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第二章

第47話 赤裸々すっぽんぽんトーク

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 二年B組女子達がリリムのすぺしゃる脱衣ゲームを楽しんでいる間、男湯では。

「信司お前メガネかけて風呂入んの? 曇って逆に見えにくくならね?」

 神崎彩夏オタクの八島信司が眼鏡を掛けたまま大浴場に入ってきたので、風間純一が尋ねた。

「うん、僕眼鏡無しじゃ殆ど何も見えなくて。曇った眼鏡のがまだマシなんだ。柊君と佐藤君は無くても平気なんだね」
「ああ、多少見えにくくはあるけど俺の場合そこまで悪くはないからな」

 一輝がそう答えると、続いて孝弘が。

「実は俺、伊達眼鏡なんだ」

 などと言うものだから皆して驚く。

「マジで!? 初めて知ったんだけど!」
「ああ、視力はかなり良い方だよ」

 眼鏡の副委員長の意外な真実。実は以前からそれを知っていた当真は、ニヤニヤしながらその話に乗っかる。

「笑えるぜー、こいつがメガネするようになった理由」
「おい、言うなよ」

 何やら恥ずかしい理由であろうことは、孝弘の反応を見れば明らかだ。
 と、その時だった。

「本宮ちんこでけえ!」

 突然大地がそんな声を発した。

「マジかよ……」
「人は見かけに寄らねーな」

 真っ先にそれを見に来るのはエロ男子コンビこと大山寺茂徳と代々木当真。
 そんな反応を見せられた茂は、気まずそうに苦笑い。
 茂は自他共に認める『どこにでもいる普通の男子』である。そんな彼の、普通じゃない所が見つかってしまった。

「ところで茂徳よ、ざっと見た感じでうちのクラスのデカチンランキング作るとしたらどうなるよ。孝弘はあいつデカいぜ。多分本宮より上だ」

 そこから早速いつもの下ネタトークを始める当真である。

「いや、二階堂がもっとデカい」
「マジだ。篤、お前にはちんこが一番でかいで賞をやるよ」
「いらん」

 当真がくれると言うしょうもない賞を、篤はきっぱりと突っぱねた。

「つーか一位篤で二位孝弘とか、結局そこも身長順かよ畜生! 尤も三位は身長順じゃなさそうだけどな」

 クラスで三番目に背が高いのは茂徳である。

「てめー俺にケンカ売ってんのか」
「悲報、ヤリチンだからさぞかしデカいんだろうと思われていた茂徳君、意外と大したことない」
「っせーな、俺はデカさじゃなくてテクで勝負してんだよ。大体そういうてめーは身長もチンコも最下位じゃねーか!」
「てめーよくも俺が気にしてることを!」
「お前らしょうもないことで喧嘩するのはやめろ!」

 素っ裸のまま言い争いを始めるエロ男子コンビを見かねて、孝弘が仲裁に入った。

「んだとコラ! 身長もチンコもデカいからって調子こいてんじゃねーぞ孝弘! 俺なんかなぁ、粗チンの上に皮まで被ってんだぞ! 悲惨すぎんだろォー!」
「いやお前……」

 ヤケクソになっている当真に困り果てた孝弘は、宥めるような手振り。

「つーかデカけりゃいいってもんでもねーからなマジで」

 と、そこで経験豊富な茂徳がそれをはっきりと断言した。

「デカすぎる奴は相手を痛がらせて苦労するんだよ。C組の岡本のチンコ見たことあるか? 俺中学一緒だったから修学旅行の風呂で見たんだがよ、アレはデカすぎて逆に困るやつだぜ」
「その岡本、倉掛と付き合いだしたらしいぜ」
「まあ、倉掛くらい体デカけりゃ普通に入るかもしんねーな」

 そんな話をしていると、サイズ上位二名の二人が苦い顔をし始めた。

「まあ安心しろ。お前らデカいっつってもデカすぎるほどじゃねーから。そのサイズならむしろいい感じに彼女を気持ちよくさせられるだろ。結局何だかんだで女はデカいの好きだからな」

 そう言われて少し安心。普段は基本クズ扱いされている茂徳であるが、性的な方面の悩みには案外頼れる男という意外な一面をB組男子達は垣間見た。
 だがそれはそれとして「いい感じに彼女を気持ちよくさせられる」状況を一瞬想像してしまった篤と孝弘は、慌てて股間を手で隠したのである。


 なんやかんやあったものの、やがて孝弘と当真の野球部コンビは二人並んで湯船に浸かっていた。この二人は出身中学も同じであり、その頃から一緒に野球をやっていた意外にも仲の良いコンビである。

「なあ孝弘よ」
「猥談には付き合わないからな」
「お前さ、そんな風に島本さんのいないとこでもクソ真面目優等生キャラやってて疲れねーの?」
「え?」

 どういう意味かわからないとでも言いたさげに、孝弘はぽかんとした反応。

「まあそりゃ野球バカのお前がここまで本気のキャラ変してとうとう試験でも上位入るまでになったのは素直にすげーと思うよ。でもそうやって自分を偽り続けるのも大変だろうなって思うわけでよ」
「別に俺は自分を偽ってるつもりはないよ。まあ最初は無理して優等生ぶってたとこもあったけどさ、一年以上続けてたら自然とこういう風に振舞えるようになったというか。もう学級委員やってるのが素になったって感じもするんだよな」
「ほー……自分ではそう言ってても、ふとした拍子にスケベな本性ポロリしちゃって引かれたりしなきゃいいけどよ」
「誰がスケベだって?」
「俺がお前に何回AV貸してやったと思ってるよ」
「島本さんには言うなよ」
「わーってるよ。いくら自分がモテねーからってダチの恋路邪魔するほど愚かじゃねーよ」

 ちょっとマジになったトーンで言う隆弘に若干引きつつ、当真はその懇願を了承。

「いやお前モテないとか言って、お前のこと好きな女子いるだろ」
「知ってるよそんくらい。両想いなのにずっと片想いだと思い込んでた鈍感とはちげーんだよ」

 それを言われると孝弘には何も返す言葉が無い。

「……で、何が不満なんだよ」
「……だってあいつ、俺より背たけーじゃん」

 当真の身長コンプレックスのことは昔から知っているだけに、やっぱりかと孝弘は思った。

「つーかお前さあ! もう付き合ったのにいつまで苗字にさん付けで呼んでんだよ!」

 あまり触れて欲しくない話に触れられたことで、当真は強引に話題を切り替える。

「あー、いや、呼び方変えるタイミング掴めなくって……」
「お前本当恋愛経験値ゼロだな……あんだけモテまくってた癖に。そんなんで島本さんの裸見られるのか?」
(それがもう見てるんだよな……)

 思い起こされるあの光景。

(本当、何もかも凄く綺麗な体してたな……)

 惚けそうになったところで、孝弘ははっと我に帰る。先程の茂徳との一件にしてもそうだが、この男湯という場で悠里の裸体を思い出せばあらぬ誤解を受ける事態になりかねない。孝弘はどうにか必死で頭の中の妄想を消し去ったのである。



 一方の女湯。
 悠里、凛華、佐奈の仲良し三人娘は、並んで大浴場に入る。
 佐奈がミニタオル、悠里が普通のタオル、凛華がバスタオルと、偶然にも皆タオルのサイズは別々である。

「凛華はいいなぁ、バスタオル貰えて」

 胸から垂らしたタオルで前面は十分に隠せているものの丸出しのお尻が心もとない気持ちの悠里が、バスタオルで完全ガードの凛華を見ながら言う。

「あはは、なんか私だけ得しちゃってごめんねー」
「私なんてミニタオル一枚だよー」

 そう言う佐奈は肝心の前面を丸見えにしてまでお尻の割れ目を隠すようにミニタオルを当てていた。

「こういう大きなお風呂って中学の修学旅行以来かなー?」
「学校の宿泊行事の度に大浴場入ってはいるけど、やっぱりみんなの前で裸になるのは慣れないなぁ……」
「私達三人だけなら裸も見慣れてるし見られ慣れてるんだけどねー」

 彼女達は昔からよく三人でお泊り会をしており、その際に三人一緒に入浴するのもよくあることだ。


 椅子に腰を下ろす前に凛華はバスタオルを脱ぎ、畳んで置く。

「せっかく勝ち取ったバスタオルだけど、体洗う時には結局脱いじゃうんだよね」
「それは仕方ないよね」

 椅子に腰掛けた悠里は胸から垂らしていたタオルを、下腹部を隠すような形で膝にかけた。

「悠里、背中洗ったげる」
「ありがとう。じゃあ私は凛華を」
「後で私が佐奈の洗うね」

 きゃっきゃうふふと三人仲良く体を洗う微笑ましい光景である。


 違ったサイズのタオルを使って多種多様な裸体の隠し方を披露していた二年B組女子の面々であるが、湯船に浸かるにあたっては結局皆タオルを脱いですっぽんぽんになる。恥ずかしがっていた人達も、湯に入れば案外と開放的になっていた。

「はー……広いお風呂って最高」

 脚を伸ばしてリラックスする里緒。今日は色んな意味で疲れた彼女にとって、癒しのひとときである。

「何だかんだ言って、みんなでお風呂に入ると楽しいよねぇ」
「宿泊行事の醍醐味だよね」

 麗と百合音がそう話していると、突然リリムが立ち上がった。相変わらず一切包み隠すことなく、幼児体型の裸体を堂々と見せつけるリリムである。

「みんな注目! せっかくみんなすっぽんぽんなんだしー、ここで二年B組巨乳ベスト3を発表します!」

 言われた通り、自然とそちらに注目する面々。また凛々夢が変なことしだしたと呆れる者もいれば、楽しそうに囃し立てる者も。

「まずは~第三位! 渡乃々可ちゃん! 推定Eカップ! ほらほら乃々可ちゃん、みんなにおっぱい見せてー」
「え? 何?」

 リリムに促され、戸惑いながらも渋々と上半身を湯から出す乃々可。
 彼女は性に奔放な子である。校内にも校外にも複数のセフレがおり、見ず知らずの相手と一夜限りの関係を持つことも多い。ちなみにリリムの目に視えている乃々可の現在の経験人数は二十七人。この胸は多くの男達に揉まれてきた胸なのである。

「続いて第二位! 須崎美奈ちゃん! 推定Fカップ!」
「あっはは……でかさには自信あるんだよねー」

 美奈が照れ笑いしながら上半身を湯から出し、大きな胸を皆に見せる。水着の形に沿って付いた日焼け跡が、健康的な魅力を引き立てていた。

「そして第一位は……」

 無駄に溜めているけれど、誰もが一位は読めていた。

「倉掛里緒ちゃん! 推定Gカップ! 説明不要のでかさ! これぞ爆乳クイーン!」
(キスマーク付けられてるからあんま胸見られたくないんだけど……)

 片想いの相手からベッドに誘われて興奮しまくった清彦には、この後里緒が更衣室や風呂場で皆に裸を見られることまで考慮はできなかっただろう。

「と、いうわけでこちらの三人が我がクラスの巨乳ベスト3です! 皆さん盛大な拍手ー!」

 リリムのテンションに乗せられて、少なくない人数が拍手を始める。

「いやぁ羨ましい限り……だけど巨乳だけがおっぱいにあらず! というわけで、美乳ベスト3も発表しちゃいます! まずは第三位……島本悠里ちゃん!」
「私!?」
「はいはい、みんなにおっぱい見せてー」

 強引に立たせようとリリムが悠里の腰に手で触れると、悠里は慌てて自分から上半身を出した。

「おっぱいは大きさだけが全てじゃないことを教えてくれる、小さくても形が綺麗なおっぱい! 小さめの乳輪も実に綺麗です!」

 あまり自身のない胸を皆に見られながら褒められて、悠里は赤面。

「続く第二位は~須崎美奈ちゃん! 巨乳部門に続いてランクイン! そしてその一番の魅力は、何と言ってもこの下乳! この形がすっごい綺麗なんだ!」

 美奈の下乳の形をなぞるように、リリムは人差し指で宙に半円を二つ描く。今日美奈の着ていたビキニも、多少下乳を露出するデザインであった。

「あー、大地にもそれ言われた。あいつあたしが膝枕したげるといっつも指で下乳つっついてくるんだよねー」

 隙あらばノロケる。流石はクラス一のバカップルである。

「さてさて、そして気になる第一位は~相川凛華ちゃん!」
「私が一番!?」
「ささっ、クラス一の美乳をみんなにお見せして」

 そう言われると、恥ずかしくも誇らしげな様子で凛華は上半身を湯から出す。

「スレンダーな身体ながらそこそこ大きめのおっぱい! 思わずつまみたくなるツンと張った上付き乳首! くびれや肩幅とのバランスの良さも凄く綺麗! これぞ文句無しの美乳です! 川澄君もこれを見たらきっと大喜びだ!」
(大喜び……してくれるといいなぁ)

 まずそれ以前に、一体いつになったら見せる所まで行けるのか。凛華の不安はそこであった。

「と、いうわけで美乳ベスト3はこちらの三人です! 皆さん拍手ー!」

 拍手で称えられた三人の反応は、恥ずかしくてたまらなさそうな悠里、誇らしげな美奈、その中間の凛華と三者三様。

「さて、ここでおっぱいランキングを二種類発表しましたが、おっぱいにとって大事なものをまだ一つ忘れていませんか?」
(まだやるのか)
「そう、それは乳首! 乳首の色が綺麗な子ベスト3、発表しちゃいます! まず第三位は……島本悠里ちゃん!」
「また私!?」

 一度お湯の中に隠した胸をまた出させられて、悠里の羞恥心が刺激される。

「この綺麗なピンク色! まさに学級委員長の優等生乳首!」
(優等生乳首って何……)
「続いて第二位! 富岡櫻ちゃん!」
「まあ、光栄ですわ」

 櫻は仄かに頬を染めながらも、堂々とした様子で胸を張る。

「これぞ文字通りの桜色! お上品極まるお嬢様乳首! 櫻ちゃんの彼氏も大好きでしょ? 櫻ちゃんの乳首」
「ええ、勿論……」

 彼氏の話題が出ると、途端に櫻はうっとりとした表情を見せたのである。

「さてさて、続いて栄えある第一位は~高梨比奈子ちゃん!」
「えへへ、やったぁ」

 比奈子は素直に喜んで胸を出す。惜しくも巨乳ベスト3にはランクインしなかったものの、彼女も実に豊かな胸の持ち主である。リリムより小さな背丈とのギャップは非常に大きい。

「この芸術的なほんのり薄ピンク! ひなちゃんのあどけない可愛らしさとも実にマッチしております!」
「えへへへへ……あっくんも綺麗って言ってくるかな……?」
「絶対言ってくれるよ!」

 いつか来たる未来に希望を抱きながら、比奈子は恋する乙女のはにかみ。その天使のような愛らしさに、B組女子一同はほっこりしてしまう。

「と、いうわけで、この三人に拍手を!」

 パチパチと拍手が鳴り響く中、リリムはムフフと愉快そうな微笑を浮かべていた。

「はー……人におっぱい評価されるのは恥ずかしいけど、何だかんだで自分の体を綺麗だって言って貰えるのは嬉しいんだよね」

 凛華がそう言うと、悠里は小さな声で「わかる」と言いながら頷く。するとリリムが「ムフ」と声を漏らした。

「と、言ってる人もいることだし、美尻ベスト5を発表します!」

 皆に向けた尻を突き出した格好で、今度はお尻だと猛烈にアピール。

「まだやるの!?」
「しかも人数増えた!」
「ていうか凛々夢、こっからだとお尻の穴丸見え」

 丁度一番見易い位置にいた麗が指摘すると、リリムは恥ずかしがるばかりかお尻を左右に開いて皆に見せびらかす。

「へへーん、カワイイでしょボクのアナル。と、いうわけで第五位は麗ちゃん!」
「あたし!?」
「はい立って立って。みんなにお尻見せてー」

 おっぱいの時は上半身だけでよかったが、お尻となると完全に立ち上がらなければならない。麗は「ひゃー」と声を上げて恥ずかしそうにしながら、股間を両手で隠しつつちゃんと立ち上がって皆の方にお尻を向けた。

「この日焼け跡! えっちだよねー!」
「こらなぞるなー!」

 水着の形に沿ってお尻に付いた日焼け跡を指でつつつとなぞられ、麗はくすぐったそうに言う。

「そしてこの引き締まった小尻! こういうお尻に憧れる子も多いのでは!?」
「いいなぁ」

 リリムの言葉通りのことを呟いたのは、麗とは最も対照的なお尻の持ち主である佐奈。

「続いて四位は佐奈ちゃん!」
「えーっ!?」
「ささっ、立って立って」
「んもー……お尻大きいの気にしてるのにー」

 渋々と立ち上がった佐奈のお尻は、里緒の胸にも劣らぬド迫力。

「これぞ超安産型! 小尻には小尻の、巨尻には巨尻の魅力があるんだよ佐奈ちゃん」
「それはわかってるんだけどー」

 お尻が大きいのはコンプレックスでありつつ、魅力だとも自覚している複雑な感情である。

「続く第三位は……島本悠里ちゃん!」
「また!?」

 三回連続で三位入賞。繰り返し恥ずかしい思いをさせられて真っ赤になりながら、悠里は両手で股間を隠しつつ皆にお尻を向けて立ち上がった。

「くびれからのラインが超綺麗! しかもつるつるすべすべ美肌の美尻! まさに優等生のお尻!」
(だから優等生のお尻って何……)
「そして第二位は……桃井宏美ちゃん!」
「え、あたし?」
「ほら宏美立ちなよ」

 隣にいた美奈が肘で小突いて立つことを促し、宏美は渋々立ち上がりお尻を見せる。

「形のいいまんまるお尻。これぞまさに桃尻! スレンダーな宏美ちゃんだけど意外とお尻は大きめです! お尻アピールで風間君も落ちるのでは!?」
「何でそこで純一の名前が出てくるわけ!?」

 不意に純一の話題を振られ、宏美は焦っていた。

「さーて、そして第一位は……富岡櫻ちゃんです!」
「おおっ、流石のTバック」

 五位の麗がそんな声を上げる。それ以外にも多くの女子が、櫻の一位に納得の表情を浮かべていた。

「着物に凄くマッチしそうな安産型! まさに大和撫子のお尻! 色も形も凄く綺麗で張りつや最高!」
「恋咲さんったら、褒め方がお上手なんですから」

 照れつつも誇らしげな櫻は、気品溢れる笑顔。

「櫻ちゃんこそ美尻ナンバーワン! というわけで、こちらの五人が美尻ベスト5でした! 皆さん拍手ー!」

 お尻を向けた五人は背後から拍手の音を聞く形となり、何とも不思議な気分にさせられた。

「さーて盛り上がってきたところでお次は……陰毛の綺麗な子ベスト5です!」
「まだやるの!?」

 調子に乗ったリリムは留まることを知らない。仁王立ちして股間を突き出したポーズをとり、毛をアピールするのである。

「第五位は~野村菊花ちゃん!」
「あたしかー。あはは」

 そんなに恥らうこともなくあっけらかんとした様子で立ち上がり、軽くモデル立ちしながら腰に手を当てる菊花。

「ハイレグ着てもはみ出ないよう細い一本線に整えた機能美! 男の子みたいな菊花ちゃんがバッチリ整えてるギャップも魅力です!」
「いやー……はは……水着着る時期以外はボーボーなんだけどねあたし」

 菊花は照れ笑いしながら頭を掻く。

「続く第四位は、永井百合音ちゃん!」
「おっと、ここであたしの番か」

 百合音は胸を両掌で隠しつつ立ち上がる。タオルでも胸だけを隠していたように、下は案外と見られても平気なタイプのようだ。

「一番下だけ残した小さな逆三角! 整え方に拘りを感じます!」
「うん、彼氏からも好評だよこれ」

 ちょっと得意気な様子で、百合音が言う。

「第三位! またもランクイン!」

 三回連続で三位になった悠里が一瞬びくりとする。

「富岡櫻ちゃん!」

 が、別の名前が呼ばれたことでほっと一息。櫻は上品で奥ゆかしい所作で股間を隠しながら立ち上がり、そっと手を後ろに回して肝心の場所を皆に見せた。

「濃さを活かして整えた綺麗な長方形! 自分の陰毛の良さをわかってるやつですよこれは!」
「ええ、恋咲さんの慧眼には恐れ入りますわ」
「そして第二位は~高梨比奈子ちゃん!」
「ええー? 私薄くて恥ずかしいんだよー?」

 そう言いつつ渋々立ち上がる比奈子。

「いやいや天然の薄毛はレアだよひなちゃん。この赤ちゃんの髪の毛みたいなふわふわ感。ひなちゃんの魅力をすっごく引き立ててるよ!」
「そうかなー?」

 あまり納得行ってなさそうな様子で、比奈子は頭に疑問符を浮かべていた。

「そして栄えある第一位は……島本悠里ちゃんです!」
(やっぱり!)

 案の定呼ばれて悠里は涙目になっていた。なまじアンダーヘアの手入れには自信があるばかりに、どこかしらで名前を呼ばれるだろうということは予想できていたのである。

「さあいいんちょ、自慢の陰毛をみんなに見せたげて!」

 悠里は羞恥心に耐えかねて爆発しそうになりながらプルプル震えて立ち上がると、股間を隠していた掌を躊躇いがちにゆっくりとどけてすぐ横の太腿にぴったりとくっつけた。

「これぞ王道の逆三角! 完璧な綺麗さに整えてるんだけどいかにも整えてます感を出さない自然な仕上がり! まさに陰毛のナチュラルメイク! 清楚な学級委員長のイメージそのものな、優等生の陰毛です!」
(だから優等生の陰毛って……)
「これは副委員長に見せる準備は万端だね!」
「そんなつもりで整えてるんじゃないから! 佐藤君と付き合う前からしてることだし!」

 リリムの下世話なからかいを、悠里は真っ赤になって否定する。

(それにもう見られてるし……)

 思い起こされるあの日のこと。今でもあれを思い出す度顔が火照って恥ずかしさに押し潰されそうになる。
 悠里が見えない所の身だしなみにも拘るのは専ら趣味に近いものであるが、あの日ほどそうしていて良かったと思ったことはなかった。

「以上、この五名に拍手ー! そして一番多くの部門でランクインしたいいんちょにも拍手ー!」

 唯一入賞できなかったのが巨乳部門だというのが、ますます悠里を恥ずかしい気持ちにさせたのである。


「ちょっと、恋咲さん」

 突然乃々可に呼び出され、リリムはそちらに行く。

「神崎さん、アイドルなのに一個もランクインしてないとかプライド傷付けちゃうんじゃないの?」
「ああ、気にしないで。私着飾ってる時はアイドルだけど脱いだら平凡なのは自覚してるから」

 彩夏はそう言って自分の胸に触れて持ち上げ、大きくも小さくも無い乳房と茶色い乳首を見せる。

「大丈夫! 彩夏ちゃんはすっごい肌綺麗だし、ちゃんと綺麗な体してるよ! それに響子ちゃんと冬香ちゃんも!」

 同じくランクインしなかった二人も含めて、リリムがフォローした。


「うーむ……やっぱ、みんな乃々可くらいまでは行かなくとも形綺麗に整えてるものだよねぇ」

 先程のランキングを見ていた美奈が、殆ど自然のままな自分の股間をチョイチョイと指差しながら言った。

「美奈の場合、彼氏の性癖に合わせてやってるわけでしょ?」

 今朝方更衣室にて、うっかり性癖を女子全員にバラされた哀れな大地である。

「まあ、今はそうだけどそれ以前はズボラで処理してなかっただけというか……」
「今朝も危機一髪だったもんね」
「宏美が指摘してくれて助かったよホント」
「おけけ好きな男子って案外と多いんだよねー。ボクの彼ピもそうだしー。そういえば完全につるつるにしてるのって乃々可ちゃんだけだよね」

 リリムが乃々可の方を向いて言う。

「私は永久脱毛済みだから。楽でいいわよ。というか島本さんとかもパイパン派だと思ってた」
「え、何で!?」

 勝手なイメージを持たれて突然名前を出された悠里がびっくりしてそちらを向いた。

「だって凄く美容意識高そうだし」
「そう思ってくれるのは嬉しいけど、私はある程度あった方が自然な感じがして好きなの」

 美容の話という観点でなら、デリケートゾーンの話題にも普通に加わる悠里である。

「水泳部は渡さんみたいにしてる人多いなー」

 と、そこで佐奈が会話に加わる。

「ハイレグ水着愛用してる子とか、手入れのめんどくささ考えると永久脱毛したくもなるよね。私は悠里と一緒で多少でもあった方がいい派だから、いつも頑張っていい感じの形に手入れしてるけど!」
「あたしの場合彼氏できてからは見せること意識して手入れするようになったなー」

 そう言うのは四位にランクインしていた百合音である。

「わかる。私だっていつでも準備万端だから!」

 それに強い共感を覚えるのは凛華。しかしその準備が報われる気配は見えないのである。


「さーて、おけけの話題で盛り上がってきたところで、次はアナルの綺麗な子ベスト5! そのためにはまずみんなのアナルをチェックしないとねー」
「えーかげんにせい」

 調子に乗ってぐふふと笑い行動がエスカレートするリリムの尻を、美奈がぺちんと叩いた。
 結局それと更にもう一つ予定していたランキングは、お蔵入りとなったのである。
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