愛を知らないアレと呼ばれる私ですが……

ミィタソ

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 パーティに参加したところで話す相手もいないし、お酒や食事をいただけば卑しいと言われる。動くことがマイナスになるのだ。
 視線を泳がせただけで、こっちを見ていると嫌がられるので、無駄な時間をずっと壁際に立ち、下を向きながら過ごす。
 そんな私のもとに、お父様とお母様がやって来た。 

「おぉ、エミリア。ここにいたのか、探したぞ。いやはや、奇跡というかなんというか……神は、無能なお前でさえお救いになられるようだ」

 父――ワット・ミーティアが、なぜが興奮している。
 神様がいらっしゃられるのなら、きっと私とお姉様に差なんてつけていないでしょうに。

「なにをもたもたしてるの! さっさといらっしゃい!」

 母――ルフェ・ミーティアが、私の右手首を強い力で掴む。絶対に逃さないという意思が込められているかのよう。
 何もしていないのに、なぜ叱られなくてはならないの?

 お父様もお母様も、私とお姉様をずっと比較してきた。
 こんな簡単なこともできないのか、マリーザと同じようにやればいい……何度も浴びせられた言葉だ。
 どうやって?
 頭に浮かぶのは、いつも疑問。お姉様みたいになれる方法を教えて欲しい。

「ねぇ見て? アレ、あの歳になって親に叱られてるわ」
「はしたない歩き方ね。貴族としての教育をされていないのかしら」
「あぁ、噂だとアレは、将来を期待できないからとメイドの仕事をさせられているらしいな」

 ほらまた、動いただけで悪口が飛んでくる。嘘をまことのように話す愚かな人まで……。
 不快感を覚える視線の中、お母様に手を引かれた私は、無理矢理に歩かされてしまう。

 もう嫌だ。帰りたい。顔を伏せながら、赤い絨毯の上を進んでいくと、お母様の足が止まる。
 ようやく自由になれる……そう思って顔を上げると、目の前にはザーリ・アグナバル侯爵が立っていた。
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