10 / 425
一章 颯太アテネ
アテネパニック(1)
しおりを挟む
「勿論効くけど?効かないなんて思ったの?もしかして凪は颯太……だっけが好きだとか?ははっ、凪らしくないねぇ。」
そんなのあったら奇跡も同然でしょ?
この呪いはにそんな抜け道なんて、存在しない。
「そうだろうねぇ………」
強大な力には、必ず対価がつきまとう。
僕の対価は他人に死を与え、自分は死ねない。
永遠に生きるしかない。
「いやいや、凪が死ぬ方法はあるよ?凪より強い呪いの人を見つけるか、もしくは、王子様を見つけて呪いを解いてもらうとか?」
王子様かぁ……
「お姫様なんて柄じゃないしそもそも僕男なんだけど?せめてお姫様じゃないの?」
「じゃあ、女の人は平気なの?」
「…………無理」
「だろうね。」
なんで僕ってこんななんだろ………
「まぁ、あの子は呪いを具現化した存在だからね………いつかは消えちゃうかもしれない。けど………」
「けど?」
「んー、教えない。」
そういうと、月は消えてしまった。
先輩が寝てる。
塔の中で二人きり。
僕が願ってた時間。
幸せな、時間。
僕は、颯太の呪いだ。
僕のルーツは、知らない。
わからない。
知りたくない。
いまはただ、幸せなままでいたい。
颯太は、先輩のことが好き。
それは僕も同じだ。
それは、颯太から与えられた感情かも知れないけど。
別にそれでもいい。
本当の感情とか、気持ちとか、そんなの知ってなんになるの?
今そう感じているのが全てだって。
僕は思った。
下で颯太の声が聞こえる。
入ってこれないからだろう。
ドアは、壊した。
隅々まで破壊して、作り直した。
というか、開かないようにした。
開くには、強い魔力の干渉が必要で、闇の魔法を使用しなきゃ開かないようになっている。
僕は別に闇の魔法が完璧に使えてしまう。
なせだかわからないけど。
多分、その気になればもっと昔の魔法だって………
「ちょっとぉ!聞いてんのぉ!僕の提案にのるのかのらないのか早く決めてよ!」
「うるさいですね!聞いてますよ!ていうか何なんですかあなたは!あんな簡単に結界を破るなんて!」
目の前の男はいとも容易く僕が仕掛けた魔法を解いて、侵入し、またかけ直し(しかもご丁寧に強度を高めて)僕に『交渉』しようとしている。
「せっかく僕が協力してあげるってのに………僕は滅多に人に優しくしないんだよ?」
「今回の話は確実に僕が不幸になるだけですよね?あなたの話だと。」
「奇跡を期待したら?」
「そんなのあるわけないでしょ!」
奇跡とか存在するなら先輩とこんな出会いかたしてないと思うし。
そもそも呪いだって………
「まぁ、どうでも良いけどさぁ………君は案外しぶといみたいだから少なく見積もっても3~4年は存在出来ると思うよ?でもその時消えてしまったら?凪は悲しむと思うなぁ………」
「だからって………その方法でも失敗すればどっち道僕は消えるじゃないですか。」
「そうだけどさぁ………でも、この方法なら、凪の記憶に強く焼き付くと思うよ?多分凪は一生君の事を覚えてるだろうね。」
「………トラウマとして?」
「まぁ、そうなるね。」
成功したら、良いけど。
失敗したら……どうなるかわからない。
「普通に生きているだけじゃ、記憶はやがて風化していく。声から忘れていって……最終的には、何もかも消えてしまう。でもね、恐怖はいつまでたっても消えない。色褪せない。どうするの?」
消えてしまう。
先輩の記憶から僕が。
颯太は残っても、アテネは消えていく。
そんなの、許せない。
「……やります。それに、成功したら………」
「うん。僕は手を引いてあげる。」
「僕は、先輩と仮って事になるみたいですけど………『結婚』したいと思います。」
将来の予行練習。
でも、僕は一生縛るつもりだけど。
「その調子でね。」
目の前の男………
理久は消えた。
そんなのあったら奇跡も同然でしょ?
この呪いはにそんな抜け道なんて、存在しない。
「そうだろうねぇ………」
強大な力には、必ず対価がつきまとう。
僕の対価は他人に死を与え、自分は死ねない。
永遠に生きるしかない。
「いやいや、凪が死ぬ方法はあるよ?凪より強い呪いの人を見つけるか、もしくは、王子様を見つけて呪いを解いてもらうとか?」
王子様かぁ……
「お姫様なんて柄じゃないしそもそも僕男なんだけど?せめてお姫様じゃないの?」
「じゃあ、女の人は平気なの?」
「…………無理」
「だろうね。」
なんで僕ってこんななんだろ………
「まぁ、あの子は呪いを具現化した存在だからね………いつかは消えちゃうかもしれない。けど………」
「けど?」
「んー、教えない。」
そういうと、月は消えてしまった。
先輩が寝てる。
塔の中で二人きり。
僕が願ってた時間。
幸せな、時間。
僕は、颯太の呪いだ。
僕のルーツは、知らない。
わからない。
知りたくない。
いまはただ、幸せなままでいたい。
颯太は、先輩のことが好き。
それは僕も同じだ。
それは、颯太から与えられた感情かも知れないけど。
別にそれでもいい。
本当の感情とか、気持ちとか、そんなの知ってなんになるの?
今そう感じているのが全てだって。
僕は思った。
下で颯太の声が聞こえる。
入ってこれないからだろう。
ドアは、壊した。
隅々まで破壊して、作り直した。
というか、開かないようにした。
開くには、強い魔力の干渉が必要で、闇の魔法を使用しなきゃ開かないようになっている。
僕は別に闇の魔法が完璧に使えてしまう。
なせだかわからないけど。
多分、その気になればもっと昔の魔法だって………
「ちょっとぉ!聞いてんのぉ!僕の提案にのるのかのらないのか早く決めてよ!」
「うるさいですね!聞いてますよ!ていうか何なんですかあなたは!あんな簡単に結界を破るなんて!」
目の前の男はいとも容易く僕が仕掛けた魔法を解いて、侵入し、またかけ直し(しかもご丁寧に強度を高めて)僕に『交渉』しようとしている。
「せっかく僕が協力してあげるってのに………僕は滅多に人に優しくしないんだよ?」
「今回の話は確実に僕が不幸になるだけですよね?あなたの話だと。」
「奇跡を期待したら?」
「そんなのあるわけないでしょ!」
奇跡とか存在するなら先輩とこんな出会いかたしてないと思うし。
そもそも呪いだって………
「まぁ、どうでも良いけどさぁ………君は案外しぶといみたいだから少なく見積もっても3~4年は存在出来ると思うよ?でもその時消えてしまったら?凪は悲しむと思うなぁ………」
「だからって………その方法でも失敗すればどっち道僕は消えるじゃないですか。」
「そうだけどさぁ………でも、この方法なら、凪の記憶に強く焼き付くと思うよ?多分凪は一生君の事を覚えてるだろうね。」
「………トラウマとして?」
「まぁ、そうなるね。」
成功したら、良いけど。
失敗したら……どうなるかわからない。
「普通に生きているだけじゃ、記憶はやがて風化していく。声から忘れていって……最終的には、何もかも消えてしまう。でもね、恐怖はいつまでたっても消えない。色褪せない。どうするの?」
消えてしまう。
先輩の記憶から僕が。
颯太は残っても、アテネは消えていく。
そんなの、許せない。
「……やります。それに、成功したら………」
「うん。僕は手を引いてあげる。」
「僕は、先輩と仮って事になるみたいですけど………『結婚』したいと思います。」
将来の予行練習。
でも、僕は一生縛るつもりだけど。
「その調子でね。」
目の前の男………
理久は消えた。
0
お気に入りに追加
46
あなたにおすすめの小説
花いちもんめ
月夜野レオン
BL
樹は小さい頃から涼が好きだった。でも涼は、花いちもんめでは真っ先に指名される人気者で、自分は最後まで指名されない不人気者。
ある事件から対人恐怖症になってしまい、遠くから涼をそっと見つめるだけの日々。
大学生になりバイトを始めたカフェで夏樹はアルファの男にしつこく付きまとわれる。
涼がアメリカに婚約者と渡ると聞き、絶望しているところに男が大学にまで押しかけてくる。
「孕めないオメガでいいですか?」に続く、オメガバース第二弾です。
林檎を並べても、
ロウバイ
BL
―――彼は思い出さない。
二人で過ごした日々を忘れてしまった攻めと、そんな彼の行く先を見守る受けです。
ソウが目を覚ますと、そこは消毒の香りが充満した病室だった。自分の記憶を辿ろうとして、はたり。その手がかりとなる記憶がまったくないことに気付く。そんな時、林檎を片手にカーテンを引いてとある人物が入ってきた。
彼―――トキと名乗るその黒髪の男は、ソウが事故で記憶喪失になったことと、自身がソウの親友であると告げるが…。
【運命】に捨てられ捨てたΩ
諦念
BL
「拓海さん、ごめんなさい」
秀也は白磁の肌を青く染め、瞼に陰影をつけている。
「お前が決めたことだろう、こっちはそれに従うさ」
秀也の安堵する声を聞きたくなく、逃げるように拓海は音を立ててカップを置いた。
【運命】に翻弄された両親を持ち、【運命】なんて言葉を信じなくなった医大生の拓海。大学で入学式が行われた日、「一目惚れしました」と眉目秀麗、頭脳明晰なインテリ眼鏡風な新入生、秀也に突然告白された。
なんと、彼は有名な大病院の院長の一人息子でαだった。
右往左往ありながらも番を前提に恋人となった二人。卒業後、二人の前に、秀也の幼馴染で元婚約者であるαの女が突然現れて……。
前から拓海を狙っていた先輩は傷ついた拓海を慰め、ここぞとばかりに自分と同居することを提案する。
※オメガバース独自解釈です。合わない人は危険です。
縦読みを推奨します。
十七歳の心模様
須藤慎弥
BL
好きだからこそ、恋人の邪魔はしたくない…
ほんわか読者モデル×影の薄い平凡くん
柊一とは不釣り合いだと自覚しながらも、
葵は初めての恋に溺れていた。
付き合って一年が経ったある日、柊一が告白されている現場を目撃してしまう。
告白を断られてしまった女の子は泣き崩れ、
その瞬間…葵の胸に卑屈な思いが広がった。
※fujossy様にて行われた「梅雨のBLコンテスト」出品作です。
公爵家の五男坊はあきらめない
三矢由巳
BL
ローテンエルデ王国のレームブルック公爵の妾腹の五男グスタフは公爵領で領民と交流し、気ままに日々を過ごしていた。
生母と生き別れ、父に放任されて育った彼は誰にも期待なんかしない、将来のことはあきらめていると乳兄弟のエルンストに語っていた。
冬至の祭の夜に暴漢に襲われ二人の運命は急変する。
負傷し意識のないエルンストの枕元でグスタフは叫ぶ。
「俺はおまえなしでは生きていけないんだ」
都では次の王位をめぐる政争が繰り広げられていた。
知らぬ間に巻き込まれていたことを知るグスタフ。
生き延びるため、グスタフはエルンストとともに都へ向かう。
あきらめたら待つのは死のみ。
例え何度戻ろうとも僕は悪役だ…
東間
BL
ゲームの世界に転生した留木原 夜は悪役の役目を全うした…愛した者の手によって殺害される事で……
だが、次目が覚めて鏡を見るとそこには悪役の幼い姿が…?!
ゲームの世界で再び悪役を演じる夜は最後に何を手に?
攻略者したいNO1の悪魔系王子と無自覚天使系悪役公爵のすれ違い小説!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる