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Bloody hood A
窒息
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知っていたよ、首を絞めることくらい。
だって僕は君、君は僕。
僕らは表裏一体なんだから。
どうしても言わない僕に首を絞めて殺しかけてまで言わせようとすることくらい分かっていたさ。
段々と体の中の酸素が失われていく。
指先から徐々に冷たくなり、体の色が変化していく。
視界がグラついて、気絶する寸前になったところで開放される。
そこで僕は必死に息を吸い込み、過呼吸になりかける。
するとそこで首を絞める。
その繰り返し。
何度繰り返したことだろう。
いくら首を絞めたところで言うつもりはない。
死んでも言ってやらない。
どうせ言ったら死ぬんだから変わらない。
同じ死ならこっちを選ぶさ。
颯太は冷たい目で僕にいう。
「先輩は、アテネが好きなんです。好きって知っているんです、僕は」
虚な瞳でそう呟く。
「だから僕はお前を殺せない。殺そうとしても先輩が苦しむ姿を想像した途端、お前を殺せなくなる」
淡々と絞めては離してを繰り返しながらそう呟く。
「狂ってますね。今すぐ殺したいくらい憎んでいるくせに殺せないなんて」
自虐的な笑みを零しながら颯太は言った。
「どうして消えてくれないんですか、どうしてずっといるんですか。お陰で僕は先輩の一番になれない、先輩と一緒になれない。なってもどこかでお前の影が見え隠れ。こんな人生嫌なんです。一時的に忘れたって、乗り換えたって。時が経てばこの感情は蘇ることでしょう。それほどまでに刻み込まれているのです」
こんなに感情を突きつけられたのはいつぶりだろうな、なんて考えていた。
だって、こんなのオリジナルにしかやられなかったから。
オリジナルは常に僕に敵意を向けてきた。
それで時々こんな風に攻めてきた。
それと同じだ。
ふと、颯太の被る頭巾を見れば、紅く光っていた。
その光に嫌な予感がした。
何故かわからないけれど。
「ねぇ颯太、あなたの頭巾って綺麗な赤ですね」
そういうと、ピクリと反応した。
「その頭巾って何で染めているんですか?」
そう聞けば、ニタァっと笑った。
まさか、咄嗟に想像した事実に全身が反応して、颯太と距離を取る。
颯太は頭巾をそっと撫でながら、言った。
「先輩の血で染め上げた頭巾なので綺麗な赤は当然なんですよ。どんなに他の血がかかっても決して犯されやしない美しい紅。流石先輩ですよね」
そう言ってうっとりしながら頬を擦りつけたあと、口づけをした。
その光景に僕は恐怖を覚えていた。
知っていた、颯太の異常なまでの執着を、でも、これは流石に常軌を逸している。
だって僕は君、君は僕。
僕らは表裏一体なんだから。
どうしても言わない僕に首を絞めて殺しかけてまで言わせようとすることくらい分かっていたさ。
段々と体の中の酸素が失われていく。
指先から徐々に冷たくなり、体の色が変化していく。
視界がグラついて、気絶する寸前になったところで開放される。
そこで僕は必死に息を吸い込み、過呼吸になりかける。
するとそこで首を絞める。
その繰り返し。
何度繰り返したことだろう。
いくら首を絞めたところで言うつもりはない。
死んでも言ってやらない。
どうせ言ったら死ぬんだから変わらない。
同じ死ならこっちを選ぶさ。
颯太は冷たい目で僕にいう。
「先輩は、アテネが好きなんです。好きって知っているんです、僕は」
虚な瞳でそう呟く。
「だから僕はお前を殺せない。殺そうとしても先輩が苦しむ姿を想像した途端、お前を殺せなくなる」
淡々と絞めては離してを繰り返しながらそう呟く。
「狂ってますね。今すぐ殺したいくらい憎んでいるくせに殺せないなんて」
自虐的な笑みを零しながら颯太は言った。
「どうして消えてくれないんですか、どうしてずっといるんですか。お陰で僕は先輩の一番になれない、先輩と一緒になれない。なってもどこかでお前の影が見え隠れ。こんな人生嫌なんです。一時的に忘れたって、乗り換えたって。時が経てばこの感情は蘇ることでしょう。それほどまでに刻み込まれているのです」
こんなに感情を突きつけられたのはいつぶりだろうな、なんて考えていた。
だって、こんなのオリジナルにしかやられなかったから。
オリジナルは常に僕に敵意を向けてきた。
それで時々こんな風に攻めてきた。
それと同じだ。
ふと、颯太の被る頭巾を見れば、紅く光っていた。
その光に嫌な予感がした。
何故かわからないけれど。
「ねぇ颯太、あなたの頭巾って綺麗な赤ですね」
そういうと、ピクリと反応した。
「その頭巾って何で染めているんですか?」
そう聞けば、ニタァっと笑った。
まさか、咄嗟に想像した事実に全身が反応して、颯太と距離を取る。
颯太は頭巾をそっと撫でながら、言った。
「先輩の血で染め上げた頭巾なので綺麗な赤は当然なんですよ。どんなに他の血がかかっても決して犯されやしない美しい紅。流石先輩ですよね」
そう言ってうっとりしながら頬を擦りつけたあと、口づけをした。
その光景に僕は恐怖を覚えていた。
知っていた、颯太の異常なまでの執着を、でも、これは流石に常軌を逸している。
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