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12 【過去編1】
しおりを挟むー12年前ー
「おぎゃあ!!おぎゃあ!!」
「旦那様!生まれました!男の子です!」
アートルム王国、四大公爵家のひとつであるグローリア家から大きな産声があがっていた。
グローリア家の夫夫は仲睦まじいと有名であり、これで3人目の子供だった。
「え…!!!旦那様!奥様!この子は……!」
「どうした?」
三男の乳母になるネポスは生まれた喜びと共に大きな驚きを見せていた。取りあげた子供が普通じゃなかったのだ。いや、元気がないとかそういうことでは無い。普通じゃないというのは、髪の毛のことだ。生まれたてでまだあまり生えていないが、それでも少量はある。その子供の髪色は白銀だった。白銀は神聖なもので、髪にその色を宿す者はまずいない。しかしその子供の髪色は見事な白銀であった。ところどころキラキラとひかり、とても綺麗だった。
「これは…!この子は『御使い様』なのか!?」
この世界に『御使い様』の存在が最後に確認されたのは、今から何千年前。文献はあまり残されておらず、物語上の存在だと思われていた。文献にはこう書かれている。
『御使い様』の髪色は神聖な色、白銀を宿している。その白銀が目印となる。『御使い様』は神の使いのことであり、神に愛された存在である。そのため、『御使い様』が現れるとその国は豊かになり、繁栄の時を迎える。身近な人間は病気や怪我なんてしなくなり、文字通りそこにいるだけで幸せを運ぶ存在だと。
しかし、公爵家は生まれた三男が『御使い様』である情報は流さなかった。ただ三男が無事生まれた、それだけだった。『御使い様』であることを無闇に広めると危険だと判断したからだった。知っているのは、公爵の家族と旧知の友である国王と宰相、公爵家の信頼できる親戚と使用人だけとなった。
知らされた者達は白銀をもつ人間の『御使い様』が誕生したことをとても驚き、喜んだ。あとは瞳の色を確認するだけだ。
生まれたばかりの時は、目は開いておらず瞳の色を確認できていなかった。この世界の瞳の色は、親から子へと遺伝することはほとんどない。「その人が持つ色として、個性であり象徴である」と世界共通で定められている。そのためいくら「御使い様」であろうと瞳の色は大事なことだった。
確認出来たのは生まれてから次の日。金とシルバーだった。白の次に稀とされる色が金だ。金髪は普通に生まれる。しかし瞳の色で金を持つものは全くと言っていいほど現れないのだ。シルバーはよくある普通の色であったが、2色持って生まれること自体がないため皆とても驚いた。
そして自分たちができる限り守り、幸せにしようと決めた。
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