愛を知らない令嬢は、ストレス発散のために謎を啜る

「まあ、はしたない! それだけブクブクと太っておきながら、まだエサをほしがるなんてまるで豚ね!」

 母親から同じ家族に向けたとは思えない酷い言葉が飛ぶ。

「あはは、ミスティ姉さんは豚だったのか! どうりでうちの誰にも似てないと思ったんだよ!」

 弟のミックも同調し、ツバを飛ばしながら叫ぶ。

「ケリーバース子爵家の|面汚《つらよご》しめ! これだから結婚相手も見つからんのだ!」

 さらに、父親までもが暴言を浴びせる。

「……申し訳ありません」

 見るからに不当な扱いを受けているにもかかわらず、ミスティは聞こえるか聞こえないかの小さな声を発し、再び頭を下げた。

 ミスティは生まれてから現在まで、何も悪いことをしていない。
 七歳のときに家を失った彼女は、財産の一部を貰えるからという理由からケリーバース子爵家に引き取られた。実の両親もまた子爵家で、悪事に手を染めて処刑されたことだけは知らされている。
 それからというもの、人間らしい扱いを受けたことは一度もない。

 そんなミスティのストレス発散方法は、謎を解くことだった。
 ある事件をきっかけに知り合った騎士――ダグラスとともに、今日もミスティは街へ向かう。

 愛を知らないミスティは、人との関わりあいの中で一人の女性へと成長していく。
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