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しおりを挟むここから公爵家に行くには約6ヶ月もかかる、と聞いてびっくり仰天の俺がここにいます。まぁ、当たり前っちゃ当たり前なんだけどね。地球と違って飛行機とか、電車、車なんてものはないわけだから。ここでの移動手段は馬か馬車、それ以外は徒歩。
俺がいた森は巨大樹の森って言われてるみたいで、あの馬鹿でかい木はその森にしかないらしい。巨大樹の森は世界中にあって、俺がいた森は公爵家より2番目に遠いらしい。日本とブラジルくらいの距離。うん、見つからないわけだよ。
冒険者の人たちはすごい優しい。っていうか優しいっていうよりは、なんか敬われてる感がすごい。敬語はやめてって言ったけど、意地でもやめないし。あと、俺が馬車から降りて歩きたいって言ったら、危ないのでって隣ですごいハラハラした目で見てくるんだ。え、歩くだけだよ?赤ちゃんじゃないんだから。
あとは、家族のことについても教えて貰った。俺ね、男から生まれたらしい。めっちゃびっくりしたよ。でもこの世界は男が極端に多くて女の人が少ない。同性愛は当たり前で、異性愛の方が少数だとか。だから結婚するのも子供産むのも普通らしい。どういう原理で子供ができるのかはまだ聞いてないけど、人にはそれぞれ「型」があって、男だと女性型と言われる方が女性役。女だと男性型と言われる方が男性役というわけ。俺は女性型でしたよ。まぁ女性型でも男側にまわれるらしいけど。一安心。
お父さんは四大公爵家でもトップらしい。王家に代々使えるみたいなすごい所。俺はそこの三男。
お母さん?も侯爵家の人で2人ともラブラブだって。
長男は、俺と7歳上の19歳。今は国の騎士団で働いているらしい。群を抜いて剣術が凄いらしい。次男は、5歳上の17歳。来年に学園(学校と一緒らしい)を卒業するらしかったんだけど、優秀だからもう王都で官僚として勤めてるんだって。まだ正式ではないみたいだけど、それも時間の問題と言われてるらしい。え、俺の兄達すごすぎない?この世界の成人が15歳からと言ってもね。俺なんかが弟として行っても平気かな。不安なんですけど。
道中、街に寄りたいって言われて俺は全然良かったんだけど、やっぱりこの髪は目立つらしく。ターバンで頭がめっちゃ重くなるほどぐるぐる巻きにすることにした。魔法とかで色を変えることを提案してみたんだけど、ターバンですら恐れ多いのに、髪色を変えるなんてことはもってのほかだと言われてしまった。顔も目しか出てないし、その瞳の色も目立つからって、サングラスみたいな眼鏡をかけることになった。冒険者の人たちは隠さなくては行けないことを土下座の勢いで俺に謝り、謝り、いや別に全然平気だよと言っても、謝られた。真面目すぎる。
街は本当に凄かったな。周りは冒険者の人たちに囲まれてるから危険なこととかは全くなかった。足元しか見えなかったけど、色々な人の声が飛び交っていて、それに答える人の声もまた馬鹿でかい。活気があるっていうのはこういう事を言うんだと思う。この世界に来て初めての街だったこともあり、俺のテンションはMAXだった。
いい匂いがするなって思って、これはテンプレの美味しい肉しかないと、すぐさまそういうのはないのかと聞いてみた。ありますよって言ってどっかに行ってしまった。戻ってきてまた少し歩いた。大きな声がしてたのにどんどん離れていった。
「このような所で申し訳ありません。どうぞ、リザードマンの肉です。」
「ありがとう」
この世界では魔物の肉は貴族でも普通に食べる。というか討伐が難しく、強い魔物ほど美味しいので、ランクが高い魔物は高級品だ。リザードマンのランクがどれほどかは知らないが、街の屋台で売ってるくらいだから、あまり高くはないんだろうな。
パクっ
じゅわあぁぁぁ
「おいしい!!!」
今までは食べた肉はシルバさんが狩ってきた、うさぎや鹿、鳥がほとんどだった。たまに熊がとれたりするくらい。だから魔物の肉を食べたのは初めてだが、こんなにおいしいとは!!口の中いっぱいに広がる肉の旨みと、肉汁がなんとも言えない…!!!
俺はあっという間にたいらげてしまい、串1本だと言うのにお腹いっぱいになってしまった。この後の本来の目的である、足りなくなった食料や資材を買いに行く前に、なんだか満足してしまった。
時間がかかると思っていた買い物はあっという間に終わった。俺がゆっくり歩いてる間にどんどん買ってたみたいだ。
あの家を出たのは冬だった。もう季節も移り変わってもう春だ。日本みたいに四季がはっきりしてるから、元日本人の俺も馴染み深い、桜に似た花もあった。
旅はほとんど終盤。あと何日もすれば目的の国に着くらしい。そこに着いたら、俺の家族が待っていて迎えてくれると教えてくれた。俺の存在が確認された直後はまだ何があるから分からないため、知らせを出すのは国に近づいてからにしようと決めていたらしい。絶対に無事に送り届けると心に決めていたらしいが、万が一の時にぬか喜びはさせたくなかったんだって。自分たちの保身のためじゃなくて、本当に気遣って考えてくれてる。
俺はもうドキドキだよ。俺のことをずっと探し続けてくれたとはいえ、俺なんて全然いいとこないから。頭も良くないし、運動神経もいいとは言えないと思う。魔法だってチート級とはいえ、自分で使うことさえ、ろくにできない。はぁ、心配になってきた。
ずっとそんなことばかり考えてたら、数日なんてあっという間にすぎて、いよいよ国に到着する。あの門をくぐったら、街に入る。そこに俺の本当の家族が待ってるんだ。
よし、気合いれていくぞーー!!!
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ルーナ本人には「御使い様」のことを話してありますが、よく理解してません。
まぁありがたい存在って言われてるんだなってことくらいです。しかもその事すらもう忘れているから、ネガティブになったりしてます。おバカですね。
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