ダークストーリーズ

月夜

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童話編:呪いのお話

嫉妬の蛇の話

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ある国に、小さな孤島があった。
その孤島に住む王家の一族のもとで一つの命が産声をあげた。
その声は蛇を引き寄せる声。
生まれた赤子は男の子。
その少年が睨み付けたものはたちまち石に変化する。
石に変化してしまったものは、変化した時点で死に至る。
だからこそ、少年を閉じ込めた。
孤島にあった洞窟の中に。
あわよくば死んでしまえば良い。
そんな願いを込めて、
その目で睨まれれば石になるからと、目隠しを。
抵抗されない為に手足を拘束して。
腕や足に現れる奇妙な鱗が嫌だからと包帯を巻かれて
暗く、光が全く入らぬ場所に閉じ込められた。
あるのはわずかな水と小動物のみ。
成長していくにつれ、気配だけを頼りに狩りをする様はまるで獣のよう。
みな、彼をメデューサと呼んだ。
蛇の呪いを受けたまだ少年を。

暗い洞窟の中に時々人が入って来る。
僕はその人達に嫌われないように笑顔で挨拶するんだ。
「こんにちは。何か用かな?」
その人達は決まって僕の問いにこう答える。
「お前を殺せば俺は助かる。」
別に男ばっかりって言うわけでもないよ?
たまに女も入ってくる。
まぁ、みんな口を合わせてそういうし、僕とお友だちにもなれそうもないし、それに。
「僕、まだ死にたくないんだ。もっと生きてみたいし、しろに頼まれているから。」
そう言って睨み付ければあっという間に動かなくなる。
簡単でしょう?
ちょっと睨めばすぐに動かなくなるのだから。
幼い頃は逃げ回ってばっかだった。
自分が無力だって信じて疑わなかったからね。
死にたくない、死にたくない。
その思いだけを抱えて。
蛇はそんな僕をサポートしてくれた。
逃げ道を教えてくれたり、倒してくれたり。
大きく成長してくると、蛇の言葉が理解できるようになった。
蛇・・・・、僕の相棒の白は言う。
「主の封印を解きなされ。さすれば主は大きな力を扱え、あんな者共に怯える必要がなくなりますぞ。」
初めて、枷を解いた。
自分を縛っていたものが消えていった。
その途端に、
僕は

まず、初めて洞窟の作りを確認した。
今までまったくわからなかったものがわかるようになり、始めのうちは面白がってあっちこっちにあるいてみた。
けれど、繰り返しながめる景色にも飽きるものだ。
他の小動物と触れ合おうにも、みんな固まってしまい、冷たくなる。
しかも硬いし。
鳴き声もあげないし、つまんなくなってそこら辺に飾っておいた。
もしかして僕って要らない子?
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