2 / 29
蓮と月
しおりを挟む
私は何回もループしているらしい…。
私の記憶は徐々に戻ってくる形式だから、はっきりと断言出来るわけではない。
けれど、蓮の名前と蓮に対する想いだけが頭に残っていた。そして、蓮を召喚する条件も。
どんなに早く会いたくても、15歳にしか会えない。
それは私の魔力の量が問題だと思う。
何故か私の魔力は制限されているからだ。
そういう結論に至った私は毎日魔力の調整をした。
会えないとわかっていても、どうしても会いたい。
そんな想いが私を突き動かし、現在に至る。
元々今日成功するのは決まっていたこと。
だって、過去に何回、いや、何十回。
もしかしたらそれすらを越える回数を繰り返しているのだ。
そして、その分私も死んでいる。
私と蓮。
どちらが先に死ぬのかがぼやけていて、私の推測では、きっと蓮が先だと思っている。
そうじゃなければなぜ私は蓮が死ぬということがわかるのか?
殺した人もわからないし、今は不明なことが多すぎる。
急に黙りこんだ私を心配するかのように
「急に黙っちゃったけど、具合でも悪いの?大丈夫?」
首を傾げて上目遣いで聞いてくる。
…、多分無意識何だろうけど、ある意味破壊力は抜群で、死にかけた。
(ヤバい…、身近にいさせるのが危険すぎる…。)
「うんっ、大丈夫だから。」
私がそういえば、
「なら、よかった。」
そして、また笑顔になる。
(ああ、もうかわいすぎだよ……)
くるくると表情がかわる蓮。
見ているだけで幸せな気持ちになる。
今すぐにでも好きだよといって、だれにも見つからない場所で二人で暮らしたいと思ったって、そんな事をして蓮が少しでも長く生きられるのかといったらそういうわけではない。
そうならばきっと、とっくの昔に幸せになっていて、私の中にこんな記憶があるはずがない。
「ところで、僕を喚んだってことは、叶えたい願いがあるんでしょ?」
そうだった。すっかり忘れてた。
「世界を自分のものにしたいとか?」
蓮の問いにこう答えた。
「私の友達になって!」
そのときの蓮の驚いた顔は、多分、私は死ぬまで忘れないだろう。
今までもこんな顔をしていたのかな。
何て思ったって、そのときまで忘れているという自分の体質を思いだし、私は少し悲しくなった。
その日の夜。
布団を引き出し、私は蓮と一緒に寝ようと思った。
一緒の布団で寝たって良いのに、蓮が
「それはちょっと、ダメじゃないかなぁ…。」
と言ったから蓮が布団で、私は備え付けのベッドで寝ることにした。
すると、ドアを規則正しくノックする音が聞こえる。
下まで降りてドアを開けると、金髪で、青い目を持つ少年がいる。
「こんにちは。先輩、悪魔は無事に召喚できましたか?」
少し高い、けれど耳に響くわけでもない声。
「颯太……。」
彼の名前は神風颯太。
私の唯一知っている人。
そして、私が7才のときにやって来て私を魔女と呼び、一度は殺そうとした人。
けれど今では『友達』で、仲も良い。
この世界の希望である。
特別な勇者。
「悪魔っていっても、私と同い年でね?」
私の声を遮るかのように、
「名前は?」
少し怒気を孕んだ声で聞く。
「蓮って言うけど…。」
すると颯太は少し悲しげな顔をして、
「やっぱりあいつでしたか…。」
と小声で呟く。
あいつって?
颯太はなんで蓮の事をしっているの?
私の記憶は徐々に戻ってくる形式だから、はっきりと断言出来るわけではない。
けれど、蓮の名前と蓮に対する想いだけが頭に残っていた。そして、蓮を召喚する条件も。
どんなに早く会いたくても、15歳にしか会えない。
それは私の魔力の量が問題だと思う。
何故か私の魔力は制限されているからだ。
そういう結論に至った私は毎日魔力の調整をした。
会えないとわかっていても、どうしても会いたい。
そんな想いが私を突き動かし、現在に至る。
元々今日成功するのは決まっていたこと。
だって、過去に何回、いや、何十回。
もしかしたらそれすらを越える回数を繰り返しているのだ。
そして、その分私も死んでいる。
私と蓮。
どちらが先に死ぬのかがぼやけていて、私の推測では、きっと蓮が先だと思っている。
そうじゃなければなぜ私は蓮が死ぬということがわかるのか?
殺した人もわからないし、今は不明なことが多すぎる。
急に黙りこんだ私を心配するかのように
「急に黙っちゃったけど、具合でも悪いの?大丈夫?」
首を傾げて上目遣いで聞いてくる。
…、多分無意識何だろうけど、ある意味破壊力は抜群で、死にかけた。
(ヤバい…、身近にいさせるのが危険すぎる…。)
「うんっ、大丈夫だから。」
私がそういえば、
「なら、よかった。」
そして、また笑顔になる。
(ああ、もうかわいすぎだよ……)
くるくると表情がかわる蓮。
見ているだけで幸せな気持ちになる。
今すぐにでも好きだよといって、だれにも見つからない場所で二人で暮らしたいと思ったって、そんな事をして蓮が少しでも長く生きられるのかといったらそういうわけではない。
そうならばきっと、とっくの昔に幸せになっていて、私の中にこんな記憶があるはずがない。
「ところで、僕を喚んだってことは、叶えたい願いがあるんでしょ?」
そうだった。すっかり忘れてた。
「世界を自分のものにしたいとか?」
蓮の問いにこう答えた。
「私の友達になって!」
そのときの蓮の驚いた顔は、多分、私は死ぬまで忘れないだろう。
今までもこんな顔をしていたのかな。
何て思ったって、そのときまで忘れているという自分の体質を思いだし、私は少し悲しくなった。
その日の夜。
布団を引き出し、私は蓮と一緒に寝ようと思った。
一緒の布団で寝たって良いのに、蓮が
「それはちょっと、ダメじゃないかなぁ…。」
と言ったから蓮が布団で、私は備え付けのベッドで寝ることにした。
すると、ドアを規則正しくノックする音が聞こえる。
下まで降りてドアを開けると、金髪で、青い目を持つ少年がいる。
「こんにちは。先輩、悪魔は無事に召喚できましたか?」
少し高い、けれど耳に響くわけでもない声。
「颯太……。」
彼の名前は神風颯太。
私の唯一知っている人。
そして、私が7才のときにやって来て私を魔女と呼び、一度は殺そうとした人。
けれど今では『友達』で、仲も良い。
この世界の希望である。
特別な勇者。
「悪魔っていっても、私と同い年でね?」
私の声を遮るかのように、
「名前は?」
少し怒気を孕んだ声で聞く。
「蓮って言うけど…。」
すると颯太は少し悲しげな顔をして、
「やっぱりあいつでしたか…。」
と小声で呟く。
あいつって?
颯太はなんで蓮の事をしっているの?
0
お気に入りに追加
3
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
スライムからパンを作ろう!〜そのパンは全てポーションだけど、絶品!!〜
櫛田こころ
ファンタジー
僕は、諏方賢斗(すわ けんと)十九歳。
パンの製造員を目指す専門学生……だったんだけど。
車に轢かれそうになった猫ちゃんを助けようとしたら、あっさり事故死。でも、その猫ちゃんが神様の御使と言うことで……復活は出来ないけど、僕を異世界に転生させることは可能だと提案されたので、もちろん承諾。
ただ、ひとつ神様にお願いされたのは……その世界の、回復アイテムを開発してほしいとのこと。パンやお菓子以外だと家庭レベルの調理技術しかない僕で、なんとか出来るのだろうか心配になったが……転生した世界で出会ったスライムのお陰で、それは実現出来ることに!!
相棒のスライムは、パン製造の出来るレアスライム!
けど、出来たパンはすべて回復などを実現出来るポーションだった!!
パン職人が夢だった青年の異世界のんびりスローライフが始まる!!

Another World〜自衛隊 まだ見ぬ世界へ〜
華厳 秋
ファンタジー
───2025年1月1日
この日、日本国は大きな歴史の転換点を迎えた。
札幌、渋谷、博多の3箇所に突如として『異界への門』──アナザーゲート──が出現した。
渋谷に現れた『門』から、異界の軍勢が押し寄せ、無抵抗の民間人を虐殺。緊急出動した自衛隊が到着した頃には、敵軍の姿はもうなく、スクランブル交差点は無惨に殺された民間人の亡骸と血で赤く染まっていた。
この緊急事態に、日本政府は『門』内部を調査するべく自衛隊を『異界』──アナザーワールド──へと派遣する事となった。
一方地球では、日本の急激な軍備拡大や『異界』内部の資源を巡って、極東での緊張感は日に日に増して行く。
そして、自衛隊は国や国民の安全のため『門』内外問わず奮闘するのであった。
この作品は、小説家になろう様カクヨム様にも投稿しています。
この作品はフィクションです。
実在する国、団体、人物とは関係ありません。ご注意ください。
とあるおっさんのVRMMO活動記
椎名ほわほわ
ファンタジー
VRMMORPGが普及した世界。
念のため申し上げますが戦闘も生産もあります。
戦闘は生々しい表現も含みます。
のんびりする時もあるし、えぐい戦闘もあります。
また一話一話が3000文字ぐらいの日記帳ぐらいの分量であり
一人の冒険者の一日の活動記録を覗く、ぐらいの感覚が
お好みではない場合は読まれないほうがよろしいと思われます。
また、このお話の舞台となっているVRMMOはクリアする事や
無双する事が目的ではなく、冒険し生きていくもう1つの人生が
テーマとなっているVRMMOですので、極端に戦闘続きという
事もございません。
また、転生物やデスゲームなどに変化することもございませんので、そのようなお話がお好みの方は読まれないほうが良いと思われます。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
素材採取家の異世界旅行記
木乃子増緒
ファンタジー
28歳会社員、ある日突然死にました。謎の青年にとある惑星へと転生させられ、溢れんばかりの能力を便利に使って地味に旅をするお話です。主人公最強だけど最強だと気づいていない。
可愛い女子がやたら出てくるお話ではありません。ハーレムしません。恋愛要素一切ありません。
個性的な仲間と共に素材採取をしながら旅を続ける青年の異世界暮らし。たまーに戦っています。
このお話はフィクションです。実在の人物や団体などとは関係ありません。
裏話やネタバレはついったーにて。たまにぼやいております。
この度アルファポリスより書籍化致しました。
書籍化部分はレンタルしております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる