの人数は……三名ですね。さて、一体誰が嘘をついているのでしょう」

 あえて正解を出すのを引っ張ると、参加者一同は目を泳がせた。

「嘘つきは……筧さん、栗本さん、高田さんです」
「えっ」

 声を上げたのは、本人は正直に書いたつもりであった栗本である。

「さあさあ脱いで下さい。おや、そういえば三人ともこれで全裸ですね」
「ま、待って。その前に真実を教えて。私正直に書いたつもりだったんだけど」
「構いませんよ。筧さんと高田さんは如何いたします?」
「……では私も」
「同じく……」

 結局皆公表を選ぶ。先に選んだ人につられてというのも勿論あるが、隠し続けるデメリットを考えれば妥当といえるだろう。

「では、発表致します」

 筧は「セックスが上手い」で、高田は「高収入で専業主婦させてくれる人」に書き換わる。そして本人が一番気になっていた栗本はといえば「体の相性」となった。

「ああー……そっち」

 実は心の奥底では高収入以上にそれを求めていた栗本は、いざそれを言葉にされてすっきりと腑に落ちた。とはいえ、これはこれでスケベな女だと認識されるのであまり良い気はしなかったが。

(まあ、スケベな女なんだけど)

 とりあえずそれなりに経験豊富な方だし、気になっている彼の求める条件は満たしていると思っている。

 そして、実は結婚相手に高収入を求めていたのはこちらであった高田。彼女はとても気まずそうに目を泳がせ、胸を隠していたフリップは膝の上まで下がって小ぶりな胸と綺麗なピンクの乳首が丸見えに。

「えっと……これは、その……」
「はい、ではお三方は最後の一枚を脱いで下さい」

 高田が弁明しようとしたところで、ルシファーが脱衣を促し全員のフリップが消滅。だが皆躊躇ってなかなか脱ごうとしないのは、致し方ないことだ。
 そんな中で、最初に動いたのは筧である。

「では、ここは男の私から。お目汚し失礼します」

 立ち上がった筧はボクサーパンツを下ろして、女性陣の見ている前で勃ち上がったものを露出させ座り直す。ガン見してくる栗本の視線に気が付くと、申し訳程度に両手を当ててそれを隠した。栗本の笑みがこぼれたのを、ルシファーは見逃さない。

(やっぱ陰毛濃い! それにちんこの形めっちゃ好み! これ絶対相性いいやつ!)

 興奮に乗じて、栗本は挙手。

「じゃあ次、私脱ぎます」

 栗本は男性陣に背を向けて立ち上がると、お尻を突き出し気味の姿勢でTバックショーツの両サイドに指をかけて一気に下ろす。前を隠すためにした自然な動きに見せかけて、お尻好きの筧につるんとした大きめのヒップをアピールする算段だ。
 太腿の内側を合わせるようにして脚はぴったり閉じて本当に恥ずかしい部分はギリギリ見えないくらいにしながらショーツを脚から抜き、脱衣完了。右腕を胸に、左手を股間に当てて正面を向き座り直した。
 男性の濃い陰毛にフェチを感じているという栗本だが、彼女自身も陰毛は濃い方であり掌の両サイドからはみ出ている。筧は手で直に触れている自分の性器が脈動するのを感じた。

(ちょっとアナル見えた……)

 お尻を突き出した姿勢をしているのがあだとなり、栗本本人は隠しきったつもりでもそっちの穴は少し見られてしまっていたようである。

 そして、最後に残された高田。皆脱いだのだから脱がなければいけない空気に押されて、眼鏡の奥の瞳を濡らしながら立ち上がる。正面を向いたまま何も隠さず、やけっぱちでショーツを下ろした。
 長方形の狭い範囲に整えられた下の毛を男性陣に思いっきり見られて顔を真っ赤にし身をプルプル震わせながら、栗本と同じように手で局部を隠して椅子に腰を下ろした。

「あ、あのですね。さっきの話の続きなのですが。私は今、実家暮らしで家事手伝いをしながら小説を書く生活を送っているんですが、親からの就職しろという圧が結構強くて……それでどうせなら素敵な男性のところに永久就職した上で今と近い生活スタイルを維持できたらなーと思ってまして……自分勝手ですよね、すみません」
「あの、高田さん? 俺、こう見えて稼ぎいいんですよ」

 羞恥心と焦燥感でしどろもどろになりながら言う高田に話しかけるのは、高田のことが気になっている戸塚だ。高田は彼の方に視線を向けるが、すると自然と彼の股間が視界に入る。先程見てしまった筧のそれより明らかに大きいと下着越しでもわかる、立派な代物だ。

「専業主婦、大歓迎です。バッチリ養いますよ」
「あ、では丁度良いので次のお題は皆さんのお勤め先ということにしましょう」

 突然ルシファーが口を挟む。内容的には序盤にやった職業を書くお題と被り気味だが、これで本当に高収入かどうかはっきりさせておこうという魂胆は皆理解していた。
 今回は皆書くのが早く、あっという間に終わった。

斉木光男:アルソル化学
筧仁助:富岡コーポレーション
戸塚修一郎:ロイヤル建設
沖田春:県立綿環高校
栗本典可:デパートコロン綿環店
高田葉月:なし

 相変わらず一人無職の高田は肩身が狭い。初め「自宅」と書こうと思った高田であるが、万が一嘘と認定される可能性があるのでやめておいた。こういう状況において既に全裸の状態でペナルティを受けるとしたら何をされるか、セオリーに則ればおのずと予想がつく。
 なお、実際はAVとかとは違って既に全裸の人が嘘をついてもこれといったペナルティは無かったりする。
 そして何より注目すべきは、男性陣の回答。理系、文系、体育会系とジャンルの異なる県内トップレベルの名だたる企業が三つ並んでいるのだ。

「はい、今回は全員正直者です! 流石にこれを詐称する方はいなかったようですねー」

 そして彼らの勤め先が真実であることに、ルシファーのお墨付きが出た。
 婚活パーティ参加者の中から上澄みだけを集めてきたルシファー。実は男性陣に関しては、容姿だけでなく収入においてもそうなのである。

「さて、では次で最後のお題と致しましょう」

 雑談タイムを挟まず、すぐに次のお題が始まる。その内容は。

「ズバリ、異性三名の中で貴方が最も結婚したい相手の番号をお書き下さい」

 このゲームを締めくくるに相応しいお題が言い渡され、フリップが現れると六人は迷わずペンを動かし始めた。
 そしてそれぞれの書いた番号、並びにその番号の示す相手は。

斉木光男:4(沖田春)
筧仁助:5(栗本典可)
戸塚修一郎:6(高田葉月)
沖田春:1(斉木光男)
栗本典可:2(筧仁助)
高田葉月:3(戸塚修一郎)

 全員バラバラ、かつ自分と向き合って座る相手を選択。ニヤリとするルシファーの顔を、ティアラが見上げた。

(まさか、最初からこの組み合わせでカップル成立することを見越して……)
「カップル三組成立、おめでとうございまーす!」

 ティアラの想像の正しさを証明するように、ルシファーは満天の笑顔で三組を祝福。
 女性陣の中で唯一全裸になっていない沖田と、参加者全員の中で最も多く服を残している斉木。この二人はいずれも自分自身が答えを分からなかったもの以外全て正直に回答していた。
 沖田が結婚相手を選ぶ上で最も重要視する条件に「誠実さ」と書いたことに、斉木はバッチリ該当している。そして腹筋フェチの斉木にとっても、沖田はストライクゾーンど真ん中なのである。

「えーと……斉木さん。とりあえず、よろしくお願いします」
「こちらこそ、よろしくお願いします」

 ぎこちない調子で、お互い頭を下げる沖田と斉木。実はどちらも男女交際の経験無し。二十九と三十の、初々しいカップルの誕生である。

 続いて全裸同士の筧と栗本。お互いの裸体をじろじろと見ながら同じように頭を下げる。

「栗本さんに選んで頂けて光栄です」
「ええ、いいお付き合いにしましょう」

 丁寧な挨拶を交わしているようで、実のところ既に二人ともセックスのことばかり考えていた。この人が相手なら夜の生活は大変満足できると、確信していたのだ。

 そして、やはり戸塚は高田の裸体にばかり視線が向いている。対する高田は、恥じらいと申し訳なさで目を泳がせていた。

「あの、戸塚さん。本当に私でよかったんですか? こんな貧相な身体で、しかも無職の……」
「高田さんのような綺麗な方と結婚できるだけで俺はハッピーです!」

 キラリと歯を光らせてサムズアップする戸塚。
 そうして三組とも良い感じに結ばれて、全員に天使の加護を付与して帰した。

 沢山いる婚活パーティ参加者の中から相性の良い組み合わせを瞬時に見抜き、ゲーム形式で誘導し見事カップル成立まで漕ぎ着けた。そのルシファーの手腕に、ティアラは感心するばかり。

「凄い……元淫魔とは思えない……」
「先生は凄いんだよ! フフン!」

 本人に代わって得意げになるリリムを、ルシファーは呆れて見ていた。

「あの、ルシファーさん、さっきは疑って申し訳ありませんでした」
「構わないさ。そういう反応をするのが当たり前だ。俺のような奴が信用される方がおかしい」
「いえそんな。今日はとても勉強になりました。これからもっと精進して、貴方のように沢山カップルを成立させてみせます!」
「こちらこそ、本物のキューピッドと関わることができてよかった。君も彼氏とお幸せにな」

 ルシファーはそう言って別れを告げ、愛天使領域キューピッドゾーンを解除する。
 ティアラは司会者の仕事を再開し、ルシファーの成立させたカップル三組はいずれも会場内で二人楽しげに会話を弾ませている。
 姿を消してこっそりと見守るルシファーとリリムは、穏やかな表情を浮かべていた。

「よかったね沖田先生。やっと彼氏ができたんだね」
「これで俺も肩の荷が一つ降りたな。当初の目的とは違ったが、こうしてここに来て良かったと思うよ。さあリリム、そろそろ俺達も帰ろうか。明日は学校で脱衣ゲーム開催だからな
「はーい」
「今校内で一つ面倒な案件が起こってる。大事になる前に俺達の手で穏便に解決させるんだ。早速準備にとりかかるぞ」
「りょーかい!」

 翼を広げて飛び立つルシファーとリリム。上空まで来たところでふとリリムはあることを思い立ち、スマートフォンを取り出した。が、ルシファーに即刻スマホを取り上げられる。

「おい馬鹿飛びスマホはやめろ」
「えー? いいじゃん歩きスマホと違って何かにぶつかったりするわけでもないんだしー」
「落っことして壊しても知らんぞ。まったく世話が焼ける」
「沖田先生に彼氏ができたこと、みんなに伝えたかったのにー」
「帰ってからにしろ」

 ルシファーがスマホを自分のポケットに入れると、リリムはあざとく頬を膨らませた。
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