19 / 44
平成25年編再び
とらくんの面会者
しおりを挟む
気がつくとベッドにいた。仮眠室のベッド。
点滴?私の腕に刺さった針からチューブがつながっていて、吊り下げられた点滴だ。
私は起き上がり点滴を押しながら詰所へ。
「あのぉ....」
「わっびっくりした。」
ボサボサ頭の田中が言った。あぁごめんよ。きっと急に呼び出されたんだね...
「おまえ 点滴連れてうろつくな」
亮さんは私を確保し再び仮眠室へ。
「寝てろ。一応ドクターにも診てもらったから。疲労貧血ってさ。」
「すいません。ありがとうございます。あっ亮さん仮眠は?」
「いい」
カチっと電気が消されドアも閉められた。
いくらなんでも、勤務中に倒れて仮眠室占領は出来ない.....。
私はちょうど終わった点滴を抜き、また詰所へ。
「また来たんすか?」
眠そうな田中
「田中 ほんとありがとう。そしてごめん。」
「おまえ、また...おいそれ抜くぞ座れ」
亮さんに針を抜いてもらい、テープを貼ってもらう。
「本当にすいません。私今から帰ります。田中に代わってもらって」
「寝てりゃいいのに.....帰れるか?」
「家ついたら連絡してくださいよ。連絡なかったら誰か向かうっすから。」
「はい。分かりました。」
こうして、私は平成復帰初日を失態晒して迎えた。
戦時下ではきっと気を張っていたんだろう。
生ぬるい生き方に慣れた私にはあの生活は厳しかったのだろう。
家に着き、亮さんに
『無事帰りました。今日はご迷惑をおかけしました。』
仮眠中かもと思いつつ送った。
すぐに『了解』だけ返ってきた。
私は亮さんに接するときは緊張する。とっつきにくいというか、だからプライベートで亮さんとのやり取りは今までほとんど無かったはずが、
?上にスクロールしみてみると.....。
『明日飯行くか?』既読
『大丈夫か?』既読
『おい返事しろ』既読
『家ついたか?』既読
何これ、何これ...全て既読スルーの私。このメッセージはこの一ヶ月くらいたまにあったようだ。私が居ない間も私は居た....誰が居たのだろう?
ばあちゃん?!まさかね。
翌日からは、ばあちゃんのお通夜にお葬式の為実家へ。みんながシフトを調整してくれた。ありがとう。
「大丈夫?なんだか疲れてない?」
母にまで心配された。
私はもう一度あの出征の日の写真を見返した。
懐かしい顔たち。でもやっぱり正一さんは違う顔。
夢だった?そんな訳はない。
+++
それから二週間ほどが経ち、ようやく少しはいつもの調子を取り戻した矢先に遅番で出勤の日、施設を出て行った男性を見て私は立ちすくむ......。
正一さん?
どこか雰囲気というか、似ていた。
入所者さんの家族かな?
気のせいかと思いつつも、訪問者リストを入口でチェックした。
『訪問者 松本 賢人 フリガナ マツモト ケント
入所者氏名 梅野 虎吉 続柄 住所 連絡先 』
私は飛び出した。さっき出て行った人がまだいるかも.....居なかった。
梅野 虎吉、とらくんだ。同姓同名の確率は極めて低いであろう名前。
連絡先は書かれていない。
こんな偶然って.... けれどさっきの人は?正一さんに似ている親戚、子孫だろうか。
私はとらくんを確認する為急いで、仕事へ入った。
「おはようございます」
「おはよう 今日新入りさんいるわよ。カルテ見てね~」
「はい」ヘルパーさんだが、介護職の長い崎山さん。
部下だけど上司のような方。
カルテには、要介護5
一番介護が必要なレベル....
気を取り直し、バイタルチェックへ。
点滴?私の腕に刺さった針からチューブがつながっていて、吊り下げられた点滴だ。
私は起き上がり点滴を押しながら詰所へ。
「あのぉ....」
「わっびっくりした。」
ボサボサ頭の田中が言った。あぁごめんよ。きっと急に呼び出されたんだね...
「おまえ 点滴連れてうろつくな」
亮さんは私を確保し再び仮眠室へ。
「寝てろ。一応ドクターにも診てもらったから。疲労貧血ってさ。」
「すいません。ありがとうございます。あっ亮さん仮眠は?」
「いい」
カチっと電気が消されドアも閉められた。
いくらなんでも、勤務中に倒れて仮眠室占領は出来ない.....。
私はちょうど終わった点滴を抜き、また詰所へ。
「また来たんすか?」
眠そうな田中
「田中 ほんとありがとう。そしてごめん。」
「おまえ、また...おいそれ抜くぞ座れ」
亮さんに針を抜いてもらい、テープを貼ってもらう。
「本当にすいません。私今から帰ります。田中に代わってもらって」
「寝てりゃいいのに.....帰れるか?」
「家ついたら連絡してくださいよ。連絡なかったら誰か向かうっすから。」
「はい。分かりました。」
こうして、私は平成復帰初日を失態晒して迎えた。
戦時下ではきっと気を張っていたんだろう。
生ぬるい生き方に慣れた私にはあの生活は厳しかったのだろう。
家に着き、亮さんに
『無事帰りました。今日はご迷惑をおかけしました。』
仮眠中かもと思いつつ送った。
すぐに『了解』だけ返ってきた。
私は亮さんに接するときは緊張する。とっつきにくいというか、だからプライベートで亮さんとのやり取りは今までほとんど無かったはずが、
?上にスクロールしみてみると.....。
『明日飯行くか?』既読
『大丈夫か?』既読
『おい返事しろ』既読
『家ついたか?』既読
何これ、何これ...全て既読スルーの私。このメッセージはこの一ヶ月くらいたまにあったようだ。私が居ない間も私は居た....誰が居たのだろう?
ばあちゃん?!まさかね。
翌日からは、ばあちゃんのお通夜にお葬式の為実家へ。みんながシフトを調整してくれた。ありがとう。
「大丈夫?なんだか疲れてない?」
母にまで心配された。
私はもう一度あの出征の日の写真を見返した。
懐かしい顔たち。でもやっぱり正一さんは違う顔。
夢だった?そんな訳はない。
+++
それから二週間ほどが経ち、ようやく少しはいつもの調子を取り戻した矢先に遅番で出勤の日、施設を出て行った男性を見て私は立ちすくむ......。
正一さん?
どこか雰囲気というか、似ていた。
入所者さんの家族かな?
気のせいかと思いつつも、訪問者リストを入口でチェックした。
『訪問者 松本 賢人 フリガナ マツモト ケント
入所者氏名 梅野 虎吉 続柄 住所 連絡先 』
私は飛び出した。さっき出て行った人がまだいるかも.....居なかった。
梅野 虎吉、とらくんだ。同姓同名の確率は極めて低いであろう名前。
連絡先は書かれていない。
こんな偶然って.... けれどさっきの人は?正一さんに似ている親戚、子孫だろうか。
私はとらくんを確認する為急いで、仕事へ入った。
「おはようございます」
「おはよう 今日新入りさんいるわよ。カルテ見てね~」
「はい」ヘルパーさんだが、介護職の長い崎山さん。
部下だけど上司のような方。
カルテには、要介護5
一番介護が必要なレベル....
気を取り直し、バイタルチェックへ。
0
お気に入りに追加
13
あなたにおすすめの小説
女子高生は卒業間近の先輩に告白する。全裸で。
矢木羽研
恋愛
図書委員の女子高生(小柄ちっぱい眼鏡)が、卒業間近の先輩男子に告白します。全裸で。
女の子が裸になるだけの話。それ以上の行為はありません。
取って付けたようなバレンタインネタあり。
カクヨムでも同内容で公開しています。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話
矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」
「あら、いいのかしら」
夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……?
微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。
※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。
※小説家になろうでも同内容で投稿しています。
※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
夢の中の君は、今。
蒼之海
恋愛
平成初期のありふれたラブストーリー、いかがですか?
スマホや携帯もなかった平成初期。
カラオケ店に勤める主人公、阿藤武志はある一人の女性に惹かれていく。
誰もが経験する、ごくごく普通のラブストーリー。そしてその結末は……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる