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童話編:呪いのお話
嫉妬の蛇の話(3)
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月は毎日僕のところにやって来た。
料理をもって。
「今日はね、兎の肉で焼き肉しよ~!」
「あんまり炎、飛び散らさないでね?白とか、困っちゃうから。」
「わかってるよ!そこら辺注意するから♪」
僕は月のことを不審に思った。
僕になんで近づいてくるの?
僕を殺すために?
「………雫?」
「なんでもない。」
見ると月は頬を膨らませて、
「なんでもない、は、なんかあるって事だよ。」
だからって正直に言ってしまえば、警戒されてしまう。
「………僕はあんまり肉が好きじゃない。もっと美味しいの食べたい。」
嘘。
ごまかし。
正直に言葉にしない。
なんで僕に関わるの?
そんな疑問を隠すために。
傷つけないと一緒にいれない。
それ以外の方法を知らないんだ。
どうすればいいのかすら、よくわからなくて。
「じゃあ、野菜とかを持ってくるね。」
「………そう言うことじゃない。」
だって、彼女は外の世界で生きるべきで、僕のそばにいるべきじゃない。
なら、遠ざけるしかないじゃないか。
冷たくしたら、嫌ってくれるはずだから。
「ねぇ、雫。無理しなくていいんだよ。」
「え?何を言っているの?」
「顔でわかるよ。苦しそうな顔してる。私の心配をしてくれてるなら、大丈夫。」
なんですらすらと分かってしまうのか。
まるで心を呼んでいるかのように僕の心を語っていく。
じゃあ、もういいか。
言ったって構わないかな?
言ったあと、嫌われてしまうのかな?
もう来ないかな。
なんて考えたあと、
「ねぇ、月はここにいていいの?ここよりも外の世界の方が楽しいんだよ?」
「………じゃあ、雫は外の世界が楽しいって思っているの?」
僕がそういうと、月は悲しげな顔をしてそう言った。
外の世界は明るい場所だと思っていた。
だから月の言葉がわからなかった。
「楽しいと僕は思っているよ。キラキラしていて輝いていて、美しい世界なんだって。」
「うーん、確かに美しいかもね。けど、残酷なんだよ。綺麗なだけじゃないんだよ。」
そこら辺にある綺麗な石をひとつ手に取る。
赤く輝く綺麗な石。
「外の世界はお金がすべてなんだよ。お金のない人は死んでしまう。この石は宝石っていって、外の世界ではとても高価なものなんだよ?」
笑いながら宝石をもてあそぶ月は笑っていた。
クスクスと。
「だからね、私は外の世界が嫌いなの。これを求めて争うから。」
そう言ったあとに僕の方に向く。
「私を心配しないで。むしろここにいることが私は幸せなの。一番良いことなんだから。」
月は不思議だ。
そう言って何もなかったかのように、料理を作り始めた。
彼女は外の世界を嫌っている。
僕は、外の世界に憧れている。
正反対なのかもしれない。
けど、さっきのはなしを聞いたおかげで、僕は別のことを考えてしまった。
僕と月は似ているかもしれない。
それぞれの世界に関する考えがとても似ているから。
料理を食べると月は帰った。
月がいなくなった後、僕は初めて寂しいと感じた。
それと同時に不思議な気持ち。
これはいったい何なんだろう………?
料理をもって。
「今日はね、兎の肉で焼き肉しよ~!」
「あんまり炎、飛び散らさないでね?白とか、困っちゃうから。」
「わかってるよ!そこら辺注意するから♪」
僕は月のことを不審に思った。
僕になんで近づいてくるの?
僕を殺すために?
「………雫?」
「なんでもない。」
見ると月は頬を膨らませて、
「なんでもない、は、なんかあるって事だよ。」
だからって正直に言ってしまえば、警戒されてしまう。
「………僕はあんまり肉が好きじゃない。もっと美味しいの食べたい。」
嘘。
ごまかし。
正直に言葉にしない。
なんで僕に関わるの?
そんな疑問を隠すために。
傷つけないと一緒にいれない。
それ以外の方法を知らないんだ。
どうすればいいのかすら、よくわからなくて。
「じゃあ、野菜とかを持ってくるね。」
「………そう言うことじゃない。」
だって、彼女は外の世界で生きるべきで、僕のそばにいるべきじゃない。
なら、遠ざけるしかないじゃないか。
冷たくしたら、嫌ってくれるはずだから。
「ねぇ、雫。無理しなくていいんだよ。」
「え?何を言っているの?」
「顔でわかるよ。苦しそうな顔してる。私の心配をしてくれてるなら、大丈夫。」
なんですらすらと分かってしまうのか。
まるで心を呼んでいるかのように僕の心を語っていく。
じゃあ、もういいか。
言ったって構わないかな?
言ったあと、嫌われてしまうのかな?
もう来ないかな。
なんて考えたあと、
「ねぇ、月はここにいていいの?ここよりも外の世界の方が楽しいんだよ?」
「………じゃあ、雫は外の世界が楽しいって思っているの?」
僕がそういうと、月は悲しげな顔をしてそう言った。
外の世界は明るい場所だと思っていた。
だから月の言葉がわからなかった。
「楽しいと僕は思っているよ。キラキラしていて輝いていて、美しい世界なんだって。」
「うーん、確かに美しいかもね。けど、残酷なんだよ。綺麗なだけじゃないんだよ。」
そこら辺にある綺麗な石をひとつ手に取る。
赤く輝く綺麗な石。
「外の世界はお金がすべてなんだよ。お金のない人は死んでしまう。この石は宝石っていって、外の世界ではとても高価なものなんだよ?」
笑いながら宝石をもてあそぶ月は笑っていた。
クスクスと。
「だからね、私は外の世界が嫌いなの。これを求めて争うから。」
そう言ったあとに僕の方に向く。
「私を心配しないで。むしろここにいることが私は幸せなの。一番良いことなんだから。」
月は不思議だ。
そう言って何もなかったかのように、料理を作り始めた。
彼女は外の世界を嫌っている。
僕は、外の世界に憧れている。
正反対なのかもしれない。
けど、さっきのはなしを聞いたおかげで、僕は別のことを考えてしまった。
僕と月は似ているかもしれない。
それぞれの世界に関する考えがとても似ているから。
料理を食べると月は帰った。
月がいなくなった後、僕は初めて寂しいと感じた。
それと同時に不思議な気持ち。
これはいったい何なんだろう………?
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