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 煌びやかな世界。美しいドレスに身を包む大勢の男女が優雅に語らう。天井には輝くシャンデリア、真紅のカーペットが床一面に広がっている。
 貴族のパーティとは豪華なものだ。そんな光溢れる場所にも、影は存在する……クスクスと笑いながら、陰湿な悪口を言うものたちの姿が。
 その視線は全て、私の方を向いている。

「姉妹であれほど差がつくなんて可哀想よねぇ」
「あー、アレね。ミーティア家の出涸らし――エミリア……いや、ゴミリアだったか?」
「ふふっ、やめなさいよ。あの子にだっていいところがあるわ。あそこまで無能なのに、恥ずかしげもなくパーティに参加できる勇気が素晴らしいじゃないの」

 またお姉様と比較されている。
 もう慣れたものだが、それをしょうがないと受け入れてしまう自分も嫌いだ。
 私の姉――マリーザは、幼い頃から神童と呼ばれていた。
 マリーザは完璧なのだ。とにかく頭が良くて、姉が当主になれば、ミーティア伯爵家はすぐに侯爵に上がってしまうのではないかと噂されている。
 運動神経も抜群で、将来は騎士団長になるだろうと期待されている男性を、華麗な細剣さばきで圧倒してしまうほど。
 そして、男女問わず目を釘付けにしてしまうその美貌。月の輝きを写し取ったかのような金色の髪、吸い込まれてしまいそうなほど魅惑的な翡翠の瞳、整った顔立ちは非の打ち所がない。

 対して私は、ゴミリアだなんて蔑まれた呼ばれ方をするけれど、決して無能ではない。勉強も運動も顔立ちも普通なだけ。比べる対象が間違っている。
 汚い言葉を浴びせてくる周りの連中だって、私と同じ境遇ならば同じように馬鹿にされるだろう。
 だって、空の上から地上を眺めたら、何だって小さく見えてしまうのだから。
 お姉様の評価が上がれば上がるほど、私――エミリア・ミーティアは、道の端に転がる石ころのように扱われるのだ。

 ……パーティに参加するなんて勇気がある?
 貴族の義務なんだから当然じゃない。来なくていいなら、家で花でも眺めていたほうが楽しいわ。
 特別な理由もなくお断りしようものなら、礼儀がなっていないと始まるくせに。
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