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― 参 ― ふたりのこども
のんびり、ゆっくり
しおりを挟む コンラード先生を部屋に案内して少しゆっくりして頂いてから、昼餐にはデュークと両親にも同席してもらい今後の予定も簡単にではありますが決めていくことに致しました。
「おじいちゃんはきょうからずっとここにいるんでしょ?」
「そうですよ」
「じゃあいもーとがうまれたらまっさきにみせてあげるね」
息子よ…残念ながら『真っ先に』見るのは産婆をしてくれるアンナで、次に私かデューク、アルが見るのは色んな大人が見終わった後になると思いますよ。
「アル坊ちゃまは妹が産まれるのが待ち遠しいようですねぇ」
「まちどーしーって?」
「楽しみにしながら待っていると言うことですよ」
「うん!まちどーしー!」
ウチの子天才だわ✧
待ち遠しい…なんていう小難しい言葉を覚えて使ってますわ。やっぱりデュークは優秀な方ですし私も自慢じゃありませんが妃教育を受けていた時には座学に関しては褒められたことしかありませんでしたもの、そんな私たちの息子なんですから流石と言わざるを得ませんわね。
昼餐の後、大人達である程度決めた予定の最終調整として、コンラード先生はアルとお庭をお散歩しながら色々聞き取りをしているようです。
私とお父様はふたりに気付かれないように後ろからそっと見守ります。いえ、決して覗きなんかじゃありませんわ。もしふたりの時に先生がバランスを崩して倒れられたら直ぐに駆けつけられるようにとお父様が心配なさったから念の為ですわ。
「アル坊っちゃまは何がお好きですか?」
「いもーと!あとかぁさまととぉさま!それからおはなのじーちゃんと~アンナと~フィリップもすき~」
「おはなのじーちゃんとはどなたですかな?」
「あ!そ~だ!いまからあいにいこ~!おじいちゃんをしょうかいしなきゃね」
どうやらよくあるの相手をしてくれる庭師長に会いに行く様です。
父はそれを眺めながらブツブツ何かを呟いています。
「妹っていうのは毎日の様に話しかけて妹妹言ってるから本当に楽しみで妹欲しいんだろうからわかるしデュークとミリアは親だしそこまではわかるよすっごくわかるよでもその次が庭師って何?さらにアンナ…は仕方ないとしてもなんでフィリップの名前が出て『おじぃさま』が出てこないんだ?」
本当に鬱陶しくて面倒ですわね…どこかで迷子になってくれないかしら…。
「ふむ…じゃあアル坊っちゃまはお母様やお父様、お爺様やお婆様から教えてもらったことはありますか?」
「ん~…?ごあいさつ?あとスープをのむときはおさらをそのままもっちゃダメなんだよ。スプーンもね、こうやってもつんだよ」
どうやらつい今朝された注意を言っているようですね。
*-=-*-=-*-=-*-=-*-=-*-=-*-=-*-=-*-=-*-=-*-=-*-=-*-=-*-=-*-=-*-=-*
今朝はコンラード先生がいらっしゃるからと朝早くから興奮しっぱなしで、朝食の時にスープを一気に飲もうとしてお皿にガバッと覆い被さったのです。
「アル!何してるの!?」
思わず大きな声を出してしまった私の声が恐かったのでしょうか、ビクッと肩を竦めてスープ塗れの口が歪んだかと思うと泣き始めてしまいました。
「だっておじいちゃんきちゃう~!」
いつもはどうしても一番最後に食べ終わるので焦ってしまったのかもしれません。
アンナに連れられて一旦部屋に戻されます。きっとアンナが宥めて何がいけなかったかを教えて泣き顔もなんとかしてくれるでしょう。アンナは私達姉妹の乳母をしていた時も両親に叱られた時は泣いてる私達をお風呂に入れながら何がいけなかったのか、どうすれば良かったのかを教えてくれます。ゆっくり、ゆっくり、解るように話してくれるのです。
そしてちゃんと理解して、その上で謝るように促してくれるので、心からの反省と謝罪ができるのです。
アルもあの後、ちゃんと「ごめんなさい」を言いにきました。
「どうして謝らなきゃならないかわかった?」
「うん…ぼくおぎょうぎわるかった。おじいちゃんがきちゃったらどうしようとおもって、いそがなきゃっておもったの」
「そう…これからは気を付けてね。慌てなきゃと思ったら父様でも母様でもアンナでもいいから『どうしたいい?』って聞いてご覧なさい。ちゃんと教えてくれますからね」
「うん…ほんとうにごめんなさい」
「アル、ちゃんとごめんなさいができて偉いぞ」
こういう時はデュークはただ『謝ることができた』ことを褒めます。本当にズルい男です。
*-=-*-=-*-=-*-=-*-=-*-=-*-=-*-=-*-=-*-=-*-=-*-=-*-=-*-=-*-=-*-=-*
「ー…それでごめんなさいしたの」
「ちゃんとごめんなさいできて偉かったですね。アル坊っちゃまはちゃんと何が悪かったも解っているし、とっても賢いですね」
「でもぼく、んでおこられたかはわかったけどどーしてダメかよくわからなかったの。でもアンナがおそえてくれたからわかったんだよ。だからかしこいのはアンナなんだ!」
「そうですか。じゃあ後でアンナさんも紹介してもらえますか?」
「うん!アンナとおじいちゃんも仲良くなるといいよ!」
先生とアルは、そんなのんびりとした会話をしながら庭をゆっくり進み、庭師が待機している小屋へと辿り着きました。
「おじいちゃんはきょうからずっとここにいるんでしょ?」
「そうですよ」
「じゃあいもーとがうまれたらまっさきにみせてあげるね」
息子よ…残念ながら『真っ先に』見るのは産婆をしてくれるアンナで、次に私かデューク、アルが見るのは色んな大人が見終わった後になると思いますよ。
「アル坊ちゃまは妹が産まれるのが待ち遠しいようですねぇ」
「まちどーしーって?」
「楽しみにしながら待っていると言うことですよ」
「うん!まちどーしー!」
ウチの子天才だわ✧
待ち遠しい…なんていう小難しい言葉を覚えて使ってますわ。やっぱりデュークは優秀な方ですし私も自慢じゃありませんが妃教育を受けていた時には座学に関しては褒められたことしかありませんでしたもの、そんな私たちの息子なんですから流石と言わざるを得ませんわね。
昼餐の後、大人達である程度決めた予定の最終調整として、コンラード先生はアルとお庭をお散歩しながら色々聞き取りをしているようです。
私とお父様はふたりに気付かれないように後ろからそっと見守ります。いえ、決して覗きなんかじゃありませんわ。もしふたりの時に先生がバランスを崩して倒れられたら直ぐに駆けつけられるようにとお父様が心配なさったから念の為ですわ。
「アル坊っちゃまは何がお好きですか?」
「いもーと!あとかぁさまととぉさま!それからおはなのじーちゃんと~アンナと~フィリップもすき~」
「おはなのじーちゃんとはどなたですかな?」
「あ!そ~だ!いまからあいにいこ~!おじいちゃんをしょうかいしなきゃね」
どうやらよくあるの相手をしてくれる庭師長に会いに行く様です。
父はそれを眺めながらブツブツ何かを呟いています。
「妹っていうのは毎日の様に話しかけて妹妹言ってるから本当に楽しみで妹欲しいんだろうからわかるしデュークとミリアは親だしそこまではわかるよすっごくわかるよでもその次が庭師って何?さらにアンナ…は仕方ないとしてもなんでフィリップの名前が出て『おじぃさま』が出てこないんだ?」
本当に鬱陶しくて面倒ですわね…どこかで迷子になってくれないかしら…。
「ふむ…じゃあアル坊っちゃまはお母様やお父様、お爺様やお婆様から教えてもらったことはありますか?」
「ん~…?ごあいさつ?あとスープをのむときはおさらをそのままもっちゃダメなんだよ。スプーンもね、こうやってもつんだよ」
どうやらつい今朝された注意を言っているようですね。
*-=-*-=-*-=-*-=-*-=-*-=-*-=-*-=-*-=-*-=-*-=-*-=-*-=-*-=-*-=-*-=-*
今朝はコンラード先生がいらっしゃるからと朝早くから興奮しっぱなしで、朝食の時にスープを一気に飲もうとしてお皿にガバッと覆い被さったのです。
「アル!何してるの!?」
思わず大きな声を出してしまった私の声が恐かったのでしょうか、ビクッと肩を竦めてスープ塗れの口が歪んだかと思うと泣き始めてしまいました。
「だっておじいちゃんきちゃう~!」
いつもはどうしても一番最後に食べ終わるので焦ってしまったのかもしれません。
アンナに連れられて一旦部屋に戻されます。きっとアンナが宥めて何がいけなかったかを教えて泣き顔もなんとかしてくれるでしょう。アンナは私達姉妹の乳母をしていた時も両親に叱られた時は泣いてる私達をお風呂に入れながら何がいけなかったのか、どうすれば良かったのかを教えてくれます。ゆっくり、ゆっくり、解るように話してくれるのです。
そしてちゃんと理解して、その上で謝るように促してくれるので、心からの反省と謝罪ができるのです。
アルもあの後、ちゃんと「ごめんなさい」を言いにきました。
「どうして謝らなきゃならないかわかった?」
「うん…ぼくおぎょうぎわるかった。おじいちゃんがきちゃったらどうしようとおもって、いそがなきゃっておもったの」
「そう…これからは気を付けてね。慌てなきゃと思ったら父様でも母様でもアンナでもいいから『どうしたいい?』って聞いてご覧なさい。ちゃんと教えてくれますからね」
「うん…ほんとうにごめんなさい」
「アル、ちゃんとごめんなさいができて偉いぞ」
こういう時はデュークはただ『謝ることができた』ことを褒めます。本当にズルい男です。
*-=-*-=-*-=-*-=-*-=-*-=-*-=-*-=-*-=-*-=-*-=-*-=-*-=-*-=-*-=-*-=-*
「ー…それでごめんなさいしたの」
「ちゃんとごめんなさいできて偉かったですね。アル坊っちゃまはちゃんと何が悪かったも解っているし、とっても賢いですね」
「でもぼく、んでおこられたかはわかったけどどーしてダメかよくわからなかったの。でもアンナがおそえてくれたからわかったんだよ。だからかしこいのはアンナなんだ!」
「そうですか。じゃあ後でアンナさんも紹介してもらえますか?」
「うん!アンナとおじいちゃんも仲良くなるといいよ!」
先生とアルは、そんなのんびりとした会話をしながら庭をゆっくり進み、庭師が待機している小屋へと辿り着きました。
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