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四章 雪闇ブラッド
理久の闇
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これは理久の作った。
「理久がこれくれたんだ。この紙切れに魔力をいっぱい注げば簡単に魔法を使えるようになれるよって。だから大丈夫。この本は確認用に見てただけだから」
そう言って人間は笑う。
教わる必要なんてないよ、そう言いながら。
まぁ、確かにそれあるなら教わる必要なんて皆無だろうな。
理久は他人に物を教えるという行為を嫌っている。
その為、下級兵士等の戦闘訓練なんてしたくないと言った。
しろよ、と俺達が言ったところ、
「は?どうして僕があいつらのお世話しなきゃいけないわけ?自分でやれよばーか」
と言った。
それを聞いていた下級兵士達はなんとなく予想できていたようで、ため息をはいた。
特大のやつを。
ちょっとだけ悪いなぁとは思ったけど、こんなやつに就こうとしちゃったのが悪いかなぁと。
それは俺も同じだけど。
そうやって理久はのらりくらりとかわしてきた。
それでも逃れられるわけがなく。
老人達が黙っているわけがなく。
理久は自分のことを育ててくれた老人達に逆らえない。
逆らおうとはするみたいだけど逆らえないのだ。
そこに何があるのかは知らないけど。
それで凪の持っている魔法陣の描かれている紙を作った。
その魔法陣には様々な魔法が封印されており。
その魔法陣に流し込むと流し込んだ分解放されて、体に勝手に記憶されるというもの。
それを作った後はしばらく自分の部屋に閉じこもった。
「それで後は勝手にやって。僕はしばらく引きこもるから」
老人達に会った後の理久はいつもこうだ。
理由なんて全く話そうとしない。
俺達も拒絶して。
扉の前まで近づいて良いのは奏多だけ。
それも少しは機嫌が治っている時限定。
そんな理久の魔法陣。
完全に流し込んだ後、最後に魔力抽出機を利用して排出すれば何度でも再利用できるという品物である。
便利すぎる素晴らしい品物。
そんな便利な道具なので商人達はこぞって欲しがったが、理久は売らなかった。
売らないの一点張りで。
戦力が偏ったり。
人間に渡ったら大変だからといった。
それに老人達は確かにと言って、理久を褒めた。
それに対して理久は苦い顔をした。
でも本当の理由は違うだろうと思ってこっそ問いただした。
どうせあいつらの前では上手く言えないんだろうなと思って。
「どうして売らないんだよ。どうせ対策だって全部打ってるくせに」
理久の部屋に入って単刀直入にそう聞く。
その頃には部屋に入っても良くなっていたから。
理久はベットの上で魔道具を弄っていた最中だった。
「理久がこれくれたんだ。この紙切れに魔力をいっぱい注げば簡単に魔法を使えるようになれるよって。だから大丈夫。この本は確認用に見てただけだから」
そう言って人間は笑う。
教わる必要なんてないよ、そう言いながら。
まぁ、確かにそれあるなら教わる必要なんて皆無だろうな。
理久は他人に物を教えるという行為を嫌っている。
その為、下級兵士等の戦闘訓練なんてしたくないと言った。
しろよ、と俺達が言ったところ、
「は?どうして僕があいつらのお世話しなきゃいけないわけ?自分でやれよばーか」
と言った。
それを聞いていた下級兵士達はなんとなく予想できていたようで、ため息をはいた。
特大のやつを。
ちょっとだけ悪いなぁとは思ったけど、こんなやつに就こうとしちゃったのが悪いかなぁと。
それは俺も同じだけど。
そうやって理久はのらりくらりとかわしてきた。
それでも逃れられるわけがなく。
老人達が黙っているわけがなく。
理久は自分のことを育ててくれた老人達に逆らえない。
逆らおうとはするみたいだけど逆らえないのだ。
そこに何があるのかは知らないけど。
それで凪の持っている魔法陣の描かれている紙を作った。
その魔法陣には様々な魔法が封印されており。
その魔法陣に流し込むと流し込んだ分解放されて、体に勝手に記憶されるというもの。
それを作った後はしばらく自分の部屋に閉じこもった。
「それで後は勝手にやって。僕はしばらく引きこもるから」
老人達に会った後の理久はいつもこうだ。
理由なんて全く話そうとしない。
俺達も拒絶して。
扉の前まで近づいて良いのは奏多だけ。
それも少しは機嫌が治っている時限定。
そんな理久の魔法陣。
完全に流し込んだ後、最後に魔力抽出機を利用して排出すれば何度でも再利用できるという品物である。
便利すぎる素晴らしい品物。
そんな便利な道具なので商人達はこぞって欲しがったが、理久は売らなかった。
売らないの一点張りで。
戦力が偏ったり。
人間に渡ったら大変だからといった。
それに老人達は確かにと言って、理久を褒めた。
それに対して理久は苦い顔をした。
でも本当の理由は違うだろうと思ってこっそ問いただした。
どうせあいつらの前では上手く言えないんだろうなと思って。
「どうして売らないんだよ。どうせ対策だって全部打ってるくせに」
理久の部屋に入って単刀直入にそう聞く。
その頃には部屋に入っても良くなっていたから。
理久はベットの上で魔道具を弄っていた最中だった。
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