異世界転生した俺ですが、なんだか周りの奴らがおかしい気がする

OZ

文字の大きさ
上 下
20 / 30

20

しおりを挟む



  俺が生まれた国はアルバ王国っていう国で、前いたあの家があったのはアートルム帝国。アルバは世界最大の国で、魔法がとても発展してると教えてくれた。
  そしてアルバの最西端に位置するのが、今から入るこのキデン領のオンスという街だ。国境の位置にあるから、色々な国の人がいるんだって。王都とは違って様々な物や人が出入りするから、キデン領は凄い栄えてるらしい。


  公爵の位についてるお父さん(って呼んでるけど、大丈夫かな…)は普段は領地にいる。というか王都と領地を行ったり来たりしてるらしい。
  今回は俺のためにわざわざここまで来てくれたんだ。最初は王都で会う予定だったけど、待ちきれなくてこちらに来てしまったみたい。

  はい、ということで領主の家に着きました。貴族だからね、その辺で会うわけにもいかず、事情を話してキデン領の領主の家で会うことになった。

  めっちゃ緊張してんだけど。吐きそう。今はまだフードをかぶってるから、領主さんの顔も見てない。冒険者さんいわく、「御使い様のお顔をご家族である公爵様より先に見せることは出来ない」らしい。
  冒険者さんたちは結構強気で話すから、聞いてるこっちはなんだがヒヤヒヤしたんだけど、それに対して領主さんは当たり前のように納得してた。逆に冒険者さんたちを労う言葉をずっと言ってるから、この人はいい人だなぁって思ったよ。


「こちらの部屋にご家族がいらっしゃいます。本当に…見つかってよかったです。…御使様、ご家族との再開をどうぞごゆっくりお過ごしください…」 


  少し涙ぐみながらそう言った領主は、俺達を部屋に案内して行ってしまった。
  ここに着くまで、俺には何も話しかけたりしてこなかった。それでも今の言葉で俺のことを心配してくれてたんだなって感じる。やばい、俺までなんか泣きそう。


「御使い様、お入りください。」


 ガチャッ






  まず1番に目に入ったのが、すごく大柄な男の人。屈強そうに見える鍛え抜かれた体。燃えるように赤い髪と瞳。精悍な顔つきをしているが、今にも泣きそうだ。

  その隣にいる少し小柄な男の人は、大柄な男性とは違ってスレンダー体つきをしている。儚げ美人の男の人。男性だが、すごく綺麗な人だ。薄い紫色の髪と紺青色の瞳は紫陽花を連想させた。彼もまた泣きそうな顔している。あ、泣いた。ぼろぼろ無言で涙を流している。

  彼らとは少し離れた窓の近く立っている人は赤髪の人まではいかないが、がっしりした体型をしている。赤髪の人と顔が似ている。髪と瞳の色も緋色で赤髪の人より少しオレンジがかかってるようにも見える。口をぽかんと開いて俺を見てる。どんな顔よそれ。

  最後の一人は、一瞬女性かと思うほど綺麗な顔をしている。でも体つきはれっきとした男だ。明るい灰色の髪色と瞳は彼の優しい雰囲気を表してるように見える。唇を噛み締めて、瞳いっぱいに涙を貯めている。



  え?なんでこんなに分析してるのかって?いや俺だってもう少し感動の再会とか考えてたけど、全員動かないんだよ、俺を見て。なんで?こっちが聞きたいよ。
  あ、それとみんな顔がいいなぁ。髪色とかも聞いてたとおり色々な色があるし。カラフルなはずなのに、ごちゃごちゃしてないのはもう顔のおかげ。イケメンと美人とか。目の保養ですわ。俺ほんとにここの子供かね。俺だけブサイク過ぎない?泣きそうよ。

  さすがにそろそろ話しかけてもいいかな。


「えっと…ルーナです…」


  何をいえばいいのかわからなくて、名前だけという簡単すぎる自己紹介になってしまった。



ガバッッ


「「「「ルーナ!!!」」」」


 っうわぁぁぁぁぁぁ!!!いきなり全員で抱きついてくるからびっくりしたわ!!!


「本当にルーナなんだね…」

「大きくなったな…」グスッ

「おかえり…よく帰ってきてくれた…」

「やっと会えた……」


  みんな俺に抱きつきながら思い思いに言葉をつぶやいている。そうだよな。この人たちは俺をずっと探し続けてたんだ。誘拐されてからずっと。そう考えると本当に凄い。俺にとってはほとんど初めまして状態だけど。
  いや、ちょっと待って、苦しい。4人がぎゅうぎゅうに抱きついてくるし、どんどん力強くなるし。おーい、会った途端に倒れますよー。


「あの、すいません…っくるしいです…」

「あっ!ごめんね!!座ってゆっくり話そうか」




  ふかふかなソファに座って、用意された紅茶を飲んで、みんなさっきより落ち着いたようだ。俺も結構緊張してたみたいで、少し緊張が解けた感じがする。




_______________________

長くなっちゃったので一旦きりマース。


 
しおりを挟む
感想 40

あなたにおすすめの小説

モブなのに執着系ヤンデレ美形の友達にいつの間にか、なってしまっていた

マルン円
BL
執着系ヤンデレ美形×鈍感平凡主人公。全4話のサクッと読めるBL短編です(タイトルを変えました)。 主人公は妹がしていた乙女ゲームの世界に転生し、今はロニーとして地味な高校生活を送っている。内気なロニーが気軽に学校で話せる友達は同級生のエドだけで、ロニーとエドはいっしょにいることが多かった。 しかし、ロニーはある日、髪をばっさり切ってイメチェンしたエドを見て、エドがヒロインに執着しまくるメインキャラの一人だったことを思い出す。 平凡な生活を送りたいロニーは、これからヒロインのことを好きになるであろうエドとは距離を置こうと決意する。 タイトルを変えました。 前のタイトルは、「モブなのに、いつのまにかヒロインに執着しまくるキャラの友達になってしまっていた」です。 急に変えてしまい、すみません。  

勇者パーティーハーレム!…の荷物番の俺の話

バナナ男さん
BL
突然異世界に召喚された普通の平凡アラサーおじさん< 山野 石郎 >改め【 イシ 】 世界を救う勇者とそれを支えし美少女戦士達の勇者パーティーの中・・俺の能力、ゼロ!あるのは訳の分からない< 覗く >という能力だけ。 これは、ちょっとしたおじさんイジメを受けながらもマイペースに旅に同行する荷物番のおじさんと、世界最強の力を持った勇者様のお話。 無気力、性格破綻勇者様 ✕ 平凡荷物番のおじさんのBLです。 不憫受けが書きたくて書いてみたのですが、少々意地悪な場面がありますので、どうかそういった表現が苦手なお方はご注意ください_○/|_ 土下座!

転生したら脳筋魔法使い男爵の子供だった。見渡す限り荒野の領地でスローライフを目指します。

克全
ファンタジー
「第3回次世代ファンタジーカップ」参加作。面白いと感じましたらお気に入り登録と感想をくださると作者の励みになります! 辺境も辺境、水一滴手に入れるのも大変なマクネイア男爵家生まれた待望の男子には、誰にも言えない秘密があった。それは前世の記憶がある事だった。姉四人に続いてようやく生まれた嫡男フェルディナンドは、この世界の常識だった『魔法の才能は遺伝しない』を覆す存在だった。だが、五〇年戦争で大活躍したマクネイア男爵インマヌエルは、敵対していた旧教徒から怨敵扱いされ、味方だった新教徒達からも畏れられ、炎竜が砂漠にしてしまったと言う伝説がある地に押し込められたいた。そんな父親達を救うべく、前世の知識と魔法を駆使するのだった。

ちょっと待ってもらっていいですか?とりあえず、10年ぐらい。

15
BL
頭、普通。顔、まぁまぁ(当社比)。性格、普通(?)。 毎日毎日普通の生活を送っていた俺。 朝目が覚めたら、そこは森でした。…は…? 気づいたらイケメンに囲まれ、求愛され…俺もうついていけねぇよ!! ちょっと待ってくれ!お願いだから!あと10年ぐらい!!! とっても普通(顔は普通ではない)な青年が突然トリップする話。 ここは、ゲームの世界。でも現実。強くてニューゲーム、不可。 総愛され。 いつになるかはわかりませんが、こっちはささっと物語を進めたい。です。

王道学園なのに、王道じゃない!!

主食は、blです。
BL
今作品の主人公、レイは6歳の時に自身の前世が、陰キャの腐男子だったことを思い出す。 レイは、自身のいる世界が前世、ハマりにハマっていた『転校生は愛され優等生.ᐟ‪‪.ᐟ』の世界だと気付き、腐男子として、美形×転校生のBのLを見て楽しもうと思っていたが…

【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?

アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。 泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。 16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。 マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。 あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に… もう…我慢しなくても良いですよね? この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。 前作の登場人物達も多数登場する予定です。 マーテルリアのイラストを変更致しました。

死んだと思ったら生まれ変わって魔族になってたんですが…。

15
BL
生まれた頃から病弱で…ついに完治する事なく短い生涯を終えた少年。 しかし、目が覚めるとそこは見知らぬ景色…。 「ふえぇ…」 お、俺赤ちゃんになってる!? しかも魔族って!? 無自覚系病弱美少年の物語。 「俺の顔は平凡以下です」 転生+人外の話。 俺TUEEEE系ではない。一から学んでいくスタイル。 でも要領がいいので割となんでもこなしていく、天才タイプ。です。 *カクヨム様にて加筆修正を加えたものを公開してます。

魔界最強に転生した社畜は、イケメン王子に奪い合われることになりました

タタミ
BL
ブラック企業に務める社畜・佐藤流嘉。 クリスマスも残業確定の非リア人生は、トラックの激突により突然終了する。 死後目覚めると、目の前で見目麗しい天使が微笑んでいた。 「ここは天国ではなく魔界です」 天使に会えたと喜んだのもつかの間、そこは天国などではなく魔法が当たり前にある世界・魔界だと知らされる。そして流嘉は、魔界に君臨する最強の支配者『至上様』に転生していたのだった。 「至上様、私に接吻を」 「あっ。ああ、接吻か……って、接吻!?なんだそれ、まさかキスですか!?」 何が起こっているのかわからないうちに、流嘉の前に現れたのは美しい4人の王子。この4王子にキスをして、結婚相手を選ばなければならないと言われて──!?

処理中です...