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平成25年編再び
ひとすじなわではいかない
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家に帰りぼーっとする。
さっきの賢人さんの話を思い返し、ふと思い出す。
亮さんのカフェでのあの一言
『話があるって言ってたから、聞こうとしてたんだけど』
私、一体何を話そうとしてたのだろう。
改まって...告白なんてするわけ無い、出来るわけない。
もう一度亮さんとのメッセージ履歴を確認しよう。
やっぱり既読スルーだけ。私には記憶がない。ばあちゃんが私だったとすれば、何か亮さんに伝えようとした??
えっ。まさかね。
翌日
「花さん おはようございます」
「まぁ真由ちゃん 今日もべっぴんさん」
「おまえ それ言ってもらいたいだけだろ」
亮さんの鋭いツッコミだ。
「あら 真由ちゃんまた彼と仲良しね。良かった良かった」
ん?なんだろう。意味深な花さんの言葉。
「真由ちゃん、しばら~くあの彼を避けとったようだから」
「そうですか?あの人怖いんですよね~」
私は笑ってみせた。
避けていた...だから既読スルー。でも崎山さんは二人で帰っていたと言っていた。
食事介助の時間
私はマル注の付いた入所者さん、樋口さんの担当だった。私が居ない?私の記憶がないうちに来た方だ。マル注とは、何かしら注意が必要という意味。
しまった。どう注意か確認し忘れた.....、私は配膳から渡された流動食をスプーンにとった。
「はいっ樋口さん、お口開けましょう」
バシャーッッ
私は流動食まみれとなった。
「あほか。代われ」
直ぐさま亮さんが来た。私は洗面所で頭から顔を洗う始末...。これだったかマル注。
戻った私を見て、亮さんが笑う。
「完全スッピン」
「はい。洗顔必須でした。」
「飯な今日」
え?スッピンで?食事会?
私は昼休み田中に聞いてみる
「今日って、食事会あった?」
「無いっすよ。なんでっすか?」
「いや なんでもない。」
「亮さん優しいっすよね~細谷さんには」
あれで優しいのかな。まぁたしかに。
「で、こないだの抱擁の彼、誰なんすか?」
あっ。そうだった.....みんな見ていたんだった。
「あぁ。彼は昔出逢った人。大事な人だった人。」
とっさに、私から賢人さんを過去形にする言葉が飛び出した。私...今なんて.....?
「そうなんすかっ。なんか運命の再会ぽくて見てる僕らは盛り上がったんすけどねっ」
私はその日亮さんと食事へ
「化粧道具とか、無かったわけ?」
「はい。いつも持ってないんでっ。ほら仕事でいくら塗っても身ぐるみ剥がされたみたいに、汗で流れ落ちますし。」
「ふっ。身ぐるみ.....」
「可愛いけどな」
え?今なんと?
「あのさ、こないだ来た人誰?」
「あぁ、あれは」
「いやいいわ。別に」
出ちゃいました。別に.....って。これが出ると罪悪感に押し殺される気持ちになってしまうのでした。
でも今日は聞きたいことを聞く。
「亮さん、私記憶が飛んでるって言いましたよね?」
「あぁ」
「私が話があるって言った時期、どんな様子でした?私.....」
箸を置き、しばらく一点を見つめる亮さん
クールな鋭い眼がキッとこちらに向く。ドキッとする。
「こんな感じで食事行ったりした。でもおまえは、ほとんど話さないから。
無理して俺が話した」
「え?亮さん無理して話してくれたりするんですか」
「聞けっ」
「あっすいません」
「2回目食事行った帰りに、言われたよ『私を好きになってくださいね』って」
「え?......!?」
「それからしばらく経って話があるってまた言ってた。そのくせ、その後から無視。ほぼ」
ただ絶句した。
そこへさらなる追い打ちの言葉が耳に入る。
「で、記憶飛んでないおまえは?」
「はい?私ダイジョブデスイマ 記憶」
「何人だよ」
「記憶大丈夫なおまえは、好きになっていいのか?」
「.......」
いきなり放たれたミサイルを真正面で受けたくらいに、亮さんの言葉がズドンと胸にささった。
言葉は待てども出てこない。完全に停止した。
亮さんは私の頭をぽんっと軽くたたき、また箸をもった。
「食え」
さっきの賢人さんの話を思い返し、ふと思い出す。
亮さんのカフェでのあの一言
『話があるって言ってたから、聞こうとしてたんだけど』
私、一体何を話そうとしてたのだろう。
改まって...告白なんてするわけ無い、出来るわけない。
もう一度亮さんとのメッセージ履歴を確認しよう。
やっぱり既読スルーだけ。私には記憶がない。ばあちゃんが私だったとすれば、何か亮さんに伝えようとした??
えっ。まさかね。
翌日
「花さん おはようございます」
「まぁ真由ちゃん 今日もべっぴんさん」
「おまえ それ言ってもらいたいだけだろ」
亮さんの鋭いツッコミだ。
「あら 真由ちゃんまた彼と仲良しね。良かった良かった」
ん?なんだろう。意味深な花さんの言葉。
「真由ちゃん、しばら~くあの彼を避けとったようだから」
「そうですか?あの人怖いんですよね~」
私は笑ってみせた。
避けていた...だから既読スルー。でも崎山さんは二人で帰っていたと言っていた。
食事介助の時間
私はマル注の付いた入所者さん、樋口さんの担当だった。私が居ない?私の記憶がないうちに来た方だ。マル注とは、何かしら注意が必要という意味。
しまった。どう注意か確認し忘れた.....、私は配膳から渡された流動食をスプーンにとった。
「はいっ樋口さん、お口開けましょう」
バシャーッッ
私は流動食まみれとなった。
「あほか。代われ」
直ぐさま亮さんが来た。私は洗面所で頭から顔を洗う始末...。これだったかマル注。
戻った私を見て、亮さんが笑う。
「完全スッピン」
「はい。洗顔必須でした。」
「飯な今日」
え?スッピンで?食事会?
私は昼休み田中に聞いてみる
「今日って、食事会あった?」
「無いっすよ。なんでっすか?」
「いや なんでもない。」
「亮さん優しいっすよね~細谷さんには」
あれで優しいのかな。まぁたしかに。
「で、こないだの抱擁の彼、誰なんすか?」
あっ。そうだった.....みんな見ていたんだった。
「あぁ。彼は昔出逢った人。大事な人だった人。」
とっさに、私から賢人さんを過去形にする言葉が飛び出した。私...今なんて.....?
「そうなんすかっ。なんか運命の再会ぽくて見てる僕らは盛り上がったんすけどねっ」
私はその日亮さんと食事へ
「化粧道具とか、無かったわけ?」
「はい。いつも持ってないんでっ。ほら仕事でいくら塗っても身ぐるみ剥がされたみたいに、汗で流れ落ちますし。」
「ふっ。身ぐるみ.....」
「可愛いけどな」
え?今なんと?
「あのさ、こないだ来た人誰?」
「あぁ、あれは」
「いやいいわ。別に」
出ちゃいました。別に.....って。これが出ると罪悪感に押し殺される気持ちになってしまうのでした。
でも今日は聞きたいことを聞く。
「亮さん、私記憶が飛んでるって言いましたよね?」
「あぁ」
「私が話があるって言った時期、どんな様子でした?私.....」
箸を置き、しばらく一点を見つめる亮さん
クールな鋭い眼がキッとこちらに向く。ドキッとする。
「こんな感じで食事行ったりした。でもおまえは、ほとんど話さないから。
無理して俺が話した」
「え?亮さん無理して話してくれたりするんですか」
「聞けっ」
「あっすいません」
「2回目食事行った帰りに、言われたよ『私を好きになってくださいね』って」
「え?......!?」
「それからしばらく経って話があるってまた言ってた。そのくせ、その後から無視。ほぼ」
ただ絶句した。
そこへさらなる追い打ちの言葉が耳に入る。
「で、記憶飛んでないおまえは?」
「はい?私ダイジョブデスイマ 記憶」
「何人だよ」
「記憶大丈夫なおまえは、好きになっていいのか?」
「.......」
いきなり放たれたミサイルを真正面で受けたくらいに、亮さんの言葉がズドンと胸にささった。
言葉は待てども出てこない。完全に停止した。
亮さんは私の頭をぽんっと軽くたたき、また箸をもった。
「食え」
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