43 / 55
8章 絶望
④
しおりを挟む
香が一人思い悩んでいると、東月が声もかけずに入ってきた。
「なっ、なにっ! 今は一人でいたい、出ていってっ」
「ふふっ、それは出来ない。お前が素直になれるよう躾てやるよ」
そう言いながら香に近づき、逃れようとする香の手を掴み、着物をはぎ取り、持っていた紐で縛り上げる。
「いやっ! やめてっ!」
「だから言っただろ、躾だって。師に異論を唱える罰でもある。お前が素直に師に従うことが出来るようにとの、宗家と若宗家の考えなんだよ」
東月の言葉に、香は驚き、そして心を挫かれた。何をされるのか、怖さで身がすくむ。
「大人しくなったな、その方がいいぞ。奥だから声は響かないと思うが、余り大声を出すと、口枷することになるからな」
薄ら笑いを浮かべながら、組紐を取り出し、香の中心のものを縛めていく。東月は好んでこれをする。香をいけない苦しみに追い込むのだ。しかし、それだけではなかった。
東月は尿道ジプーを取り出して香に見せる。
「今日はこれをお前のものに入れてやるよ。本来出すところに入ってくるのは辛いぞ。辛くないと罰にはならないからな」
東月の言葉に、香は益々恐怖に身がすくむ。そしてすぐに、入ってくるそのおぞましい感覚に身を固くする。
「いやっ! あーっ……あっ、あっ……」
「そうだ、じっとしていろ。動くとお前が痛い目にあうだけだからな。ふふっ、全部入ったぞ」
恐怖と、おぞましい感覚に、香は声もまともに出せない。その香を楽しむように、東月は、入ったジプーを戻したり入れたりを繰り返す。その度に香は、体中の神経を刺激されたような感覚を味わわされる。
「もう……もう許して」
涙ながらに許しを請う。いつもは、東月に抱かれても翻弄させられることはなかった。それが、東月は、自分の師ではないという香の矜持でもあった。しかし今は、その東月に許しを請うしかできない。しかも、涙が溢れる……。
「ふふっ、さすがに堪えたようだな。いいかこれは罰だからな。よく覚えておくんだぞ」
東月が部屋を出て行った後、香はベッドの上で泣いた。ここへ来た時決して泣かないと決めた。けれど涙が止まらない……。
翌日香は、大学へ着くなり父へと電話をする。昨夜から父へ早く知らせたかった。しかし、神林から掛けると誰かに聞かれる恐れがある。
「お父様、助けてっ……」
神林へ行ってから十年近く、決して泣き言を言わなかった香の悲痛な訴えに父桜也の心は痛んだ。もとより、秋好にとっても飲める話ではない。
「大丈夫だ、わたしから神林の宗家へは、考え直していただくようにお願いする。今日午後から呼ばれているのは、その話だろうからな」
秋好にとって香は大切な跡目、それを誠実に訴えればわかってもらえると桜也は考えた。亡くなった父親の藤之助と比べれば、未だ世間知らずの青年のようなところのある人なのだ。
香を神林へ行かせたのも、藤之助の考えに従ったまでにすぎない。桜也では、香を犠牲にする決断は出来なかった。
己に冷徹さがない故に、他人のそれを理解できない。桜也はそう言う人なのだった。
「なっ、なにっ! 今は一人でいたい、出ていってっ」
「ふふっ、それは出来ない。お前が素直になれるよう躾てやるよ」
そう言いながら香に近づき、逃れようとする香の手を掴み、着物をはぎ取り、持っていた紐で縛り上げる。
「いやっ! やめてっ!」
「だから言っただろ、躾だって。師に異論を唱える罰でもある。お前が素直に師に従うことが出来るようにとの、宗家と若宗家の考えなんだよ」
東月の言葉に、香は驚き、そして心を挫かれた。何をされるのか、怖さで身がすくむ。
「大人しくなったな、その方がいいぞ。奥だから声は響かないと思うが、余り大声を出すと、口枷することになるからな」
薄ら笑いを浮かべながら、組紐を取り出し、香の中心のものを縛めていく。東月は好んでこれをする。香をいけない苦しみに追い込むのだ。しかし、それだけではなかった。
東月は尿道ジプーを取り出して香に見せる。
「今日はこれをお前のものに入れてやるよ。本来出すところに入ってくるのは辛いぞ。辛くないと罰にはならないからな」
東月の言葉に、香は益々恐怖に身がすくむ。そしてすぐに、入ってくるそのおぞましい感覚に身を固くする。
「いやっ! あーっ……あっ、あっ……」
「そうだ、じっとしていろ。動くとお前が痛い目にあうだけだからな。ふふっ、全部入ったぞ」
恐怖と、おぞましい感覚に、香は声もまともに出せない。その香を楽しむように、東月は、入ったジプーを戻したり入れたりを繰り返す。その度に香は、体中の神経を刺激されたような感覚を味わわされる。
「もう……もう許して」
涙ながらに許しを請う。いつもは、東月に抱かれても翻弄させられることはなかった。それが、東月は、自分の師ではないという香の矜持でもあった。しかし今は、その東月に許しを請うしかできない。しかも、涙が溢れる……。
「ふふっ、さすがに堪えたようだな。いいかこれは罰だからな。よく覚えておくんだぞ」
東月が部屋を出て行った後、香はベッドの上で泣いた。ここへ来た時決して泣かないと決めた。けれど涙が止まらない……。
翌日香は、大学へ着くなり父へと電話をする。昨夜から父へ早く知らせたかった。しかし、神林から掛けると誰かに聞かれる恐れがある。
「お父様、助けてっ……」
神林へ行ってから十年近く、決して泣き言を言わなかった香の悲痛な訴えに父桜也の心は痛んだ。もとより、秋好にとっても飲める話ではない。
「大丈夫だ、わたしから神林の宗家へは、考え直していただくようにお願いする。今日午後から呼ばれているのは、その話だろうからな」
秋好にとって香は大切な跡目、それを誠実に訴えればわかってもらえると桜也は考えた。亡くなった父親の藤之助と比べれば、未だ世間知らずの青年のようなところのある人なのだ。
香を神林へ行かせたのも、藤之助の考えに従ったまでにすぎない。桜也では、香を犠牲にする決断は出来なかった。
己に冷徹さがない故に、他人のそれを理解できない。桜也はそう言う人なのだった。
11
お気に入りに追加
31
あなたにおすすめの小説
愛の宮に囚われて
梅川 ノン
BL
先の大王の末子として美しく穏やかに成長した主人公の磯城(八宮)は、非常に優秀だが鷹揚な性格で権力欲はなかった。
大王の長子(後東宮)である葛城は、幼い頃より磯城に憧れ、次第にそれは抑えきれない恋心となる。
葛城の狂おしいまでの執愛ともいえる、激しい愛に磯城は抗いながらも囚われていく……。
かなり無理矢理ですが、最終的にはハッピーエンドになります。
飛鳥時代を想定とした、和風ロマンBLです。お楽しみいただければ嬉しいです。
あなたの顔が無理なんです!
ちゅっ太郎
BL
かつての恋人に見放され傷つき、気づいたら一年間引きこもりになっていた。
高校に再度入学したオレは悪夢を見る。
「何故、俺の顔を見ない」
かつての恋人にとても似てるからです。
それも予期しない形でこの人の補佐に任命された。
あなたの顔は、かつて大切だった人を思い出す…それも純愛を黒く染めて。
ちょっぴり切ないラブコメディです
*ご訪問ありがとうございます<(_ _)>
*お気に入りをいれてくれてありがとうございます!
不定期更新となっております。
*表紙イラストはPicrewの見上げ男子をお借りしました。
好きな人が「ふつーに可愛い子がタイプ」と言っていたので、女装して迫ったら思いのほか愛されてしまった
碓氷唯
BL
白月陽葵(しろつきひなた)は、オタクとからかわれ中学高校といじめられていたが、高校の頃に具合が悪かった自分を介抱してくれた壱城悠星(いちしろゆうせい)に片想いしていた。
壱城は高校では一番の不良で白月にとっては一番近づきがたかったタイプだが、今まで関わってきた人間の中で一番優しく綺麗な心を持っていることがわかり、恋をしてからは壱城のことばかり考えてしまう。
白月はそんな壱城の好きなタイプを高校の卒業前に盗み聞きする。
壱城の好きなタイプは「ふつーに可愛い子」で、白月は「ふつーに可愛い子」になるために、自分の小柄で女顔な容姿を生かして、女装し壱城をナンパする。
男の白月には怒ってばかりだった壱城だが、女性としての白月には優しく対応してくれることに、喜びを感じ始める。
だが、女という『偽物』の自分を愛してくる壱城に、だんだん白月は辛くなっていき……。
ノンケ(?)攻め×女装健気受け。
三万文字程度で終わる短編です。
お助けキャラに転生したのに主人公に嫌われているのはなんで!?
菟圃(うさぎはたけ)
BL
事故で死んで気がつけば俺はよく遊んでいた18禁BLゲームのお助けキャラに転生していた!
主人公の幼馴染で主人公に必要なものがあればお助けアイテムをくれたり、テストの範囲を教えてくれたりする何でも屋みたいなお助けキャラだ。
お助けキャラだから最後までストーリーを楽しめると思っていたのに…。
優しい主人公が悪役みたいになっていたり!?
なんでみんなストーリー通りに動いてくれないの!?
残酷な描写や、無理矢理の表現があります。
苦手な方はご注意ください。
偶に寝ぼけて2話同じ時間帯に投稿してる時があります。
その時は寝惚けてるんだと思って生暖かく見守ってください…
挙式後すぐに離婚届を手渡された私は、この結婚は予め捨てられることが確定していた事実を知らされました
結城芙由奈
恋愛
【結婚した日に、「君にこれを預けておく」と離婚届を手渡されました】
今日、私は子供の頃からずっと大好きだった人と結婚した。しかし、式の後に絶望的な事を彼に言われた。
「ごめん、本当は君とは結婚したくなかったんだ。これを預けておくから、その気になったら提出してくれ」
そう言って手渡されたのは何と離婚届けだった。
そしてどこまでも冷たい態度の夫の行動に傷つけられていく私。
けれどその裏には私の知らない、ある深い事情が隠されていた。
その真意を知った時、私は―。
※暫く鬱展開が続きます
※他サイトでも投稿中
運命の息吹
梅川 ノン
BL
ルシアは、国王とオメガの番の間に生まれるが、オメガのため王子とは認められず、密やかに育つ。
美しく育ったルシアは、父王亡きあと国王になった兄王の番になる。
兄王に溺愛されたルシアは、兄王の庇護のもと穏やかに暮らしていたが、運命のアルファと出会う。
ルシアの運命のアルファとは……。
西洋の中世を想定とした、オメガバースですが、かなりの独自視点、想定が入ります。あくまでも私独自の創作オメガバースと思ってください。楽しんでいただければ幸いです。
これがおれの運命なら
やなぎ怜
BL
才能と美貌を兼ね備えたあからさまなαであるクラスメイトの高宮祐一(たかみや・ゆういち)は、実は立花透(たちばな・とおる)の遠い親戚に当たる。ただし、透の父親は本家とは絶縁されている。巻き返しを図る透の父親はわざわざ息子を祐一と同じ高校へと進学させた。その真意はΩの息子に本家の後継ぎたる祐一の子を孕ませるため。透は父親の希望通りに進学しながらも、「急いては怪しまれる」と誤魔化しながら、その実、祐一には最低限の接触しかせず高校生活を送っていた。けれども祐一に興味を持たれてしまい……。
※オメガバース。Ωに厳しめの世界。
※性的表現あり。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる