機械と人間

月夜

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先に進む事

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そもそもなんでこんなところに僕がいるんだろう?
それが一番の疑問だ。
「………ねぇ、マインドの意味って知ってる?」
「マインドって操る方法でしょ?だって、おかしいじゃないか。」
みんなが操られているかのように、可笑しい程に言うことを聞く。
「あはは、まぁ、そうかもね。」
「なにがおかしいんだよ?」
「だってさぁ、君はみんな嫌々付き合ってると思ってるでしょ?」
「そうだ。」
笑いながらクロノスは嘲るような目で僕を見つめる。
「みんな君ら人類が望んだこと。……まぁ、いいや。鍵、あげるから君はもう進みなよ。」
クロノスは僕に鍵を渡してどこかに消えた。
僕はただ、呆然として、鍵を握りしめた。
ここは、危険な場所だ。
本能的に逃げなければいけないと思っても、進まなければいけないような気がして。
しばらく悩んだあと、僕は進む事にした。
だって、先に進まなければなにも進まないだろう?

スイッチは見つけやすい場所にポツンと置かれていた。
特にトラップなど仕掛けられていないようで、ガラスケースのなかに赤いスィッチが一つ。
クロノスから貰った鍵を差し込んで、ガラスケースを開いた。
「先に進む気なの?何が起こっても後悔しない?」
合成音声のような声が響く。
「構わない。進まない限り何も起こらないじゃないか。」
「何も起こらない、というのは退化のようでもあり、一つの選択でもある。もしかしたらその選択は君に何かもたらすかもしれないよ?」
「そんなの、知らない。僕はそんなのに頼るくらいなら先に進むよ。」
「あっそ。忠告は、したからね。」
それっきり声は聞こえなくなった。
僕はスィッチを押す。
途端に景色が変化して、目覚めた時は………


「うわぁ、助けてくれぇ!」
悲鳴。
「いやぁ、死にたくない!」
助けを求める声。
蛇が体に巻き付く。
金色の目でこちらを見つめる。
赤い舌をチロチロと出しながら、こちらを伺う。
ここは、神殿。
僕だけの神殿。
咲き乱れた花たちと、蛇に囲まれたまま。
「こんなの、反則じゃないか!勝てるはずがない!」
そんな声と共に新たに咲く赤い花。
「あぁ、退屈だ。」
僕は一人、呟いた。


「あ、あの……生きてますか?」
やけに遠慮がちな声に起こされて目を覚ませば、
目の前に金色の目に白と黒、きれいに分かれた少年が立っている。
「ここは………?」
「フロア19です。あの、僕と協力して、このフロアから次のフロアに行きませんか?」
「裏切った方が得なのに、なんで協力したいの?」
「僕、結構弱いので、裏切ったところで逆に殺されるのが関の山です。」
「他の人は?」
「全滅です。」
「え?」
「僕ら以外、このフロアのボスに全員殺されました。」
「は?」
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