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迷惑系配信者の彼が、裏では迷惑なくらい溺愛してきます

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「タケヤ! ……あっ」
「アズ……サ……」

 咄嗟に駆けつけようとしたが、足がもつれて転んでしまう。でも、気にしない。こんなポンコツな体より、今はタケヤの方が心配だ。両腕で這いながら進む。

 "タケヤ大丈夫か!?"
 "女性の声がしたような"
 "女連れで配信とは、ほんとに嫌な野朗だよ"

 やっとのことでタケヤの元にたどり着く。心配そうにこちらを見ているけれど、起き上がれそうにない。

「やっぱり無理してたんじゃない! 私がこんな体だから……。私のせいで……。もうこれ以上あなたが傷つく姿、見てられないよ……」
「大丈夫……ただの立ちくらみだから。アズサは何も悪くない。僕が好きで……やってることだからね」
「全然大丈夫じゃない! いつもいつも嘘ばっかり……。配信閉じるからね! 救急車呼ぶから!」
「ま、待ってくれ。僕が……」
「動かない! 何かあったらどうするの!? 私にはあなたしかいないんだからね!」

 突然の事でパニックになっていた。なんて情けない事を言ってしまったのか。

 椅子にしがみつきながら、ゆっくりと立ち上がる。配信停止のボタンを押そうとしたところで、モニターに自分の姿が映っているのに気づく。

 "誰だこいつ"
 "ゾンビみたいな登場だなw"
 "タケヤの彼女か?"

「病気で体が上手く動かないの。こんなみっともない姿を見せちゃってごめんなさい」
「アズサは……みっともなくなんて……」
「喋らないの! タケヤは大丈夫だから、心配しないで下さいね」

 配信を閉じて、救急車を呼んだ。

 病院に着く頃には立ち上がれるようになっていたけど、万が一を考えて色々検査をしてもらった。
 どこにも異常は見られなかったらしく、疲労からくる立ちくらみだったようだ。

 彼が無事で本当によかった。
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