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何が起きているのだろう……私の隣にはレオン様がいて、二人だけでアグナバル侯爵家の庭を散歩している。
「エ、エミリア嬢……お花は好きですか? あのっ、こ、この花は……えっと、花言葉があって、強さって意味なんですけど」
「なるほど?」
男女の会話って、これでいいのかしら?
……絶対よくないとは思うけど。
アンナとしか喋ったことがないから、知らない人と何を話せばいいのか全く分からない。
緊張で視線がキョロキョロしてしまうし、レオン様が何をおっしゃってるのか全く耳に入ってこないし、警備の人に見られたら不審者扱いされそう。
「ど、どうぞ!」
冷や汗を拭っていたら、レオン様が先ほど指差されていたお花を一輪だけ摘み取り、手渡してきた。
「美味し……ありがとうございます、レオン様」
肉厚な朱色の花弁が渦巻くように重なり合うその花は、私の大好きな果物にそっくりだ。
頭が回っていないせいで、つい美味しそうですねって言いかけてしまった。危ない危ない。
そして、すぐにまたやらかし。
ぼーっと花を見つめていたせいで、レオン様をほったらかしにしてしまったのだ。
ハッとしてレオン様を見ると、パッと目を逸らされてしまう。
これ……私、嫌われてない?
お父様が、私を選んだ理由を聞いたときに、レオン様は言葉を濁した。
あれはやはり、何か裏があるのだろうと思う。
今のところ一番有力なのは、お姉様と第三王子が結婚することにより、家同士の力が相乗的に増す説だ。
ついさっき見せたレオン様の反応。私と一緒には居るけれど、あからさまに私を避けたいのかなと感じてしまった。
これも仕方のないことなのだろう。
私のような人間が真に幸せになんてなれるはずがない。
家のための生贄になれってことなのかしら。
「……そうだ。エミリア嬢、次は僕の部屋に……あっ! す、すみません。まずかったですね。えーっと、どうしよう。お腹なんて……空いてませんよね?」
レオン様ったら、おっかなびっくり話して。
色々と噂話で尾ひれがついているかもしれないけれど、私は化け物じゃないんだから。
それより今、素晴らしいご提案をされてなかった?
「ペコペコです!」
レオン様のこと、少しだけ好きになれそう。
「エ、エミリア嬢……お花は好きですか? あのっ、こ、この花は……えっと、花言葉があって、強さって意味なんですけど」
「なるほど?」
男女の会話って、これでいいのかしら?
……絶対よくないとは思うけど。
アンナとしか喋ったことがないから、知らない人と何を話せばいいのか全く分からない。
緊張で視線がキョロキョロしてしまうし、レオン様が何をおっしゃってるのか全く耳に入ってこないし、警備の人に見られたら不審者扱いされそう。
「ど、どうぞ!」
冷や汗を拭っていたら、レオン様が先ほど指差されていたお花を一輪だけ摘み取り、手渡してきた。
「美味し……ありがとうございます、レオン様」
肉厚な朱色の花弁が渦巻くように重なり合うその花は、私の大好きな果物にそっくりだ。
頭が回っていないせいで、つい美味しそうですねって言いかけてしまった。危ない危ない。
そして、すぐにまたやらかし。
ぼーっと花を見つめていたせいで、レオン様をほったらかしにしてしまったのだ。
ハッとしてレオン様を見ると、パッと目を逸らされてしまう。
これ……私、嫌われてない?
お父様が、私を選んだ理由を聞いたときに、レオン様は言葉を濁した。
あれはやはり、何か裏があるのだろうと思う。
今のところ一番有力なのは、お姉様と第三王子が結婚することにより、家同士の力が相乗的に増す説だ。
ついさっき見せたレオン様の反応。私と一緒には居るけれど、あからさまに私を避けたいのかなと感じてしまった。
これも仕方のないことなのだろう。
私のような人間が真に幸せになんてなれるはずがない。
家のための生贄になれってことなのかしら。
「……そうだ。エミリア嬢、次は僕の部屋に……あっ! す、すみません。まずかったですね。えーっと、どうしよう。お腹なんて……空いてませんよね?」
レオン様ったら、おっかなびっくり話して。
色々と噂話で尾ひれがついているかもしれないけれど、私は化け物じゃないんだから。
それより今、素晴らしいご提案をされてなかった?
「ペコペコです!」
レオン様のこと、少しだけ好きになれそう。
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