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三日目
竹林の遊歩道2
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「あぁっ!?」
「っ!?」
「何だぁ!?」
三人は見てしまった。竹林の中で生首と鎌を持った白い鬼がいるのを。
「きゃあああ!?」
絶叫してへたり込む陽向だが、月琉は冷静だ。月琉は懐中電灯を鬼の方へと向ける。
「っ!?」
懐中電灯を向けられた鬼は慌てた様子で逃げていく。
「待て!」
月琉は何かを確かめた後、猛スピードで鬼に迫っていった。不安定な斜面だというのに転ぶこともない。鬼よりも軽快に走って追い詰める。
「くっ!」
――ブンッ、ザクシュッ。
追い詰められた鬼は、苦し紛れに持っていた鎌を振るった。月琉はそれを片腕で受け止める。
「ツ、月琉ぅう!?」
「ツク坊!?」
月琉が鎌で攻撃され、思わず絶叫する陽向とばっちゃ。
「そりゃ!」
月琉は片腕で鎌を受け止めると、もう片方の腕で相手の胸倉を掴み引き寄せ、足技をかけて引き倒す。そしてそのまま柔道の寝技を使って暴れる相手を拘束していった。
月琉に大した柔道経験などないが、学校の授業で少し習ったというだけで実戦に応用できるのだから大したものである。体育も含めた成績オール5は伊達じゃなかった。
「月琉!? 腕は大丈夫なの?」
「問題ないよ」
気を取り直した陽向は、すぐさま月琉に駆け寄る。心配そうな陽向の声に、月琉は落ち着いた声で答えた。
「鎌に殺傷能力はないからね」
「あっ、この鎌って……」
「うん、使い物にならないよ。刃の部分に細工がされてるからね」
月琉の腕はなんともなかった。傷一つ負っていなかった。
鎌の刃の部分には赤いガムテープのようなものが巻かれており、人を傷つけられないような細工がされてあったからだ。
「いったい何でこんなことを?」
「さあね。皆が来たらゆっくり聞くとしよう」
「くそっ……」
鬼の面を被った白装束の男。背格好や声色から男であることはわかるが、傍目からはそれ以上わからない。陽向と月琉には馴染みがない声であった。
ただ、ばっちゃには察しがついているようで、「何でこんな馬鹿げたことを……」と絶句していた。その様子から、月琉はこの男の正体をおおよそ察することができた。
「どうした!? 何があった!?」
陽向の悲鳴が聞こえたのだろう。坂上にいた男衆がすぐさま駆け寄ってくる。
「こ、これは!?」
そして月琉が鬼の面を被った白い装束の人間を組伏せているのを見て、一同、目を見張る。
「犯人を捕まえたのか!?」
「でかしたぞ坊主!」
「縛り上げろ! 警察に突き出してやる!」
男衆はすぐさま月琉に加勢をし、捕らえた男を縛り上げ、鬼の面を剥いでいく。鬼に扮していた男の面が晒される。
「お前さんは!?」
「竹上の倅じゃねえか!」
鬼に扮していたのは竹上の倅であった。苦虫を噛み潰したような表情でいる。
「てめえ、ついに人殺しをしやがったか!」
「杉葉を殺したのもお前か!?」
「ちがっ、俺はっ、ただ怖がらせて、みんなに嫌がらせしてやろうと!」
「ふざけるな! 鎌なんて持ち出して洒落になんかなんねえぞ!」
男衆は強い口調で責め立てる。
何か言いたげな竹上の倅だったが、大勢の人間にわーわーと責め立てられ、ふて腐れた投げやりな態度を見せるようになる。
「どうして俺はいつもこうなんだ、くそっ、俺ばっかりなんで……俺はただ普通に……くそくそ!」
「何をぶつぶつ言ってやがる! お前が全部やったんだな!」
「あーそうだよ! 全部、俺がやったんだ! お堀の蛙を殺したのも俺だし、越村の旦那の鶏を殺したのも俺だし、竹下の猫を殺したのも俺だ! 杉葉ちゃんを乱暴して殺したのも俺だよ! 全部俺のせいだよ! くそが!」
「な、何だと!?」
竹上の倅の自白を聞き、射殺さんばかりの目を向ける一同。
特に杉葉の父親と隣家の若旦那などは今にも殴りかかりそうな表情でいた。目に入れても痛くなかった娘と猫がこの男に殺されたというのだから、それも当然だ。
「待ってください」
そんな剣呑とした雰囲気の中、月琉は果敢に割って入った。
「今の竹上の倅さんは精神的に不安定のようです。自白に信憑性はありません。それに少なくとも、今回の件は本当に怖がらせたかっただけのようですよ。これを見てください」
月琉は竹上の倅の持っていた傷つけられない細工のしてある鎌を見せる。そして草むらの中にあったもう一つの品も見せる。
「これは!?」
「人形の首だと!?」
竹上の倅が持っていた生首だと思われたものは、精巧に作られたマネキンの首であった。暗闇の中では誤認しても仕方ないくらいにリアルなものであった。
生首よりましだが、暗闇の中に浮かび上がるマネキンは、それはそれで不気味で恐ろしかった。
「どういうことだ!? 何故こんなことをした!?」
「復讐してやりたかったのさ! 過去のことでぐちぐち言って、何でもかんでも俺のせいにして悪いように言いやがって! 俺は何もやってねぇっていうのに!」
竹上の倅はみっともなくも泣きわめくように言った。その姿はなんとも哀れだった。
竹上の倅は、自分のことを悪いように言う集落の連中を驚かせてささやかな復讐をしてやろうと、今回の騒動を引き起こしたらしい。ただ祭りを根本からめちゃくちゃにするのは気が咎めたようで、それで祭りの終盤に事を起こしたのだとか。
「すみません! ウチの倅が大変申し訳ありません!」
駆けつけてきた竹上の親爺が、土下座せんばかりの勢いで頭を下げる。それを見て情けなく思ったのか、竹上の倅はもっと泣きわめいた。
「ひとまず、竹上の倅には事情を聞かねばなるまい。派出所までご同行願いえますかな。竹上の親爺さんも」
「ああわかりました」
竹上親子は老お巡りさんに連れて行かれる。その背はなんとも惨めで哀れであった。
「竹上の倅さん、どうなっちゃうの?」
「まあおそらく大した罪にはならないと思うよ。厳重注意で済むかな」
厳密には祭りの業務を妨害したので、祭りの実行委員会が訴え出れば威力業務妨害にでもなろうが、おそらくは内々に処理されるに違いない。役員には人の良い大じっちゃがいることだし、きっと竹上の親子を哀れに思ってそこまで追い詰めはしまい。
そう思い、月琉は思考を別のことに切り替えた。
「竹上の倅が実は幽霊騒動の原因だったの? 夜な夜な幽霊に扮して皆を驚かせていたってこと? 海人君が見た白い死神もそれってこと?」
「うーん、どうだろうね。さっきの話しぶりじゃ、悪戯をしたのは今回が初めてみたいだったけど」
陽向の疑問に、月琉は答える。
「おそらく、竹上の倅は白い死神の話を誰かから聞きつけ、それを模倣して今回の犯行に及んだんだと思うよ」
月琉はそう推理する。
「竹上の倅が大杉の怪事件に関わってるとは、やはり思えないよ。さっきの鎌を見てそう確信した。ご丁寧にガムテープを巻いて安全対策してくれてたんだ。理性はある。ばっちゃの言う通り、竹上の倅は優しい人柄のようだよ。今回は精神的に追い詰められてこんなことしちゃったみたいだけどさ」
「んだ。竹上の倅は木助以上の馬鹿だけども悪い奴じゃねえ」
月琉の言葉に、ばっちゃが頷く。
「そんじゃばっちゃは一足先に帰るなぁ。ヒナちゃんもツク坊も、あんまり遅くなんなよぉ」
「はあい」
「了解」
竹上の倅が引き起こした騒動が一段落すると、ばっちゃは一足先に家に戻っていった。月琉と陽向だけは竹林の遊歩道の脇にあるベンチに座り、話し込む。
「ねえ月琉、竹上の倅さんが犯人じゃないとすると、やっぱ本物の白い死神がいるんじゃないの?」
陽向は顔を強張らせながら言う。
一連の事件の犯人として最も疑わしい人物であった竹上の倅。どうやら彼は完全にシロらしい。
となると、やはり一連の事件は大杉の呪い、あるいは他のオカルト的な要素によるものだと、陽向は思ったようだ。それで気の毒なくらいに怯え始めた。
「やっぱ杉葉ちゃんは大杉様に殺されたのよ……弱った大杉様が祟り神になってそれで……」
「うーん、そうだな……」
オカルト的なことを認めたくない月琉は考える。頭を捻って事件を推理し続ける。
(杉葉ちゃんが死の直前に残したメッセージ。大杉に食べられる。陽向の言うように、本当に大杉の呪いだとでも言うのか? 馬鹿な)
オカルトを信じない月琉は呪い説を否定する。何か科学的合理的な説明のつく話なのだと思い、必死に考える。
(情報が足りない。もっと調べる必要があるな)
考えても答えは出ない。材料不足だと断じた月琉は、明日、杉葉が亡くなった大杉近くの現場をもう一度探ってみることにした。
「明日、大杉様をもう一度調べてみようか。杉葉ちゃんの残したメッセージの謎を解き明かそう」
「ちょっと月琉!? アタシたちまで呪われたらどうすんのよ!?」
「呪いなんてないよ。絶対にね」
「もう、どうなっても知らないから!」
月琉は大杉の怪事件の謎を完全に解き明かすため、明日一日を費やすことにしたのだった。
「っ!?」
「何だぁ!?」
三人は見てしまった。竹林の中で生首と鎌を持った白い鬼がいるのを。
「きゃあああ!?」
絶叫してへたり込む陽向だが、月琉は冷静だ。月琉は懐中電灯を鬼の方へと向ける。
「っ!?」
懐中電灯を向けられた鬼は慌てた様子で逃げていく。
「待て!」
月琉は何かを確かめた後、猛スピードで鬼に迫っていった。不安定な斜面だというのに転ぶこともない。鬼よりも軽快に走って追い詰める。
「くっ!」
――ブンッ、ザクシュッ。
追い詰められた鬼は、苦し紛れに持っていた鎌を振るった。月琉はそれを片腕で受け止める。
「ツ、月琉ぅう!?」
「ツク坊!?」
月琉が鎌で攻撃され、思わず絶叫する陽向とばっちゃ。
「そりゃ!」
月琉は片腕で鎌を受け止めると、もう片方の腕で相手の胸倉を掴み引き寄せ、足技をかけて引き倒す。そしてそのまま柔道の寝技を使って暴れる相手を拘束していった。
月琉に大した柔道経験などないが、学校の授業で少し習ったというだけで実戦に応用できるのだから大したものである。体育も含めた成績オール5は伊達じゃなかった。
「月琉!? 腕は大丈夫なの?」
「問題ないよ」
気を取り直した陽向は、すぐさま月琉に駆け寄る。心配そうな陽向の声に、月琉は落ち着いた声で答えた。
「鎌に殺傷能力はないからね」
「あっ、この鎌って……」
「うん、使い物にならないよ。刃の部分に細工がされてるからね」
月琉の腕はなんともなかった。傷一つ負っていなかった。
鎌の刃の部分には赤いガムテープのようなものが巻かれており、人を傷つけられないような細工がされてあったからだ。
「いったい何でこんなことを?」
「さあね。皆が来たらゆっくり聞くとしよう」
「くそっ……」
鬼の面を被った白装束の男。背格好や声色から男であることはわかるが、傍目からはそれ以上わからない。陽向と月琉には馴染みがない声であった。
ただ、ばっちゃには察しがついているようで、「何でこんな馬鹿げたことを……」と絶句していた。その様子から、月琉はこの男の正体をおおよそ察することができた。
「どうした!? 何があった!?」
陽向の悲鳴が聞こえたのだろう。坂上にいた男衆がすぐさま駆け寄ってくる。
「こ、これは!?」
そして月琉が鬼の面を被った白い装束の人間を組伏せているのを見て、一同、目を見張る。
「犯人を捕まえたのか!?」
「でかしたぞ坊主!」
「縛り上げろ! 警察に突き出してやる!」
男衆はすぐさま月琉に加勢をし、捕らえた男を縛り上げ、鬼の面を剥いでいく。鬼に扮していた男の面が晒される。
「お前さんは!?」
「竹上の倅じゃねえか!」
鬼に扮していたのは竹上の倅であった。苦虫を噛み潰したような表情でいる。
「てめえ、ついに人殺しをしやがったか!」
「杉葉を殺したのもお前か!?」
「ちがっ、俺はっ、ただ怖がらせて、みんなに嫌がらせしてやろうと!」
「ふざけるな! 鎌なんて持ち出して洒落になんかなんねえぞ!」
男衆は強い口調で責め立てる。
何か言いたげな竹上の倅だったが、大勢の人間にわーわーと責め立てられ、ふて腐れた投げやりな態度を見せるようになる。
「どうして俺はいつもこうなんだ、くそっ、俺ばっかりなんで……俺はただ普通に……くそくそ!」
「何をぶつぶつ言ってやがる! お前が全部やったんだな!」
「あーそうだよ! 全部、俺がやったんだ! お堀の蛙を殺したのも俺だし、越村の旦那の鶏を殺したのも俺だし、竹下の猫を殺したのも俺だ! 杉葉ちゃんを乱暴して殺したのも俺だよ! 全部俺のせいだよ! くそが!」
「な、何だと!?」
竹上の倅の自白を聞き、射殺さんばかりの目を向ける一同。
特に杉葉の父親と隣家の若旦那などは今にも殴りかかりそうな表情でいた。目に入れても痛くなかった娘と猫がこの男に殺されたというのだから、それも当然だ。
「待ってください」
そんな剣呑とした雰囲気の中、月琉は果敢に割って入った。
「今の竹上の倅さんは精神的に不安定のようです。自白に信憑性はありません。それに少なくとも、今回の件は本当に怖がらせたかっただけのようですよ。これを見てください」
月琉は竹上の倅の持っていた傷つけられない細工のしてある鎌を見せる。そして草むらの中にあったもう一つの品も見せる。
「これは!?」
「人形の首だと!?」
竹上の倅が持っていた生首だと思われたものは、精巧に作られたマネキンの首であった。暗闇の中では誤認しても仕方ないくらいにリアルなものであった。
生首よりましだが、暗闇の中に浮かび上がるマネキンは、それはそれで不気味で恐ろしかった。
「どういうことだ!? 何故こんなことをした!?」
「復讐してやりたかったのさ! 過去のことでぐちぐち言って、何でもかんでも俺のせいにして悪いように言いやがって! 俺は何もやってねぇっていうのに!」
竹上の倅はみっともなくも泣きわめくように言った。その姿はなんとも哀れだった。
竹上の倅は、自分のことを悪いように言う集落の連中を驚かせてささやかな復讐をしてやろうと、今回の騒動を引き起こしたらしい。ただ祭りを根本からめちゃくちゃにするのは気が咎めたようで、それで祭りの終盤に事を起こしたのだとか。
「すみません! ウチの倅が大変申し訳ありません!」
駆けつけてきた竹上の親爺が、土下座せんばかりの勢いで頭を下げる。それを見て情けなく思ったのか、竹上の倅はもっと泣きわめいた。
「ひとまず、竹上の倅には事情を聞かねばなるまい。派出所までご同行願いえますかな。竹上の親爺さんも」
「ああわかりました」
竹上親子は老お巡りさんに連れて行かれる。その背はなんとも惨めで哀れであった。
「竹上の倅さん、どうなっちゃうの?」
「まあおそらく大した罪にはならないと思うよ。厳重注意で済むかな」
厳密には祭りの業務を妨害したので、祭りの実行委員会が訴え出れば威力業務妨害にでもなろうが、おそらくは内々に処理されるに違いない。役員には人の良い大じっちゃがいることだし、きっと竹上の親子を哀れに思ってそこまで追い詰めはしまい。
そう思い、月琉は思考を別のことに切り替えた。
「竹上の倅が実は幽霊騒動の原因だったの? 夜な夜な幽霊に扮して皆を驚かせていたってこと? 海人君が見た白い死神もそれってこと?」
「うーん、どうだろうね。さっきの話しぶりじゃ、悪戯をしたのは今回が初めてみたいだったけど」
陽向の疑問に、月琉は答える。
「おそらく、竹上の倅は白い死神の話を誰かから聞きつけ、それを模倣して今回の犯行に及んだんだと思うよ」
月琉はそう推理する。
「竹上の倅が大杉の怪事件に関わってるとは、やはり思えないよ。さっきの鎌を見てそう確信した。ご丁寧にガムテープを巻いて安全対策してくれてたんだ。理性はある。ばっちゃの言う通り、竹上の倅は優しい人柄のようだよ。今回は精神的に追い詰められてこんなことしちゃったみたいだけどさ」
「んだ。竹上の倅は木助以上の馬鹿だけども悪い奴じゃねえ」
月琉の言葉に、ばっちゃが頷く。
「そんじゃばっちゃは一足先に帰るなぁ。ヒナちゃんもツク坊も、あんまり遅くなんなよぉ」
「はあい」
「了解」
竹上の倅が引き起こした騒動が一段落すると、ばっちゃは一足先に家に戻っていった。月琉と陽向だけは竹林の遊歩道の脇にあるベンチに座り、話し込む。
「ねえ月琉、竹上の倅さんが犯人じゃないとすると、やっぱ本物の白い死神がいるんじゃないの?」
陽向は顔を強張らせながら言う。
一連の事件の犯人として最も疑わしい人物であった竹上の倅。どうやら彼は完全にシロらしい。
となると、やはり一連の事件は大杉の呪い、あるいは他のオカルト的な要素によるものだと、陽向は思ったようだ。それで気の毒なくらいに怯え始めた。
「やっぱ杉葉ちゃんは大杉様に殺されたのよ……弱った大杉様が祟り神になってそれで……」
「うーん、そうだな……」
オカルト的なことを認めたくない月琉は考える。頭を捻って事件を推理し続ける。
(杉葉ちゃんが死の直前に残したメッセージ。大杉に食べられる。陽向の言うように、本当に大杉の呪いだとでも言うのか? 馬鹿な)
オカルトを信じない月琉は呪い説を否定する。何か科学的合理的な説明のつく話なのだと思い、必死に考える。
(情報が足りない。もっと調べる必要があるな)
考えても答えは出ない。材料不足だと断じた月琉は、明日、杉葉が亡くなった大杉近くの現場をもう一度探ってみることにした。
「明日、大杉様をもう一度調べてみようか。杉葉ちゃんの残したメッセージの謎を解き明かそう」
「ちょっと月琉!? アタシたちまで呪われたらどうすんのよ!?」
「呪いなんてないよ。絶対にね」
「もう、どうなっても知らないから!」
月琉は大杉の怪事件の謎を完全に解き明かすため、明日一日を費やすことにしたのだった。
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