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第四章
第112話 ロリ巨乳サキュバスと青姦&野ション
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戦闘訓練の授業。戦闘には不向きな種族である淫魔だが、人間界に出れば当然戦わざるを得ない状況もある。淫魔学校では、幼年学校ではやらなかった本格的な戦闘訓練を授業で行うようになるのだ。
屋外の運動場に出たら、真っ先にすべきことがある。
「大魔王サタン四世陛下に、敬礼!!」
校舎の屋根よりも高く聳え立つ魔界の君主の像に、敬礼を捧げることである。
魔界の始祖たるサタン一世の直系四代目にして、現大魔王であるサタン四世。彼がどれほど偉大であるかは、幼年学校の頃から嫌という程聞かされてきた。彼を崇め讃え敬うのは、魔界の住民であるならば当然であったのだ。
敬礼を終えて運動場に整列した生徒一同を、ギガンティスはじろじろと見る。
「さて、今日はこの俺が実戦的な戦い方を教えてやろう。そのためには敵の役が必要なわけだが……ルシファー、お前にやって貰おう。丁度見た目も似ていることだしな」
小粋なジョークを飛ばすと、生徒達の中から聞こえる微かな笑い声。ルシファーが皆から信頼と評価を獲得しても、皆のこの翼に対する悪感情が完全に消えたわけではないことはルシファー自身認知していた。
ルシファーが抵抗せずに前に出ると、近づいた瞬間ギガンティスは合図も無く顔面に拳を打つ。
「と、このように不意打ちは有効だ。我々淫魔は戦闘種族の連中と違って単純な戦闘能力は低いからな。正々堂々まともに戦って勝とうなどとは思わないことだ」
どや顔でそう言うギガンティスだったがルシファーが倒れずに踏ん張ったことが気に入らなかったようで、鼻血を拭いながらぎらついた目で睨むルシファーの腹にもう一発拳を入れた。
「おい、ちゃんと倒れとけ。授業になんないだろ。仰向けでな」
ルシファーは渋々従い、仰向けで地面に寝転がった。
「敵との戦いは生きるか死ぬかだ。一切容赦はするな。敵に情を向ければ自分は死んでいると思え。まずは敵の心を折れ。徹底的に叩き潰し、尊厳を蹂躙し、敵の全てを否定するのだ」
ルシファーは青空を見上げながら、ギガンティスの得意げな声を耳に入れる。腐っても人間界から生きて帰った男だ。この話にはある程度の聴く価値があると思った。
「有効なのは敵の大切にしているもの、誇りにしているものを破壊することだ。たとえば顔が自慢の奴なら――」
ルシファーの視界が急に暗くなったかと思うと、眼前に迫る靴の裏。
「こうだ!」
グシャ、と嫌な音が自分の顔からして、痛みと不快感が襲ってくる。ギガンティスが足を上げて明るくなった視界は、土や自分の血でぼやけていた。
「これで勝ったと思って油断するなよ? きちんととどめを刺せ」
そしてもう一発、顔面への踏みつけ。一度足を上げたのは、醜く鼻が潰れたルシファーの顔を他の生徒に見せるためであることは明白だった。
「わかったか生徒諸君。そうだな……せっかくだから俺が人間界でエクソシストをやっつけた話をしてやろう」
足をどけたギガンティスはルシファーが万が一起き上がってもすぐに反撃を受けることのない位置まで移動し、負傷したルシファーを放置したまま自慢話を開始。
青ざめた顔をした生徒達の耳に入るのはその自慢話よりも、ヒューヒューという苦しそうなルシファーの呼吸音であった。
授業後の休み時間、ルシファーは顔に包帯を巻かれ保健室のベッドに寝かされていた。
包帯の隙間から天井を見上げていると、引き戸を開く音。あまり頭部を動かしたくないルシファーは姿勢を変えなかったが、誰が入ってきたのかはすぐにわかった。
「ほんっと惨めねぇ。自慢の顔がぐっちゃぐちゃ」
キンキン声で煽ってくるのは、お馴染みのいじめっ子だ。
ルシファーの顔のすぐ横に腰を下ろしたリリスは、じとっと目を細めてルシファーを見下ろす。
「あんた、何で避けなかったの? あんな踏みつけあんたなら余裕だったでしょ」
そう尋ねられたものの、今のルシファーには言葉を発することができない。それを知ってか知らずかリリスが苛立ち始めた瞬間、ルシファーは上を向いたまま手だけをリリスの尻へと伸ばしスカートを掴んだ。
「え? ちょ、何すん……」
不意を突かれたリリスはあっという間に布団の中に引きずり込まれ、気が付けばルシファーの腕に抱かれていた。無言で脱がせてくるルシファーに少々恐怖を感じつつも、どこか悪い気はしなかった。
事が終わっていつものように完敗したリリスが大股開きでベッドに寝転がり股の間からルシファーの精液を溢れさせている中、ルシファーは相変わらずピンピンしており起き上がって顔の包帯を外していた。手近にある鏡の前まで行き、顔の傷の治り具合を確認する。
「不細工な面だ。この程度じゃ完治しないか」
リリスとたっぷり行為をして魔力を回復させ、痛みは完全に引いたし言葉も話せるようになった。しかし顔にはまだ大きな傷痕が残っており、完治まではまだまだ時間がかかる様子だ。
「悪かったな、さっきまではまともに声が出なかったんだ。無言でされるのは嫌だっただろ」
「べ、別に……あんたが回復のためにしようとしてたのはわかってたし……」
「何だ、随分としおらしいな。てっきりお前のことだからありえないとか散々罵った上で、このキモい羽には今の顔の方が似合うとでも言ってくるかと思ってたが」
「私を何だと思ってるのよ。それよりさっきの質問」
「ああ、避けられなかったよ。あのオッサン、言動が小物臭すぎて皆には馬鹿にされてるが俺達が思ってるよりずっと強い。あの自慢話がどこまで本当かはわからないが、少なくともあいつが人間界から生きて帰ってきたことだけは本当だからな。沢山の修羅場を潜り抜けてきて、それだけの強さを得てきたんだろう。俺達のような子供が、戦って勝てる相手じゃない」
「あんた、本当にそれでいいの? このままやられっぱなしで……」
「別にこういうのには慣れてる。俺を虐めてくるのがお前からあいつに変わっただけだ」
そう言われて、ふと胸に刺さるものを感じたリリス。だがルシファーはリリスの微妙な表情の変化には気付きもせず、さっさと服を着ると会話を切り上げすたすたと教室に戻っていってしまった。
一見すると抗うのを諦めてこの状況に甘んじるつもりに感じられるルシファーの言葉。しかしリリスは、二枚の黒翼を携えたルシファーの背中に恨みの炎が立ち上がるかのような感覚を空目した。
ルシファーの心に宿るのは、一つの決意だ。
(敵に情を向けるな。徹底的に叩き潰せ。尊厳を蹂躙しろ。敵の全てを否定しろ……しかと学習させて貰ったぜ、ギガンティス先生……)
ルシファーの蒼い瞳は決して光を失ってはいない。ただ、未来だけを見据えていたのである。
二年の月日が経った。今年卒業を控えたルシファーはあれからぐんと背が伸び、少年らしさは鳴りを潜めうんと色気を増していた。
だがその反面、担任からの度重なる虐めと暴力により心は日々荒んでいくばかりであった。あんな男の授業など聴く価値が無いとばかりにサボりがちになり、授業には出席する方が珍しい状態。
どうせ真偽の怪しい自慢話と無神経な生徒いじりばかりのくだらない授業だ。それよりも一人で自主的に勉強や訓練をした方が身に入るのである。実際試験の成績は教科実技共に良く、だがそれがギガンティスを腹立たせますます虐めを苛烈にさせている面もあった。
今日もルシファーは、いつもの場所で授業をサボっていた。青空を見上げながら考えることは、いかにしてあの男を懲らしめるかだ。
この二年間、虎視眈々と力を付けてきた。だがそれでも、人間界帰りの大人には全く敵わないというのが現状だ。
唯一ギガンティスを上回っていると自信を持って言えるのは、性行為の技術である。以前リリスにやったようにあの男を皆の前で屈辱的にイキ狂わすというのも考えたが、自分があの男の尻を掘るなどと考えただけで吐き気がする。そもそもそのような状況に持ち込むこと自体、まず戦って勝つに等しい行為が必要となるから普通に考えたら無理も同然だろう。
そこでルシファーが最近始めたのは、魔法の練習であった。指先に魔力で火を灯し、小さな火球を作る。そこに魔力を送り込んで次第に大きくしていくが、ある程度膨らむと形を維持できなくなり消滅した。
戦闘系種族ほど魔力の高くない淫魔は、本来魔法は不得手だ。淫魔領域の中であればある程度強力な魔法を使えるが、そうでなければ若く魔力の低い淫魔が魔法を戦術に組み込むのは難しい。
淫魔学校で行う魔法の授業は、あくまでも淫魔領域で補助的に使用することを前提としたもの。領域外での魔法の使用は想定されていない。向いていない魔法を無理に覚えるくらいなら、性行為でも重要な身体を鍛えた方がいいという教育方針なのだ。
だが身体能力でギガンティスに勝てないと悟ったルシファーは、領域外でも魔法を使えるようにしてギガンティスを出し抜くことを思い付いた。幼年学校教師のウルスラは魔法の名手であり、たとえ領域外であっても非常に優れた魔法を自在に操ることができる。あれができればギガンティス相手でも優位に立てると考えたのだ。
しかし同期の中では飛び抜けて魔力の高いルシファーにおいてさえ、戦闘において有効と言えるまで魔法を強化するのは難しいというのが現状であった。身体能力でも魔法でも、どう足掻いたって人間界帰りの大人には到底及ばない。自分が思っている以上に、復讐を成し遂げるために乗り越えねばならない壁は高い。たかだか同い年のクソガキを懲らしめるのとは、わけが違うのだ。
「あーっ、いたぁ!!」
と、そこで突然聞こえてきたのはたかだか同い年のクソガキの声。
あれからリリスはあまり背は伸びなかったが女性特有の部位の発育は著しく、出るとこは出てて引っ込むところは引っ込んでいるなかなか扇情的なプロポーションに育っていた。
「ちっ、とうとう見つかったか。よくここがわかったな」
「虱潰しに探したのよ! 後はもうここしか残ってなかったもの!」
ルシファーは舌打ちし、リリスからそっぽを向く。去年サボるには絶好の場所を見つけて長らくそこを他の誰にも見つからずに使い続けてきたのだが、とうとうそれも終わりである。
ちなみにその場所とは、校庭に聳え立つ屋根より高いサタン四世像の頭の上。大魔王の頭より高く飛ぶのは不敬であるとして、誰もその高さまで飛んでこないのだ。
「大魔王陛下の上で寝るだなんて、不敬にも程があるわよ!」
「こんな馬鹿でかい自分の像を建てるような奴だ。どうせろくな王様じゃない」
そう言って足をぐりぐりと動かし靴底の土を像に擦り付ける姿を見せられて、リリスは顔を青くした。
「そういう斜めに構えたところ、あんたはカッコいいと思ってやってるんだろうけど無茶苦茶ダサいわよ!」
「そいつはどうも。それよりお前もこっちに来いよ。ここから見下ろすと気持ちいいぜ」
「はぁ!? 何で私までそんな……」
きっぱりと拒否しようとするリリスだったが、寝転がったまま流し目で手招きするルシファーを見ていると無性にそちらに行きたくなる。
少し心が揺らぐと、自然と翼が動いて前進してしまっていた。途端、ルシファーに腕を引かれ大魔王の頭上に足を踏み入れさせられる。
「ちょ、ちょっと!?」
「これでお前も共犯だな」
しっかりと大魔王を足蹴にしているリリスの足元に目線を向け、ルシファーはフッと微笑んだ。
「どうせだから、見下ろすよりもっと気持ちいいことしようぜ」
そう言うとルシファーは、制服のズボンを下ろして下半身を曝け出す。ルシファーは身長だけでなくこちらの発育も大変宜しく、まだ勃っていない状態でさえリリスの精神を揺さぶるには十分すぎる威力を発揮していた。自分から咥えに来たリリスを見て、ルシファーはほくそ笑む。
青空の下ちゅぽちゅぽと音が鳴り響くが、校内にいる他の淫魔は気付かない。まさかあんな場所でしている恐れ知らずがいるとは、誰一人として思わなかったのだ。
程よく硬くなってきたところでルシファーは「そろそろこっちの番だ」と言ってリリスの口から竿を抜くと、期待に満ちた恍惚の表情で見上げるリリスの後ろに回る。
「そこの角に手つけ」
リリスが後ろから攻められるのに弱いことを、ルシファーは熟知している。ルシファーが大魔王像の大きな角を親指で指すと、リリスは迷わず立ち上がってショーツを下ろし、両手を角につきルシファーの方にお尻を突き出した。ルシファーはリリスのスカートを捲り上げ、つるんと褐色に光る臀部を指先で撫でる。
愛撫に反応するように左右に振ってくるお尻をぺちんと叩いて大人しくさせると、左右に開いて恥ずかしい穴をご開帳。褐色の肌に映えるピンクの毛をまず撫で始め、次にきゅっと窄まったお尻の穴。一番気持ちいい所にはなかなか行かず、リリスを焦れさせる。
リリスの吐息が甘くなってきたら、ルシファーは臀部に顔を近づけて舌での愛撫を始めた。舌先が肛門に触れるとびくんと身を痙攣させ、肛門周りを円を描くように舌で撫でれば上擦った声を漏らす。
あえて焦らすような愛撫を暫く続けていると、痺れを切らしたリリスがこっちを舐めろと言わんばかりに腰を突き上げルシファーの舌の位置を強制的に前の割れ目の方に移動させた。
ルシファーはそれに応じて、ようやく彼女の敏感な部分に舌を挿入した。
舌だけで一度リリスを絶頂させたら、次はいよいよ本番だ。こちらもそろそろ挿れたいと、ギンギンに固まった性器が訴えている。
まだ前戯での絶頂が残っているのか、挿入しただけでリリスは一回喘ぐ。それでもルシファーは構わず奥まで挿れて、力強くピストンした。
パンパンと激しい音が空に響いても、やはり校内の淫魔達はそれが大魔王像の上から聞こえてくるなどとは思いもしなかった。
結局今日も、始まってみればルシファーの圧勝。へなへなと力なく座り込むリリスに対し、ルシファーはある程度汗をかきつつも十分な余力を残していた。
「そうだ、せっかくだからな、思いっきり不敬なことしてやろうぜ」
ルシファーはニヤリと口角を上げると、リリスの両の太腿の下に掌を入れて脚を開かせながら抱え持ち上げた。
既にへとへとで抵抗できないリリスは屈辱的なM字開脚の姿勢で抱っこされ恥ずかしがるが、勿論ルシファーがそれだけで終わらせてくれるはずもなく。
「よし、この角にションベンしろ」
それは保育施設時代、保育士に抱えられて放尿させられる時の姿勢。
その冒涜的な行為に、今のリリスは抗うことなどできなかった。魔界全土を統べし偉大なる王の巨角に、温かく黄色い水がかけられる。尿と一緒にリリスの股からは、ルシファーの精液が溢れ出ていた。
やっと落ち着いて服を着直していたリリスは、むすっと頬を膨らませていた。
「もう、信じられない! こんな所でするだなんて……」
「お前も乗り気だったじゃないか。お前ならいつでもここに来ていいぞ。思う存分相手してやる」
「はぁ!? 誰がそんな馬鹿なこと……」
「お前のセックスは上手い。いつか俺に追いつき追い越そうと常に努力し上達していってるのが伝わってくる。だからこそ俺もお前とするのが学びになるんだ。他の女子じゃこうはいかない。お前だけが俺を満足させ、俺を高みに導いてくれる」
「へ、へぇ? えぇ……?」
正面から見つめられながら口説かれて、リリスは服を着る手が止まり困惑するばかり。顔は次第に赤みを増していき、頭の中でぐるぐると感情が渦巻く。
どのインキュバスよりも、そしてどのサキュバスよりも美しい顔に見つめられれば、リリスの中で何かが弾け飛びそうになった。
「ばっ、バカ!!! もう知らない!!!」
溢れる感情が爆発して、まだ中途半端に着る途中のままリリスは捨て台詞と共にその場を飛び立ち逃げ去った。
残されたルシファーは彼女の反応の意図がわからず首を傾げる。その表情は大人びた外見に反して、歳相応の――否、歳以下の幼い少年のようであった。
そして、それからであった。リリスの様子がこれまでとは一変し不審な行動を繰り返すようになったのは。
屋外の運動場に出たら、真っ先にすべきことがある。
「大魔王サタン四世陛下に、敬礼!!」
校舎の屋根よりも高く聳え立つ魔界の君主の像に、敬礼を捧げることである。
魔界の始祖たるサタン一世の直系四代目にして、現大魔王であるサタン四世。彼がどれほど偉大であるかは、幼年学校の頃から嫌という程聞かされてきた。彼を崇め讃え敬うのは、魔界の住民であるならば当然であったのだ。
敬礼を終えて運動場に整列した生徒一同を、ギガンティスはじろじろと見る。
「さて、今日はこの俺が実戦的な戦い方を教えてやろう。そのためには敵の役が必要なわけだが……ルシファー、お前にやって貰おう。丁度見た目も似ていることだしな」
小粋なジョークを飛ばすと、生徒達の中から聞こえる微かな笑い声。ルシファーが皆から信頼と評価を獲得しても、皆のこの翼に対する悪感情が完全に消えたわけではないことはルシファー自身認知していた。
ルシファーが抵抗せずに前に出ると、近づいた瞬間ギガンティスは合図も無く顔面に拳を打つ。
「と、このように不意打ちは有効だ。我々淫魔は戦闘種族の連中と違って単純な戦闘能力は低いからな。正々堂々まともに戦って勝とうなどとは思わないことだ」
どや顔でそう言うギガンティスだったがルシファーが倒れずに踏ん張ったことが気に入らなかったようで、鼻血を拭いながらぎらついた目で睨むルシファーの腹にもう一発拳を入れた。
「おい、ちゃんと倒れとけ。授業になんないだろ。仰向けでな」
ルシファーは渋々従い、仰向けで地面に寝転がった。
「敵との戦いは生きるか死ぬかだ。一切容赦はするな。敵に情を向ければ自分は死んでいると思え。まずは敵の心を折れ。徹底的に叩き潰し、尊厳を蹂躙し、敵の全てを否定するのだ」
ルシファーは青空を見上げながら、ギガンティスの得意げな声を耳に入れる。腐っても人間界から生きて帰った男だ。この話にはある程度の聴く価値があると思った。
「有効なのは敵の大切にしているもの、誇りにしているものを破壊することだ。たとえば顔が自慢の奴なら――」
ルシファーの視界が急に暗くなったかと思うと、眼前に迫る靴の裏。
「こうだ!」
グシャ、と嫌な音が自分の顔からして、痛みと不快感が襲ってくる。ギガンティスが足を上げて明るくなった視界は、土や自分の血でぼやけていた。
「これで勝ったと思って油断するなよ? きちんととどめを刺せ」
そしてもう一発、顔面への踏みつけ。一度足を上げたのは、醜く鼻が潰れたルシファーの顔を他の生徒に見せるためであることは明白だった。
「わかったか生徒諸君。そうだな……せっかくだから俺が人間界でエクソシストをやっつけた話をしてやろう」
足をどけたギガンティスはルシファーが万が一起き上がってもすぐに反撃を受けることのない位置まで移動し、負傷したルシファーを放置したまま自慢話を開始。
青ざめた顔をした生徒達の耳に入るのはその自慢話よりも、ヒューヒューという苦しそうなルシファーの呼吸音であった。
授業後の休み時間、ルシファーは顔に包帯を巻かれ保健室のベッドに寝かされていた。
包帯の隙間から天井を見上げていると、引き戸を開く音。あまり頭部を動かしたくないルシファーは姿勢を変えなかったが、誰が入ってきたのかはすぐにわかった。
「ほんっと惨めねぇ。自慢の顔がぐっちゃぐちゃ」
キンキン声で煽ってくるのは、お馴染みのいじめっ子だ。
ルシファーの顔のすぐ横に腰を下ろしたリリスは、じとっと目を細めてルシファーを見下ろす。
「あんた、何で避けなかったの? あんな踏みつけあんたなら余裕だったでしょ」
そう尋ねられたものの、今のルシファーには言葉を発することができない。それを知ってか知らずかリリスが苛立ち始めた瞬間、ルシファーは上を向いたまま手だけをリリスの尻へと伸ばしスカートを掴んだ。
「え? ちょ、何すん……」
不意を突かれたリリスはあっという間に布団の中に引きずり込まれ、気が付けばルシファーの腕に抱かれていた。無言で脱がせてくるルシファーに少々恐怖を感じつつも、どこか悪い気はしなかった。
事が終わっていつものように完敗したリリスが大股開きでベッドに寝転がり股の間からルシファーの精液を溢れさせている中、ルシファーは相変わらずピンピンしており起き上がって顔の包帯を外していた。手近にある鏡の前まで行き、顔の傷の治り具合を確認する。
「不細工な面だ。この程度じゃ完治しないか」
リリスとたっぷり行為をして魔力を回復させ、痛みは完全に引いたし言葉も話せるようになった。しかし顔にはまだ大きな傷痕が残っており、完治まではまだまだ時間がかかる様子だ。
「悪かったな、さっきまではまともに声が出なかったんだ。無言でされるのは嫌だっただろ」
「べ、別に……あんたが回復のためにしようとしてたのはわかってたし……」
「何だ、随分としおらしいな。てっきりお前のことだからありえないとか散々罵った上で、このキモい羽には今の顔の方が似合うとでも言ってくるかと思ってたが」
「私を何だと思ってるのよ。それよりさっきの質問」
「ああ、避けられなかったよ。あのオッサン、言動が小物臭すぎて皆には馬鹿にされてるが俺達が思ってるよりずっと強い。あの自慢話がどこまで本当かはわからないが、少なくともあいつが人間界から生きて帰ってきたことだけは本当だからな。沢山の修羅場を潜り抜けてきて、それだけの強さを得てきたんだろう。俺達のような子供が、戦って勝てる相手じゃない」
「あんた、本当にそれでいいの? このままやられっぱなしで……」
「別にこういうのには慣れてる。俺を虐めてくるのがお前からあいつに変わっただけだ」
そう言われて、ふと胸に刺さるものを感じたリリス。だがルシファーはリリスの微妙な表情の変化には気付きもせず、さっさと服を着ると会話を切り上げすたすたと教室に戻っていってしまった。
一見すると抗うのを諦めてこの状況に甘んじるつもりに感じられるルシファーの言葉。しかしリリスは、二枚の黒翼を携えたルシファーの背中に恨みの炎が立ち上がるかのような感覚を空目した。
ルシファーの心に宿るのは、一つの決意だ。
(敵に情を向けるな。徹底的に叩き潰せ。尊厳を蹂躙しろ。敵の全てを否定しろ……しかと学習させて貰ったぜ、ギガンティス先生……)
ルシファーの蒼い瞳は決して光を失ってはいない。ただ、未来だけを見据えていたのである。
二年の月日が経った。今年卒業を控えたルシファーはあれからぐんと背が伸び、少年らしさは鳴りを潜めうんと色気を増していた。
だがその反面、担任からの度重なる虐めと暴力により心は日々荒んでいくばかりであった。あんな男の授業など聴く価値が無いとばかりにサボりがちになり、授業には出席する方が珍しい状態。
どうせ真偽の怪しい自慢話と無神経な生徒いじりばかりのくだらない授業だ。それよりも一人で自主的に勉強や訓練をした方が身に入るのである。実際試験の成績は教科実技共に良く、だがそれがギガンティスを腹立たせますます虐めを苛烈にさせている面もあった。
今日もルシファーは、いつもの場所で授業をサボっていた。青空を見上げながら考えることは、いかにしてあの男を懲らしめるかだ。
この二年間、虎視眈々と力を付けてきた。だがそれでも、人間界帰りの大人には全く敵わないというのが現状だ。
唯一ギガンティスを上回っていると自信を持って言えるのは、性行為の技術である。以前リリスにやったようにあの男を皆の前で屈辱的にイキ狂わすというのも考えたが、自分があの男の尻を掘るなどと考えただけで吐き気がする。そもそもそのような状況に持ち込むこと自体、まず戦って勝つに等しい行為が必要となるから普通に考えたら無理も同然だろう。
そこでルシファーが最近始めたのは、魔法の練習であった。指先に魔力で火を灯し、小さな火球を作る。そこに魔力を送り込んで次第に大きくしていくが、ある程度膨らむと形を維持できなくなり消滅した。
戦闘系種族ほど魔力の高くない淫魔は、本来魔法は不得手だ。淫魔領域の中であればある程度強力な魔法を使えるが、そうでなければ若く魔力の低い淫魔が魔法を戦術に組み込むのは難しい。
淫魔学校で行う魔法の授業は、あくまでも淫魔領域で補助的に使用することを前提としたもの。領域外での魔法の使用は想定されていない。向いていない魔法を無理に覚えるくらいなら、性行為でも重要な身体を鍛えた方がいいという教育方針なのだ。
だが身体能力でギガンティスに勝てないと悟ったルシファーは、領域外でも魔法を使えるようにしてギガンティスを出し抜くことを思い付いた。幼年学校教師のウルスラは魔法の名手であり、たとえ領域外であっても非常に優れた魔法を自在に操ることができる。あれができればギガンティス相手でも優位に立てると考えたのだ。
しかし同期の中では飛び抜けて魔力の高いルシファーにおいてさえ、戦闘において有効と言えるまで魔法を強化するのは難しいというのが現状であった。身体能力でも魔法でも、どう足掻いたって人間界帰りの大人には到底及ばない。自分が思っている以上に、復讐を成し遂げるために乗り越えねばならない壁は高い。たかだか同い年のクソガキを懲らしめるのとは、わけが違うのだ。
「あーっ、いたぁ!!」
と、そこで突然聞こえてきたのはたかだか同い年のクソガキの声。
あれからリリスはあまり背は伸びなかったが女性特有の部位の発育は著しく、出るとこは出てて引っ込むところは引っ込んでいるなかなか扇情的なプロポーションに育っていた。
「ちっ、とうとう見つかったか。よくここがわかったな」
「虱潰しに探したのよ! 後はもうここしか残ってなかったもの!」
ルシファーは舌打ちし、リリスからそっぽを向く。去年サボるには絶好の場所を見つけて長らくそこを他の誰にも見つからずに使い続けてきたのだが、とうとうそれも終わりである。
ちなみにその場所とは、校庭に聳え立つ屋根より高いサタン四世像の頭の上。大魔王の頭より高く飛ぶのは不敬であるとして、誰もその高さまで飛んでこないのだ。
「大魔王陛下の上で寝るだなんて、不敬にも程があるわよ!」
「こんな馬鹿でかい自分の像を建てるような奴だ。どうせろくな王様じゃない」
そう言って足をぐりぐりと動かし靴底の土を像に擦り付ける姿を見せられて、リリスは顔を青くした。
「そういう斜めに構えたところ、あんたはカッコいいと思ってやってるんだろうけど無茶苦茶ダサいわよ!」
「そいつはどうも。それよりお前もこっちに来いよ。ここから見下ろすと気持ちいいぜ」
「はぁ!? 何で私までそんな……」
きっぱりと拒否しようとするリリスだったが、寝転がったまま流し目で手招きするルシファーを見ていると無性にそちらに行きたくなる。
少し心が揺らぐと、自然と翼が動いて前進してしまっていた。途端、ルシファーに腕を引かれ大魔王の頭上に足を踏み入れさせられる。
「ちょ、ちょっと!?」
「これでお前も共犯だな」
しっかりと大魔王を足蹴にしているリリスの足元に目線を向け、ルシファーはフッと微笑んだ。
「どうせだから、見下ろすよりもっと気持ちいいことしようぜ」
そう言うとルシファーは、制服のズボンを下ろして下半身を曝け出す。ルシファーは身長だけでなくこちらの発育も大変宜しく、まだ勃っていない状態でさえリリスの精神を揺さぶるには十分すぎる威力を発揮していた。自分から咥えに来たリリスを見て、ルシファーはほくそ笑む。
青空の下ちゅぽちゅぽと音が鳴り響くが、校内にいる他の淫魔は気付かない。まさかあんな場所でしている恐れ知らずがいるとは、誰一人として思わなかったのだ。
程よく硬くなってきたところでルシファーは「そろそろこっちの番だ」と言ってリリスの口から竿を抜くと、期待に満ちた恍惚の表情で見上げるリリスの後ろに回る。
「そこの角に手つけ」
リリスが後ろから攻められるのに弱いことを、ルシファーは熟知している。ルシファーが大魔王像の大きな角を親指で指すと、リリスは迷わず立ち上がってショーツを下ろし、両手を角につきルシファーの方にお尻を突き出した。ルシファーはリリスのスカートを捲り上げ、つるんと褐色に光る臀部を指先で撫でる。
愛撫に反応するように左右に振ってくるお尻をぺちんと叩いて大人しくさせると、左右に開いて恥ずかしい穴をご開帳。褐色の肌に映えるピンクの毛をまず撫で始め、次にきゅっと窄まったお尻の穴。一番気持ちいい所にはなかなか行かず、リリスを焦れさせる。
リリスの吐息が甘くなってきたら、ルシファーは臀部に顔を近づけて舌での愛撫を始めた。舌先が肛門に触れるとびくんと身を痙攣させ、肛門周りを円を描くように舌で撫でれば上擦った声を漏らす。
あえて焦らすような愛撫を暫く続けていると、痺れを切らしたリリスがこっちを舐めろと言わんばかりに腰を突き上げルシファーの舌の位置を強制的に前の割れ目の方に移動させた。
ルシファーはそれに応じて、ようやく彼女の敏感な部分に舌を挿入した。
舌だけで一度リリスを絶頂させたら、次はいよいよ本番だ。こちらもそろそろ挿れたいと、ギンギンに固まった性器が訴えている。
まだ前戯での絶頂が残っているのか、挿入しただけでリリスは一回喘ぐ。それでもルシファーは構わず奥まで挿れて、力強くピストンした。
パンパンと激しい音が空に響いても、やはり校内の淫魔達はそれが大魔王像の上から聞こえてくるなどとは思いもしなかった。
結局今日も、始まってみればルシファーの圧勝。へなへなと力なく座り込むリリスに対し、ルシファーはある程度汗をかきつつも十分な余力を残していた。
「そうだ、せっかくだからな、思いっきり不敬なことしてやろうぜ」
ルシファーはニヤリと口角を上げると、リリスの両の太腿の下に掌を入れて脚を開かせながら抱え持ち上げた。
既にへとへとで抵抗できないリリスは屈辱的なM字開脚の姿勢で抱っこされ恥ずかしがるが、勿論ルシファーがそれだけで終わらせてくれるはずもなく。
「よし、この角にションベンしろ」
それは保育施設時代、保育士に抱えられて放尿させられる時の姿勢。
その冒涜的な行為に、今のリリスは抗うことなどできなかった。魔界全土を統べし偉大なる王の巨角に、温かく黄色い水がかけられる。尿と一緒にリリスの股からは、ルシファーの精液が溢れ出ていた。
やっと落ち着いて服を着直していたリリスは、むすっと頬を膨らませていた。
「もう、信じられない! こんな所でするだなんて……」
「お前も乗り気だったじゃないか。お前ならいつでもここに来ていいぞ。思う存分相手してやる」
「はぁ!? 誰がそんな馬鹿なこと……」
「お前のセックスは上手い。いつか俺に追いつき追い越そうと常に努力し上達していってるのが伝わってくる。だからこそ俺もお前とするのが学びになるんだ。他の女子じゃこうはいかない。お前だけが俺を満足させ、俺を高みに導いてくれる」
「へ、へぇ? えぇ……?」
正面から見つめられながら口説かれて、リリスは服を着る手が止まり困惑するばかり。顔は次第に赤みを増していき、頭の中でぐるぐると感情が渦巻く。
どのインキュバスよりも、そしてどのサキュバスよりも美しい顔に見つめられれば、リリスの中で何かが弾け飛びそうになった。
「ばっ、バカ!!! もう知らない!!!」
溢れる感情が爆発して、まだ中途半端に着る途中のままリリスは捨て台詞と共にその場を飛び立ち逃げ去った。
残されたルシファーは彼女の反応の意図がわからず首を傾げる。その表情は大人びた外見に反して、歳相応の――否、歳以下の幼い少年のようであった。
そして、それからであった。リリスの様子がこれまでとは一変し不審な行動を繰り返すようになったのは。
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