月夜

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連絡を終えて、戻ろうかと考えていた時、車が到着した。
「凪様をお迎えに上がりました。」
「凪なら保健室にいます。早く連れていってやってください。」
多くの人が保健室へと向かう。
「凪様、お迎えに上がりました。」
「うん....理久も連れていってくれない?ついでだから理久にも見せてあげたいの。」
「.....分かりました。」
車に乗る。
揺られながら凪に聞く。
「何で僕を連れていってくれるの?今までどんなに言ってもダメだって言ってたくせに。」
「・・・・別に良いでしょ。折角の機会だから....かな。」
「そう言うものなの?」
「そう言うものだよ。」
なんて会話を交わす。
「喉渇いたからジュースちょうだい。」
なんて凪が言えば、ミルクティーが出てきた。
凪曰く、これがないとやっていけないらしい。
....流石にそんなことはないとは思うが。
まぁでも、こんな事件が起こるくらいだ。
何が起こってもおかしくないような気がする。
......どうでも良いけど。
何が起こったところで、これが凪の日常だから。
それにしても久しぶりに訪れることになった凪の家。
どんな場所だったか覚えていない。
少なくとも、迷路のような場所だったことだけは覚えている。
部屋の配置とか、細かいところは覚えていない。
何しろ、広すぎるのだ。
部屋一つとるにしても。
窓を眺めてみれば、塀ばかり続いている。
この塀の内部全てが凪の家の敷地。
町一つ分はあるのではないか。
そう言えば昔敷地内に商店街とか色々あるって言ってた気がする.....
訂正しよう。

一体どんなことすればここまで揃えることが出来るんだろう。
確か別荘もいくつかあったはずだし、総資産はいくらぐらいになるんだろう....
考えただけで失神しそう。
「あ、着いたみたい。降りよっか。」
凪が車から降りる。
僕も後をついていくことにした。
.....迷子になりたくないからね。

屋敷は無駄に広い。
もうちょっと狭くて良いんだけど、なんて傲慢だろうか。
別に私が建てたくて建てたわけではない。
先祖が建てていただけだ。
個人的な家を持てるのは15歳になってから。
それまでは本家で暮らさなければいけない。
とっとと出ていきたいなぁ、なんて思った。
本家での暮らしは窮屈だ。
親は基本的に家にいないため、使用人との暮らしとなる。
自分でできることは自分でしたいけど、使用人たちが過保護だから...
良い人たちっていうのはよくわかる。
いつもお礼に休暇とかをよく与えているんだけどね。
それと、一応私は株などをして多少なりとも稼いでいるし、お小遣いとやらも貯めているから、独り立ちする気になればいつでもできる。
しないのは家のしきたりを守っているからだけど。
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