水の精霊王

ねこまんま

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短編

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『あなたの髪は不吉な色なんかじゃないわ。とっても綺麗な髪よ』

それは確か私が5歳のときだった。
私はこの国の国王と側妃の間に生まれた。
その時は、まだ、正妃との間に子供はおらず私が第一王子となった。それも、今まで見た事もない髪色の子供が。

私の事を父と母は愛してくれたが周りからの当たりは強かった。それが祟り、母は体の強い人ではなかったので体調を崩し、私がもうすぐ6歳になるというところで亡くなった。
あれから約15年、私は20歳になった。




「よって第一王子を国外追放とする。」

今私は4歳年下の正妃の息子で異母弟の第二王子から毒を盛ったという疑いをかけられ、たった今国外追放となった。
私はそんなことした覚えはないが、第二王子からも嫌われていたので彼が私を消すために言った嘘だろう。父も今はいないしチャンスと思ってした事だろう。

父は今、水を求めて隣国へ行っている。
この世界には精霊がいて全ての理は精霊から出来ている。この国にも魔法後使えるものは沢山いるが、その中でも強力な力を持つ者は精霊と契約している。 
第二王子も火の精霊と契約している。
私はしていないが…

精霊は火、水、風、地がいると言われそれぞれの頂点に立つものが精霊王だ。
だが水の精霊はいないと言われている。
今まで契約出来た者も見た者もいないからだ。
だからこの世界ではない訳では無いがいつも水が不足している。しかし隣国は他の国に比べて水が豊富にある。だから父は民のために水を求めて自ら隣国へ赴き隣国から水を買っている。

まぁとにかく今この場所には私を助けてくれる者はいない。

ここから出てもこの髪の色で幸せにはなれないだろうが姿を隠して自由に旅くらいは出来るかな?

「分かりました。それでは失礼します。」
旅に出る前にお父様のところに行こうかな。お父様には会えなくてもお父様が美しいと言っていた隣国の街並みや自然を見てみたい。




私は今、フードを被った状態で隣国へ来ていた。

「お父様が言っていたとおり、街は綺麗に整備されているし自然も豊かだな~…ん?この森は…」

私はこの森を見て違和感を感じた。
なんかとても落ち着くというか…なんでだろう?私は一度もここへ来たことは無いのに…

「あの、すみません。この森は何か特別な森ですか?」

私は森の正体が気になって通行人にどういうものか聞いてみた。

「あぁお前さん旅のものかい?この森は精霊が住まう森と言われていてとても神聖な場所なんだよ。だからこの国は他国と比べて自然豊かなんだ。
この森に入って気に入られた者はとても幻想的な景色を拝めるが、気に入られなかった者は森の中をさ迷い続けるという言い伝えがあるから無闇に入るんじゃ無いよ。」
「そうなんですね。ありがとうございました。」

私みたいな者が気に入られるわけが無いと思うがこの神聖な場所で死ねるなら本望だな…お父様には挨拶が出来なかったがもう一生会う事も無いだろうからこの森に入ってしまおう。



森に入ってどれほどたっただろう?奥に行くにつれて神聖な空気が濃くなっている気がする。
あれ?
「ここは…」

たどり着いた場所は泉を中心に開けた場所だった。
泉は透けるほど綺麗で上から差し込む陽の光が反射してきらきら輝いている。

「こんな場所があったのか…」
叶うことならこの場所にずっと居たいな。

そんな事を思っていると急に後ろから人がやって来た。
振り返ってみてみると、そこには今までに見た事のない美形な人が3人いた。

「お前は…」

先に声を発したのは赤い髪の男だ。
なんだろう…この人達はとても好ましく感じるが、この人はとても離れ難く感じてしまう…

「やっと見つけた…」

そう言って男は近づいてきて私を抱きしめた。
あぁ…この腕の中安心する…ってそれどころじゃない!

「あの…!離してください!あなたたちは誰ですか?」
「あぁすまない。興奮してつい…俺はシンキ。火の精霊王だ。」
最初に名乗ったのは私を抱きしめた赤い髪の男だ。

「僕はミナト。風の精霊王だよ。」
「俺は地の精霊王、ダグラスだ。」
次に緑の髪の男、黒茶髪の男が名乗ってきた。
というか精霊王?なぜ精霊王なんかが私を抱きしめたり簡単に名乗ったりしているんだ…

「本当に精霊王ですか?」
本物だったらまずいと思ってシンキの腕から逃れようと身じろぎするとシンキがまるで逃がさないというように強く抱き締めてきた。

「あぁそうだ。そしてお前は水の精霊王だ。お前の名前は?」
「セイルアです…というか私が精霊王って何かの間違いじゃないですか?」
だってこんな髪だし城でも私は疎まれていたし…

「いや、お前は水の精霊王だ。間違いない。その髪が証拠だ。」
いつの間にか私が被っていたフードはシンキによって取られていた。

「あぁ…あなたの綺麗な髪がこんなに短く…何故こんなに?」
いつの間にかこちらに近付いて来たミナトが私の髪を愛おしそうに撫でる。城では気味悪がられた髪だからあまり見られないようにと思って短くしてたんだよな…

「すまない、お前の記憶を覗いてもいいか?嫌ならいいんだが…」
ダグラスが遠慮がちに私に聞いてきた。まぁ別に覗かれるくらいなら良いかな?そしたら私が精霊王では無いということも分けるだろうし…

「大丈夫ですよ?」
「そうか。それじゃぁ……」



「クソっ!人間が…!」
「辛かったね…」
「もぅ大丈夫だぞ。」
皆私の事を心配してくれるのか…シンキは少し怖いが…

「お前は間違いなく水の精霊王だ。その髪色が居なかったのは水の精霊が居なかったからだ。」
「そうだよ。これからは僕達と一緒にいようね。」
「もぅ辛い思いはしなくていい。」
私は本当にこの人達と一緒に良いのかな?幸せになっていいのかな?

「…っ!」
私はいつの間にか涙を流していた。

「辛かったな…大丈夫だ。俺がお前を幸せにするからな!セイ。」
「こら。僕達が、でしょ。」
「そうだな。」
「はぁ…わかったよ。」

その言葉が嬉しくて、暫く私は涙が止まらなかった。シンキが優しく抱き締めてくれているのも要因だろう。



「それじゃぁ落ち着いたところで、改めて自己紹介をしようか。セイのこれからについても。」

「そうだな。改めて俺は火の精霊王、シンキ。シンと呼んでくれ。」

「僕は風の精霊王、ミナト。ミナって呼んでね。」

「俺は地の精霊王、ダグラス。ダグと呼んでくれ。」

「よろしくお願いします。シン、ミナ、ダグ。」

「うん!じゃあまずは、セイは魔法を使い慣れてないから暫くは僕たちと一緒に魔法の使い方をマスターしよう。それと僕達はそれぞれ変体出来るんだけど、魔法がちゃんと使えるようになったらそれの練習もしようね。」

私にも魔法が使えるのか。嬉しいな~。




あれから1年がたった。魔法が使えるようになったからか髪がすぐに伸び始め今は足首程まである。
それともうひとつ大きな報告が。シンと付き合うようになったんだ。




「セイ。俺と付き合ってくれないか?」
「…え?」
それは唐突だった。いつも通り魔法の練習をしていたらシンが私にそう言ってきたのだ。

「付き合うって…恋人になるってこと?」
「あぁそうだ。」
「考えさせてくれる?」
「…分かった。」
シンは一瞬悲しそうな顔をして私の元から去っていった。


「はぁ…」
私もシンの事は好きだ。きっとそういう意味で。
でも最初に感じた通り私はシンに強く引かれた。シンも自惚れてなければ私と同じだろう。でもそれは本当に私達の気持ちなのか私は信じることが出来ないでいる。

「どうしたの?セイ」
「ミナ…」
「もしかしてシンにでも告白された?」
ミナ凄いな…どうしてわかったんだ?

「どうして分かったのかって顔してるね。セイ分かりやすいもん。それにお互い惹かれあってるのも分かってたよ。セイが悩んでいるのは自分達の気持ちは本物なのかってことでしょ?」 
そこまで分かるのか…どれだけ私は分かりやすいんだ…

「僕も同じ悩みを持っていたからね。」
そういえばミナとダグは恋人だったな。

「僕達精霊王はね惹かれ合うんだ。その中でも僕はダグに強く惹かれた。ダグも僕に強く惹かれたと言っていたんだ。そして僕達は今のセイ達と同じ様に特別な意味で惹かれ始めたんだ。僕も最初はこの気持ちを信じることが出来なかった。そしたら創造神が教えてくれたんだ。
『君達は強く惹かれ合うしその中でも風と地、水と火はより強く惹かれる。でもそれが恋愛感情になるかは別だよ。心配しなくていい』ってね。
だからね、大丈夫。シンへのセイの気持ちもセイへのシンの気持ちも本物だよ。元気を出して。」

そうか…この気持ちは…シンからの気持ちは本物なんだ…
「ありがとうミナ。シンに自分の気持ちを伝えてくる。」
「うん。行ってらっしゃい。」


「シン!」
「セイか。どうした?」
「シン好きだよ!シンと恋人になりたい。」
そう言うとシンは目を見開いて驚いた顔をした後泣きそうな、嬉しそうな顔をした。

「本当に良いのか?お前に触れても…」
「うん、良いよ。私もシンに触れたい。」
「キスをしてお前の事を抱くんだぞ?」
それを聞いて私は恥ずかしくなった。そっか…恋人になるってことはそういう事もするんだよね…

「う、うん。良いよ。私も…その…シンとそういう事したい…」
「そうか…好きだ。セイ。愛してる」
「うん。私も愛してる」

そうして私達は暫く抱き合った。

「…んっ…シン…っ」
シンがキスしてきた。キスってこんなに気持ちいいんだな…それともシンだからか?

「あ、んっ、んんっ」
息をしたくて開いた口からシンの舌が入り込んできた。

「セイ…良いか?」
「うん…」
私は今からシンに抱かれるのか…

そんな事を考えているとシンの手が胸元に到着し、乳首を引っ掻いてきた。

「あぁっ…!」
そんなところ触られたの初めてだけどジンと痺れるような刺激が走ってきて気持ちいい…。そうしてるうちにいつの間にか私の口からシンの口が離れ乳首を舐めてきた。それがとても気持ちよくて体がビクビクと揺れた。

「んん、っ…んああ!」
「気持ちいいか?」
「気持ち…いい…!」
そう言うとシンは嬉しそうな顔をして私の勃ちあがった性器を触ってきた。

「ふぁっ、あぁ…っ、んうぅっ」
シンにもぅ片方の空いてる手で孔の周りを指でクルクルと撫でられて腰に力が入らなくなってビクビクする。
そしたらシンが私の性器から溢れたカウパーを指に纏わせて孔の中に入れてきた。

「んっ、んんっ…ああ!んああっ」
シンの指がある一点を掠めた時感じたことも無い強い衝撃が走って私は体を跳ねさせた。

「ここか…」
「あっ…そこっ、気持ちいい…っ!」

「そろそろ挿れて良いか…?」
「うん…早く…」

結論から言うとシンの性器はとても大きかった。

「挿れるぞ…」
「んんっ、ああっ!!」
「全部入ったぞ」
その瞬間圧迫感がしたがシンのが中に入っているのかと思うと満たされた感じになってだんだん気持ちよくなってきた。

「動くぞ…」
そう言ってシンは動いてきた。最初はゆっくりだった動きがだんだん速くなっていった。

「ああっ、シン~…気持ちいい…っ」
「くっ、はぁ…俺も気持ちいい…お前の中俺のをキュウキュウ締め付けて離さないぞ。」
シンのこんな顔初めて見た…シンも気持ちよさそうで良かった…
シンは私の頬や唇にキスをしてきた。

「んん、そんな、こと…言わないでぇ…っ!」
「っ、セイ…セイっ…」
シンの動きがよりいっそう速くなっていき私の敏感なところを集中的に責めてきた。

「あっそこっ…もうイク!」
「イケよ…俺も…イクっ…!」

「あ、あっ、んあああああ!!」
「くっ、うぁっ」
シンの精子が私の中に…幸せだな…。
 


「ミナ!ありがとう!おかげでシンと恋人になれたよ!」
「そっか。良かった。ついでにいいこと教えてあげる。」
「いいこと?」
「うん。シンはね1億年の間ずっと…僕達がこの世界に生まれてからずっとセイの事を待ち続けたんだよ。」
その言葉を聞いた瞬間、私は思っていたよりシンにとても愛されていると知って、顔が真っ赤に染った。



それが3ヶ月前の話だ。




「それじゃぁ次は変体だな。セイも知っての通り俺は竜、ミナは鳥、ダグは狼だ。翼や耳と尻尾だけの姿も見ただろう?これはすぐマスター出来るはずだから頑張れ。セイはどんな姿になるんだろうな。」
私が幸せの余韻に浸っていると話がいつの間にか進んでいた。

「うん!頑張るね!」



「……見て見てシン!出来たよ!」
私の変体は人魚だった。
見たことは無いし現実にもいないとされているが昔は今よりも水が豊富だったとされ、その時は人魚はいたとされていて、本にも載っている位だ。
私は今泉の中に尾の先をつけて座っている状態だ。


「おお、セイのはどんな姿…だ……」
「?シンどうした?」
シンが私の姿を見た直後固まって動かなくなってしまった。

「あぁ…悪い。あまりにも綺麗で見とれていたんだ。」
「な、何言ってるんだよ。大袈裟だな。」
私はシンに綺麗と言われて顔が赤くなるのが分かった。

「大袈裟じゃないよ。セイ今本当に綺麗だ。いつも綺麗だけどね。」
「あぁ間違いない。」
「ミナ!ダグ!来てたんだ!」

3人の言っていることは間違いではない。陽の光に反射してキラキラ輝くアイスブルーのサラサラの髪と空色の鱗がとても美しい。

「セイの声が聞こえたからね。来てみたんだ。それにしてもすごいね。それじゃぁ次は水の精霊を生み出そうか。」
「うん。」
ここからが本番だ。この世界を豊かにするために水の精霊をいい加減生み出さないと。

「そういえばこの国は自然豊かだけど水も多いわけじゃないけど他の国に比べたら多いよね。なんで?」

「あぁそれはな、セイがこの世に生まれてくるまで俺達が力を合わせて少しでも水を出せたらと思って作り出したんだ。まぁ俺達は水属性は普通扱えないから少量しか作り出せなかったけどな。」

そうだったんだ…3人には迷惑かけたな…

「3人のためにも人々のためにも頑張る!まずはどうすればいいの?」

「簡単だからリラックスして大丈夫だよ。掌に魔力を集めて息を吹き込めば良いんだよ。」
ミナがお手本を見せてくれてミナの掌から蝶々の様な羽のある5cm程の妖精が居た。

「魔力の大きさによって下位精霊、中位精霊、上位精霊が生まれるんだ。それぞれの精霊の数は決められているけど数えなくても自分でどれくらい生み出したか分かるから大丈夫だよ。」
「分かった。」

そうして私が生み出したのは水で出来たような羽をした背中まである髪の女の子と顎まである髪の男の子の5cm程の下位精霊2人だ。

「うわぁちゃんと出来たね!
そうだ、言い忘れてたけど水の精霊は治癒能力があってとても特別な存在なんだ。だから水の精霊を生み出せる数は僕達よりも少ないからね。もちろん位によってどれくらいの傷や病を治せるか決まるけどセイは精霊王だからどんな傷や病、生まれつきの物も治せるよ。」

そうなんだ。ならもしお父様が病にかかったらいつでも治せるな。……お父様に会いたいな…でもそのためには水の精霊を生み出さないと!



2年後
まだ完璧じゃないけどだいぶ水も増えたしそろそろ良いかな?

「ねぇ皆。私お父様に会いに行きたいんだけど良いかな?」
「そうだな…あの者はお前の事をとても大切にしていたから良いだろう。すぐに戻ってこいよ。」
「うん、分かった。」
「何かあれば俺を呼べ。」
「僕達のことも呼んでね。」
「分かったよ。」
みんな心配性なんだから。

「それじゃぁ行ってきます。」
「「「行ってらっしゃい」」」



「ここに来るのも久しぶりだな…」
私は今コートを着てフードを被った状態でいる。おそらく私と同じような髪色の人も増えただろうけど居てもまだ1、2歳ほどの年齢の子だろうし隠した方が良いよな。

取り敢えず居酒屋にでも入るか。



あの人にこの国の事聞いてみようかな。
私はお店の隅で1人で飲んでいるガタイのいい人に話を聞いてみることにした。

「すみません。私は旅のものですがこの国について教えてくれませんか?」

「ん?あぁ良いぞ。
まずこの国の国王が最近病にかかり床に伏せって居るんだ。
そのため第二王子が国王の代わりに公務を行っているが第二王子はせっかく豊かになったこの国を自分の肥やしにしようと自分勝手な政治をして国民の支持率が下がっている状態だ。
はぁ…第一王子が居たらな…あの方の髪はアイスブルーの色だったが、おそらく水の精霊と契約をしていたんだろう。
最近水の精霊と契約が結べる条件を持った子供が生まれているし人格も申し分ない方だったからな…」

聞いた私が言うのも何だが、どこの誰とも知らないこんな格好の怪しい私にそんなに簡単に教えていいものなんだろうか?と言うかこの人は私の事を知っているのか?私は民の前に出たことは無いし城の者にもあまり姿を見せていなかったから強い立場の者なのだろうか?と言うかお父様が病で床に伏せっているって、早く治しに行かないと…

「おいおい騎士団長さん、あんたがそんなこと言ったらダメだろ。バレたらまずいぞ。…こりゃあ相当酔ってるな。」
店の店主の様な人が話しかけて来た。と言うかこの人騎士団長なのか?…確かによく見れば何処かで見た事があるような…

「そんなこと言ってもな、あの人のお守りももぅ疲れたんだよ。…はぁ」
「これはダメだ。なぁあんた、悪いんだがこの人を城の入口まで送ってやってくれないか?」
「え?いえ、でも…」
私の正体がバレたら…いや、これは好都合なのか?もしかしたらお父様に会えるかもしれない。

「分かりました。」
「おお、ありがとな。ほらこの人が送ってくれるってよ。さっさと立ちな。」
「あぁ…」


「あの…大丈夫ですか?」
「あぁ大丈夫だ。悪いな」
そう言って騎士団長は私の瞳を見つめてきた。あぁこの顔は知っている。あの城の中で数少ない私に良くしてくれた人だ。

「ん?あんた…なんか見た事が…そ、その顔は!」
「あ、あの!このことは言わないでください!…それと…お父様に会わせて下さい。」
私が身勝手なことを言っているのは理解している。でも…

「私はもぅ人間では無いのです。寿命がありません。だから王になることは無理です。」
「そうですか…人間では無いということは気になりますがふれない方がよろしいですよね…その代わりお願いがあるのです。実はあなたに弟君ができたのです。その方を王にするように手伝って下さいませんか?」
「…分かりました。」
「ありがとうございます…!」


そうこうしているうちに城に着いた。ここに来るのも久しぶりだな…
「お疲れ様です騎士団長!…その方は?」
「俺の友人だ。久しぶりに会って暫く俺の部屋へ泊まることになった。」
「そうなんですね。わかりました!」
…騎士団長の友人と言うだけで城の中に招き入れていいものなんだろうか?…まぁいいか。深く考えるのはやめよう。


「着きましたよ。」
「ありがとうございます。あと私はもう王子では無いので敬語など使わないでください。」
「…分かった。」

「失礼します。王に会いたいという方が居るのですがお目通りいただけますか。」
「王は今それどころではありません。それに先触れも無く来たどこの誰ともわからない人をこの部屋へ招き入れることは出来ません。」
そう言って部屋から出て来たのはお父様の側近だ。この人も私の事を大切にしてくれた。

「国王やあなたが一番会いたがっている人だと言ってもか?」
「それは…もしや…!…分かりました、お入りください。」
久しぶりに入ったお父様の部屋はあのころと何も変わっていなかった。とても落ち着く場所だ。
寝所に目を向けるとお父様が苦しそうな顔をして眠っていた。…なんとなくだが嫌な予感がする。

「お父様…」
私はお父様の側まで行き呼び掛けた。
「うっ、その声は…セイルア…か?」
お父様が顔色は悪いまま、私に目を向けた。あぁ…あのころと何も変わらない、優しくて暖かな目だ。

「はい。お久しぶりです。お父様」
私はフードを取った。今まで短かった私の髪が伸びお父様も騎士団長も側近も驚いている。ふふっお父様のこんな顔初めて見たな。

「まずはお父様の病を治しますね。」
「あ、あぁ…」
お父様を治すため私はお父様の体に魔力を注ぎ込んだ。しかもこれはただの病じゃない。毒だ。

「治りましたよ。どうですか?体の調子は」
「とても良い…若返ったみたいだ…」
そう言ったお父様の顔はさっきとは打って変わって血の気が戻りとても健康そうだ。

「それは良かったです。それと報告が。これは病ではなく毒です。」
それを聞いた瞬間3人の顔色が変わった。やはりもう少し落ち着いてから言うべきだったかな…

「そのような顔をするな。教えてくれてありがとう。」
どうやら私は気付かぬうちに不安な顔をしていたようだ。お父様の方が不安だろうに申し訳ないな…

「それにしても久しぶりだな。あの頃はすまなかった。私が城を留守にしていたばっかりに…」
「いえ、あれは陛下のせいではありません。私は大丈夫ですよ。今はとても幸せですし。」
「…そうか…」

私がお父様ではなく陛下と言ったことに少し寂しそうな顔をしたがお父様は私が幸せだと聞いてやるせないような嬉しいような顔をして笑った。

「そうだ、お前に弟がいるんだが、会ってはくれないだろうか?」
弟…そう言えば騎士団長がいると言っていたな…

「3歳になる。とても可愛いぞ~、お前の次にな。」
お父様の私溺愛はやはりなおってなかったんだな…

「あの子の周りには私が信頼できる者しか置いていないから会っても大丈夫だ。お前の事を悪く言う者はいない。」

それなら…お父様が溺愛しているし悪い子では無いのだろうからな。

「そうですね…会ってみます。それとお願いがあるんですが、城の中に誰も訪れない泉などありますか?」
「ん?泉に行きたいのか?あるぞあるぞ。お前の我儘はなるべく叶えたいからな。暫くは立入禁止としてセイルア専用にしよう。」
「そこまでしていただかなくても良いのですが…ありがとうございます。」
「あぁ。それではまず、シルフェ…お前の弟の名前だ。そこへ行くか。」
「はい。」



「着いたぞ。…シルフェ入るぞ。」

中に入って目に入ったのは小さい男の子だ。この子がシルフェかな?第二王子と同じ赤い髪で火の精霊と契約できる条件を持っているが第二王子よりも鮮やかな赤い色だ。
…確かに第三王子の傍に居る者は私も信頼できる者達ばかりだな。

「この国の第一王子でお前の兄を連れて来たぞ。」
「陛下、私はもう第一王子では無いのですが…」
それにほら、いきなりそのような事を言うから国外追放になったはずの私がどうしてこの場にいるのかと周りの者も驚いた顔をしているし…

「お兄ちゃま?僕にいちゅもいちわるちゅるお兄ちゃまじゃないお兄ちゃま?」
「あぁそうだよ。とても優しいお前の兄だ。」
お父様はその言葉を聞いて苦虫を噛み潰したような顔をした後優しい声でそう言った。

第二王子はこんな子供にまで陰湿なことをしていたのか…?呆れるな…

「初めたちてお兄ちゃま。シルフェでしゅ。」
「初めまして殿下。私はセイルアです。セイとお呼びください。」
私は膝を曲げシルフェと目線が会うようにして自己紹介をした。するとシルフェは不思議そうな顔をして首を傾げてきた。

「どうちて?お兄ちゃまじゃないの?シルフェの事、シルって呼んでぇ!」
「いえ、ですが…」
「良いでは無いか。誰もいない時か信頼できる者しかいない時だけでも呼んでやれ。ちなみに私の事もお父様、とな。」
「陛下…」
「お父様、だ。」
お父様は意外と頑固だからな…しょうがない。
…ん?…今更だがなんかお父様の言い方では私が暫くこの城に滞在するかのような…まぁいいか。

「分かりました。それではよろしくね、シル。」
私がもう一度シルと目線を合わせて話し掛けるとシルが被っていた私のフードを取った。

「お兄ちゃまの髪の毛きれぇいね~初めて見た~!」
あぁそんな急に取るから周りの者がまた驚いてしまった。…でもまぁ、この笑顔は癒されるな。

「ありがとう、シル。シルの髪も私はとても美しいと思うよ。」
何せシンと同じような色だしね!
「ほんと?お兄ちゃまはね、シルの髪きちゃないって言うの。ほんとにきれぇい?」 
あぁそれは第二王子がシルに嫉妬したんだろう。…だからと言ってこのような幼い子に言っていい言葉ではないが…

「嘘じゃない。ほんとだよ。何せ私が大好きな人と同じ髪色だからね。」
「しょっか。良かった!」
うんうん。元気が出たみたいで良かった良かった。
とそんな事を思っているとお父様が突然慌てた声を発した。
「ちょ、ちょっと待て!大好きな人とはどうゆう事だ!セイには既に心に決めた者が居るというのか!」
お父様…反応するのはそこなんですね。そんな事を思っているとお父様の側近が諭すようにお父様に告げた。

「陛下、セイルア様も20を過ぎております。特別な者が居てもおかしくありません。」
「だがな…」
「いい加減子離れして下さい。そのようではいつかセイルア様に嫌われますよ。」
その言葉を聞いてお父様は心配になるくらい顔を青くして落ち込み始めた。
「き、嫌われる…分かった。もう何も言うまい。その代わり、セイ!今度その者を紹介するんだぞ!」
「勿論そのつもりですよお父様。」
その言葉を聞いてお父様はホッとしたような顔をした。

「なら良い……それでは、シルフェ。私達ももう暫くここに居たいがセイを連れていかないといけない場所があるからな。もう行くぞ。」

お父様がシルフェにそう告げるとシルはとても悲しそうな顔をしてきた。

「お兄ちゃまもぅ行っちゃうの?」
「うん。ごめんね。またすぐに会えるから。」
「じぇったいだよ?」
「うん。」

そして私達はシルフェの部屋を後にした。



「此処だ。此処は限られた者しか入れないから第二王子には暫くは近付くなと伝えておこう。ついでに毒を盛った犯人も突き止めないとな。」

そう言ったお父様の顔はどこか寂しげに見えた。おそらく毒を盛ったのは第二王子側の誰かだろう。…お父様はそれが分かっていて悲しい顔をしたのだ。

「それでは私はもう行く。1人になるが大丈夫か?」
どうやらお父様は私が此処に1人で居る事が心配なようだ。どちらかと言うと毒を盛られていたお父様の方が大事なのだから自分の側近か騎士団長を置いて行こうとするのはやめて欲しい。

「大丈夫ですよ、お父様。私の事よりご自分の事を心配して下さい。」
「あぁ。すまないな。すぐ戻ってくるから気を付けるんだぞ!」
「はい。」



さて、変態して泳いでみようかな。
私は一応、周りに誰もいないことを確認して変態した。

「森の泉には劣るけど此処も気持ちいいな~」
まずい…安心したせいか眠くなってきた…



「ん…」
どうやら私はいつの間にか眠ってしまったようだ。
…と言うか此処は何処だ?私は泉にいたはず…まさかあの姿を誰かに見られたのか…?まずいな…

ガチャ
誰だ?
「よお、出来損ない。久し振りだな。」
第二王子?なんでこいつが此処に…私を見つけたのはこいつか?

「国外追放されたはずのお前がなんでこの城に戻って来ているんだ?…まぁそんな事はどうでもいい。お前は人魚だったのか?それにその髪…気味が悪いのは変わりないがその顔、お前意外といい顔してんだな~。その顔なら俺も勃つし皆の前で滅茶苦茶に犯してやるのも良いな~」
そう言ってあいつはニヤニヤしながら笑った。
ゲスだな。こんなのが次期国王なんて先が思いやられるな…

「さぁこっちに来い。」
だんだんこっちに近付いてきた。さて、どうするか…私が相手をしても良いんだがこいつに水魔法を使いたくないんだよな。たとえ身を守る為だとしてもな。

ドゴォォン
「…っ!」
「うわ!な、なんだ?!」
?!壁が破壊されて…ってシン?!

「シン!」
「セイ!無事だったか?」
「私は大丈夫だが…なんで此処に?」
「あの忌々しいお前の弟が火の精霊の契約者だろう?その精霊からこちら側を見ていたんだ。」
そうだったのか。まぁ精霊王は自分の属性の精霊と視界を共有できるからな。共有できると言っても精霊王しか見ることは出来ないんだか。

「殿下!ご無事ですか?!」
「な…!元第一王子が何故ここに!」
今の音で人が集まってきたな。
「いったい何事だ…セイ!何故セイが此処に居る。お前が無理矢理連れて来たのか?」
ついにはお父様まで来てしまった。しかも迷うこと無く第二王子を疑っているし。日頃の行いが悪いんだな。

「うるさい。静かにしろ。」
我慢出来なくなったのかシンの怒りが爆発寸前だ。と言うか爆発はしているだろうが頑張って抑えているんだろうな。
「う、うるさいとはなんだ!この俺様に向かって!俺はこの国の王子だそ!そこの気味の悪い奴と違ってな!」
ビキ!
まずい…第二王子が私に発した言葉によってシンの額の青筋が…そんな事を思っているとシンは第二王子に自分の手をかざした。

「お前なんかに俺の精霊はやれんな。」
シンがその言葉を発すると同時に、第二王子からコウモリのような羽をした5cm程の精霊が出てきた。

「な…!それは俺様の精霊!お前何をした!」
「言っただろう。お前のようなやつに俺の精霊はやれんと。」
「ま、まさか…」
その言葉でお父様や他に聡明な方は気付いたようだ。第二王子はまだ何かわかっていない様子で喚き散らしているが。
「静かにしろ!お前はそれでもこの国の王子か?!」
第二王子はお父様に叱責されたことで静かになった。
と思ったらシンの正体に気付いた者達がシンに頭を垂れた様子を見て何故そのような者に!とまた騒ぎ出した。

「失礼ですが、貴方様はもしや火の精霊王様でいらっしゃいますか?」
「あぁそうだ。」
その言葉を聞いて今まで騒いでいた第二王子やシンの正体に気付いていなかった者達の顔が驚きに変わりだんだんと青ざめていった。

「今回は俺の伴侶がお前に会いたいと言って此処に来たのだ。」
そう言ってシンは私の肩を抱いた。
「私の為に…ですか?」
お父様はシンの言葉を聞いて驚いた顔をした後私に向かってありがとうと言った。

「あの…伴侶というのはセイの事ですよね?ですが精霊王と人間とでは伴侶というには…人間には寿命もありますし…」
お父様は伴侶という言葉に疑問を持ったようだ。まぁ確かに私が本当に人間ならば心配だよな。

「それならば心配無い。それにセイは人間では無いぞ。水の精霊王だ。」
「…え?」
お父様達は相当驚いたのか固まって動かなくなってしまった。一番早く我に戻ったのは第二王子だ。

「う、嘘だ!そんな奴が精霊王なわけない!」
「本当の事だ。それにセイが精霊王としての仕事を始めた頃から水の精霊と契約できる条件を持った者が生まれ始めたしな。」
「言っておくがセイに酷い扱いをしたお前は俺は許さないからな。覚悟しておけ。」
「ひっ…」
第二王子はシンの睨みを効かせた視線を受けて恐ろしくなったのか気絶してしまった。

「そう言えばもう1人弟が居るんだったな。此処に連れてきてくれ。」
「わかりました。おい誰か、シルフェを連れて来い。」


「陛下。シルフェ様をお連れしました。」
「お父しゃまどうしたんでちゅか?あ!お兄ちゃま!」

シルは不思議そうな顔をした後私を見つけ嬉しそうな顔をして笑った

「その子が第三王子か。ふむ…お前にはあいつを付けよう。」

シンはシルを見て何かを考えた後シルに手をかざした。すると私達と同じ程の身長の世界に6人しかいない高位精霊を呼び出しシルに付けさせた。シルはとても大きな存在といきなり契約した事で体が追いつかなかったようで体力がつき眠ってしまった。

「精霊王!一国の王子に精霊王が自ら高位精霊を与えるなど…!」
シンがした事にお父様は慌てた様子でシンの行いを止めようとした。

「構わない。この子はセイの大切な者だからな。それにこの子がこの国の次期国王だ。セイが生まれたこの国を守る為にも高位精霊が居た方がいい。これはセイの為に俺がした事だ。」 

その言葉を聞いてお父様はシンがこの結果を変えないと知り反論するのをやめた。

「分かりました。…精霊王。誠に申し訳ありませんがセイの話を聞かせてくれませんか?」
「あぁ。元々そのつもりだ。」
「ありがとうございます。部屋を移動しましょう。私の側近と騎士団長も同行させてよろしいですか?」
「その2人だったら構わないぞ。」
「ありがとうございます。それでは移動しましょう。」



そうして私達は陛下の私室に集まった。
「このような所で申し訳ありません。」
「いや、いい。此処はセイの大好きな場所らしいからな。」
「シン!余計な事言わないでください!」
そんな私達のやり取りを見てお父様達は微笑ましいといった様子で見てきた。
「セイ。セイは今幸せかい?」
「はい。とても幸せですよ。」
「そうか。セイが幸せなようで良かった。それでは精霊王。セイの話を聞かせてください。」
「あぁ。」



「……そうだったのですね。」
「あぁ。お前達人間には迷惑をかけたな。」
「いいえ、そのような事は。少なくとも私はセイを幸せにしてくれた貴方様に感謝こそすれ迷惑などと思ったりしませんよ。」

「すみませんが少しの間だけでもいいのでセイと2人きりで話がしたいのですがよろしいですか?」
「勿論だ。」
「ありがとうございます。」
そうして部屋の中には私とお父様の2人きりになった。

「セイ。本当はセイ、なんて呼んではいけないのだろうが今だけ言わせてくれ。本当にあの時はお前を守れなくてすまなかった。」

「さっきも言いましたが。私は気にしていませんよ。それに、そのおかげでシンに会えたのですから。」
「そうか…そうだな。」
お父様はやはりまだ。あの頃のことを気にしているようだ。お父様的には私に辛い思いを一度もさせたくなかったんだろう。

「それとお父様。私の事は今まで通りセイと呼んでください。」
「しかしな…」
「精霊王の私が良いと言っているのです。誰も文句など言いませんよ。」
「そうだな。」
お父様はそれでも浮かない顔をしている。…もしかしてお父様はあのことに悩んでいるのだろうか。

「お父様。たとえ私が精霊王になったとしても私がお父様の息子であるということに違いはありません。私は私のままです。お父様の事も今までもこれからも愛し続けますよ。」
「セイ…」
お父様は私の言葉を聞いて驚いたように目を見開いた後泣き出してしまった。

「あぁ…セイ…何があっても死ぬまでお前の事を愛し続けるよ。私の可愛い息子…」
「はい、お父様…」
それから暫くお父様も私も泣き続けた。落ち着いて来てお父様の顔を見ればお父様はさっきと違って晴れ晴れしたような顔をしている。

「さて、それでは行くか。あまりお前を独り占めすると精霊王に怒られてしまう。」
それは流石に…いやシンの事だからな…
「うん。行こう。」


部屋を出るとシンは扉の前に立っていた。
「シン、おまたせ。」
「セイ、おかえり。」
「精霊王。ありがとうございました。最後にセイと話せて良かったです。」
そう言ってお父様はシンに頭を垂れた。

「ん?最後では無いぞ。この城のすぐ近くに森があっただろう。あの森の中心にお前が死ぬまで私達はずっと居る。
それにセイから今まで通り接してくれと言われたんだろう?俺達は転移が出来るしこれまで通り家族として一緒に居れるぞ。」

シンの言葉を聞いて私もお父様も側近や騎士団長も驚いた顔をして固まってしまった。

「ちょ、ちょっと待てシン!そんな事聞いてないよ!」
「なんだ、その者達と一緒に居るのが嫌なのか?」
「嫌じゃない!滅茶苦茶嬉しい!けど急だったから…」
「あぁそれは悪かった。良かったな。これからも一緒に居られるぞ。」
そう言ってシンはとても優しい顔をして笑った。
「うん。ありがとう、シン」
私は嬉しくてシンの胸でまた泣いてしまった。お父様達も嬉しくて泣いているようだ。

「それではお父様。これからもよろしくお願いします。」
「あぁ。こちらこそよろしく、セイ。」

それから私達はシルと遊んだり魔法の練習をしたりと、色々なことをした。 
そこに隣国の森に居たミナとダグも加わった。
城の者は最初、精霊王全員が揃ったため怯えてばかり居たが今では慣れたのかそのような事も無くなった。
お父様は私が城を出ていく前よりも活き活きとして政に取り組んでいる。まぁお父様もまだ43歳だし、まだまだこれからだろう。
第二王子があれからどうなったかは私も知らない。




「シン、ありがとう。愛してるよ。これからも私の傍に居てね。飽きられないように頑張るから。」
そんな私の顔を見て、シンはキスをしながらこう言った。

「飽きるはずがないだろう。ずっとお前だけを待っていたんだ。離してと言っても離してやらん。お前はずっと私のものだ。愛している、セイ。」

「シン…んっ、ん、んあっ、はぁ…」
「セイ…セイ…」
それから私達はキスをして抱き合った。

「シン、愛している。これからも…この世界が終わるまで一緒にいよう。」
「あぁ、セイ。一緒に居る。愛しているよ、俺の唯一」

「お兄ちゃま!精霊王ちゃま!何してるのでしゅか?いっちょに遊びましょ!」
「シル。セイ達の邪魔をしてはいけないよ。」
「あぁ、そうだな。」
「そうですよ殿下!ミナト様とダグラス様の言う通りです!いいですか……」
ミナとダグに優しく怒られたシルはお父様の側近にお説教をされて不貞腐れたように頬を膨らませていた。

「フフッ、シン行こうか。」
「そうだな。」
私達は微笑み合い私達の愛する者たちのところへ歩んで行った。
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