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2 すずかの失恋事情
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「むっかっつっくううう~~~~っ!!」
すずかは高速エレベーターまでの通路をドスドスドスと乱暴に踏み付けながら歩いた。このままこの最上階の床が靴の形に抜けたならどんなにスッとするだろうと苛立ちも頂点に思ったりもした。
因みに無人であるからそうできたのだが、至る所に監視カメラが設置されているので今頃このビルの監視室では、職員たちから怪訝な顔をされているに違いなかった。
テカテカした大きな執務机にバンッと両手を着き身を乗り出してメンチを切るように睨んでいたら、話が済んだとばかりに「忙しいから早く帰れ」と言われ、挙句は猫にでもそうするように首根っこを掴まれ総裁室からポイッと出されたのも、大いなる立腹に一役買っていた。
「ホンット何なの! 呼び出しておいてお茶の一つも出さないであんなめちゃくちゃな話するなんて信じられない!」
久々に高レベルの憤懣を吐き出して、すずかはエレベーターの下行きしかないボタンに拳の尻を叩き付けた。内側に凹んで戻らないのではというくらいの乱暴さだったが、幸いボタンの方はそこまでヤワではなかったようだ。
到着の電子音と共にエレベーターに乗り込むと、箱好きの猫のように今度は一転して大人しくなったすずかは、ガラス張りの景色がどんどん下がっていくのを眺め、吊り上げていた眉と目を下げて怒りの表情を曇らせた。
ただ、絞っていた眉間を解くのとは逆に掌を強く握り締める。
「ケン兄は、こんな酷い仕打ちができる人だったんだ……」
一円いや一銭であろうとも、その有無が死活問題の三好家にとってこの降って湧いたような援助の話は、蜘蛛の糸以上に咽から手が出る程に飛び付きたい話だ。
今は昔の家同士のための政略結婚とは言え、一部の上流社会にその風潮は少なからず残っている。
そこに属する人間に決して自由がないとは言わないが、案外しがらみも多く、一般庶民たちの方が恋愛面での自由度は高いとさえ言えた。
幼い頃からそういう価値観もあると知りながら育ち、そして現在はやや貧乏な高校生をやっているすずかは、その両社会の価値観を知っている。
だから口では古いとか何とか言っても、あり得ることなのだと理解はしている。
彼が三好家の技術を欲しているのは嘘ではないだろう。
だからこその婚姻話に違いないとすずかは思う。
でも、心は全然受け入れられない。
彼とは久しく会話を交わしていなかった。
だから、突如総裁のオフィスに招かれて告げられた求婚の言葉たちには、正直心が震えた。
驚き? 怒り? 悲しみ? 安堵?
その瞬間はどんな感情だったか自分でもよくわからない。
けれど、最後に強く感じていたのは憤りだ。
「大嫌い。人の気も知らないで……」
途中どこの階にも妨げられることなく地上階に降りた箱の中、落とされた囁きは扉が開くと共に舞い込んだ外のフロアの空気に解けた。
かつて、三好すずかの初恋は失恋に終わった。
初恋相手との出会いは、まだ会社が好調だった頃に両親が出向いた立食式の何かのパーティーだ。
当時すずかは五歳。
初恋相手の彼――花柳ケントはすずかの姉のりさと同じで三つ上の八歳だった。
両親から彼を紹介されて、姉に続いて挨拶をして、見よう見まねでスカートを抓んで少し膝を折ったすずかだったけれど、慣れない動作によろけて転びそうになった。
床に打ち付けられる覚悟をしてぎゅっと目を瞑ったものの、痛みに襲われることはなく、誰かに抱き留められていた。
「だ、大丈夫?」
紹介されたばかりの少年ケントだった。
「う、うん」
予想とは違う顛末に困惑と安堵が胸に広がって、そしてびっくりもして、すずかはケントの服を握ったまま目を丸くしていた。
ケントの方も光が当たって金緑に見える瞳を不思議そうに瞬かせたから、すずかはそういえばお礼もまだだったと思い出し、感謝の念を滲ませてはにかんだ。
誰かに「ありがとう」や「ごめんなさい」を感じたら素直に伝えなさいと、日頃両親から言われていたすずかはその教えと自らの心に従ったのだ。
「ありがとう、お兄ちゃん」
その瞬間彼はハッとしたようになってちょっと照れてから、
「どういたしまして」
すずかに向けて優しい微笑みをくれた。
その笑顔を一目見てすずかは彼を大好きになった。
以来、事あるごとに双方の家を遊び場にすずかと彼と姉の三人で仲良く過ごした。
恋心を自覚したのは十歳のある日。
その日もどこかの企業が主催したパーティーに親と共に出席して、ケントも来ているのに気付くと、互いの家の挨拶回りを済ませた三人はいつものように子供たちだけで寛いだ。
立食会場との仕切りはなかったが大人たちの集まりは遠く、休憩場所にまでわざわざ目を向ける大人はいない。
それ故にすずかが気を許してふかふかのソファに寝そべっていると「何だか猫みたい」とケントから言われて頭を撫でられた。
猫扱い。
だけど彼にならそうされてもいいかなと、すずかは気持ち良さそうに目を細めながら満更でもなく思っていた。
大人たちは社交に忙しく、常の如くしばらく経ってもこっちに来る気配はない。
それは別にいい。
食べ物はあるし自由に寛げる。
でもちょっと詰まらないとすずかは感じていた。
何故なら、彼と姉は同じ年なだけに互いに勉学や学校での話がよく弾む。けれど自分にはまだわからない勉強の話だったし遠慮もあって、二人の話に入ることは出来なかった。
いつもなら、二人の傍で見守るように大人しく待機していると、必ずどちらかがすずかを会話の輪に入れてくれて、わかる話へと話題も転換してくれるのに、今日は話が弾んでいるのか構ってくれない。
退屈が欠伸を誘発したが、すずかは年上の優しい二人が大好きで、だから二人が笑顔でいてくれることが何よりも嬉しい。だから邪魔はしないでいた。
微かな眠気を押し殺し、口寂しくてジュースをちびちびと飲んでいたら早々に空になった。
飲み物のおかわりを取ってくると言って一人その場を離れ、そして新しいジュースを手に戻って来た時だ。
「――好きだよ」
「ああやっぱり! 嬉しいわ!」
二人の会話が聞こえて、言葉を理解した瞬間、危うくジュースを取り落としそうになった。
この頃にはすずかも少女漫画を読むようになっていて、好きだの恋だのという面でのドキドキは知っていた。
そして作中で主人公の少女が感じるようなそれを、彼に対して感じてもいた。
けれど今まで恋だとは考えなかった。
彼の横顔が、いつになく照れ臭そうに赤くなって姉を見つめている。
――好きだよ。
その声がいつまでも耳奥に残って反響していて、コーヒーに落としたミルクの渦のように段々と歪んで行くようだった。
胸が痛くなった。
嬉しいと姉は返した。
つまり二人は両想い。
冷えたグラスを持つ手以上に、頭の天辺から足先までが冷えて行く。
幸いまだ二人には気付かれておらず、すずかは一歩また一歩と後退して柱の陰に隠れた。
バクバクと嫌な感じに心臓が高鳴っている。
(失恋……したんだ私)
ジュースの上に一つ二つと波紋が広がる。
恋を自覚したらもう終わっていた。
(漫画でもあるじゃない。三つも年下の私よりも話も合って可愛いりさお姉ちゃんの方がいいよねそりゃあ……)
うっうっと嗚咽が漏れた。だけどここで大声で泣けば皆に気付かれる、
俯いて、ジュースを飲んでいる振りを続けて、必死に声を押し殺した。
咥えたストローの先を平たくなるまで噛んで、涙がどうにか止まるまでそうした。
その後は二人の所に戻る気にもなれず、こういう集まりも仕事の一環だからと言う両親の所にも行けず、行くあてがなくなったすずかは、ふと目に付いた長いテーブルクロスの掛けられたテーブルの下にこっそり潜ることにした。
傷心を抱えたまま、会場の喧騒を布越しに聞いていたけれど、眠気が強まっていつの間にか眠ってしまったらしく、すずかと自分を呼ぶ声に目を開ければ、ケントがどこか心配そうな顔で見下ろしていた。
彼だけじゃなく姉も。
自分はソファの上に寝かされていた。
一瞬自分の置かれた状況がわからずポカンとしていたら、
「大丈夫すずか?」
急いたように彼が問い掛けてきたのでこくりと頷いた。
返事を聞いてのホッとした様子に、ようやく自分がどうしたのかを思い出した。
いつの間にかすずかの姿が見当たらず、慌てて二人で捜し回ったらしかった。
どうしてテーブルの下に居たのかと訊かれ、
「すごく眠たくて、でも、暗い所がなかったから……」
そう答えた。
彼も姉もすずかの理由に納得したようだった。
大騒ぎになる前に見つけてもらって良かったと今思い返しても思う。
「心配掛けてごめんなさい」
謝ったら二人は優しく苦笑してすずかを抱きしめてくれた。
(ああ、二人が笑ってくれるなら……)
その日からすずかは少しずつ少しずつ、彼との距離を置く努力をするようになった。
すずかは高速エレベーターまでの通路をドスドスドスと乱暴に踏み付けながら歩いた。このままこの最上階の床が靴の形に抜けたならどんなにスッとするだろうと苛立ちも頂点に思ったりもした。
因みに無人であるからそうできたのだが、至る所に監視カメラが設置されているので今頃このビルの監視室では、職員たちから怪訝な顔をされているに違いなかった。
テカテカした大きな執務机にバンッと両手を着き身を乗り出してメンチを切るように睨んでいたら、話が済んだとばかりに「忙しいから早く帰れ」と言われ、挙句は猫にでもそうするように首根っこを掴まれ総裁室からポイッと出されたのも、大いなる立腹に一役買っていた。
「ホンット何なの! 呼び出しておいてお茶の一つも出さないであんなめちゃくちゃな話するなんて信じられない!」
久々に高レベルの憤懣を吐き出して、すずかはエレベーターの下行きしかないボタンに拳の尻を叩き付けた。内側に凹んで戻らないのではというくらいの乱暴さだったが、幸いボタンの方はそこまでヤワではなかったようだ。
到着の電子音と共にエレベーターに乗り込むと、箱好きの猫のように今度は一転して大人しくなったすずかは、ガラス張りの景色がどんどん下がっていくのを眺め、吊り上げていた眉と目を下げて怒りの表情を曇らせた。
ただ、絞っていた眉間を解くのとは逆に掌を強く握り締める。
「ケン兄は、こんな酷い仕打ちができる人だったんだ……」
一円いや一銭であろうとも、その有無が死活問題の三好家にとってこの降って湧いたような援助の話は、蜘蛛の糸以上に咽から手が出る程に飛び付きたい話だ。
今は昔の家同士のための政略結婚とは言え、一部の上流社会にその風潮は少なからず残っている。
そこに属する人間に決して自由がないとは言わないが、案外しがらみも多く、一般庶民たちの方が恋愛面での自由度は高いとさえ言えた。
幼い頃からそういう価値観もあると知りながら育ち、そして現在はやや貧乏な高校生をやっているすずかは、その両社会の価値観を知っている。
だから口では古いとか何とか言っても、あり得ることなのだと理解はしている。
彼が三好家の技術を欲しているのは嘘ではないだろう。
だからこその婚姻話に違いないとすずかは思う。
でも、心は全然受け入れられない。
彼とは久しく会話を交わしていなかった。
だから、突如総裁のオフィスに招かれて告げられた求婚の言葉たちには、正直心が震えた。
驚き? 怒り? 悲しみ? 安堵?
その瞬間はどんな感情だったか自分でもよくわからない。
けれど、最後に強く感じていたのは憤りだ。
「大嫌い。人の気も知らないで……」
途中どこの階にも妨げられることなく地上階に降りた箱の中、落とされた囁きは扉が開くと共に舞い込んだ外のフロアの空気に解けた。
かつて、三好すずかの初恋は失恋に終わった。
初恋相手との出会いは、まだ会社が好調だった頃に両親が出向いた立食式の何かのパーティーだ。
当時すずかは五歳。
初恋相手の彼――花柳ケントはすずかの姉のりさと同じで三つ上の八歳だった。
両親から彼を紹介されて、姉に続いて挨拶をして、見よう見まねでスカートを抓んで少し膝を折ったすずかだったけれど、慣れない動作によろけて転びそうになった。
床に打ち付けられる覚悟をしてぎゅっと目を瞑ったものの、痛みに襲われることはなく、誰かに抱き留められていた。
「だ、大丈夫?」
紹介されたばかりの少年ケントだった。
「う、うん」
予想とは違う顛末に困惑と安堵が胸に広がって、そしてびっくりもして、すずかはケントの服を握ったまま目を丸くしていた。
ケントの方も光が当たって金緑に見える瞳を不思議そうに瞬かせたから、すずかはそういえばお礼もまだだったと思い出し、感謝の念を滲ませてはにかんだ。
誰かに「ありがとう」や「ごめんなさい」を感じたら素直に伝えなさいと、日頃両親から言われていたすずかはその教えと自らの心に従ったのだ。
「ありがとう、お兄ちゃん」
その瞬間彼はハッとしたようになってちょっと照れてから、
「どういたしまして」
すずかに向けて優しい微笑みをくれた。
その笑顔を一目見てすずかは彼を大好きになった。
以来、事あるごとに双方の家を遊び場にすずかと彼と姉の三人で仲良く過ごした。
恋心を自覚したのは十歳のある日。
その日もどこかの企業が主催したパーティーに親と共に出席して、ケントも来ているのに気付くと、互いの家の挨拶回りを済ませた三人はいつものように子供たちだけで寛いだ。
立食会場との仕切りはなかったが大人たちの集まりは遠く、休憩場所にまでわざわざ目を向ける大人はいない。
それ故にすずかが気を許してふかふかのソファに寝そべっていると「何だか猫みたい」とケントから言われて頭を撫でられた。
猫扱い。
だけど彼にならそうされてもいいかなと、すずかは気持ち良さそうに目を細めながら満更でもなく思っていた。
大人たちは社交に忙しく、常の如くしばらく経ってもこっちに来る気配はない。
それは別にいい。
食べ物はあるし自由に寛げる。
でもちょっと詰まらないとすずかは感じていた。
何故なら、彼と姉は同じ年なだけに互いに勉学や学校での話がよく弾む。けれど自分にはまだわからない勉強の話だったし遠慮もあって、二人の話に入ることは出来なかった。
いつもなら、二人の傍で見守るように大人しく待機していると、必ずどちらかがすずかを会話の輪に入れてくれて、わかる話へと話題も転換してくれるのに、今日は話が弾んでいるのか構ってくれない。
退屈が欠伸を誘発したが、すずかは年上の優しい二人が大好きで、だから二人が笑顔でいてくれることが何よりも嬉しい。だから邪魔はしないでいた。
微かな眠気を押し殺し、口寂しくてジュースをちびちびと飲んでいたら早々に空になった。
飲み物のおかわりを取ってくると言って一人その場を離れ、そして新しいジュースを手に戻って来た時だ。
「――好きだよ」
「ああやっぱり! 嬉しいわ!」
二人の会話が聞こえて、言葉を理解した瞬間、危うくジュースを取り落としそうになった。
この頃にはすずかも少女漫画を読むようになっていて、好きだの恋だのという面でのドキドキは知っていた。
そして作中で主人公の少女が感じるようなそれを、彼に対して感じてもいた。
けれど今まで恋だとは考えなかった。
彼の横顔が、いつになく照れ臭そうに赤くなって姉を見つめている。
――好きだよ。
その声がいつまでも耳奥に残って反響していて、コーヒーに落としたミルクの渦のように段々と歪んで行くようだった。
胸が痛くなった。
嬉しいと姉は返した。
つまり二人は両想い。
冷えたグラスを持つ手以上に、頭の天辺から足先までが冷えて行く。
幸いまだ二人には気付かれておらず、すずかは一歩また一歩と後退して柱の陰に隠れた。
バクバクと嫌な感じに心臓が高鳴っている。
(失恋……したんだ私)
ジュースの上に一つ二つと波紋が広がる。
恋を自覚したらもう終わっていた。
(漫画でもあるじゃない。三つも年下の私よりも話も合って可愛いりさお姉ちゃんの方がいいよねそりゃあ……)
うっうっと嗚咽が漏れた。だけどここで大声で泣けば皆に気付かれる、
俯いて、ジュースを飲んでいる振りを続けて、必死に声を押し殺した。
咥えたストローの先を平たくなるまで噛んで、涙がどうにか止まるまでそうした。
その後は二人の所に戻る気にもなれず、こういう集まりも仕事の一環だからと言う両親の所にも行けず、行くあてがなくなったすずかは、ふと目に付いた長いテーブルクロスの掛けられたテーブルの下にこっそり潜ることにした。
傷心を抱えたまま、会場の喧騒を布越しに聞いていたけれど、眠気が強まっていつの間にか眠ってしまったらしく、すずかと自分を呼ぶ声に目を開ければ、ケントがどこか心配そうな顔で見下ろしていた。
彼だけじゃなく姉も。
自分はソファの上に寝かされていた。
一瞬自分の置かれた状況がわからずポカンとしていたら、
「大丈夫すずか?」
急いたように彼が問い掛けてきたのでこくりと頷いた。
返事を聞いてのホッとした様子に、ようやく自分がどうしたのかを思い出した。
いつの間にかすずかの姿が見当たらず、慌てて二人で捜し回ったらしかった。
どうしてテーブルの下に居たのかと訊かれ、
「すごく眠たくて、でも、暗い所がなかったから……」
そう答えた。
彼も姉もすずかの理由に納得したようだった。
大騒ぎになる前に見つけてもらって良かったと今思い返しても思う。
「心配掛けてごめんなさい」
謝ったら二人は優しく苦笑してすずかを抱きしめてくれた。
(ああ、二人が笑ってくれるなら……)
その日からすずかは少しずつ少しずつ、彼との距離を置く努力をするようになった。
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