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しおりを挟む俺が生まれた国はアルバ王国っていう国で、前いたあの家があったのはアートルム帝国。アルバは世界最大の国で、魔法がとても発展してると教えてくれた。
そしてアルバの最西端に位置するのが、今から入るこのキデン領のオンスという街だ。国境の位置にあるから、色々な国の人がいるんだって。王都とは違って様々な物や人が出入りするから、キデン領は凄い栄えてるらしい。
公爵の位についてるお父さん(って呼んでるけど、大丈夫かな…)は普段は領地にいる。というか王都と領地を行ったり来たりしてるらしい。
今回は俺のためにわざわざここまで来てくれたんだ。最初は王都で会う予定だったけど、待ちきれなくてこちらに来てしまったみたい。
はい、ということで領主の家に着きました。貴族だからね、その辺で会うわけにもいかず、事情を話してキデン領の領主の家で会うことになった。
めっちゃ緊張してんだけど。吐きそう。今はまだフードをかぶってるから、領主さんの顔も見てない。冒険者さんいわく、「御使い様のお顔をご家族である公爵様より先に見せることは出来ない」らしい。
冒険者さんたちは結構強気で話すから、聞いてるこっちはなんだがヒヤヒヤしたんだけど、それに対して領主さんは当たり前のように納得してた。逆に冒険者さんたちを労う言葉をずっと言ってるから、この人はいい人だなぁって思ったよ。
「こちらの部屋にご家族がいらっしゃいます。本当に…見つかってよかったです。…御使様、ご家族との再開をどうぞごゆっくりお過ごしください…」
少し涙ぐみながらそう言った領主は、俺達を部屋に案内して行ってしまった。
ここに着くまで、俺には何も話しかけたりしてこなかった。それでも今の言葉で俺のことを心配してくれてたんだなって感じる。やばい、俺までなんか泣きそう。
「御使い様、お入りください。」
ガチャッ
まず1番に目に入ったのが、すごく大柄な男の人。屈強そうに見える鍛え抜かれた体。燃えるように赤い髪と瞳。精悍な顔つきをしているが、今にも泣きそうだ。
その隣にいる少し小柄な男の人は、大柄な男性とは違ってスレンダー体つきをしている。儚げ美人の男の人。男性だが、すごく綺麗な人だ。薄い紫色の髪と紺青色の瞳は紫陽花を連想させた。彼もまた泣きそうな顔している。あ、泣いた。ぼろぼろ無言で涙を流している。
彼らとは少し離れた窓の近く立っている人は赤髪の人まではいかないが、がっしりした体型をしている。赤髪の人と顔が似ている。髪と瞳の色も緋色で赤髪の人より少しオレンジがかかってるようにも見える。口をぽかんと開いて俺を見てる。どんな顔よそれ。
最後の一人は、一瞬女性かと思うほど綺麗な顔をしている。でも体つきはれっきとした男だ。明るい灰色の髪色と瞳は彼の優しい雰囲気を表してるように見える。唇を噛み締めて、瞳いっぱいに涙を貯めている。
え?なんでこんなに分析してるのかって?いや俺だってもう少し感動の再会とか考えてたけど、全員動かないんだよ、俺を見て。なんで?こっちが聞きたいよ。
あ、それとみんな顔がいいなぁ。髪色とかも聞いてたとおり色々な色があるし。カラフルなはずなのに、ごちゃごちゃしてないのはもう顔のおかげ。イケメンと美人とか。目の保養ですわ。俺ほんとにここの子供かね。俺だけブサイク過ぎない?泣きそうよ。
さすがにそろそろ話しかけてもいいかな。
「えっと…ルーナです…」
何をいえばいいのかわからなくて、名前だけという簡単すぎる自己紹介になってしまった。
ガバッッ
「「「「ルーナ!!!」」」」
っうわぁぁぁぁぁぁ!!!いきなり全員で抱きついてくるからびっくりしたわ!!!
「本当にルーナなんだね…」
「大きくなったな…」グスッ
「おかえり…よく帰ってきてくれた…」
「やっと会えた……」
みんな俺に抱きつきながら思い思いに言葉をつぶやいている。そうだよな。この人たちは俺をずっと探し続けてたんだ。誘拐されてからずっと。そう考えると本当に凄い。俺にとってはほとんど初めまして状態だけど。
いや、ちょっと待って、苦しい。4人がぎゅうぎゅうに抱きついてくるし、どんどん力強くなるし。おーい、会った途端に倒れますよー。
「あの、すいません…っくるしいです…」
「あっ!ごめんね!!座ってゆっくり話そうか」
ふかふかなソファに座って、用意された紅茶を飲んで、みんなさっきより落ち着いたようだ。俺も結構緊張してたみたいで、少し緊張が解けた感じがする。
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長くなっちゃったので一旦きりマース。
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