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9章 絶望の先の光

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 彰吾の頭にあの組紐が浮かんだ。思うままに逝くことを許されず、管理されたのだろう。今日は、心と体を開放して、自由に逝かせてやりたい。
 下着から手を入れ、星夜のものに触れると、星夜の体がびっくと反応する。
「大丈夫だ、俺が逝かせてやる。俺にまかせろ」
 そう言って、下着を脱がせると、すくっと姿を見せる。自分のものより小ぶりだが、健気に立ち上がっている。薄紅色のそれの先は蜜で濡れている。蜜を舐めて、口に含む。
「! ……」
 星夜は驚いた。口に含まれたのは初めての経験なのだ。口での奉仕は、どの男からも求められた。十二歳の時から、その技は徹底的に仕込まれた。故にそれは、仕える者の役目だと思ってきたのだった。まさか自分がされるとは……。
 驚き、質したい思いは、甘い酩酊に打ち消されていく。今まで味わったことのない極上の心地に酔いしれる。
「ああんっ、ああーっ……あっ、もっ、もう逝くーっ……はっはなしてっ」
 離して、もう出てしまう……しかし、彰吾は離してくれない。
「ああーっ」
 星夜は、彰吾の口の中に、その精をほとばしらせる。天に駆け上ったような気持ちだ。

 しばらくその浮遊感に身を任せたが、びっくと気付く。
「あっあのっ、わたしのもの、のっ、飲んだのですか!?」
 彰吾が唇を舐めながら頷く。星夜には、信じられない思いだ。精を飲ませられるのは嫌だったからだ。心底申し訳ない思いになる。
「ごめんなさい……離してもらおうと思ったけど……」
「お前が謝ることはない。俺が、中に出させたんだからな。ふふっ、お前が可愛いいから、ほんとは食っちまいたいが、その代わりだ」
 食っちまいたいって……彰吾さんと言う人は……。星夜は、嬉しい気持ちと同時に、彰吾を愛おしいと思う。
 愛している。わたしはこの人を愛している。星夜は、彰吾に抱きついた。そして、自分も彰吾のために口でしようと思ったが、彰吾に止められる。
「お前はしなくていい」
 彰吾にしても、星夜がしてくれるのは嬉しい。が、それ以上に罪悪感を抱くのだ。
 香だった過去、他の男たちに奉仕させられたことは聞かなくても分かる。それをさせるのは、星夜を凌辱してきた男たちと同列になる嫌悪感もある。
 セックスは一方的な凌辱でもないし、奉仕でもない。愛し合う者同士のセックスは、甘く気持ちの良いものだ。それを、星夜に教えてやりたい。
 意外な気持ちを表した星夜の額に口付けする。そして、両手で頬を包みながら言う。
「今日は、お前を気持ち良くさせたい。愛し合う者同士のセックスを、お前は初めて経験するんだ。俺に任せてくれないか」
 星夜は頷く。愛されていることを実感して、嬉しくて涙を溢れさす。嬉しい……愛している。そして、彰吾が欲しい……。彰吾に抱きついた。
「彰吾さんのものに……彰吾さんが……ほ、欲しい」
「ああ、お前は俺のもので、俺はお前のものだよ。ここに、俺を受け入れてくれるのか」
 星夜の尻を撫でながら聞くと、彰吾の胸に顔を埋めたままの星夜が頷く。欲しくて、どうしようもなく求めているのに、恥ずかしいのだ。
 星夜の初心な反応は当然でもある。本当の意味でのセックスは初めての経験なのだから。

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