悪魔の少年と半端な少女

月夜

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残酷な記憶と秘密の鍵

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あなたは急にやって来た。
「ねぇ、魔女なんでしょ?お願い、私に魔法をかけてよ。」
「確かに私は魔女だけど………あなた、人間でしょ?なんでここにいるの?」
私に相談に来たのは、人間だった。
素朴な顔つきの女の子。
少なくとも、ここまで来るには途中で人魚の血を服用する必要があるはず。
まさか…………!
「安心して?私の友達が少し分けてくれたの。あなたの仲間を殺してないよ。」
なんていって笑った。
「とりあえず、安心したわ。あなたが人魚を殺したのなら、ここであなたを私の手で殺す必要があるから。」
物騒だ、何て言う人もいるかもしれない。
けど、仕方ないのだ。
人間に同族を殺されるのは、仲間の魔女を殺された時を思い出すから。
「私はね、対価を無しに願いを叶える気がないわ。何を願うの?不老不死?永遠に尽きない財産?新たな世界?それとも、他人の不幸?」
なんでも叶えてあげる。
対価を引き換えにね。
どんなことだって、不可能はない。
魔女の力を使えば。
「あの………私の願いはね。強くなりたいの。」
「強くなりたい?そんなものでいいの?」
「ええ、構わないわ。」
「……理由を聞かせてちょうだい。」
悪いことに使われたらたまったものじゃない。
女の子が美ではなく強さを求めるのはなにかあるはずだ。
「私ね、好きになった人達が全員死んでしまうの。だから、守りたいの。人外になったって構わないから。」
「そこまでなの?」
「ええ、愛してるの。全員おんなじくらい。みんな素敵な人だったわ。」
なんでそこまで人を愛せるのかしら。
疑問でしかないわ。
みんなみんなね、どす黒いじゃない。
なのに、なんでなの?
本気になれるのは。

「大好きな人の胸にナイフなんて刺せない。刺すとしても、二人一緒がいい。ひとりで消えてしまうよりもよほどロマンチックだわ。」
入学式三日前に行われる宴。
その宴にむかう二つの影。
「ねぇ、そう思うでしょ?」
「うん、そうだね。」
黒いドレスをゆらゆらさせながら歩いている少女。
それに付き従う深くフードを被り、顔の見えない少年。
二人とも、黒い服を着ている。
「聞いたか?急に入学してきた生徒がいるらしいぜ。」
「男と女なんだよな。難しいはずの試験をあっさり突破した!」
「きっとすごいやつなんだろうな。」
「美人かなぁ。」
愛を試す行為はとても素敵でしょう。
殺したいほど愛してるの。
あぁでも、もう私に笑いかけてくれることがなくなると思うと、どうしても実行できない。
きっと、実行できたすごかったんでしょうね。
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