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白い結婚のはずなのに、なぜ私を殺そうとしたのですか?
終
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一夜明けて翌日。あの男は帰ってこない。
その次の日も、ゼバスはまだ戻らない。
またその次も日も……次の日も……永遠に。
最初にお酒を選ばせたのは、あの二人を油断させるため。
フェリクスを仕込んだのは、青黒いカクテルだ。
私は身をもって体験したからよく分かるが、あの毒はゆっくりと体を侵食していく。
すぐに殺したいなら小瓶一本飲ませればいい。しかし、それだと私の仕業だとすぐにバレてしまう。
だから、カクテルに使った毒の量は、二人合わせても半分以下。仕上げはその後に待っている。
残りのフェリクスは、シーラが大喜びしていたキャンドルに混ぜ込んだ。
青い火を眺めながら、仲良く愛でも語らえばいい。変わりゆく香りとともに、フェリクスに体を侵されながら。
愛し合えば愛し合うほど、酔いとともに毒が回る。
そして……全身の自由が奪われるだろう。
あぁ、喋れなくなったのはいつ?
甘い言葉を囁いていたときかしら?
体が動かなくなったのはいつ?
重なり合っていたときかしら?
ふふっ、呼吸が止まったのはいつ?
仲良く苦しんでくれたかしら……。
お父様、エマはエヴァンスの責務を果たしました。
―完―
その次の日も、ゼバスはまだ戻らない。
またその次も日も……次の日も……永遠に。
最初にお酒を選ばせたのは、あの二人を油断させるため。
フェリクスを仕込んだのは、青黒いカクテルだ。
私は身をもって体験したからよく分かるが、あの毒はゆっくりと体を侵食していく。
すぐに殺したいなら小瓶一本飲ませればいい。しかし、それだと私の仕業だとすぐにバレてしまう。
だから、カクテルに使った毒の量は、二人合わせても半分以下。仕上げはその後に待っている。
残りのフェリクスは、シーラが大喜びしていたキャンドルに混ぜ込んだ。
青い火を眺めながら、仲良く愛でも語らえばいい。変わりゆく香りとともに、フェリクスに体を侵されながら。
愛し合えば愛し合うほど、酔いとともに毒が回る。
そして……全身の自由が奪われるだろう。
あぁ、喋れなくなったのはいつ?
甘い言葉を囁いていたときかしら?
体が動かなくなったのはいつ?
重なり合っていたときかしら?
ふふっ、呼吸が止まったのはいつ?
仲良く苦しんでくれたかしら……。
お父様、エマはエヴァンスの責務を果たしました。
―完―
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