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第一章
第11話 PK戦・1 ~褐色ベリショボーイッシュVS姉系マネージャー~
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「そしてボクは、アシスタントのリリムちゃんでーす!」
「凛々夢!? どうしたのその格好!? てか髪の毛赤に戻ってる!?」
ルシファーのように学校では別人に変装しているわけではないため、菊花にはそれが同級生の恋咲凛々夢であることが即座にバレた。
「それでは今回の参加者をご紹介致しましょう。赤コーナー男子、三年D組サッカー部、香坂直樹! 同じく女子、三年D組サッカー部マネージャー、秋月穂乃可Dカップ! 青コーナー男子、三年B組サッカー部、横田健輔! 同じく女子、二年B組サッカー部、野村菊花Aカップ! これより両ペアには、脱衣ゲームで対決して頂きます。今回行うゲームは、PK戦です!」
戸惑う四人を余所に、ルシファーは捲し立てた。
「香坂君、横田君、秋月さん、野村さんの順番でPKを行っていき、ゴールが決まれば相手のペアの女子は服を一枚脱ぎます。四回ゴールを決められた時点で全裸となり敗北です。なお、ゴールキーパーは守備側のペアの男子が行います」
「いやいや待て待て、突然こんな所に連れて来られてPK戦で女子が全裸とか……わけがわからないぞ!」
ルシファーが説明をしていると、直樹が前に出て抗議した。
「なおこのゲームの勝者は、好きな人と恋人になることができます」
それを聞いた途端、四人全員が目を見開いた。
「皆さん好きな人がいるのに告白できずにいるのでしょう。そこでキューピッドである私が手助けしてさしあげようと思いましてね。この脱衣ゲームを開催させて頂きました」
(これに勝てば……秋月と恋人になれる!? 香坂から奪えるってことか!?)
健輔の胸がざわめきだした。だがふと、隣にいる菊花が気になってそちらに視線が向いた。菊花は両拳を胸の前で握り、緊張した表情。
(ん? 俺の付き合いたい相手が秋月ってことは、俺とペアである野村の好きな男って……)
健輔は直樹の方を見る。直樹は不安がる穂乃可を落ち着かせようとしていた。
(いやいやまさか。今までそんな素振りは一度も……)
知りたくなかったことを知ってしまったような感覚。健輔は急に胸が苦しく感じた。
(……別に野村が誰を好きだろうと俺の知ったことじゃない。だがあいつばっかモテるのは気に食わねえ)
この感情に説明をつけるため、健輔は心の中で言う。
「勝ちましょう! 先輩!」
緊張から一転、やる気満々とばかりに両手でガッツポーズを作っている菊花を見て、健輔はますます動揺。
(そんなに勝ちたいかよ……)
健輔が目を泳がせていることに、菊花は気付いていない。
(くそっ、野村のことなんか気にしたってしょうがないだろ! 勝って香坂から秋月を奪い取る! それだけだろうが!)
健輔は菊花から目を逸らし、強い目力で直樹を見据えた。
「勝つぞ野村!」
「うっす!」
二人が気合を入れたところで、ルシファーはくすくすと笑った。
「スポーツドリンクはこちらにご用意してありますので、熱中症に気をつけて楽しくプレーしましょう」
直樹と健輔の足下に、クーラーボックスが出現した。
「それではこれより脱衣ゲーム、キックオフです」
まずは直樹からスタート。健輔はグローブを付けてゴールに構える。
(ゴールキーパーなんざやったことはないが、それは香坂も同じだ。しかも相手の片方はマネージャーの秋月。確実に俺達が有利のはず!)
暫しゴールを眺めていた直樹。リリムがホイッスルを吹くと、右足を大きく上げて一気にボールを蹴った。
(左だ!)
健輔は軌道を見極めて手を伸ばすが、健輔の予想よりも軌道は左に逸れ、ボールはネットに突き刺さった。
「ゴーーーール!!!」
ルシファーがテンションを上げて叫んだ。
「香坂直樹君、早速一点取りました!」
力強くガッツポーズする直樹と、愕然としながら歯を食いしばる健輔。
(と、止められなかった……)
「それでは野村さん、一枚脱いで頂きましょう」
ルシファーに言われると、菊花は抵抗感がある様子もなくさらりとユニフォームの上を脱いだ。色気の欠片も無いグレーのスポーツブラがお目見え。
「おーっと、これは豪快な脱ぎっぷりです」
(お前……男の前なんだからもう少し恥じらい持てよ)
健輔はそう思ったが口には出さなかった。脱いだ本人はけろっとした表情をしているのに、見ている側はどことなく気まずく感じてしまう。
菊花のスポブラを横目でチラチラ見ながら、健輔はグローブを脱いで先程まで直樹の立っていたペナルティーマークに移動する。丁度二人の位置が入れ替わったところで、次は健輔の攻撃である。
(ここでゴールが決まれば次は秋月が脱がされるのか……っと、いかんいかん。今は妄想してる場合じゃない)
まっすぐ直樹を見据え、健輔はボールを高く蹴り上げる。ボールは直樹の手の先、ゴール右上のネットに突き刺さった。
「ゴーーーール!!!」
(余裕だな。所詮本職じゃなければこんなものか)
相手が直樹ということである程度警戒はしたものの、やってみれば案外簡単であった。
「それでは秋月さん、一枚脱いで頂きましょう」
そう言われた穂乃可は、菊花とは逆にかなり動揺している様子だった。
「なお、脱ぐ気がない場合は私の魔法によって強制的に脱がせることになりますので、自分から脱ぐことをお勧めします」
高いテンションから一転して冷徹な口調で言われ、穂乃可は諦めたのか体操服に手をかけた。直樹と健輔が唾を飲む中、穂乃可は体操服を捲り上げ脱ぎ捨てた。
意外と攻めたワインレッドの、高級感溢れるレースのブラジャー。穂乃可は目を潤ませて羞恥に震えていたが、男子二人にとってはその仕草も情欲をそそるものであった。
「あ、秋月さん! 大丈夫か!?」
「え、ええ……」
直樹から心配されて、穂乃可は気丈に答える。
「さてさて、女子が二人とも一枚脱いだところで、ここからは女子のターンです。次は今回の参加者で唯一のマネージャー、秋月穂乃可さんの攻撃となります」
(先生ってば、キャラ変わりすぎじゃない?)
愉快なゲームマスターを演じるルシファーを隣で見ながら、リリムは思った。
(ていうかPK戦のためだけにスタジアム丸ごと作っちゃうって……)
このゲームで使うのは、片方のゴール周辺だけ。この巨大なサッカースタジアムの殆どは作った意味の無い、言わば魔力の無駄使いである。
本来淫魔領域というのは、魔力を消費しすぎないようある程度省エネで作られるもの。例えばリリムが純一との行為のために作った教室は、校舎ごと作ったわけではない。あくまで教室一つ分しか作られておらず、窓の外の背景も手抜きである。
(先生ってば、魔力が回復したのよっぽど嬉しかったんだろうなぁ)
そんなルシファーを、リリムはちょっと可愛いと思ってしまった。
「ところでリリムよ」
素の口調に戻ったルシファーから突然小声で話しかけられ、リリムはドキリとする。
「さっきから気になっていたのだが、どうしてお前はチアガールなんだ?」
「ああそれ? 今回はスポーツが題材だから、チア衣装にしてみたんだ。先生がいろんなゲーム作ってるの見て、ボクもそれに合わせたいろんな衣装作ってみようと思ってね」
「お前が何か作ってるのは知ってたが、そういうことだったのか」
淫魔領域という自分だけの世界を作って生きる性質故か、淫魔という生物は何かとクリエイター気質の者が多い。ルシファーが心血を注ぐのがゲーム制作であるように、リリムもまた衣装作りを何よりの趣味としている。脱衣ゲームのアシスタントというのは、自作の衣装を披露するには絶好の機会なのである。
ちなみに、今日の水泳で着ていた白スクや普段の体育で着ているブルマも自作である。
暫く渋っていた穂乃可であったが、いい加減に諦めてペナルティーマークに向かう。ボールは魔法によって自動的にマークに置かれた。
「秋月さん! PKは運の要素も大きいし、健輔は本職のキーパーじゃない! 秋月さんのシュートでも入る可能性は十分にある!」
直樹に励まされながら、穂乃可は健輔と向き合った。
だが健輔からしてみれば、気が気じゃない状況である。自然と視線は穂乃可の胸元に吸い込まれた。色香に惑わされて素人からゴールを奪われればサッカー部員として一生の恥だ。
しかも今は下半身の状態が動きを阻害している。とりあえずはポケットに手を突っ込んで、せめて多少なりとも動くのに邪魔にならないようポジションを直しておいた。
「先輩がんばれ!」
菊花の応援する声が聞こえたので一度そちらに目線を向けた後、再び穂乃可を見る。一口にブラジャーといっても色気の差は歴然だ。バスト自体の大きさもさることながら、ブラのデザインでも菊花の完敗である。
ホイッスルが鳴る。穂乃可の蹴ったボールは、真正面を転がり健輔の両手に納まった。
「残念! ゴールならず!」
(まあこんなもんか)
取れて当然のシュートをセーブし、健輔は特に感慨も沸かなかった。さっさとグローブを脱いで、菊花の所に戻る。
「先輩ナイスセーブ」
「何がナイスだ。あんなのは止められない方がおかしい。だがこれで秋月は戦力にならないとはっきりした。この勝負勝てるぞ」
「ここであたしがゴールできれば一点リードできますね」
菊花は意気揚々と向かう。ホイッスルが鳴ると、菊花は瞬時にボールを蹴り上げた。直樹は即座に動き、ゴール右端に飛んできたボールを危ういところでパンチング。
「残念! ゴールならず!」
惜しくも止められて、菊花は肩を落とした。
(やっぱ野村のスポブラじゃ多少の誘惑もできんか)
戻ってくる菊花を見ながら、健輔は失礼なことを思う。自分が色香に気を取られて油断していたため、こちらも菊花の下着で油断させられるのではと多少は期待していたものの、直樹は無反応であった。
「今のは完全にコース読まれてましたね。流石はキャプテン、手ごわいです」
「香坂のことなんか褒めんじゃねーよ」
不機嫌になる健輔を見て、菊花はきょとん顔。
「横田先輩も凄いですよ。キャプテンからゴール奪ったんですから」
「当たり前だ。俺の方が香坂より上なんだよ」
香坂直樹にだけは負けたくない。菊花が直樹を褒めたことで、健輔の闘志に火が点いた。
「凛々夢!? どうしたのその格好!? てか髪の毛赤に戻ってる!?」
ルシファーのように学校では別人に変装しているわけではないため、菊花にはそれが同級生の恋咲凛々夢であることが即座にバレた。
「それでは今回の参加者をご紹介致しましょう。赤コーナー男子、三年D組サッカー部、香坂直樹! 同じく女子、三年D組サッカー部マネージャー、秋月穂乃可Dカップ! 青コーナー男子、三年B組サッカー部、横田健輔! 同じく女子、二年B組サッカー部、野村菊花Aカップ! これより両ペアには、脱衣ゲームで対決して頂きます。今回行うゲームは、PK戦です!」
戸惑う四人を余所に、ルシファーは捲し立てた。
「香坂君、横田君、秋月さん、野村さんの順番でPKを行っていき、ゴールが決まれば相手のペアの女子は服を一枚脱ぎます。四回ゴールを決められた時点で全裸となり敗北です。なお、ゴールキーパーは守備側のペアの男子が行います」
「いやいや待て待て、突然こんな所に連れて来られてPK戦で女子が全裸とか……わけがわからないぞ!」
ルシファーが説明をしていると、直樹が前に出て抗議した。
「なおこのゲームの勝者は、好きな人と恋人になることができます」
それを聞いた途端、四人全員が目を見開いた。
「皆さん好きな人がいるのに告白できずにいるのでしょう。そこでキューピッドである私が手助けしてさしあげようと思いましてね。この脱衣ゲームを開催させて頂きました」
(これに勝てば……秋月と恋人になれる!? 香坂から奪えるってことか!?)
健輔の胸がざわめきだした。だがふと、隣にいる菊花が気になってそちらに視線が向いた。菊花は両拳を胸の前で握り、緊張した表情。
(ん? 俺の付き合いたい相手が秋月ってことは、俺とペアである野村の好きな男って……)
健輔は直樹の方を見る。直樹は不安がる穂乃可を落ち着かせようとしていた。
(いやいやまさか。今までそんな素振りは一度も……)
知りたくなかったことを知ってしまったような感覚。健輔は急に胸が苦しく感じた。
(……別に野村が誰を好きだろうと俺の知ったことじゃない。だがあいつばっかモテるのは気に食わねえ)
この感情に説明をつけるため、健輔は心の中で言う。
「勝ちましょう! 先輩!」
緊張から一転、やる気満々とばかりに両手でガッツポーズを作っている菊花を見て、健輔はますます動揺。
(そんなに勝ちたいかよ……)
健輔が目を泳がせていることに、菊花は気付いていない。
(くそっ、野村のことなんか気にしたってしょうがないだろ! 勝って香坂から秋月を奪い取る! それだけだろうが!)
健輔は菊花から目を逸らし、強い目力で直樹を見据えた。
「勝つぞ野村!」
「うっす!」
二人が気合を入れたところで、ルシファーはくすくすと笑った。
「スポーツドリンクはこちらにご用意してありますので、熱中症に気をつけて楽しくプレーしましょう」
直樹と健輔の足下に、クーラーボックスが出現した。
「それではこれより脱衣ゲーム、キックオフです」
まずは直樹からスタート。健輔はグローブを付けてゴールに構える。
(ゴールキーパーなんざやったことはないが、それは香坂も同じだ。しかも相手の片方はマネージャーの秋月。確実に俺達が有利のはず!)
暫しゴールを眺めていた直樹。リリムがホイッスルを吹くと、右足を大きく上げて一気にボールを蹴った。
(左だ!)
健輔は軌道を見極めて手を伸ばすが、健輔の予想よりも軌道は左に逸れ、ボールはネットに突き刺さった。
「ゴーーーール!!!」
ルシファーがテンションを上げて叫んだ。
「香坂直樹君、早速一点取りました!」
力強くガッツポーズする直樹と、愕然としながら歯を食いしばる健輔。
(と、止められなかった……)
「それでは野村さん、一枚脱いで頂きましょう」
ルシファーに言われると、菊花は抵抗感がある様子もなくさらりとユニフォームの上を脱いだ。色気の欠片も無いグレーのスポーツブラがお目見え。
「おーっと、これは豪快な脱ぎっぷりです」
(お前……男の前なんだからもう少し恥じらい持てよ)
健輔はそう思ったが口には出さなかった。脱いだ本人はけろっとした表情をしているのに、見ている側はどことなく気まずく感じてしまう。
菊花のスポブラを横目でチラチラ見ながら、健輔はグローブを脱いで先程まで直樹の立っていたペナルティーマークに移動する。丁度二人の位置が入れ替わったところで、次は健輔の攻撃である。
(ここでゴールが決まれば次は秋月が脱がされるのか……っと、いかんいかん。今は妄想してる場合じゃない)
まっすぐ直樹を見据え、健輔はボールを高く蹴り上げる。ボールは直樹の手の先、ゴール右上のネットに突き刺さった。
「ゴーーーール!!!」
(余裕だな。所詮本職じゃなければこんなものか)
相手が直樹ということである程度警戒はしたものの、やってみれば案外簡単であった。
「それでは秋月さん、一枚脱いで頂きましょう」
そう言われた穂乃可は、菊花とは逆にかなり動揺している様子だった。
「なお、脱ぐ気がない場合は私の魔法によって強制的に脱がせることになりますので、自分から脱ぐことをお勧めします」
高いテンションから一転して冷徹な口調で言われ、穂乃可は諦めたのか体操服に手をかけた。直樹と健輔が唾を飲む中、穂乃可は体操服を捲り上げ脱ぎ捨てた。
意外と攻めたワインレッドの、高級感溢れるレースのブラジャー。穂乃可は目を潤ませて羞恥に震えていたが、男子二人にとってはその仕草も情欲をそそるものであった。
「あ、秋月さん! 大丈夫か!?」
「え、ええ……」
直樹から心配されて、穂乃可は気丈に答える。
「さてさて、女子が二人とも一枚脱いだところで、ここからは女子のターンです。次は今回の参加者で唯一のマネージャー、秋月穂乃可さんの攻撃となります」
(先生ってば、キャラ変わりすぎじゃない?)
愉快なゲームマスターを演じるルシファーを隣で見ながら、リリムは思った。
(ていうかPK戦のためだけにスタジアム丸ごと作っちゃうって……)
このゲームで使うのは、片方のゴール周辺だけ。この巨大なサッカースタジアムの殆どは作った意味の無い、言わば魔力の無駄使いである。
本来淫魔領域というのは、魔力を消費しすぎないようある程度省エネで作られるもの。例えばリリムが純一との行為のために作った教室は、校舎ごと作ったわけではない。あくまで教室一つ分しか作られておらず、窓の外の背景も手抜きである。
(先生ってば、魔力が回復したのよっぽど嬉しかったんだろうなぁ)
そんなルシファーを、リリムはちょっと可愛いと思ってしまった。
「ところでリリムよ」
素の口調に戻ったルシファーから突然小声で話しかけられ、リリムはドキリとする。
「さっきから気になっていたのだが、どうしてお前はチアガールなんだ?」
「ああそれ? 今回はスポーツが題材だから、チア衣装にしてみたんだ。先生がいろんなゲーム作ってるの見て、ボクもそれに合わせたいろんな衣装作ってみようと思ってね」
「お前が何か作ってるのは知ってたが、そういうことだったのか」
淫魔領域という自分だけの世界を作って生きる性質故か、淫魔という生物は何かとクリエイター気質の者が多い。ルシファーが心血を注ぐのがゲーム制作であるように、リリムもまた衣装作りを何よりの趣味としている。脱衣ゲームのアシスタントというのは、自作の衣装を披露するには絶好の機会なのである。
ちなみに、今日の水泳で着ていた白スクや普段の体育で着ているブルマも自作である。
暫く渋っていた穂乃可であったが、いい加減に諦めてペナルティーマークに向かう。ボールは魔法によって自動的にマークに置かれた。
「秋月さん! PKは運の要素も大きいし、健輔は本職のキーパーじゃない! 秋月さんのシュートでも入る可能性は十分にある!」
直樹に励まされながら、穂乃可は健輔と向き合った。
だが健輔からしてみれば、気が気じゃない状況である。自然と視線は穂乃可の胸元に吸い込まれた。色香に惑わされて素人からゴールを奪われればサッカー部員として一生の恥だ。
しかも今は下半身の状態が動きを阻害している。とりあえずはポケットに手を突っ込んで、せめて多少なりとも動くのに邪魔にならないようポジションを直しておいた。
「先輩がんばれ!」
菊花の応援する声が聞こえたので一度そちらに目線を向けた後、再び穂乃可を見る。一口にブラジャーといっても色気の差は歴然だ。バスト自体の大きさもさることながら、ブラのデザインでも菊花の完敗である。
ホイッスルが鳴る。穂乃可の蹴ったボールは、真正面を転がり健輔の両手に納まった。
「残念! ゴールならず!」
(まあこんなもんか)
取れて当然のシュートをセーブし、健輔は特に感慨も沸かなかった。さっさとグローブを脱いで、菊花の所に戻る。
「先輩ナイスセーブ」
「何がナイスだ。あんなのは止められない方がおかしい。だがこれで秋月は戦力にならないとはっきりした。この勝負勝てるぞ」
「ここであたしがゴールできれば一点リードできますね」
菊花は意気揚々と向かう。ホイッスルが鳴ると、菊花は瞬時にボールを蹴り上げた。直樹は即座に動き、ゴール右端に飛んできたボールを危ういところでパンチング。
「残念! ゴールならず!」
惜しくも止められて、菊花は肩を落とした。
(やっぱ野村のスポブラじゃ多少の誘惑もできんか)
戻ってくる菊花を見ながら、健輔は失礼なことを思う。自分が色香に気を取られて油断していたため、こちらも菊花の下着で油断させられるのではと多少は期待していたものの、直樹は無反応であった。
「今のは完全にコース読まれてましたね。流石はキャプテン、手ごわいです」
「香坂のことなんか褒めんじゃねーよ」
不機嫌になる健輔を見て、菊花はきょとん顔。
「横田先輩も凄いですよ。キャプテンからゴール奪ったんですから」
「当たり前だ。俺の方が香坂より上なんだよ」
香坂直樹にだけは負けたくない。菊花が直樹を褒めたことで、健輔の闘志に火が点いた。
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