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しおりを挟む俺の名前は白雪 琥珀。高校1年生。名前とか苗字は、何となく珍しいかも?とは思うが、それ以外はそこら辺にいるような平々凡々なやつだ。
突然だが、俺は異世界転生ものが好きだ。大好きだ。ちょっとだけ厨二病こじらせてるが。ほんとにちょっとだけだぞ。
だからこんな状況でもそんなことを考えてしまう。今、俺の目の前には大型トラックが走ってきてる。このまま行けば、神様の所にいって転生するはずだ。うん。
だけどなんだかゆっくりに感じるな。これが走馬灯とかいうやつか?いや、ちょっと違う気がするがそれでいいや。トラックはこちらに一直線に走って来ている。結構やばいな。避けられそうにない。
いや、でも子供を助けたとかならなんかストーリー的にいいけどさ、俺…ただつまづいてコケただけなんだよね…。これで俺が死んじゃったりして運転手さんが捕まったりとかしたらどうしよう。申し訳なさすぎる。俺が飛び出してたって誰か証言しといてね。
あ、もうぶつかる。自然と痛みはない。これも走馬灯効果だろうか。でもまぁ、親も親戚とかもいないし、この世に未練はない!さらばこの世!さぁ、いざ神様がいる真っ白な世界!
目を覚ますと、一面真っ白な世界が広がって…はいなかった。いや、真っ白いことは真っ白いんだけどね。
目の前に障子がある。正しくは和室の入口みたいな感じ。これまじで神様の世界に来た感じ?でも和室あるよ?夢?起きたら病院のベットの上とかやめてね。
一応入ってみるか…。中は普通の和室だった。おじいちゃんの家にありそうな普通の。こたつがある。みかんも置いてある。なんだかほんとにここ神様の世界?おじいちゃんの家に来ちゃったんだけど。
いや!これからだろ!神様はきっとくる!
こればかりは信じて待つしかない。こたつにお邪魔させてもらって神様を待つとするか。
どれくらいたったか分からないがどうやら寝てしまっていたらしい。死んでも寝たりするのか。どういう仕組みだ。
「うわっ!」
びっくりしたぁ。俺の目の前におじいちゃんが座ってる。正しくは寝てる。この人が神様?普通のおじいちゃんだよ。やっぱりどっかのおじいちゃんの夢とかに間違えて入っちゃたんじゃないの?……みかんも食べたあとあるし。あ。でも格好は神様っぽいな。白い着物みたいなのを来てる貫頭衣だっけか。
「すいませーん。神様ですかぁ?」
「むにゃむにゃ…いかにもわしが神じゃあ!」
ってまた寝るんかい!起こさない方がいい感じ?今、この人自分のこと神って言ったよね。起こしたらバチとか当たるんじゃない?
えーなんか怖いんですけど。なんか面倒くさくなってきた。異世界転生主人公はもしかしたらこんな試練を乗り越えていたのかもしれない。すごいな。よーし、勇気を振り絞ってもう1回!
「すいませーん!!!!かぁみぃさぁまぁ!
起きてくださーい!!」
「うるさいのぅ。今いい夢を見てたんじゃ!誰じゃ!わしの夢を邪魔したやつは!」
パチッ。目が合った。なんか神様驚いてね?普通こういう場合は神様が呼んでたりするもんじゃないの?
「おぉ!琥珀!会いたかったぞ!!」
神様はおもむろに立ち上がるとこちら側に来て、俺を抱きしめる。なに?なに?俺に会いたかった?え、本当に神様が俺をここに呼んでたの?なんで?どうして?
「お主がそう思うのも当たり前じゃな。まぁ1回落ち着いてお茶でも飲もうか」
え、今俺の心の声読んだ?声に出してた?いや、出てないはず。やっぱり神様なのか。
神様はさっき座ってた向かい側に戻って座り直すとゆびをパチンと鳴らした。あれ。さっきまでなかったはずの湯飲み茶碗がある。中からは湯気も出ている。神様すげぇ。
「さぁさ、飲むがいい。おいしいぞ」
ズズっと音を立ててお茶を飲んでる神様?は、こちらを見て、また俺に話しかけてきた。
「まずは琥珀、お主の疑問に応えようか。わしはお主らの世界で言う神様という存在じゃな。創造神とも呼ばれるが。ここは死後の世界のちょっと手前とでも言うとくかな。本来、お主の魂はここに来ることはない。魂の流れに還るはずなんじゃがな、お主の最期がなんともまぁ…」
「なんですか…?」
「お主の本来迎えるべき最期はな、もっとあとのはずだったんじゃ。しっかりとした予定があったのにもかかわらず、お主、あそこでコケたであろう。あれは、イレギュラーな出来事なんじゃ。お主の人生には絶対にあるはずのない出来事なんじゃがなぁ。」
「えぇぇぇ!!じゃあ俺は本当は死ぬはずじゃなかったんですか?!あるはずのないこと…?じゃあなんで俺はあの時コケたんだ?」
「まぁ、何百年に1回くらいはこういうことがあるんじゃ。でも、そういう者でも、こんな死に方は今までもないのう。前例がなく、わし以外に対応出来る者がおらんから、こうしてお主をここに連れてきたというわけじゃ。」
「マジかよ…じゃあ俺はこの後どうなるの?えっと魂の流れ?だっけ?それに行くの?」
異世界転生とかやっぱり無理なのかなぁ…
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