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第一章

第1話 野球拳 ~清楚な学級委員長VS巨乳ボーイッシュ~

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 衣替えが終わり、生徒が皆夏服に変わった初夏のことである。
 県立綿環わたわ高校、二年B組の教室。
 帰りのホームルームを終えた放課後、生徒達はそれぞれ部活に向かったり帰宅の準備をしたり、或いは教室に残って駄弁ったりしていた。

「黒羽先生、さようなら」
「ええ、さようなら」

 礼儀正しく頭を下げて丁寧な挨拶をする女子生徒に、担任の教師が挨拶を返す。女子生徒と並ぶ男子生徒も、一緒に頭を下げた。
 担任の黒羽くろばねたかし先生は、いつも猫背な上にダサいファッションで今時どこで売ってるのかわからない瓶底眼鏡まで掛けている。見るからに冴えなくて幸の薄そうな雰囲気のおとぼけ中年男性教師である。
 挨拶をした女子生徒は、学級委員長の島本しまもと悠里ゆうり。艶やかな黒髪ボブカットにカチューシャを付けた、清楚で可憐な美少女。成績は常に学年トップレベルの真面目な優等生ながら物腰柔らかで堅苦しさがなく、細やかな気遣いができる性格故に満場一致の推薦で委員長に任命された。品行方正という言葉を絵に描いたような制服の着こなし方の中で、トレードマークのカチューシャは毎日違う色のものを付けてきており、さりげないお洒落さを主張している。
 男子生徒の方は副委員長の佐藤さとう孝弘たかひろ。黒髪短髪で眼鏡を掛けている。背が高くて運動神経も良く、二年生にして野球部のレギュラーを務めている。
 生徒達からは空気のように扱われがちな黒羽先生だが、この学級委員コンビは毎日挨拶をしてくれる。
 二人は教室の備品の整理や各種点検を毎日やっており、今日もそれを終えてから部活に向かう。悠里は手芸部、孝弘は野球部である。

「島本さん、佐藤君、いつも丁寧な仕事ありがとうございます。うちのクラスの学級委員は仕事熱心で助かりますねー」
「いえ、好きでやっていることですから」

 黒羽から感謝されたところで悠里はもう一度頭を下げ、孝弘と共に教室を出た。
 黒羽の視線は、また別の生徒の方に向いた。部活に行くための支度をしながら雑談する四人の生徒、サッカー部の男子二人とテニス部の女子二人である。
 男子二人は茶髪ツンツンヘアーの山本やまもと大地だいちと、長い黒髪を後ろで纏めた風間かざま純一じゅんいち。女子二人は茶髪ポニーテールの須崎すざき美奈みなと、金髪くせっ毛ショートの桃井ももい宏美ひろみ。よくこの四人で一緒にいる所を見るグループだ。
 彼らは制服の着方一つ見ても学級委員コンビとは百八十度異なっており、それぞれ思い思いの着崩し方で個性を演出している。
 中でも黒羽が注目したのは山本大地と須崎美奈である。大地はお調子者なクラスのムードメーカーであり、所謂バカに部類される性格の持ち主。
 美奈は声が大きく元気溌剌、いつも明るい太陽のような美少女。スタイル抜群で乳尻太腿に定評があり、いつも短くしているスカートで活発に動くものだから割と頻繁にチラチラ見えると男子から評判。

「んじゃ、俺ら先部活行くわー」

 純一と宏美は、急ぎ気味で荷物を片付け教室を出ようとする。

「あ、待てよ俺も」

 大地がそう言おうとしたところで、純一は呆れ顔。

「せっかく気を利かせて二人きりにさせてやってんだ。須崎とゆっくり話してけよ。てかいい加減告れ」
「よ、余計なお世話だっつの」

 大地は純一から目を背け、鞄を背負って慌てて二人についていく。美奈もそれに続いた。

「んー? 何の話ー?」
「何でもねーよ!」

 後ろから尋ねる美奈に、誤魔化す大地。いかにもな青春の一ページを、黒羽は黙って観察していた。

 生徒が全員教室から出て行ったところで、黒羽はふっと笑う。

(さて、そろそろ始めるとするか)

 黒羽の姿が、霞のように消えた。
 一瞬にして移動した先で瓶底眼鏡を外した黒羽は、二十代ほどに見た目に若返る。その素顔は顔立ちは男ですら見蕩れるほど美しく、さながら少女漫画の世界から出てきたかのような妖しい魅力を放つ風貌。髪は銀色に染まり、ダサい服もスタイリッシュな黒スーツに変わった。そして背中には、明らかに人間ではないことを示す漆黒の翼。冴えない中年教師の面影は、最早どこにも無い。

 黒羽が変身を完了したところで、本日のゲストがステージの外に姿を現した。佐藤孝弘&島本悠里のペアと、山本大地&須崎美奈のペアである。孝弘は野球部のユニフォームで、あとの三人は制服姿。

「ここは……一体……?」

 当然困惑する四人。ステージ上から見下ろす怪しい銀髪の男の存在に気付くも、それが自分達の担任である黒羽先生だとは気付くはずも無し。

「ようこそ愛天使領域キューピッドゾーンへ。私は愛の天使、キューピッドのルシファー」

 変身した黒羽は、そう自己紹介する。

「これより両ペアには、脱衣ゲームで対決して頂きます。ゲームに一回負ける毎に女の子が服を脱いでいき、最終的に全裸になった方が負けです」
「え? 何? 意味わかんない」

 ただただ困惑する美奈。その隣で、大地はどこか冷静な表情。

「そういやこんなAV見たことあるぞ。カップル同士をゲームで対決させて、最終的に負けた方の彼女が主催者に寝取られるんだ。ていうかあのステージもよくAVで見るやつだし!」
「ああ、これはそういうのじゃありません。寝取られたりとか一切ありません」

 ルシファーはきっぱりと断言する。

「私は愛の天使キューピッド。このゲームで勝ったペアは、好きな人と結ばれ恋人同士になれます。負けても女の子が全裸になるだけで、それ以外のデメリットはありません。それと君、高校生がAVとは頂けませんね。先生にバレたらお説教ですよ」
「っ……んなことはどうでもいいだろ! つか何だよキューピッドって! そんな真っ黒い羽したキューピッドがいるか!」

 カラスのような真っ黒い羽を指差し、大地が叫んだ。

「あ、そこはお気になさらず」
「あの……俺達部活があるので帰してもらえませんか?」

 孝弘が挙手して尋ねる。

「残念ながらゲームが終わるまで帰れません。さて、早く帰りたがってる方もいるようですし、早速今回のゲームを説明致しましょう。今回のゲームは、脱衣ゲームの王道――野球拳です!!」

 ルシファーはテンションを上げる。

「説明不要かとは思いますが、万が一知らない方のため、ちゃんと説明しておきましょう。私がこれから歌を歌いますので、お二人は私を真似して踊って下さい。そしてその歌の『よよいのよい!』に合わせてジャンケンをします。そして負けた方が服を脱ぐ。簡単ですね。ちなみに四回負けたら全裸です。はい説明終わり。それでは早速始めましょうか」

 ルシファーが捲し立てそこまで喋ったところで、突然悠里と美奈の体が宙に浮かび上がった。

「えっ!?」
「な、何!?」

 二人は空中を移動させられてステージに上げられ、二メートルほど間を空けて立たされる。

「それでは改めまして今回の参加者をご紹介しましょう。赤コーナー男子、二年B組サッカー部、山本大地! 同じく女子、二年B組テニス部、須崎美奈Fカップ!」
「胸のサイズ言う必要ある!?」
「青コーナー男子、二年B組野球部、佐藤孝弘! 同じく女子、二年B組手芸部、島本悠里Bカップ!」

 同じく胸のサイズを暴露された悠里は、両腕を胸の前に持ってきて小ぶりな胸を隠すようにした。

「あ、ちなみに男子のお二人は今回特にやることがないので、そちらで見学してて下さい」
「ペアでやるって言っといてそれかよ」

 男子二人は渋々床に腰掛けた。

「なあ副委員長、これもう完全にAVのアレだよな」

 大地が孝弘に声をかける。

「えっ? あ、いや、俺AVとか見たことないし……」
「マジかよ。副委員長十八歳になるまで見ないと決めてるタイプ? ほんっとマジメだなー」

 一方、ステージ上で向き合う女子二人は。

(まさか本当にやるのこれ? 負けたら脱ぐって。勝ったら好きな人と結ばれるって)

 美奈は大地の方をチラッと見るが、AVの話をしているようなのでイラッとしてそっぽを向いた。
 そして同じく、悠里も孝弘を見る。

(佐藤君……)

 と、そこでルシファーが手を叩いた。

「はいはーい、それでは始めましょうか。女子のお二人、私の真似して踊って下さいね」

 特にスピーカーは見当たらないがどこからともなく音楽が流れ始める。それと共に、ルシファーはノリノリで歌って踊り始めた。

「野球~す~るなら、こういう具合にしやしゃんせ~」

 スタイリッシュなイケメンがあまりにも見た目に似合わぬ奇行に出たので、四人は困惑。

「え、あの人こんなキャラだったの?」
「シュールな光景だな」

 男子二人がそんな反応を見せる中で、美奈はドン引き。

「うっわ、何あれ……」

 誰もがルシファーの方に注目する最中、悠里ははっとして顔を紅潮させながら小さな動きで申し訳程度に踊ってみせる。

(は、恥ずかしい……)

 途端、そんな悠里に孝弘の視線は釘付けになった。

(島本さん可愛いな)

 一方の美奈は、踊るのを拒否。

(誰があんなこと……)

 だがその意思に反し、体が勝手に動きルシファーと同じノリノリの踊りを披露し始めたのである。

「え、何これ!?」


 焦る美奈。大地が口をあんぐり開けている様子が見えた。その最中にも、歌は進行して行く。

「アウト! セーフ! よよいのよい!」

 歌の終わり、悠里は戸惑いつつもルールに沿ってジャンケンのパーを出した。美奈は体が強制踊りから解放されるも、何も出さず。

「島本悠里さんの不戦勝ー!」

 ルシファーが高らかに叫ぶ。

「えー、改めて説明致しましょう。踊る気が無い方は私の魔法で強制的に踊って頂きます」
(ちゃんと踊っといてよかった……)

 悠里はほっと胸を撫で下ろす。

「そして踊りは強制でも最後のジャンケンは自分でやって頂きます。もし何も出さなかった場合は不戦敗となります」
「先に言えよ!」
「はいはいそれでは負けた須崎さん、早速脱いで下さい」
「どうせ脱がなかったらさっき躍らせたみたいに魔法で強制的に脱がすんでしょ?」

 美奈はそう言ってブラウスを脱ぐ。ブラジャーとの間にはキャミソールを一枚着ているため、このくらいなら男子に見られても割と平気だ。だがその後また体が勝手に動き、キャミソールを脱ぎ始めた。

「え、ちょっと! 一枚ずつ脱ぐんじゃないの!?」
「先程四回負けたら全裸と言いましたよね。このゲームでは着ている服の枚数で有利不利が出ないよう、脱ぐ部位はトップス、ボトムス、ブラジャー、ショーツの四つと決められています。つまり最初の一敗目では上半身に着ているものがブラジャー一枚になるまで全部脱いで頂くことになりますね」

 ゆっくりと捲り上げて脱ぎ捨てると、その拍子に大きな胸が揺れた。オレンジのチェック柄で、飾り気の少ないシンプルなデザインのブラジャーが露となる。

「で、でけえ……」

 大地が思わず声を上げた。孝弘も無言で唾を飲む。
 その存在をはっきりと主張する豊かな双丘。美奈のプロポーションの良さを、この場の全員にこれでもかと見せ付けることとなった。
 男子二人は男として当然の生理現象が来て、座る姿勢を胡坐から体育座りに切り替えた。

「大きいのはわかっちゃいたが、実際見てみるとすげーもんだな」

 鼻の下伸ばして興奮する大地に、孝弘は無言で二回頷いた。

「見んな男子ども!」

 怒ってブラウスを投げつけようとした美奈だが、途端にブラウスとキャミソールが消滅した。

「脱いだ服はゲームが終わるまでこちらでお預かり致しますね」

 笑顔で爽やかに言うルシファー。美奈が怒りを募らせる中、悠里にはまた別の感情が。

(佐藤君が須崎さんを見てる……)

 巨乳で注目を集める美奈。その点で自分は絶対敵わない。悠里は胸の痛む思いを感じた。

「さてさて、それでは二回戦始めましょう。須崎さん、今度はちゃんとやって下さいね」
「わかってるっての!」

 また音楽が流れ始める。今回美奈は悠里と同じように、小さな動きで申し訳程度に踊った。
 が、それでも胸はしっかりと揺れ、男子の視線を一点に集めた。

「よよいのよい!」

 歌の終わりに、いよいよジャンケン。悠里はチョキで、美奈はグー。

「須崎美奈さんの勝利ー!」
「あ……あ……」

 悠里の手がぷるぷると震えた。

「はい、それでは島本さん、脱いで下さい」
「は、はい……」

 悠里は涙目になって縮こまりながら服を脱ぎ始める。

「おおっ、委員長も脱ぐぞ!」
(島本さんが下着姿に……)

 あの清楚な学級委員長が、目の前で服を脱いで下着を見せてくれる。これに興奮しないでいられるはずがない。
 大興奮を隠そうともしない大地とは対照的に、孝弘は興奮しつつも見てはいけないような気持ちに苛まれた。
 悠里の恥ずかしくてたまらなさそうな脱衣の所作は妙に色気があり、心の奥底から背徳感が湧き上がってくる。

(意外とお洒落な下着してるんだな)

 ブラウスとキャミソールを脱ぎ、透き通るような白い肌が露となる。ブラジャーの色は水色。花柄の刺繍がされ、中央にはリボン。可愛らしくも美しい下着が小ぶりな胸を覆っている。
 お洒落だけど派手すぎることのない、清楚で上品な雰囲気の下着。それが彼女にとてもマッチしており、孝弘の心臓を跳ね回らせた。
 羞恥心に顔を紅潮させ胸の前に手を持ってきてブラを隠す仕草が、これまた非常に男心をくすぐるものであった。

「随分興奮してんな副委員長。やっぱ、お前の好きな人って委員長なのか?」

 大地は孝弘の肩に腕を回し、からかい気味に尋ねた。

「……何か問題でも」
「いやー、それならいいんだ、うん」

 大地は孝弘から手を離す。

「お似合いじゃねーの? 真面目カップルって感じで」
「俺、別にそんな真面目でもないよ」

 孝弘が急にそんなことを言うので、大地は思わず女子の下着姿から目を離してまで孝弘の顔を見た。

「島本さんに近づきたくて演じてるだけなんだ。ホントはAVだって見たことあるし」
「お、おう。すげー暴露だな」

 男子達の会話を他所に、三回戦が始まる。お互い上半身ブラ一枚という格好で踊る姿は、なんともいかがわしいものを見ているような気分にさせられた。

「よよいのよい!」

 悠里はパー、美奈はチョキ。

「須崎美奈さんの勝利ー!」
「よしっ!」

 美奈はチョキにした手をそのまま握り、ガッツポーズ。

「うう……」

 悠里はまた涙目になりながら、スカートを脱ぎ始めた。ブラとセットでデザインされたレースの水色ショーツが露になる。

(し、島本さんのパンツー!!! な、なんて綺麗なんだろう……)

 孝弘は叫びたくなるくらいの興奮の後、一週回って冷静になり惚けた顔で見蕩れてしまった。
 その下着姿にはいやらしさよりも秀麗さを感じさせ、背後に天使の羽を空目するほど見目麗しい。
 じっと見つめられている当の悠里は、今にも火を噴きそうに顔を紅潮させながら下着を小さな手で申し訳程度に隠した。

(佐藤君が私の下着姿を見てる……)

 悠里が孝弘と目を合わせてきたので、孝弘ははっと我に返り居た堪れなくなって一度目を逸らした。

 そして始まる四回戦。

(もうこれ以上負けられない。あと三回、全部勝たなきゃ)

 下着姿とそれ以上脱ぐのとでは、ハードルに絶大な差がある。悠里は拳を握り、己を奮い立たせた。
 ルシファーが歌いだし、いざジャンケン。悠里はグーで、美奈はチョキ。

「島本悠里さんの勝利ー!」
(やった!)

 この異空間に連れてこられてから初めて見せる、悠里の安堵の表情。

「はいはい、脱げばいいんでしょ脱げば」

 既に悠里がショーツまで見せているためか、美奈は抵抗することなく堂々とスカートを下ろす。こちらもブラとセットになった、オレンジチェックのシンプルなショーツである。

「なあ副委員長、お前これまで委員長のパンツ見たことあったか?」
「あるわけないだろ! 今日見るのが初めてだよ!」

 悠里は生真面目な性格というだけあって、露出に対するガードがすこぶる堅い。スカート丈は膝上とはいえクラスの女子の中では長い方であり、所作にも気を遣っているため一年と二ヶ月同じクラスで過ごしてもパンチラを目撃したことは一度として無かった。

「俺は美奈のパンツ結構見てるぜ。あいつ迂闊だからな、あんだけスカート短くしてしょっちゅうパンチラしてること気付いてねーんだ」

 自慢げに言う大地。だが当の美奈はといえば。

(丸聞こえだぞ今の話。お前がしょっちゅうあたしのパンチラ見ようと狙ってること、全部気付いてんだからな!)

 本当に迂闊なのは、大地の方であった。

「さてさて、これにて両者とも下着のみとなりました。次に負けた方は、いよいよおっぱい公開です」

 ルシファーが見も蓋もないことを言う。この場に緊張感が走った。

(美奈の巨乳が、公開……!)
(島本さんのおっぱい? 島本さんの!?)

 男子二人が興奮と緊張で強張る中、女子二人の抱く緊張感と危機感はそれ以上。絶対に負けないという思いを乗せて、二人は見合う。
 だがその緊張感を壊すように、ルシファーは愉快な歌を歌いだした。女子二人もそれに合わせて渋々踊る。

「おい見ろよ副委員長、美奈の奴、ケツも揺れてるぞ」
「いちいち言わなくていいっ!」

 下着姿で踊る美奈は、悠里を見ていたい孝弘の視線もつい引っ張ってしまう存在感であった。たゆんたゆんと揺れるとこ揺らし、男達をこれでもかと惑わす。
 ジャンケンの手は、悠里がグーで美奈がチョキ。奇しくも先程と全く同じ手であった。

「島本悠里さんの勝利ー!」

 ルシファーがこれまで以上に高らかに叫ぶ。美奈の顔は赤くなったり青くなったり。まるで何かの電飾のようにコロコロと色が変わった。

「さあ、それでは脱いで頂きましょう。須崎美奈さんの、Fカップおっぱい大公開です」
「っ……!」

 美奈は悔しさと恥ずかしさに顔を強張らせながら、背中に手を回しブラのホックを外した。女子が脱ぐ度騒いでいた大地も思わず言葉を止める。
 美奈は片方の手でブラを押さえながらもう片方の手で肩紐を外すのを交互に行った後、胸の先端だけでも隠そうと腕の位置を調整しつつゆっくりとブラを外した。
 いよいよ露になる豊満な胸。片腕だけではその全体を隠しきれず、上から下から柔らかそうなものがはみ出している。

(うおおおおおおおおおお!!!)

 男子二人は心の中で叫んだ。

「見るなバカっ!」

 こころなしか、美奈の罵る声もしおらしげに聞こえる。動いた拍子に腕がずれ、少し色の違う部分が僅かに見えた。

「やべー……マジもんの美奈のおっぱいだぜ? これ現実かよ」

 好きな女の子の胸が見られるという滅多にない経験、大地はこれが現実であることを疑い始めた。
 美奈と対峙する悠里は、恥ずかしがる美奈を哀れみつつも目を鋭くする。

(須崎さんごめんなさい。でも私はこれ以上脱ぎたくないから……)
「さて、次に負けたら須崎さんは全裸です。六回戦行きましょう!」

 ルシファーが歌いだす。片方の腕は踊りに使うためフリーにせねばならず、腕一本で胸を隠しながら踊らざるを得ない美奈。今にもこぼれそうな胸を必死に押さえつつ、リズムに合わせて体を動かす。胸自体が大きい故に自然と乳輪も大きめなため、体を動かす度チラチラと見えてしまう。

(ポロリしろ……ポロリしろ……)

 たとえ口に出さずとも、大地の邪念は隣の孝弘には丸聞こえであった。

「よよいのよい!」

 そして出た手は、悠里がチョキで美奈がグー。

「よっしゃ!」

 美奈は思わず両手でガッツポーズ。男子二人は、衝撃のあまり目を見開き口をあんぐり。美奈ははっとして慌てて両手で胸を隠した。

「み、見たか副委員長」
「あ、ああ……」

 男子達が放心に近い状態の中、美奈は顔から火が出そうな様子でプルプル体を震わせていた。

「えー、さて、須崎さんのうっかりポロリに注目が集まっているようですが、島本さんのおっぱい公開です」

 男子二人の視線が、一瞬で悠里の方に向いた。

(遂に島本さんが……)

 孝弘は唾を飲む。美奈のポロリによる大興奮も止まぬまま期待に胸と股間を膨らませ見つめる男子二人であったが、悠里はブラを取ろうとしない。

「無理……です……もう脱げません……」
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