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昭和48年編

族vs亮さん

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―――お寺の裏側を抜けたひとけのない場所

「おいっお前ら~っ けーすけの女釣ってきた」
「あ?なんで?あいつに女なんていんのかよッ」
「ほれッ」
「お、なかなかかわいーじゃねぇか」

数人 いや十数人がたむろしていた。暴走族?連合?服の背中に威圧的な書体で書いてある.....。

あぁ私が映画のヒロインみたいに、めちゃくちゃ強かったらな.....。もしくは実は男でしたとか......無いよね。
どうしよう。警察も来ない。誰か通報してよ!
神様 いっそ今もとの時代に戻してください。神様仏様.....。目を閉じて拝んだ、すがった......。



「――――――何やってんだ 大人のクセして ガキか?」


亮さん?
刀二本を手にした亮さんだ。
その刀.....お土産屋の.....おもちゃ.....。

「なんだテメェー!!!」

とパンチパーマが叫び終える前にすっ飛んできた亮さんが飛び蹴りをかまし、パンチパーマは真後ろに倒れた.....。
私は亮さんに手を捕まれ――――「走るぞ」

既に走って私を探してた亮さんは汗だくだった。
走って走って、お寺の裏あたり私達は三人の族に追いつかれた。抜け道は塀をこえるしかない。
無言で亮さんめがけて迫り来る族。一人目を蹴り飛ばし二人目を殴り、倒れたとこを踏みつける亮さん.....。

三人目と揉み合いになり、亮さんが馬乗りになる。
拳を振り上げた所をさっき倒された二人目の奴が亮さんの両腕を掴む......下から一発殴られる亮さん。

私は、亮さんの腕を掴んでいる奴の腕を力いっぱい引っ張ったが動かないので、
仕方なく目に指を入れてやった.....手を離した瞬間亮さんが処理した。

「行くぞっ」
かなり高い塀。近くの木によじ登り亮さんが向こうへジャンプした。
え?亮さん?
亮さんが向こう側から棒で閉めてあったドアを開いた。
あーびっくりした。

しばらく走ると人混みに紛れ、無言でただただ早歩きで浅草をあとにした。

私達は商店街近くまで戻った。
ふと立ち止まり亮さんは私を強く強く抱きしめた。私は頭から全部亮さんに包まれた。
「ほんとに怖かった。守れなかったらどうしようって.....」私は鼻がツーンとした。涙がゆっくり頬をつたった。

「ありがとう 亮さん.....」
......亮さんはプレイボーイなんかじゃない。

マーガレットに戻るとマッチャンとさゆりさんが涙目で喜んだ。
「あぁ良かった。」
「亮くん居て良かったわぁ」
ぼっち.....ぼっちは完全に萎れきっていた。

「真由ちゃんごめん。ほんとに.....ごめん」
「私がすぐ立ち去らなかったから」

「真由ちゃん僕を置いてけなかったんでしょ。ごめん僕弱くて.....」

 私が連れ去られた直後、亮さんたちが来て、亮さんはぼっちには来るな、マッチャンにはさゆりさん連れて帰れと言い残し、たったひとりで助けに走ったらしい。

ぼっちには何も聞けなかった。この時代暴走族や連合系が盛んだったよう。

解散するにはぼっちがヘコミ過ぎてるので、マーガレットで飲むことになった。
「いっぱいいたんでしょ?敵陣」
「十人くらいかな」
「十人以上でしたよ亮さん」

「真由ちゃん、俺がやられた時どうやってあいつ引き離したの?」

「あ.....力では離せなかったんで.....目に指を....入れました」

「うわぁ。一番危ないのは真由ちゃんね。こわーい」

ぼっちも亮さんも頬や手を冷やしながらビールを飲んだ。

ぼっちは少し元気を取り戻し帰った。
マッチャンも「ここ明日朝片付けるから~」と言い残し帰った。
さゆりさんが「じゃ後は若い二人で」と言ってみんな気を使って帰っていった。

―――ガランとしたマーガレットに私達二人。

 私は亮さんの頬をチェックする為、氷水を押さえ付けてる亮さんの手を取る。
「やっぱり腫れてきましたね」
離した手にも痛々しい傷があった。亮さんこんなになってまで.....。
亮さんは私の頭に自分の頭をコツンと合わせ、私の頭に手を添えて言った。

「こうしたら全部伝わればいいのに」

私はその頭をずらし、亮さんにキスをした。そう、この私からキスをしてしまった。
自分の方が亮さんより驚いた.....

「伝わったな」

照れくさい.....。恥ずかしい。
でも亮さんは涼しい顔で私をみてる。

「疲れただろ」
とんとんと自分の膝をたたく亮さん。
私はウトウトして、亮さんの膝枕でぼんやりと亮さんを見つめた。
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