88 / 291
三章
ペット購入
しおりを挟む
農業地区は長閑だが、昼間の商業地区は昨晩以上に喧しい場所だった。
「ご主人様。アイス食べたいですわ」
「アイスなんて売ってるんだな。流石王都だ」
驚いたことに、市場ではアイスクリームが売り出されていた。
もっとも、アイスという名前ではなく、“雪妖精の恵み”という名前で売られていたが。
アイス屋の店員は、雪達磨みたいな姿形をしていたので見た時はギョッとした。
モンスターかと思いきや、そうではないらしい。雪妖精といい、妖精族の一種のようだ。
雪妖精はこの世界ではヒトに分類されていて、人間と同等の扱いがなされているらしい。魔物とは違うようだ。
流石王都だ。色んな種族が住んでいるね。
ちなみに男性型の雪妖精の風貌は雪達磨だが、女性型のそれは人間にかなり近かった。透き通るような白い肌を持ち、若干顔色の悪い、雪女って風貌の女の子だった。
ゴブリンの雌を見た時も思ったが、この世界の幻想生物って、男性型は完全にファンタジーの化け物だが、女性型は人間に近いことが多いらしい。男性型は格好良くて女性型は可愛い系が多いかな。見ていて飽きないね。
「美味しいですわ」
「初めて食ったけど美味いな。高くて気軽には食えねえけどよ」
「うん、この世界のアイスも中々だね」
アイスを購入し、三人で仲良くベンチに座って食べる。
なかなか美味しい。エリザとメリッサもご満悦のようだ。女性はやはり甘いものが好きみたいだね。
春にアイスは季節的に早い気がするが、歩き回って温かくなった身体にはちょうどいいおやつだった。美味しく食べてご馳走様だね。
アイスを食べ終わった後、ペットショップへ向かう。
「おお。ここが異世界のペットショップか」
「可愛いですわね」
「こういうところ初めて入るな」
ペットショップの檻の中には、見たこともない幻想生物たちがいっぱいいた。鳥っぽい生き物、猫っぽい生き物、犬っぽい生き物――様々だ。
「この犬は魔物なんですか?」
「半分正解で半分不正解といったところでしょうか。人工魔物というものです」
ペットショップの店員のお姉さんに尋ねると答えてくれた。
「こちらの狼系統の人工魔物は、元は“ウルフ”という魔物だと聞いております。俗に犬と呼ばれていますが」
この世界の長い歴史の中で、魔物を家禽化する実験が幾度となく繰り返されてきたらしい。
その過程で生み出されたのが、“人工魔物”という生き物らしい。このペットショップにいるのは全てその人工魔物らしい。
人工魔物は普通の魔物とは区別されるようだ。動物の犬猫ともまた違う存在らしい。
「じゃあその狼系統の人工魔物を三匹買おう。エリザ、メリッサそれぞれ一匹選んでくれ。見た目はどうでもいいが、なるべく賢そうで強そうなやつで頼むよ」
「わかりましたわ」
「おう」
三十分くらいよく吟味する。
俺は柴犬っぽいやつ、エリザはダックスフントみたいなやつ、メリッサは土佐犬みたいなゴツいやつを選んだ。
名前はそれぞれシヴァ、ダックス、サカモトと名づけることにした。
購入するのに合計5ゴルゴンもかかった。結構かかったがまあいいだろう。必要経費だ。
眷属化すれば不老になって老化で死ぬこともないし、一生の付き合いになるな。よろしく三匹たちよ。
「餌は何を食わせればいいんです?」
「何でも食べられますよ。特に肉が好物ですね」
犬みたいな見た目だが魔物なので何でも食べられるそうだ。前世の犬みたいに食わせちゃいけないものとかないみたいなので楽でいいな。
「ご購入ありがとうございました~」
新たに家族となったワンコ三匹を連れてペットショップを後にする。
「あとは花屋だな」
「そうですわね。殺風景な庭を変えましょう」
購入したばかりのワンコを散歩させつつ、花屋に向かう。そこで庭に植える用の花を適当に調達することにする。
「ペットを店内にいれるわけにもいかんし、エリザたちのセンスで適当に選んで買ってきてくれよ。俺はワンコを見ているから」
「わかりましたわ」
待っている間、買ったばかりのワンコたちと戯れる。犬と戯れるのなんて何気に前世ぶりだな。楽しいぞ。
花を調達した後、留守番するノビルや買出しに行ったレイラたちへのお土産を買ってから、俺たちは自宅に戻っていったのであった。
「ご主人様。アイス食べたいですわ」
「アイスなんて売ってるんだな。流石王都だ」
驚いたことに、市場ではアイスクリームが売り出されていた。
もっとも、アイスという名前ではなく、“雪妖精の恵み”という名前で売られていたが。
アイス屋の店員は、雪達磨みたいな姿形をしていたので見た時はギョッとした。
モンスターかと思いきや、そうではないらしい。雪妖精といい、妖精族の一種のようだ。
雪妖精はこの世界ではヒトに分類されていて、人間と同等の扱いがなされているらしい。魔物とは違うようだ。
流石王都だ。色んな種族が住んでいるね。
ちなみに男性型の雪妖精の風貌は雪達磨だが、女性型のそれは人間にかなり近かった。透き通るような白い肌を持ち、若干顔色の悪い、雪女って風貌の女の子だった。
ゴブリンの雌を見た時も思ったが、この世界の幻想生物って、男性型は完全にファンタジーの化け物だが、女性型は人間に近いことが多いらしい。男性型は格好良くて女性型は可愛い系が多いかな。見ていて飽きないね。
「美味しいですわ」
「初めて食ったけど美味いな。高くて気軽には食えねえけどよ」
「うん、この世界のアイスも中々だね」
アイスを購入し、三人で仲良くベンチに座って食べる。
なかなか美味しい。エリザとメリッサもご満悦のようだ。女性はやはり甘いものが好きみたいだね。
春にアイスは季節的に早い気がするが、歩き回って温かくなった身体にはちょうどいいおやつだった。美味しく食べてご馳走様だね。
アイスを食べ終わった後、ペットショップへ向かう。
「おお。ここが異世界のペットショップか」
「可愛いですわね」
「こういうところ初めて入るな」
ペットショップの檻の中には、見たこともない幻想生物たちがいっぱいいた。鳥っぽい生き物、猫っぽい生き物、犬っぽい生き物――様々だ。
「この犬は魔物なんですか?」
「半分正解で半分不正解といったところでしょうか。人工魔物というものです」
ペットショップの店員のお姉さんに尋ねると答えてくれた。
「こちらの狼系統の人工魔物は、元は“ウルフ”という魔物だと聞いております。俗に犬と呼ばれていますが」
この世界の長い歴史の中で、魔物を家禽化する実験が幾度となく繰り返されてきたらしい。
その過程で生み出されたのが、“人工魔物”という生き物らしい。このペットショップにいるのは全てその人工魔物らしい。
人工魔物は普通の魔物とは区別されるようだ。動物の犬猫ともまた違う存在らしい。
「じゃあその狼系統の人工魔物を三匹買おう。エリザ、メリッサそれぞれ一匹選んでくれ。見た目はどうでもいいが、なるべく賢そうで強そうなやつで頼むよ」
「わかりましたわ」
「おう」
三十分くらいよく吟味する。
俺は柴犬っぽいやつ、エリザはダックスフントみたいなやつ、メリッサは土佐犬みたいなゴツいやつを選んだ。
名前はそれぞれシヴァ、ダックス、サカモトと名づけることにした。
購入するのに合計5ゴルゴンもかかった。結構かかったがまあいいだろう。必要経費だ。
眷属化すれば不老になって老化で死ぬこともないし、一生の付き合いになるな。よろしく三匹たちよ。
「餌は何を食わせればいいんです?」
「何でも食べられますよ。特に肉が好物ですね」
犬みたいな見た目だが魔物なので何でも食べられるそうだ。前世の犬みたいに食わせちゃいけないものとかないみたいなので楽でいいな。
「ご購入ありがとうございました~」
新たに家族となったワンコ三匹を連れてペットショップを後にする。
「あとは花屋だな」
「そうですわね。殺風景な庭を変えましょう」
購入したばかりのワンコを散歩させつつ、花屋に向かう。そこで庭に植える用の花を適当に調達することにする。
「ペットを店内にいれるわけにもいかんし、エリザたちのセンスで適当に選んで買ってきてくれよ。俺はワンコを見ているから」
「わかりましたわ」
待っている間、買ったばかりのワンコたちと戯れる。犬と戯れるのなんて何気に前世ぶりだな。楽しいぞ。
花を調達した後、留守番するノビルや買出しに行ったレイラたちへのお土産を買ってから、俺たちは自宅に戻っていったのであった。
0
お気に入りに追加
100
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
『希望の実』拾い食いから始まる逆転ダンジョン生活!(改訂版)
IXA
ファンタジー
凡そ三十年前、この世界は一変した。
世界各地に次々と現れた天を突く蒼の塔、それとほぼ同時期に発見されたのが、『ダンジョン』と呼ばれる奇妙な空間だ。
不気味で異質、しかしながらダンジョン内で手に入る資源は欲望を刺激し、ダンジョン内で戦い続ける『探索者』と呼ばれる職業すら生まれた。そしていつしか人類は拒否感を拭いきれずも、ダンジョンに依存する生活へ移行していく。
そんなある日、ちっぽけな少女が探索者協会の扉を叩いた。
諸事情により金欠な彼女が探索者となった時、世界の流れは大きく変わっていくこととなる……
人との出会い、無数に折り重なる悪意、そして隠された真実と絶望。
夢見る少女の戦いの果て、ちっぽけな彼女は一体何を選ぶ?
絶望に、立ち向かえ。

幼少期に溜め込んだ魔力で、一生のんびり暮らしたいと思います。~こう見えて、迷宮育ちの村人です~
月並 瑠花
ファンタジー
※ファンタジー大賞に微力ながら参加させていただいております。応援のほど、よろしくお願いします。
「出て行けっ! この家にお前の居場所はない!」――父にそう告げられ、家を追い出された澪は、一人途方に暮れていた。
そんな時、幻聴が頭の中に聞こえてくる。
『秋篠澪。お前は人生をリセットしたいか?』。澪は迷いを一切見せることなく、答えてしまった――「やり直したい」と。
その瞬間、トラックに引かれた澪は異世界へと飛ばされることになった。
スキル『倉庫(アイテムボックス)』を与えられた澪は、一人でのんびり二度目の人生を過ごすことにした。だが転生直後、レイは騎士によって迷宮へ落とされる。
※2018.10.31 hotランキング一位をいただきました。(11/1と11/2、続けて一位でした。ありがとうございます。)
※2018.11.12 ブクマ3800達成。ありがとうございます。

Hしてレベルアップ ~可愛い女の子とHして強くなれるなんて、この世は最高じゃないか~
トモ治太郎
ファンタジー
孤児院で育った少年ユキャール、この孤児院では15歳になると1人立ちしなければいけない。
旅立ちの朝に初めて夢精したユキャール。それが原因なのか『異性性交』と言うスキルを得る。『相手に精子を与えることでより多くの経験値を得る。』女性経験のないユキャールはまだこのスキルのすごさを知らなかった。
この日の為に準備してきたユキャール。しかし旅立つ直前、一緒に育った少女スピカが一緒にいくと言い出す。本来ならおいしい場面だが、スピカは何も準備していないので俺の負担は最初から2倍増だ。
こんな感じで2人で旅立ち、共に戦い、時にはHして強くなっていくお話しです。

日本列島、時震により転移す!
黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。


特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる