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14 【過去編3】
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異世界転生14
バンッ
「まだ見つからないのか!!!」
大きな音をたて机を叩いた公爵。 ルーナが行方不明になってから既に3日経っている。その間、ろくな睡眠も取っていない。疲れ切っている様子なのに全く休憩を取ろうとしない公爵を見て周りのものも心配していた。
あの日、護衛は急いで屋敷まで戻り事情を伝えた。それを聞いた公爵は自分が信頼している騎士を王都から呼び出し、事情を説明してから捜索へと向かわせた。巨大樹の森はとても大きく、少ない人数での捜索は、ほとんど意味をなさなかった。3日経った今でも大きな進展はない。
このままではルーナを見つけることが出来ないと思った公爵は、ルーナの存在を世に発表することにした。しかしそれは、ルーナが『御使い様』であることを世に知らしめると同じだ。見つけることが出来たとしてもまた悪いやつがいたら、直ぐに狙われてしまうだろう。もし保護することが出来れば、何かのそして冒険者の者にも協力してもらおうと。冒険者は時に騎士より力を発揮することがある。
数日後、陛下に発表の許可を取り、急いで手配を進めた。そして全世界へと発表した。
他の国の者は、『御使い様』の存在を前に誘拐などの可能性があったが、それでも発表するほかなかった。ギルドではランク問わずに依頼をうけられること、報奨金目当てで探してくれるかもしれないということで、国と公爵家から莫大な報奨金を出すことになった。
それから7年。なんの進展も、情報も出ないままただ時間だけが過ぎた。最初は意欲的に探していた者達も、もう諦めかけていた。死んでしまったのではないか。そもそも最初から『御使い様』なんていなかったのではないかという噂まである。
公爵家からの発表では、髪は白銀、瞳の色は金とシルバーだとされている。しかし本当にそんな人物は存在するのだろうか。『御使い様』が現れたのだって何千年前。絵本などで語り継がれているとはいっても、所詮物語上の人物だと誰もが思っていた。そんな人物が誘拐されたなどと言われても現実味がわかないのが普通だ。見たことがない人物を闇雲に探すのは大変なことだ。莫大な報奨金と言っても見つけてからの話。そうしてどんどん探す者達は少なくっていった。
7年前の公爵家では最初に呼び出していた信頼している騎士に独自のルートで探させていた。しかし、騎士だって仕事はある。ずっと探すことは出来ない。困り果てていたところにギルド長が声をかけた。自分が信頼しているAランクの冒険者を紹介しようと言ってくれた。公爵は藁にもすがる思いでそれを聞き入れた。
紹介されたAランクの冒険者は4人。Aランク冒険者はとても貴重であまりいない。公爵は4人にしばらくの間公爵家専属になって欲しいと頼んだ。定期的に給料を出すから、ルーナを探し続けて欲しいと。4人はそれを承諾した。公爵家の専属というのはAランク冒険者の称号よりも名誉あるものだ。
冒険者達が諦める中、4人は探し続けた。世界中に飛び回り、各国のあらゆる場所に言った。そして、次にどこを探すかと迷った時に、1人の冒険者が提案した。「巨大樹の森を探さないか」と。巨大樹の森は謎に包まれていたため、唯一探すのをためらっていた場所だ。しかしもうそんなことを言ってる場合ではない。
早速4人は巨大樹の森を探し始めた。世界のあらゆる場所にある巨大樹の森は一つ一つがとても広くそして時間がかかった。分からないことが多いため警戒する必要があり、歩いてるだけでも神経を使った。一つ、また一つと森を制覇していく。探しながらであるが、森について分かったことを書き留めていった4人の記録は貴重なものだった。冒険者として、知らないものを知るという好奇心の反面、『御使い様』を見つけることが出来ない焦りもあった。
そうして探して行くうちに森もあとひとつとなった。最後の森は公爵家から2番目に遠いところだ。巨大樹の森の中でも一際大きい。
ここにいないとなればもう打つ手がなくなってしまう。
最後の希望だった。
バンッ
「まだ見つからないのか!!!」
大きな音をたて机を叩いた公爵。 ルーナが行方不明になってから既に3日経っている。その間、ろくな睡眠も取っていない。疲れ切っている様子なのに全く休憩を取ろうとしない公爵を見て周りのものも心配していた。
あの日、護衛は急いで屋敷まで戻り事情を伝えた。それを聞いた公爵は自分が信頼している騎士を王都から呼び出し、事情を説明してから捜索へと向かわせた。巨大樹の森はとても大きく、少ない人数での捜索は、ほとんど意味をなさなかった。3日経った今でも大きな進展はない。
このままではルーナを見つけることが出来ないと思った公爵は、ルーナの存在を世に発表することにした。しかしそれは、ルーナが『御使い様』であることを世に知らしめると同じだ。見つけることが出来たとしてもまた悪いやつがいたら、直ぐに狙われてしまうだろう。もし保護することが出来れば、何かのそして冒険者の者にも協力してもらおうと。冒険者は時に騎士より力を発揮することがある。
数日後、陛下に発表の許可を取り、急いで手配を進めた。そして全世界へと発表した。
他の国の者は、『御使い様』の存在を前に誘拐などの可能性があったが、それでも発表するほかなかった。ギルドではランク問わずに依頼をうけられること、報奨金目当てで探してくれるかもしれないということで、国と公爵家から莫大な報奨金を出すことになった。
それから7年。なんの進展も、情報も出ないままただ時間だけが過ぎた。最初は意欲的に探していた者達も、もう諦めかけていた。死んでしまったのではないか。そもそも最初から『御使い様』なんていなかったのではないかという噂まである。
公爵家からの発表では、髪は白銀、瞳の色は金とシルバーだとされている。しかし本当にそんな人物は存在するのだろうか。『御使い様』が現れたのだって何千年前。絵本などで語り継がれているとはいっても、所詮物語上の人物だと誰もが思っていた。そんな人物が誘拐されたなどと言われても現実味がわかないのが普通だ。見たことがない人物を闇雲に探すのは大変なことだ。莫大な報奨金と言っても見つけてからの話。そうしてどんどん探す者達は少なくっていった。
7年前の公爵家では最初に呼び出していた信頼している騎士に独自のルートで探させていた。しかし、騎士だって仕事はある。ずっと探すことは出来ない。困り果てていたところにギルド長が声をかけた。自分が信頼しているAランクの冒険者を紹介しようと言ってくれた。公爵は藁にもすがる思いでそれを聞き入れた。
紹介されたAランクの冒険者は4人。Aランク冒険者はとても貴重であまりいない。公爵は4人にしばらくの間公爵家専属になって欲しいと頼んだ。定期的に給料を出すから、ルーナを探し続けて欲しいと。4人はそれを承諾した。公爵家の専属というのはAランク冒険者の称号よりも名誉あるものだ。
冒険者達が諦める中、4人は探し続けた。世界中に飛び回り、各国のあらゆる場所に言った。そして、次にどこを探すかと迷った時に、1人の冒険者が提案した。「巨大樹の森を探さないか」と。巨大樹の森は謎に包まれていたため、唯一探すのをためらっていた場所だ。しかしもうそんなことを言ってる場合ではない。
早速4人は巨大樹の森を探し始めた。世界のあらゆる場所にある巨大樹の森は一つ一つがとても広くそして時間がかかった。分からないことが多いため警戒する必要があり、歩いてるだけでも神経を使った。一つ、また一つと森を制覇していく。探しながらであるが、森について分かったことを書き留めていった4人の記録は貴重なものだった。冒険者として、知らないものを知るという好奇心の反面、『御使い様』を見つけることが出来ない焦りもあった。
そうして探して行くうちに森もあとひとつとなった。最後の森は公爵家から2番目に遠いところだ。巨大樹の森の中でも一際大きい。
ここにいないとなればもう打つ手がなくなってしまう。
最後の希望だった。
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