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一章 颯太アテネ
さよなら、愛しい人そして招かれざる客
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アテネの頭に光輪が浮かび上がる。
光輪は目まぐるしく回転し、アテネの手に光を集める。
「どうせ凪は僕が死んだ後、僕の後を追って死のうとするでしょう?そしてその度に死ねないことに絶望して。そんな凪を僕は見たくないんです」
鎖が、僕とアテネを結ぶ。
ぎちぎちに固められているはずなのに、不思議と全く痛くなかった。
「アテネ....?」
アテネは笑う。
「さぁ、凪にはこれから死んだら僕との記憶とさよならしてしまう呪いをかけてあげます。僕との思い出、覚えていたいでしょう?」
そんなの、残酷だ。
残酷すぎるよ。
「それとですね...僕はしばらく颯太の体の中で休むだけです。100年経ったらきっと戻って来れますよ。力も回復してるでしょうし。だから100年間、僕のことが好きなら待っててください。必ず迎えに来ますから」
100年。
きっと僕は生きられる。
100年待ったら、また会えるんだ。
また、アテネと一緒に居られるんだ。
なら、待とう。
その間にどんなことが起こっても、僕は生き続けよう。
アテネのことを忘れたくないから。
「うん!僕は死なないよ、というか死ねない。アテネの記憶を失いたくないから」
アテネと僕を繋ぐ鎖が、体の中に染み込んでいく。
苦しくなんて、なかった。
愛する人からの束縛。
むしろ、心地良いくらいだった。
アテネは、羽が散るように、その姿を消した。
あたりに光が舞う。
綺麗な青い光で、この空間は満たされる。
颯太の中に、一際大きい光が、吸い込まれていった。
颯太は一瞬顔を顰めた。
「あはは、凪、久しぶり!会いに来ちゃった」
急に、窓辺で声がした。
「.....誰?」
「やっぱ覚えてないかぁ、残念だなぁ。僕は君と将来を誓い合った中なのに。君の婚約者を忘れるなんて」
「忘れさせたのはお前だろ、理久」
僕に顔が似た二人の男が現れた。
「確かにそうだけどさぁ..僕が凪の記憶を奪ったよ?でもあんな記憶ある方が邪魔じゃない?僕に怯えちゃうしさぁ」
そう言った時の、嘲るような、見下すような、理久と呼ばれた男の笑みは、何処かで見覚えがあった。
自然と体が震えだす。
ガチガチガチと何処かから音が鳴ると思ったら、それは自分から鳴っている音だった。
怖い。
全身がその感情で包まれる。
脳裏に浮かび上がるのは、部下の鮮血に塗れながら、己の城で笑う理久の姿。
その目は何処までも冷えていて、闇に包まれていて、誰もを震えがらせるような、そんな目。
僕は知っている。
彼を、知っている。
恐怖の対象として。
光輪は目まぐるしく回転し、アテネの手に光を集める。
「どうせ凪は僕が死んだ後、僕の後を追って死のうとするでしょう?そしてその度に死ねないことに絶望して。そんな凪を僕は見たくないんです」
鎖が、僕とアテネを結ぶ。
ぎちぎちに固められているはずなのに、不思議と全く痛くなかった。
「アテネ....?」
アテネは笑う。
「さぁ、凪にはこれから死んだら僕との記憶とさよならしてしまう呪いをかけてあげます。僕との思い出、覚えていたいでしょう?」
そんなの、残酷だ。
残酷すぎるよ。
「それとですね...僕はしばらく颯太の体の中で休むだけです。100年経ったらきっと戻って来れますよ。力も回復してるでしょうし。だから100年間、僕のことが好きなら待っててください。必ず迎えに来ますから」
100年。
きっと僕は生きられる。
100年待ったら、また会えるんだ。
また、アテネと一緒に居られるんだ。
なら、待とう。
その間にどんなことが起こっても、僕は生き続けよう。
アテネのことを忘れたくないから。
「うん!僕は死なないよ、というか死ねない。アテネの記憶を失いたくないから」
アテネと僕を繋ぐ鎖が、体の中に染み込んでいく。
苦しくなんて、なかった。
愛する人からの束縛。
むしろ、心地良いくらいだった。
アテネは、羽が散るように、その姿を消した。
あたりに光が舞う。
綺麗な青い光で、この空間は満たされる。
颯太の中に、一際大きい光が、吸い込まれていった。
颯太は一瞬顔を顰めた。
「あはは、凪、久しぶり!会いに来ちゃった」
急に、窓辺で声がした。
「.....誰?」
「やっぱ覚えてないかぁ、残念だなぁ。僕は君と将来を誓い合った中なのに。君の婚約者を忘れるなんて」
「忘れさせたのはお前だろ、理久」
僕に顔が似た二人の男が現れた。
「確かにそうだけどさぁ..僕が凪の記憶を奪ったよ?でもあんな記憶ある方が邪魔じゃない?僕に怯えちゃうしさぁ」
そう言った時の、嘲るような、見下すような、理久と呼ばれた男の笑みは、何処かで見覚えがあった。
自然と体が震えだす。
ガチガチガチと何処かから音が鳴ると思ったら、それは自分から鳴っている音だった。
怖い。
全身がその感情で包まれる。
脳裏に浮かび上がるのは、部下の鮮血に塗れながら、己の城で笑う理久の姿。
その目は何処までも冷えていて、闇に包まれていて、誰もを震えがらせるような、そんな目。
僕は知っている。
彼を、知っている。
恐怖の対象として。
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