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第10話 洞窟奥の秘密

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「セロン! ウシオ! あとは俺達に任せ……ろ?」

 俺とブイが決意を固める短い間に、ドラゴンは二人からフルボッコにされて這いつくばっていた。めったんこダメージを受けてる証拠だ。
 あー、え? これもう勇者要らなくない?

「ヒタキ待っていました! さあトドメを!」
「アハッヒタキ君に花を持たせるよー」

 セロンもウシオも勇者のためにとギリギリ生かしてお膳立てしてくれたらしい。その気遣い要らなかった……。
 ドラゴンはドラゴンで「え、ホントギブギブ!」と白旗を上げていたが、そうは問屋が卸さない。悪しきドラゴン討伐の締めは勇者と相場が決まっている、大体は。
 
「マ、マスターどうすれば……」
「しょうがないからこっちでどうにかしないとな。ほら、残り物には福があるって言うし勇気出して行くか」
「それ使い所が違う気が……」

 すると剣を握った俺の手をブイが両手で包み込む。何故に両手なんだ。今なら遠隔でも良さそうだし。怪訝にしているとブイはにこにことして笑った。ついさっきまでの怯えっぷりが嘘みたいだ。

「こうしてマスターと二人で共同作業なんて、ケーキ入刀みたいですね」

 刃を入れるのはケーキではなくドラゴンだがな。

「軽口叩けるなら戦いに集中しろ。誰のためにやってると思ってるんだ」
「うぅ、すみません。気合い入れます!」

 ブイに頷く俺は前を向く。
 勇者の意思に連動してこの上なく白く輝く聖なる剣を振り翳し、二人の男が共に立つ。
 ……だが実際にはまだまだへっぴり腰なブイに合わせてドラゴンに肉薄。せーのの掛け声で促してやって二人で聖剣を振り上げる。
 あくまでメインで握るのは俺。彼はその俺の右手に片方の掌を添えている。自分で提案したとは言え、うむ、実に動かしにくい。
 本音を言えばご自分で持って頂けませんかねーと思うがこれも勇者のためのレッスンだ。後々への投資だ。初めての討伐だろうから今は大目に見よう、俺の手が焼け落ちずくっ付いている限りは。

「これで終わりだ!!」
「お、終わりですっ!」
「は、なぬ、ギブだっつのーーーー!」

 ――ドスッ!!

 おしっ、手応えはあり。方言語尾でも文豪ドストエフスキー氏を短く呼んだものでもない。
 攻撃は斬ると言うよりは刺すがメインで、重い音と共にドラゴンに突き刺さった。
 セロン達が硬い鱗を大部分で剥がしてくれていたおかげで弾かれずに済んだ。感謝だよ。
 俺はだからさっさと剣とドラゴンから離れた。ふう、やっと痛みの原因から解放されたー。痛むのは痛むが利き手の状態はとりあえず見ない。拳にしておく。どうせそのうち驚異の魔王的自然治癒力で元に戻る。

 一方、ドラゴンは最後に勇者の一撃によってたおれた…………かに思われただけだった。

 ウウウウゥゥと低く獣が呻くような声がドラゴンから上がる。

「効いてなかったのか?」
「いいえ剣は刺さりましたし、効いていないわけではなさそうです」

 よく見ればブイの言う通りだ。ただ討伐できるまでにはこちらの威力が至っていなかった、そんな感じか?
 いやでも待て待て威力不足? 嘘だろ? いわばクレーンゲームで最後にちょんってアームを少し当てれば落ちるようなレベルの残り体力だったはずだ。しかもちゃーんと聖剣での勇者の一撃だよ?
 どう考えても討伐可能だった。直に剣を触っていた魔王の俺がそう感じるんだから間違いない。

 だがドラゴンは聖剣をその身に受けたにもかかわらず不可解にもまだ生きている。

 同じ赤系統でもブイの明るい赤い目とは色味が異なる暗く赤黒い魔物特有の赤眼が、理性を感じさせない様子で底光りしている。心なし呼気も白く蒸気を思わせる熱を孕み始めた。
 巨体はぐぐぐぐと首を持ち上げ、不気味にも唸り蠢くようにして立ち上がろうとする。されど体の損傷が激しいせいですんなりとはいかないようだった。
 何だか、まるで自分の生死になりふり構わずの狂暴化、バーサーク化した状態みたいだな。

「……いや待てよ。みたい、じゃない。こいつ本当にバーサーク化してる!?」

 ゲームなんかだとボス戦で敵が最終形態で無謀にもバーサーク化するのがあるが、こいつもその口か?
 しかしギブギブ言っていて直前まで正気だったから、てっきりそのままさっくり倒されるかと思ったが、まさかのバーサーク化。
 普通は何か特殊な薬を飲んだり魔法を発動させないと自殺行為同然のバーサーク状態にはまずなり得ないはずだ。
 しかしドラゴンは怪しい素振りは見せてない。何がどうなってる?

「――ぷふふふっ」

 固唾を呑んでいる俺の耳に微かな笑い声が届く。やや離れた背後からの。

「ウシオ?」

 とうとうゆらりとゾンビみたいに身を起こしたドラゴンに最大限の注意を払いつつも、俺は肩越しに後ろを見やった。
 ウシオは俺と目があって嬉しそうにその目を細める。

「ごめんヒタキ君、勇者が華々しく討伐しましたーって演出が必要かなーっと思って、さっき攻撃ついでに薬盛ったんだけどよく考えたら必要なかったよね」
「……何の薬を飲ませたんだ?」
「あはっそれは勿論バーサーク化のだよ。ああほら余所見していると死んじゃうよ?」

 ゆ・う・しゃ・が、とウシオはそこだけは唇の動きだけで表現した。
 俺に対して何か不満があって挑発されてるようにも思うのは気のせいか?
 とは言え、俺はともかくブイだ。

「グオオオオオオーーーーッ!」

 常軌を逸したドラゴンをすぐ目の前にして最も危険なのはブイなんだよな。勇者だとしてもきっと攻撃されたら一堪りもない。
 案の定ドラゴンは手当たり次第腕や尾を振り回し始めた。
 げっそう言えば聖剣はドラゴンに突き刺さったまんまだよ!
 俺はブイの前に立って攻撃の一つを素手でいなしたものの、結構強い衝撃に手がビリビリと痛い。馬鹿力ドラゴンめ。

「ブイ、あんたは一旦退け! ここは俺がどうにかするから!」

 マジで監督不行き届きだなこれは。ドラゴンにしてもウシオにしても。ああ何だってこう厄介な展開にばかり転がっていくんだか。一体俺が何したってんだ。ひっそりと誰にも迷惑を掛けず各地を調査して回りたいだけなのに!
 魔王としての責任でこの事態を収束させようと決意した俺だが、指示通り安全圏まで後退してくれていると思っていたブイはまだ俺の傍にいた。

「おいブイ! 何を突っ立ってんだ! 危ないから早く逃げろ!」
「逃げませんっっ!」
「は……?」
「マスターのその手っ……今の攻撃の摩擦で火傷になったんですよね! 僕なんかのためにドラゴンの攻撃を素手で受けたせいでっ、本来なら僕の役目なのにっ、僕の勇気が足らないせいで……っっ」
「え、いやこれはドラゴンのせいでなく聖けん――」
「今度は僕がマスターを護ります!」

 ブイは勝手に眦を決すると聖剣を回収しにか、ドラゴンへと真っ直ぐに駆け出していく。

「おいちょっとブイ!?」

 それは蛮勇――って、わかってるわけねえよなあああ!
 すぐさま追いかけたが、ブイの方がさすがはウサギの俊足なのか速い。どうしてこんな時はへっぴり腰ではないんだと悪態をつきたくなる。短い距離なのに追い付けず、彼は一人勝手にドラゴンの間合いに入った。
 聖剣は刺さったまま勇者の気概に応じたように輝きを一段と増す。
 だが、それは逆にドラゴンへの苦痛を増幅させるも同義。戦闘未熟な勇者には剣の力を差し引いても勝算はないだろう。
 俺も元来人の事は言えないが、魔王としてのチートがその戦闘経験皆無さを補ってくれているからこそドラゴンとも対峙できるんだ。
 だからこそ悟っていた。

 このままだとただ負けるってだけではなく、ブイが死ぬって。

 勇者がいなくなれば聖剣は次代が現れるまで待たないとならないし、最大の天敵がいなくなるんだ、俺には利しかない。
 放っておけば自動的に当面の安穏が手に入る。

「ブイ! 止まれ!」

 なのに俺はその背に手を伸ばして声を荒らげてさえいた。

 ブイを死なせたくない。

 不器用で時々周到で融通の利かないくせに、そんなムカつきを帳消しにするようにいつも俺にはにかみかけてくれるあいつを、大事な友人だってもう確定付けてるんだ。

 バーサークドラゴンは害となるブイを排除せんと太い腕を振り下ろした。
 鋭い爪先をブイはどうにか避けたはいいが、よろけて尻餅をつく。
 その上から間髪入れずドラゴンが再度別の腕を勢い良く振り下ろした。
 このままだとブイは潰されミンチになる。

「やめろーーーーっ!!」

 地を震わす轟音が洞窟内部に響いた。

 ドラゴンはブイの居た場所に腕を減り込ませている。避けたなら周辺にブイの姿が見えるはずだがそれもない。なら答えは簡単だ。ブイは憐れドラゴンの腕の下に……。

「ブイ……うそ、だろ……?」

 仮に自身の骨が砕けようともバーサークドラゴンには次の動作を躊躇う理性はない。
 奴は獣の本能のままに次の獲物は俺だと言うように顔を上げた。

 こいつが、ブイを、俺の大事な仲間を……っ。

 次の瞬間、ドラゴンの巨体は無数の緑のプラズマさえ含んだ圧倒的な雷撃により、切れた糸のようにいとも簡単に吹っ飛ばされた。

 洞窟内の壁にぶち当たり、壁もろとも粉砕して更に奥へと消える。
 どうやらもう一部屋奥にあったために貫通したらしい。派手に開いた大穴からは風が吹き込んでくる。
 因みにそこは俺がまだ奥に通路が続いてると認識した辺りだった。

 無論、雷撃は俺が放ったものだ。

 無意識に。

 気付けば衝動的に攻撃を繰り出していたんだ。

 いつになくドでかいのを。

「はあ、はあ、はっ……はははっ、後味悪過ぎだろこれじゃ」

 独り言ち、力なく歪に笑い、攻撃に上げていた腕を投げ遣りに脇に下ろす。ともすれば両膝を突きそうなのをどうにか堪える。
 一気に沸騰した感情が今度は急速に凍り付くみたいだった。
 途轍もない 、後悔。
 何が、鍛えるだ。一朝一夕に勇者なんて出来上がらない。本来は少しずつ手順を踏むべきだったのに、俺の怠慢がブイを死なせた。
 初っ端からドラゴンなんて無謀だったのに、やらせた。
 最初から、俺が一人で対処していればこんな事にはならなかった。こんな、事には……っ。
 ドラゴンの作った地面の窪みの方は敢えて見ないようにした。だってきっとその底には見るも無惨なブイがいる。情けなくも今の俺には仲間の死体を直視する勇気はなかった。

「ヒタキ……?」

 後方からの声に大きく心臓が跳ね上がり体が強張った。

「今の雷撃は、魔族魔法……ですよね。あなたは、魔族なんですか?」
「セロン……」

 俺と彼と、動揺が大きいのはどちらだろうか。
 彼は俺を勇者と信じて疑わなかった。それが実は魔族ですとわかって混乱しないわけがないんだ。
 俺は僅かに呼吸を整えてからゆっくりと踵を返した。

「黙っていて、いや騙していてごめん」
「――っ、で、ですがっ、聖剣一切はどう説明をっ、――ま、まさか……ブイさんが勇者? だとすれば二人のやや不自然だった共同攻撃も納得です」
「さすがは理解が早いな。と言うか不自然だったのかあれ……」

 すぐに正解を導き出したその頭の回転の早さには感心する。それは同時にやはり彼には獣人だからと差別する気持ちがないと俺に確信を抱かせた。獣人を蔑んでいる人間からはそうそうすぐには獣人が勇者という認めがたい発想自体が出ないからだ。
 聖剣の間でのように何か正式ではない手法を取ったと疑われるのが大半だろうな。セロンにはそれもない。
 ウシオに言えばお節介だと言われそうだが、聖皇帝がこうなら人間領もまだまだ捨てたもんじゃないと俺はこんな時なのに安堵してしまった。
 本当にな、こんな時なのに、仲間が死んだってのに……。
 額に手をやってセロンが弱く笑った。

「情けないですね、全く気付きませんでした。聖皇帝が聞いて呆れる……。ヒタキは、先の威力の魔法を使えるとなると、魔族は魔族でもただの下っ端ではないのでしょう?」

 うっ鋭い。

「わおっセロン蟻は優秀だね! ヒタキ君は最上に君臨してる魔お――」
「あっ悪いウシオ!」
「……ごほっ、あ、ははっ、この扱い、癖になりそ~」

 うっかり俺の繊細な指先が雷魔法の暴発を招いて手先たるウシオは血反吐を吐いた。ただ、口の端から血を垂らしてそれでもにこにこと嬉しそうにしているのが怖い。心の闇と言うか病みを感じるのは気のせいか? 仕返しに下剋上されそうで寝首が心配だ。
 あー、他方、セロン君てばめっちゃドン引いて……るんじゃなく「イチャイチャと……っ」とか呟いて悔しそうにしている。

「ま、まあ確かに俺はそこそこの地位ではある」
「そうですか、案の定ですね。敵陣営ながら、さすがは僕の認めた殿方です。それともう一つ、お二人のやり取りや今やドラゴンの魔力が吹き飛んで明瞭になった気配から察するに、ウシオさんも魔族ですね」
「あ、ああそうだ」

 俺は「あはは魔王と魔牛族のトップだよ~」なんてウシオの言いそうな余計な事は言わないで小さく頷いた。セロンは納得の頷きの後、深刻そうに考え込んでしまった。
 今にも聖なる魔法が飛んで来そうな雰囲気だ。ここは一つ険悪になる前に先手必勝と行ってみよう。

「セロン、思い直してくれ! 俺はあんたと戦いたくないっ!」

 セロンが聖皇帝だろうと何だろうと、一度でも仲間と思った相手を二人も失いたくない。
 真剣な顔を向ける俺の前でセロンはやや面白くなさそうな顔付きをして片眉を持ち上げる。

「何を言っているんですか?」
「だ、だよな。そりゃああんたは魔族の俺を倒したいだろうが」
「ですから、何を言っているんですか。私がヒタキと戦うと本気で思うんですか? 心外ですね」
「へ?」

 食い気味にしたセロンはプンプンハムハムになって俺をちょっと睨んでくる。可愛いから全然怖くない。

「いやしかし俺は魔族」
「わかっていますよ。ですが、あなたが魔王でもない限りは多忙な私がいちいち魔族の一人一人を相手にしている暇はありませんからね。周りにはうまい事隠しておきます。ついでに言えばウシオさんに関しても」
「……」

 えー、おら魔王、なんだが?
 ……絶っっっ対バレたら駄目なやつな、これ。
 高位の魔族止まりでやっていこう、うん。

「ええとその、ありがとな、セロン。あんたに利はないだろうに」
「ふふっ、利はありますよ。奇特にも同族を成敗するあなたの高尚な正義のお陰で、一つずつでも平和な地が増えるんですから」
「いやそれ、公共の利益であってセロン個人のじゃないだろうに」
「細かいですね。まあ、そこがまたヒタキらしくて好ましいんですが。なら、あなたが見返りなくヒートの私を助けてくれた、あの時の借りを返したとでも思って下さい」
「ハムハム……」

 あんたはホント良い奴だよな。
 ウシオも頼むからな? 失言してくれるなよ?
 目で訴えるとウシオは爽やかににこりーんとした。超っ絶っ不安っ。セロンは「ハム?」と怪訝にした。

「良かったねヒタキ君、セロン蟻がゆ・う・じょ・うに熱い男で! で、さ、ヒートの時助けたって何なのヒタキ君? 何をどうやって助けたのヒタキ君?」
「は? 単に部屋に匿っただけだよ。あと人の仲間を蟻付けて呼ぶのはやめなさい」
「ふぅーん?」

 友情をやけに強調したウシオは何故か安堵の表情を浮かべてそっぽを向くと、次には残念そうにぼそりと呟く。独り言だったんだろうが俺にはバッチリ聞こえてしまった。

「……ドラゴンの役立たず。ま、そう都合良くは行かないか」

 どういう意味……って、もしかしてウシオわざと薬を盛ったのか……!?
 勇者の活躍のお膳立てみたいな事を言ってたがあわよくば俺の正体が露見して決別するとか、勇者や聖皇帝が死ぬと御の字とそうしたのではなかろうか。
 そして目論見通り勇者は死んだ。
 カッとなりウシオを問い質そうとした矢先、しかし俺の思考はそれどころではなくなった。
 何故なら――

「ううぅ、いたた……。ふー、良かった、一瞬本気で潰れるかとー……」

 地面の窪みから呑気な声が聞こえてきたからだ。
 ハッとした俺は急いで駆け寄って見下ろす。

「ブ、イ……?」
「え、マスター? どうしたんですかそんな顔して?」

 そこには身を起こして一先ずは座り込んだのか、俺を困惑げに見上げてくるブイの姿があった。

「は、はは、ははは…………ああ、生きてた……生きてた! このっ心配掛けんな!」

 俺は飛び込むようにしてブイの傍に行くや両腕で抱き着いていた。涙が出そうだよ。いや、少し目尻に滲んだ。
 一方、目を白黒とさせたブイは俺に驚きつつも、自らの先の状況を思い出してか申し訳なさそうにした。
 セロンとウシオも揃って傍に来る。そう言えば蟻んこの生死なんぞどうでもいいウシオはともかく、セロンは深刻さや悲観を見せていなかった。え、もしや、ブイが生きてると踏んでたのか?

「ええと、その、僕が死んだと思ったんですよね。ご心配をお掛けしてすいませんマスター、お二人も」
「あ、思わず嬉しくて抱きしめちゃったが、どこか痛む所は?」
「い、いえ大きな怪我はないです。骨も平気そうですし打撲で済みました。なので多少腫れるとは思いますけども」

 慌てて離れたら、ブイは両腕を半端に上げた形でポカンとした。あたかも向こうも俺を抱きしめようとしていたみたいなポーズだな。彼ははたと気付いてどぎまぎと焦ったようにもしたがその姿に和んでしまった。いつものブイだ。強がりでもなく真実大きな怪我はないんだともわかったからホッとした。
 反対にセロンとウシオはどこか白けた顔をしていたが、俺がブイを引っ張って立たせると通常運転に戻った。

「俺てっきりあんたがミンチになったかと思ってキレちゃったよ。しかしどうなってるんだ? あれはこうも軽い怪我で済むよう防げる攻撃じゃなかったと思ったが……あ、まさかの勇者特権、とか? 因みに俺が偽勇者なのと聖剣トリックはもうセロンも把握してるから」
「ブイさん、私もそこは疑問です。聖剣が健在でしたので生きているのはわかっていましたが、護身の魔法アイテムでもお持ちだったんですか?」

 聖剣が健在? あ、そうか、勇者が死ぬと聖剣は神殿の台座に勝手に戻るはずだからそれで判断を。盲点だった。
 ブイは騙していたセロンへと些かばつが悪そうにしながらも、躊躇いと屈辱への羞恥のようなものを含ませて俺達の疑問への説明をくれた。
 それによると勇者特権ではないらしい。そもそもそんなものはないようだと勇者本人は語った。無論魔法アイテムでもない。
 あの凶悪ドラゴンの攻撃に耐えられたのは、ブイが、と言うか獣人が日々理不尽な扱いを受けている証拠だと言う。

 幼い頃から酷く殴られてきたせいでと言うかおかげでと言うか、ブイは防御能力が非常識レベルで高いそうだ。

 故にドラゴンの攻撃にも死なずに少しの打撲で済んだんだとか。基本的にブイやブイ兄のような不遇な獣人は防御力高めだと言う。塵も積もればと言うやつだ。

 そう言えばブイ兄はまだ洞窟外でこそこそしてるんだろうか。中には入ってー……来ているようだ。ええ、気配を感じます。近くにいらっしゃるわ。

 今回は結果的にはそれで良かったが、正直な意見を言えばブイの過去の境遇には胸の悪くなるような話しかない。そこはセロンも同じように感じていたようだ。珍しく渋面を作っている。

「これは早々に獣人族の待遇改善を促していかなければ、魔族との戦いにも影響が出かねませんね」

 なんて呟く彼は、その際に俺を見つめて複雑そうな色を瞳に浮かべた。幸いにも俺を魔王と思っていないからこそ、人間にも善人悪人がいるように魔族も色々なんだと俺とウシオを理解してくれている。……ウシオに関してはかなり譲歩してくれたような気もしないでもないが。
 その柔軟思考、ホントにセロンはこっち側にほしい人材だよなあ。きっといい相談役とか参謀になってくれる。ま、彼は聖皇帝サマだし土台無理な願いだろうが。

「ところでヒタキ君、ドラゴンはどうするつもり?」

 するとそれまで俺達三人の会話を横っちょで大人しく聞いていたウシオが洞窟奥を眺めながら口を開いた。

「ドラゴン? 死んだんじゃないのか?」
「ううん、辛うじて生きてるよ」
「ぬわぁんだってえええ!?」

 俺は今度こそ度肝を抜かれたね。さっきの聖剣攻撃よりも余程俺の怒りの雷撃は強烈だったはずだ。あれを食らって生き残れる魔物は決して多くない。ウシオはしれっと生き残りそうだが。
 あのバーサーク状態は首の皮一枚で辛うじて生と繋がっているようなものだ。とっくにお陀仏だと思っていたから最早気にもしてなかったよ。いかんいかん、自らでの最終確認を怠るとはこれも歴とした油断だ。ブイの事で動転していたとは言え弛んどるぞ連城ヒタキ。
 驚異の回復力で立て直した敵からまた襲ってこられても面倒だと焦って大穴を振り返る。

 視線の先、穴の上部からは時折りパラパラと大地の欠片が落下する。

 元々はそんなに脆い地質ではなさそうだったが、俺達の激しい戦闘の衝撃が重なり弱くなっていそうだ。早いとこここを出た方が良いだろうな。

「見るからに風通しも見通しも良くなってるなー。ハハハ」

 我ながらやり過ぎたとは思う。向こうに広がる空間の存在をある程度予測していたから存在そのものに大した驚きはなかったが、奥を見つめたままの俺は別の理由で思わず目を瞠ってしまった。

「な、んだあれ……?」

 俺の視界には、衝撃でドラゴンから抜けて地面に転がっている聖剣と、雷撃の残滓を身に纏わせながらピクピクと痙攣するドラゴンと、空中に浮かんだ不思議なスクリーンがあった。

 それも映画館のような実体あるスクリーンではなく魔法で生み出されたんだろう実体を伴わない代物だ。魔法の映画館があるならこんな感じかもしれない。

 ああそうか、最終的にスクリーンに俺の雷撃のほとんどは当たったのか。ドラゴン以上に表面にバチバチと電流の蛇が走っているのが見える。まるで雷を吸収、食べたみたいだな。機械的に言うなら充電か。
 しかし俺の注目点はそこでもなかった。

「どうして……アニメが流れてるんだ?」

 しかもあれはドラゴンの奴が話に出していたアニメの一つではなかろうか。
 そう、俺が仰天せざるを得なかったのは元の世界――日本のアニメがスクリーンを彩っていたからだ。
 俺は見えない何かに導かれるかのように四角い空中スクリーンへと向かって踏み出した。ブイが俺を当惑の声で呼んだがそれすら意識に上らない。
 その時ドラゴンがほんの小さく首を擡げた。
 ウシオとセロンが即座にトドメをと反応する。

「待てっ!」

 俺はハッとしてドラゴンを庇うように間に入っていた。
 すっかり忘れていたが、俺には変態ドラゴンにきちんと確認したい事があるんだったよ。まだ奴を倒される訳にはいかない。まあ、自分で瀕死にしておいてあれだが。
 たぶんあの時、感情的になり過ぎた俺の雷撃は僅かに狙いが外れて直撃ではなく掠めるようにドラゴンの脇を通ったに違いない。ドラゴンは余波で吹っ飛び、雷撃が激しく壁を壊して生じた強烈な気流に引っ張られるようにして転がってったのを、あたかもそいつが壊したように見えたってわけだ。そうでないならどう見てもチートのないドラゴンが生きている理由に説明がつかない。

 幸い、ウシオとセロンは二人共に困惑した様子で攻撃の手を止めてくれた。

「ヒタキ君、そんな不埒な爬虫類もう楽にしてあげたら~?」
「ヒタキ? 急にどうしたんです?」
「いやーええと、こいつに大事な話があるのを忘れてたんだよ」
「「大事な話? …………交際の?」」

 二人は何故か一瞬表情を消し去ったかと思えば笑顔になってドラゴンに攻撃の照準を定めた。

「え、何で交際!?」
「そ、そんなっ、マスターの裏切り者ー! そのエロドラゴンと何かあったんですね!?」
「ブイまでか!」
「あはっ、まさかの枯れ専ぽちゃ専で、フォーリンラブなんて言わないよね~ヒタキ君? もしもそうなら君の嗜好を僕が徹底的に矯正してあげるからね?」
「年上好きなら私としては喜ばしいですが、そのエロドラゴンと私では大きくタイプが異なるので、とことん献身してヒタキの好みを変えてみせますね、ふふふふ」
「――俺、さすがに爬虫類は無理だから」

 あっさり殺気が立ち消えた。小鳥の囀りが聞こえそうな無駄に爽やかな空気が流れるのを感じる。内心疲れた溜息をつく俺は二人をもう危険なしと判断しドラゴンを振り返った。蟻も殺せないようなブイは言うまでもない。
 俺はドラゴンの近くに立つと地べたに這ったその顔を見下ろした。

「――ドラゴン、この映像は何だ? どうしてこんなものがある?」

 満身創痍のドラゴンは電気ショックが良かったのか奇跡的にバーサーク化が解けているようで、更には俺からの厳しい声が気付け薬の役割を果たしたのかハッとして正気を取り戻すと、中年男姿になって地べたから理性の目で俺を見る。
 受けた攻撃から俺が魔王だと悟って畏怖するのが半分、もう半分はキュンキュンした乙女みたいな目で。
 俺の正体を的確に理解したのは感心だが、魔王と口走ったら命はないからな? ドラゴンは俺の意図を汲み取ったのか微かに緊張感を滲ませた。

「お……おおおっ、最高っ、のっ、景色……っ」

 まあ確かに浴衣の裾から見えそで見えない際どい角度。ははっ安心してくれ、穿いてますよ。前言撤回、緊張感皆無っ。
 心配したがまだこいつの体力はギリギリありそうだ。故に遠慮なくドゲシッと一回頭を踏ん付けてやった。

「あうぅんっ」
「至福そうにするなっ。……で? 正直に答えてくれ。この魔法のスクリーンはあんたが作ったのか?」

 どう考えても向こうとの何らかのリンクがあるはずだ。それをヒントに地球に戻れるかもしれない。

「いっいえいえまさか。かような高度な魔法などわしレベルでは到底構築できませぬ。何者が編み出したかは存じませぬが、可能なれば歴代魔王様レベルではないかと。それから、わしがここに来ました当初よりございました。この空間を塞いでいた大岩を気になって退かしたところ発見した次第です。当時はまだもっと、向こうの様々なものを見たいだけ見る事が可能だったのですが」

 彼が言うには、使えば使うだけ自由が利かなくなっていき、今では新規映像は流れず過去に映したものを再生するくらいしかできないそうだ。そうか、だからこいつは色々と顛末を訊いてきたのか。

「なら、これを通して向こうの世界には行けるのか?」

 強い治癒力で座り込めるまでに回復したドラゴンは是とも否とも断言せず、こてんと首を傾げた。何だよ小悪魔演技かそれ? 全っ然可愛くないが。

「……はあ、大体どうしてその姿なんだよ。もっと他にあるだろうに」
「ああっそれにつきましては深き事情がございまして!」

 話の腰を折る俺の小さな独り言が聞こえたらしく、ドラゴンは物凄く聞いてほしそうにした。
 えー、聞くの? 聞かないと駄目なの? はあ、ついでだ。
 お話をどうぞと促すとドラゴンは嬉しそうに咳払いした。

「実はですな、最初の頃はこの姿ではなく、これな姿でございました」

 次の瞬間、ドラゴンは指示語で表現した姿に変化した。
 うおぉ……鼻血を噴くかと思った。
 男女のわからない、強いて言えば胸ないから男なのかなーな神々し過ぎる容姿の人物がそこにはいた。
 それ自体で光を放っているようにすら見えるさらっさらのプラチナブロンド、この場の誰よりも色白な肌は薄く肌理細やかで爪の先でも破れてしまいそうな繊細さがある。瞳は魔物の赤だが、全体的に端正で神々しいので不思議と全く邪悪には感じない。背は男性の標準程度だが腰の位置が高い、小顔で足が長い理想のプロポーションだ。物腰も柔らかそうな印象を受ける。
 つまり、超絶モテそう、いやモテる。
 あー、唐突に村人達の証言を思い出したよ。戻ってきた者達は恍惚となってどうとか言っていたっけ。あれはこれのせいか、魂抜かれたみたいな感じか、この美の神もかくやな姿に! 確かにこんなのに迫られたら普通の人間にろくな思考なんてできないだろうな。メロメロだろ。
 すると、不意に仲間三人からぎゅっと手で目隠しされた。
 いや、俺は落ちないよ?
 渋々な三人から放してもらって再度ドラゴンに向き直る。もうおっさんに戻っていた……って小コントかっ。

「え、解せないんだが、今のの方が宜しくやれたんじゃないの?」
「いえ、逆なのです。あの姿では皆腰砕けで失神してしまうので、全く楽しめぬままに……。次なれば、また次なればこそとあの姿で何十年と粘ってみたのですが結局は無駄とそう悟り、このおっさん姿になった次第にございます」
「へえー」

 なる程、こいつがビミョーな姿を選択しているわけはわかった。だが同情してやる義理はない。

「ならあんたはまさか……この百年生け贄の誰にも手を出せてない、とか? なーんてそんな馬鹿な話あるわけないか、ハハハ」
「……そのまさかでございます。おっさん姿の折には皆奥へと逃げていき、うっうっううっ」

 絶対ないと思っての冗談だったのにマジだったかあー。

「なら怒りに任せて生け贄達を食べたのか? 綺麗に骨まで消化したから行方不明に?」

 だとしたら俺はこいつを成敗するしかない。

「い、いえそれがその……逃げた生け贄共はアニメの美男を見てカッコいいだの美少女を見て萌えると叫んでスクリーンに突っ込んで行きそのまま姿を消してしまったのです」
「な、んだって!? もっと詳しく話してくれ!」
「は、はい。ただどこへ消えたのかはわかりませぬ。このスクリーンに消えた誰一人として二度と姿を見てもおりませぬ。村に帰ってきた様子もなきようですし」

 何てこった、言葉もわからないだろうに、アニメは異世界人をも虜にするのか。すごっ!
 ――って驚く点はそこじゃないだろ俺っ。

「セロンさんとウシオさんは、マスター達が一体何の話をしているのかわかります? アニメとは何でしょうか?」
「私にも全く……」
「僕にもさっぱり。聞いた事ないなあ」

 仲間達は見たところ警戒心を解いてはないようだが、大変お行儀良くして成り行きを見守ってくれている、全員怪訝な顔で。
 ドラゴンと話す直前に、ブイの発案でそれぞれに添い寝券一枚って言ったらすんなり静かになったんだよな。時々仲間達がよくわからない。
 良い子らよ、こいつとの話が終わるまで待っていておくれ。

 ドラゴンの話から、一つの大きな可能性が見えてくる。

 もしかしてもしかすると、生け贄達はここからアニメの生まれた地、異世界――地球へと転移したのかもしれない。

「他には何かわかっている事実はないのか?」
「実はすぐに生け贄を真似てわしも触れたのですが、何度やっても弾かれる始末でした」
「なるほど」

 ドラゴンが無理で生け贄達には反応したのはどうしてなのかわからないが、きっと法則や制限があるんだろう。

 ……単なる「人間」だから、とか?

「消えた人達に、何か特技とか特徴の偏りはあるのか?」
「全部、例外なく人族でベータでしたな。かく言うわしもベータドラゴンです」

 最後の情報は要らん。この世界の人族ベータは、アルファもオメガもいなければフェロモンには何ら影響されないから、元の世界の俺と同じようなものだ。地球には魔法もオメガバースもないからベータなら問題なく溶け込める。むしろ向こうだとフェロモンの影響を受けなくて済んで万事暮らしやすいだろう。
 世界に意思があるなら、我が世界に適合する者よ、と受け入れるのかもしれない。
 そんな推測をする俺はがっくりきた。

 なら、魔王の俺はどうなんだろ。

 向こう出身なんだが、最早人間括りと捉えてくれるのか微妙なとこだよなー。
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