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昭和48年編
ついに本番
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―――ついに来た本番
私達は新宿のライブハウスにいた。ファンキーな人達が集まっている、審査員席の後ろに。
ファンが付いてるグループもいるようで、キャーキャー声もする。
あれ 亮さんがいない。
「ぼっち、亮さんは?」
「あいつ.....また」その視線の先には女の子と話す亮さん。亮さんにはファンがいる?
「亮はああ見えて、手早いから。気をつけてよね真由ちゃん。」
え?手が早い?あの亮さんが、この時代では。
うそーっ。
ニコニコ顔の女性の頭をぽんぽんし戻ってきた。
「さっ行くか 裏」
クールな顔して言い放った亮さんについて控室と書かれた大部屋に入る。
緊張するどころか、うるさい!音が乱暴に重なり合いうるさいっ。
みんな、最後に必死で練習してる。
私達は15番のカードをもらった。私は2回目のお手洗いへ.....。
頭の中で何度も歌う。ちゃんと出来るかな。結局バッチリ合わせることなくこの日を迎えた。
風をひいた私が悪い.....。
神様、これ成功させたらいい事ありますか?平成に戻れるとか亮さんが私を思い出すとか.....。
「真由ちゃん!次の次の次だよ!」
「それどうゆう意味ですか?3番目?」
ちょっとてんやわんやである。
「お次はヒッピーガール真由ちゃんのひぐらしのはな曲は『泣いてませんか』」ヒッピーガール?真由ちゃん......。
「真由ちゃん 真由ちゃん なんか言って」
「あっ。わ わたし 真由です。ひぐらしのはなです。『泣いてませんか』聞いてください。」
♪~
またどこかで 泣いてませんか
君の知らない 僕はここにいる
弱虫になった僕 消えてしまいそうな
君をみつけたから この時代に
またひとりで泣いてませんか
僕の知ってる君 大好きな君
泣き虫の君 怖がりの君
――――――――亮さんのギターがいきなり止まった
亮さん!亮さん!私はピンチを抜けようとぼっちの合図でぼっちのピアノがアレンジをきかし、なんとか歌う。
亮さんは放心状態だ。どうしたの.....かな。
♪明日が来なくても 会いに行く 何度でも 何度でも―――
ラストだけギターの音が再びなった。
歓声があがった。審査員は不思議そうだけどっ。お客さんは粋なアレンジだと思ったようだった。
裏に戻ってぼっちが亮さんを問い詰める。
「どうしたんだよ。亮 急に止まって。緊張した?コード飛んだ?」
「.......」
「亮 なんか言ってよ」おっきな目で亮さんを凝視するぼっち。ぼっちは、亮さんの夢叶えたくて全力サポートしてきたんだよね。そりゃびっくりしたよね......。
「ごめん ごめん ぼっち」
それだけ言って亮さんは出ていった。
私達は入賞しなかった。
夜、マーガレットで打ち上げをする事になっていた。さゆりさんとマッチャンの優しさで。
ぼっちと私は店に帰ってきた。
「おつかれ!上手くできた?」
「あぁちょっとトラブルあったけど私は満足。」
「そうなの。今日は打ち上げよ。好きなだけ遊んでちょうだいね。」
ありがとうさゆりさん。
「あらぁ~亮くんは?どうしたの~」マッチャンがぼっちに聞いた。ぼっちはテンション下がり気味.....。
「亮さんは、たぶんもうす....」
私が説明しかけたら、亮さんが入ってきた。
ただならぬ空気にマッチャンがアタフタする。
「とりあえず~なんか飲んで!何がいい~今日はお酒もあるのよ~。」
誰かが店に来るもさゆりさんが入口で断ろうとしている。ぼっちが「どうぞっ。一緒に打ち上げしてください。」と招き入れた。さゆりさんが声をかけ商店街の人も次第に集まった。
あとは、あの意味深な行動の亮さんをどう料理するか.....あぁ。
お酒も入り、ぼっちが語る
「真由ちゃん良かったんだよ~すごい切ない歌声がさ。みんなお客さんも聴き入ってたんだぁ。」
「なに、それ見に行って良かったのね。是非行きたかったわぁ~」
隅っこで亮さんもお酒がどんどん入る.....。
少し頼りない足取りで店の小さなステージに上がる亮さん。ギターを抱えて―――
♪~
またどこかで泣いてませんか
君の知らない 僕はここにいる
弱虫になった僕 消えてしまいそうな
君をみつけたから
亮さんが歌ってる。目を閉じて、酔っぱらいだけど上手い.....そして凄くかっこいい.....歌う亮さん。
あ.....泣いてる?
亮さんの閉じた目尻から涙が流れた。初めてみた.....平成の亮さんが泣くなんて地球がひっくり返ってもなさそう。
ステージから戻ってきた亮さんに、ぼっちも唖然。私も何がなんだか、私達の周りだけただ静かに時が流れる。他のお客さんの会話のガヤガヤした雑音とマッチャンがかけたレコードから流れる音の中で。
「亮!」ぼっちが呼びかけた時、亮さんは立ち上がり私の前に立った。それから亮さんは私を壊れそうなくらいに抱きしめた。
「真由.....真由.....」私の名前を言いながら。
放心状態の私に、ぼっち、さゆりさん、マッチャン。
「スースースー ぐっ」
え?えーっ?亮さんは、そのまま私を抱きしめたまま眠った。
打ち上げはお開きになり、亮さんはそのままつなげた椅子に寝かされ毛布を被された。
え?ここに寝かすの??
マッチャンが「そのうち起きて帰るわよ~じゃあね~」とウィンクして帰った。
私はしばらく亮さんの寝顔を見つめた。
私達は新宿のライブハウスにいた。ファンキーな人達が集まっている、審査員席の後ろに。
ファンが付いてるグループもいるようで、キャーキャー声もする。
あれ 亮さんがいない。
「ぼっち、亮さんは?」
「あいつ.....また」その視線の先には女の子と話す亮さん。亮さんにはファンがいる?
「亮はああ見えて、手早いから。気をつけてよね真由ちゃん。」
え?手が早い?あの亮さんが、この時代では。
うそーっ。
ニコニコ顔の女性の頭をぽんぽんし戻ってきた。
「さっ行くか 裏」
クールな顔して言い放った亮さんについて控室と書かれた大部屋に入る。
緊張するどころか、うるさい!音が乱暴に重なり合いうるさいっ。
みんな、最後に必死で練習してる。
私達は15番のカードをもらった。私は2回目のお手洗いへ.....。
頭の中で何度も歌う。ちゃんと出来るかな。結局バッチリ合わせることなくこの日を迎えた。
風をひいた私が悪い.....。
神様、これ成功させたらいい事ありますか?平成に戻れるとか亮さんが私を思い出すとか.....。
「真由ちゃん!次の次の次だよ!」
「それどうゆう意味ですか?3番目?」
ちょっとてんやわんやである。
「お次はヒッピーガール真由ちゃんのひぐらしのはな曲は『泣いてませんか』」ヒッピーガール?真由ちゃん......。
「真由ちゃん 真由ちゃん なんか言って」
「あっ。わ わたし 真由です。ひぐらしのはなです。『泣いてませんか』聞いてください。」
♪~
またどこかで 泣いてませんか
君の知らない 僕はここにいる
弱虫になった僕 消えてしまいそうな
君をみつけたから この時代に
またひとりで泣いてませんか
僕の知ってる君 大好きな君
泣き虫の君 怖がりの君
――――――――亮さんのギターがいきなり止まった
亮さん!亮さん!私はピンチを抜けようとぼっちの合図でぼっちのピアノがアレンジをきかし、なんとか歌う。
亮さんは放心状態だ。どうしたの.....かな。
♪明日が来なくても 会いに行く 何度でも 何度でも―――
ラストだけギターの音が再びなった。
歓声があがった。審査員は不思議そうだけどっ。お客さんは粋なアレンジだと思ったようだった。
裏に戻ってぼっちが亮さんを問い詰める。
「どうしたんだよ。亮 急に止まって。緊張した?コード飛んだ?」
「.......」
「亮 なんか言ってよ」おっきな目で亮さんを凝視するぼっち。ぼっちは、亮さんの夢叶えたくて全力サポートしてきたんだよね。そりゃびっくりしたよね......。
「ごめん ごめん ぼっち」
それだけ言って亮さんは出ていった。
私達は入賞しなかった。
夜、マーガレットで打ち上げをする事になっていた。さゆりさんとマッチャンの優しさで。
ぼっちと私は店に帰ってきた。
「おつかれ!上手くできた?」
「あぁちょっとトラブルあったけど私は満足。」
「そうなの。今日は打ち上げよ。好きなだけ遊んでちょうだいね。」
ありがとうさゆりさん。
「あらぁ~亮くんは?どうしたの~」マッチャンがぼっちに聞いた。ぼっちはテンション下がり気味.....。
「亮さんは、たぶんもうす....」
私が説明しかけたら、亮さんが入ってきた。
ただならぬ空気にマッチャンがアタフタする。
「とりあえず~なんか飲んで!何がいい~今日はお酒もあるのよ~。」
誰かが店に来るもさゆりさんが入口で断ろうとしている。ぼっちが「どうぞっ。一緒に打ち上げしてください。」と招き入れた。さゆりさんが声をかけ商店街の人も次第に集まった。
あとは、あの意味深な行動の亮さんをどう料理するか.....あぁ。
お酒も入り、ぼっちが語る
「真由ちゃん良かったんだよ~すごい切ない歌声がさ。みんなお客さんも聴き入ってたんだぁ。」
「なに、それ見に行って良かったのね。是非行きたかったわぁ~」
隅っこで亮さんもお酒がどんどん入る.....。
少し頼りない足取りで店の小さなステージに上がる亮さん。ギターを抱えて―――
♪~
またどこかで泣いてませんか
君の知らない 僕はここにいる
弱虫になった僕 消えてしまいそうな
君をみつけたから
亮さんが歌ってる。目を閉じて、酔っぱらいだけど上手い.....そして凄くかっこいい.....歌う亮さん。
あ.....泣いてる?
亮さんの閉じた目尻から涙が流れた。初めてみた.....平成の亮さんが泣くなんて地球がひっくり返ってもなさそう。
ステージから戻ってきた亮さんに、ぼっちも唖然。私も何がなんだか、私達の周りだけただ静かに時が流れる。他のお客さんの会話のガヤガヤした雑音とマッチャンがかけたレコードから流れる音の中で。
「亮!」ぼっちが呼びかけた時、亮さんは立ち上がり私の前に立った。それから亮さんは私を壊れそうなくらいに抱きしめた。
「真由.....真由.....」私の名前を言いながら。
放心状態の私に、ぼっち、さゆりさん、マッチャン。
「スースースー ぐっ」
え?えーっ?亮さんは、そのまま私を抱きしめたまま眠った。
打ち上げはお開きになり、亮さんはそのままつなげた椅子に寝かされ毛布を被された。
え?ここに寝かすの??
マッチャンが「そのうち起きて帰るわよ~じゃあね~」とウィンクして帰った。
私はしばらく亮さんの寝顔を見つめた。
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