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7章 初めての恋心
③
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誰もいない家に帰り付いて、ソファーに崩れ落ちるように体を横たえる。
そのまま、暫くぼーっとしていた。
気づいたら部屋は真っ暗だった。日が落ちたのも気づかずにいた。
尚希は、よろっと起き上がり照明を付ける。
部屋は明るくなったが、心は暗いままだ。
先生に会いたい……せめて、声が聞きたい……。
悶々と考えていると、スマホが鳴る。先生だ!
「せっ、先生!」
『ああ、私だよ。どうした? そんなに慌てて』
「あっ、いや、別に」
『そうか、明日定時なんだ。大学へ迎えに行くよ』
尚久が、定時に終業出来る時は、大学まで迎えに来てくれる時が多い。女学生に見られたのもその時だったのだろう。
「えっと、明日は家の方が」
『――? 家の方がいいのか。それじゃあ、六時くらいかな、着いたら電話するよ』
「はい、分かりました」
短い会話だった。何故、家の方がいいいのか、聞かれることも無かった。しかし、尚久には尚希の常とは違う様子は、しっかりと伝わっていた。
「何があった?」
食事をして、帰りの車の中で聞かれる。食事の間は、とりとめのない会話だった。だから油断した。尚希は慌てた。
「なっ、何って」
「何かあったんだろう。お前から言わないかと思ってたが、どうやら言いそうにない。何があった? 思ってる事は言わないと、ため込むと落ち込むぞ」
な、なんで先生には分かるんだろう……。尚希は、うつむいたまま言葉が出ない。
「話して見ろ」
目立たぬ場所で車を止めて、尚久は、覗き込むようにして問う。言わないと、許されそうにない。尚希は観念した。
「えっと、……大学の女の子たちが、先生を紹介して欲しいって」
「紹介って」
「先生がハイスペックだから、お近づきになりたいって。玉の輿にのりたいみたいな」
「なんだよ、それ。断れよ」
「断った。断ったけど……」
「なんだ、まだなんか言われたのか?」
「僕も玉の輿狙っているのかだって。でも、地味なベータが相手にされるわけないって」
「相手にしてるじゃないか」
「わ、若い体だけが目当てで……いっ、一回寝たら捨てられるって……」
「お前も、私のことそういうふうに思ってるのか」
尚希は慌てて顔を、横に振る。
「そっ、そんなこと思ってない」
「だったらいいじゃないか。そんな女の子たちの言う事、無視してればいい」
尚久の力強い言葉に安堵する思いもあるが、尚希にはまだ、心に引っかかることがある。
「うん……」
「なんだ? まだ何か言われたのか?」
「言われたっていうか……先生は僕の何かな……って思って。その子たちに、最初先生の事彼氏かって聞かれたから」
「肯定しなかったのか?」
「う、うん」
「ふっ、だから紹介しろって言われたんだよ。彼氏だって言ってれば、それで終わってたろ。その子たちも、諦めたんじゃないのか」
「でっ、でも……かっ、彼氏なの……」
「そうだろ。こうして時々デートしてるだろ。そういう相手の事を普通は彼氏って言うんじゃないのか」
「デっ、デートなの!?」
「お前、なんて思ってたんだよ」
なんてって……何も思ってなかった。デートだったのか――尚希は混乱して、言葉が出ない。
そのまま、暫くぼーっとしていた。
気づいたら部屋は真っ暗だった。日が落ちたのも気づかずにいた。
尚希は、よろっと起き上がり照明を付ける。
部屋は明るくなったが、心は暗いままだ。
先生に会いたい……せめて、声が聞きたい……。
悶々と考えていると、スマホが鳴る。先生だ!
「せっ、先生!」
『ああ、私だよ。どうした? そんなに慌てて』
「あっ、いや、別に」
『そうか、明日定時なんだ。大学へ迎えに行くよ』
尚久が、定時に終業出来る時は、大学まで迎えに来てくれる時が多い。女学生に見られたのもその時だったのだろう。
「えっと、明日は家の方が」
『――? 家の方がいいのか。それじゃあ、六時くらいかな、着いたら電話するよ』
「はい、分かりました」
短い会話だった。何故、家の方がいいいのか、聞かれることも無かった。しかし、尚久には尚希の常とは違う様子は、しっかりと伝わっていた。
「何があった?」
食事をして、帰りの車の中で聞かれる。食事の間は、とりとめのない会話だった。だから油断した。尚希は慌てた。
「なっ、何って」
「何かあったんだろう。お前から言わないかと思ってたが、どうやら言いそうにない。何があった? 思ってる事は言わないと、ため込むと落ち込むぞ」
な、なんで先生には分かるんだろう……。尚希は、うつむいたまま言葉が出ない。
「話して見ろ」
目立たぬ場所で車を止めて、尚久は、覗き込むようにして問う。言わないと、許されそうにない。尚希は観念した。
「えっと、……大学の女の子たちが、先生を紹介して欲しいって」
「紹介って」
「先生がハイスペックだから、お近づきになりたいって。玉の輿にのりたいみたいな」
「なんだよ、それ。断れよ」
「断った。断ったけど……」
「なんだ、まだなんか言われたのか?」
「僕も玉の輿狙っているのかだって。でも、地味なベータが相手にされるわけないって」
「相手にしてるじゃないか」
「わ、若い体だけが目当てで……いっ、一回寝たら捨てられるって……」
「お前も、私のことそういうふうに思ってるのか」
尚希は慌てて顔を、横に振る。
「そっ、そんなこと思ってない」
「だったらいいじゃないか。そんな女の子たちの言う事、無視してればいい」
尚久の力強い言葉に安堵する思いもあるが、尚希にはまだ、心に引っかかることがある。
「うん……」
「なんだ? まだ何か言われたのか?」
「言われたっていうか……先生は僕の何かな……って思って。その子たちに、最初先生の事彼氏かって聞かれたから」
「肯定しなかったのか?」
「う、うん」
「ふっ、だから紹介しろって言われたんだよ。彼氏だって言ってれば、それで終わってたろ。その子たちも、諦めたんじゃないのか」
「でっ、でも……かっ、彼氏なの……」
「そうだろ。こうして時々デートしてるだろ。そういう相手の事を普通は彼氏って言うんじゃないのか」
「デっ、デートなの!?」
「お前、なんて思ってたんだよ」
なんてって……何も思ってなかった。デートだったのか――尚希は混乱して、言葉が出ない。
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