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3 雪露宮での出会い2
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「今頃は凛風が到着している頃か」
雷浩然は落ち着かない気持ちで雪露宮に残っていた。
出前が届いたら知らせると言ったのだが、第二皇子は一人で待つ方が早く食べられるからと、珍しく初対面の相手に会う事を是としたので彼の意見を尊重していたのだ。
他に類を見ない超絶恥ずかしがりな第二皇子の白家の包子への食欲は並々ならないものらしい。
池の東屋に灯りを準備して皇子を案内して、そこに家の者が届けに来ると言い置いて一人宮の中に戻っていた雷浩然は、この場で心配しても詮無いと気持ちを切り替え、手元の古い書物を広げると紙の上に達筆な文字でその内容を記していった。
彼のここでの仕事は第二皇子の世話以外にもあるのだ。
この宮に所蔵されしばらく放置されていた文物の整理と、その記載内容の精査および情報の取捨選択。これが彼に課せられている職務だ。
前王朝やその前の時代の王朝の遺物も含まれているので、歴史的にも貴重な資料たりえる物も中にはあるようだった。
「それにしても、子偉殿下がうちの包子をご存知だったとは」
豪快な性格の第一皇子と違って、決して各地をほっつき歩くのが好きではなさそうな彼が知っていたのは驚きだった。
少年時代、誰かに「美味しいからこれあげるよ」とこっそりもらった事が切っかけだったらしく、以来ずっとその味を忘れられないでいたという。しかもその誰かは今も時々差し入れてくれるのだとか。
恐れ多くも一国の皇子に食べ物を渡せる者など、限られてくる。
故に高官の誰かが白家の品を気に入ってくれているのかもしれないと思えば、店も安泰だなと思って内心喜んでいたりする。妻子に家に入って欲しい反面そんな相反する感情もある自らの甘さと矛盾には、雷浩然自身ふと冷静になると苦笑を禁じ得なかった。
「この件をお義父さんが知ったら、その時が怖いな」
極力、朝廷など権力の臭いのする人や場所には近付かないよう徹底していたあの飛仙は、身内がそういった人や場所と関わるのもいい顔をしない。
皇宮への出前などもってのほかだろう。
義父楊叡がどうしてそこまで中央を嫌うのかは知らないが、バレたら大目玉を食らうのは必至だ。
あの朝廷嫌いの義父には、仙人だからなのか時折り平伏したくなるようなビリビリとした覇気がある。
怒られる想像をしてぶるりと震える雷浩然は、ふと手元の古い書物の中のある一文に目を留めた。
「ん? 山憂炎……? どこかで……――ああ、これは三公となられているあの方の……昔の記録ですね……」
見覚えのある名前を見つけ、しげしげとその文章を読んでいく。
今は仙人となって朝廷にいる山憂炎という男は、人間時代朝廷で優秀な武官として名を馳せたつわものだ。
記録では当時王朝の交代劇があり、その末に一度は朝廷を去ったのだ。しかし仙人となって色々と思う所があったのか、三度乞われて舞い戻ったという話だ。
今は肖家の王朝だが、ここ数百年の間に王朝は幾度か交代劇が繰り広げられていた。
一つ前が朱、そしてもう一つ前は楊だ。
「そう言えば楊って、お義父さんと同じだな。まあしかし珍しい名字でもないし偶然の一致か」
ここ百年は他国との血生臭い戦争もなく、皇位を巡る内乱とも無縁の平穏が続いている。
人々は政争で疲弊する事もなく、全く以って良い時代だと雷浩然は思いつつ手を動かすのだった。
凛風が黙って東屋の円卓の上で蒸籠の蓋を開けると、立ち上る湯気の向こうで妖怪布だるま……ではなく頭から布を被った皇子肖子偉はほぅ…と感嘆の溜息をついた。
視線はもう包子に釘付けで、それ以外今の彼の世界には何もないようだった。
予想以上の美味なる香りには、布を握っていた指先から力が抜けたのか、はらりと頭から布が落ちて、半開いた口の端から今にも涎が垂れそうなのが見えてしまった。
「どうぞ」
「……うん」
微笑ましく思って勧めるも、しかし宝石でも眺めるように白面を上気させ目を輝かせて見つめるだけで、皇子は中々手を伸ばそうとしない。
仕方がなくしかつめらしい表情でもう一度促せば、青年は我に返ったように瞬いて照れたように視線を外した。
(男の人相手に言うのも変だけど、可愛い。私には恥じらいとか女の子らしい可愛げがない分、何かこの皇子様が可愛くしてくれればいい気がしてきた)
凛風が関係もへったくれもない事を考えている傍では、椅子の上で皇子がごくりと唾を飲んだ。おずおずと手を伸ばす。
彼は指先を白く柔らかな生地に沈ませ一つ手に持つと、
「……食べるのが勿体ない」
感動したようにそんな事を言った。
「そう言わずにどうか召し上がって下さい。岡持ちから出してしまったので冷めてしまいます。当店の包子は、温かいうちに召し上がって頂くのが一番美味しいんですから」
内心嬉しい苦笑を浮かべて言えば、彼は一度意気込むように唇をしっかり閉じて、次にはパクリと、ふわふわもちもちの生地に口を丸ごと埋めた。
「結構良い食べっぷりですね。でも餡が熱いので気を付けて下さいね」
気さくに微笑めば、彼はようやく他者に見られているという自分の状況に気付いたのか、器用に口に包子を挟んだままちょっと目を瞠ると、慌てたように布を被って俯いた。
今度は目元ではなく咀嚼する口元だけが覗いている。
――あの方は何と言うか、とても恥ずかしがり屋なんだ。
父親から事前に話は聞いていた。
(でもまさかここまでとは思わなかった。これなら亀の方がまだ堂々としてるわ)
しかし、と彼女は考える。
――第二皇子、肖子偉には悪い噂がある。
悪い噂もある、ではなく、悪い噂しかない。
暴力沙汰や狼藉、商人相手の横暴など、多々ある。
だがどうも今現在本人を目の前にしていてもそんな悪人には見えなかった。
父親も噂については何も触れていなかったし、気を付けるよう忠告される事もなかった。
(まあでも会ったばかりだし、為人なんてわかるわけないか)
下手な詮索は宜しくない。自分はこの後言いつけ通り誰にも見つからずに帰るだけだと思い直す。
「まだありますからね? 父からは二人前をと言われていたのでもっと遠慮せず食べて下さい」
返事なのか彼はこくりと頷くと、気休めでも視線から逃れたいのかちょっと姿勢を斜めにずらした。
出前先が近所なら蒸籠ごと商品を置いて戻る事も普通にあるが、ここは普段来る場所ではないし、第一侵入の痕跡が残るので置いてはいけない。
(蒸籠が空かない限りは待ってるしかないけど、彼がここまでして人目を避けたいなら東屋から離れた方がいいかな?)
そう思案していると、一つ目を食べ終えていた肖子偉はススッと二個目に手を伸ばす。因みに一人分は包子二つなので、今日ここには計四つある。
「あのー子偉殿下」
「っ!?」
控えめに声を掛けたのにビクつかれてしまった。
「あ、すみません脅かすつもりはなかったんです。ただ、私は別の場所に居た方がいいかと思ったもので……。他人がいるとお嫌でしょう?」
「…………」
やや長い沈黙が続いて、そのまま会話は終了する。
(うーんまあいいか。下手に刺激しない方がいいわよね。早く帰るためにも食に専念してもらおうっと)
凛風は卓から離れ欄干に背を当て肘をのせると、暗闇に静かに座するような蓮の池を眺めた。
視界の端で仄かな紅白の提灯が揺れ、心地よい微風が頬を撫でていく。
風に乗ってやってくる季節の匂いに目を細めた。
ちょうど蓮の開花が始まる初夏なのだ。
一幅の絵にでもなりそうな男前な姿勢で肩越しの景色に目をやって和んでいると、鼻先に蓮とは違った良い匂いがした。
「ん?」
これは間違いなく包子の匂いだと気付いて首を戻せば、布だるま皇子がわざわざ立って自分の方へ包子を差し出している。
「いえ、私は要りませんよ。蒸籠を持ち帰るためにここに残っているだけですので、気にしないで下さい」
「全部は多いから手伝ってほしい」
「いえでも」
「美味しいものは、誰かと分かち合いたい」
「……わかりました」
皇子からここまで言われては応じるしかなく、凛風は仕方なしに包子を受け取った。
「どうもありがとうございます。頂きます」
そう告げれば、布だるまは見えている口元を綻ばせた。
噂と違って優しい側面もあるのかと感心する。
(いやそもそも、この羞恥心の塊のような皇子と巷の噂が本当に結び付かないわ)
再度腑に落ちないものを感じつつ、凛風は肖子偉と二人で椅子に腰かけ白家自慢の包子を満喫したのだった。
雷浩然は落ち着かない気持ちで雪露宮に残っていた。
出前が届いたら知らせると言ったのだが、第二皇子は一人で待つ方が早く食べられるからと、珍しく初対面の相手に会う事を是としたので彼の意見を尊重していたのだ。
他に類を見ない超絶恥ずかしがりな第二皇子の白家の包子への食欲は並々ならないものらしい。
池の東屋に灯りを準備して皇子を案内して、そこに家の者が届けに来ると言い置いて一人宮の中に戻っていた雷浩然は、この場で心配しても詮無いと気持ちを切り替え、手元の古い書物を広げると紙の上に達筆な文字でその内容を記していった。
彼のここでの仕事は第二皇子の世話以外にもあるのだ。
この宮に所蔵されしばらく放置されていた文物の整理と、その記載内容の精査および情報の取捨選択。これが彼に課せられている職務だ。
前王朝やその前の時代の王朝の遺物も含まれているので、歴史的にも貴重な資料たりえる物も中にはあるようだった。
「それにしても、子偉殿下がうちの包子をご存知だったとは」
豪快な性格の第一皇子と違って、決して各地をほっつき歩くのが好きではなさそうな彼が知っていたのは驚きだった。
少年時代、誰かに「美味しいからこれあげるよ」とこっそりもらった事が切っかけだったらしく、以来ずっとその味を忘れられないでいたという。しかもその誰かは今も時々差し入れてくれるのだとか。
恐れ多くも一国の皇子に食べ物を渡せる者など、限られてくる。
故に高官の誰かが白家の品を気に入ってくれているのかもしれないと思えば、店も安泰だなと思って内心喜んでいたりする。妻子に家に入って欲しい反面そんな相反する感情もある自らの甘さと矛盾には、雷浩然自身ふと冷静になると苦笑を禁じ得なかった。
「この件をお義父さんが知ったら、その時が怖いな」
極力、朝廷など権力の臭いのする人や場所には近付かないよう徹底していたあの飛仙は、身内がそういった人や場所と関わるのもいい顔をしない。
皇宮への出前などもってのほかだろう。
義父楊叡がどうしてそこまで中央を嫌うのかは知らないが、バレたら大目玉を食らうのは必至だ。
あの朝廷嫌いの義父には、仙人だからなのか時折り平伏したくなるようなビリビリとした覇気がある。
怒られる想像をしてぶるりと震える雷浩然は、ふと手元の古い書物の中のある一文に目を留めた。
「ん? 山憂炎……? どこかで……――ああ、これは三公となられているあの方の……昔の記録ですね……」
見覚えのある名前を見つけ、しげしげとその文章を読んでいく。
今は仙人となって朝廷にいる山憂炎という男は、人間時代朝廷で優秀な武官として名を馳せたつわものだ。
記録では当時王朝の交代劇があり、その末に一度は朝廷を去ったのだ。しかし仙人となって色々と思う所があったのか、三度乞われて舞い戻ったという話だ。
今は肖家の王朝だが、ここ数百年の間に王朝は幾度か交代劇が繰り広げられていた。
一つ前が朱、そしてもう一つ前は楊だ。
「そう言えば楊って、お義父さんと同じだな。まあしかし珍しい名字でもないし偶然の一致か」
ここ百年は他国との血生臭い戦争もなく、皇位を巡る内乱とも無縁の平穏が続いている。
人々は政争で疲弊する事もなく、全く以って良い時代だと雷浩然は思いつつ手を動かすのだった。
凛風が黙って東屋の円卓の上で蒸籠の蓋を開けると、立ち上る湯気の向こうで妖怪布だるま……ではなく頭から布を被った皇子肖子偉はほぅ…と感嘆の溜息をついた。
視線はもう包子に釘付けで、それ以外今の彼の世界には何もないようだった。
予想以上の美味なる香りには、布を握っていた指先から力が抜けたのか、はらりと頭から布が落ちて、半開いた口の端から今にも涎が垂れそうなのが見えてしまった。
「どうぞ」
「……うん」
微笑ましく思って勧めるも、しかし宝石でも眺めるように白面を上気させ目を輝かせて見つめるだけで、皇子は中々手を伸ばそうとしない。
仕方がなくしかつめらしい表情でもう一度促せば、青年は我に返ったように瞬いて照れたように視線を外した。
(男の人相手に言うのも変だけど、可愛い。私には恥じらいとか女の子らしい可愛げがない分、何かこの皇子様が可愛くしてくれればいい気がしてきた)
凛風が関係もへったくれもない事を考えている傍では、椅子の上で皇子がごくりと唾を飲んだ。おずおずと手を伸ばす。
彼は指先を白く柔らかな生地に沈ませ一つ手に持つと、
「……食べるのが勿体ない」
感動したようにそんな事を言った。
「そう言わずにどうか召し上がって下さい。岡持ちから出してしまったので冷めてしまいます。当店の包子は、温かいうちに召し上がって頂くのが一番美味しいんですから」
内心嬉しい苦笑を浮かべて言えば、彼は一度意気込むように唇をしっかり閉じて、次にはパクリと、ふわふわもちもちの生地に口を丸ごと埋めた。
「結構良い食べっぷりですね。でも餡が熱いので気を付けて下さいね」
気さくに微笑めば、彼はようやく他者に見られているという自分の状況に気付いたのか、器用に口に包子を挟んだままちょっと目を瞠ると、慌てたように布を被って俯いた。
今度は目元ではなく咀嚼する口元だけが覗いている。
――あの方は何と言うか、とても恥ずかしがり屋なんだ。
父親から事前に話は聞いていた。
(でもまさかここまでとは思わなかった。これなら亀の方がまだ堂々としてるわ)
しかし、と彼女は考える。
――第二皇子、肖子偉には悪い噂がある。
悪い噂もある、ではなく、悪い噂しかない。
暴力沙汰や狼藉、商人相手の横暴など、多々ある。
だがどうも今現在本人を目の前にしていてもそんな悪人には見えなかった。
父親も噂については何も触れていなかったし、気を付けるよう忠告される事もなかった。
(まあでも会ったばかりだし、為人なんてわかるわけないか)
下手な詮索は宜しくない。自分はこの後言いつけ通り誰にも見つからずに帰るだけだと思い直す。
「まだありますからね? 父からは二人前をと言われていたのでもっと遠慮せず食べて下さい」
返事なのか彼はこくりと頷くと、気休めでも視線から逃れたいのかちょっと姿勢を斜めにずらした。
出前先が近所なら蒸籠ごと商品を置いて戻る事も普通にあるが、ここは普段来る場所ではないし、第一侵入の痕跡が残るので置いてはいけない。
(蒸籠が空かない限りは待ってるしかないけど、彼がここまでして人目を避けたいなら東屋から離れた方がいいかな?)
そう思案していると、一つ目を食べ終えていた肖子偉はススッと二個目に手を伸ばす。因みに一人分は包子二つなので、今日ここには計四つある。
「あのー子偉殿下」
「っ!?」
控えめに声を掛けたのにビクつかれてしまった。
「あ、すみません脅かすつもりはなかったんです。ただ、私は別の場所に居た方がいいかと思ったもので……。他人がいるとお嫌でしょう?」
「…………」
やや長い沈黙が続いて、そのまま会話は終了する。
(うーんまあいいか。下手に刺激しない方がいいわよね。早く帰るためにも食に専念してもらおうっと)
凛風は卓から離れ欄干に背を当て肘をのせると、暗闇に静かに座するような蓮の池を眺めた。
視界の端で仄かな紅白の提灯が揺れ、心地よい微風が頬を撫でていく。
風に乗ってやってくる季節の匂いに目を細めた。
ちょうど蓮の開花が始まる初夏なのだ。
一幅の絵にでもなりそうな男前な姿勢で肩越しの景色に目をやって和んでいると、鼻先に蓮とは違った良い匂いがした。
「ん?」
これは間違いなく包子の匂いだと気付いて首を戻せば、布だるま皇子がわざわざ立って自分の方へ包子を差し出している。
「いえ、私は要りませんよ。蒸籠を持ち帰るためにここに残っているだけですので、気にしないで下さい」
「全部は多いから手伝ってほしい」
「いえでも」
「美味しいものは、誰かと分かち合いたい」
「……わかりました」
皇子からここまで言われては応じるしかなく、凛風は仕方なしに包子を受け取った。
「どうもありがとうございます。頂きます」
そう告げれば、布だるまは見えている口元を綻ばせた。
噂と違って優しい側面もあるのかと感心する。
(いやそもそも、この羞恥心の塊のような皇子と巷の噂が本当に結び付かないわ)
再度腑に落ちないものを感じつつ、凛風は肖子偉と二人で椅子に腰かけ白家自慢の包子を満喫したのだった。
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